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異世界ざこぴぃ冒険たん  作者: ざこぴぃ
第八章・この世界の希望
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第103話・さようなら……


―――コリータ城屋上―――


 ――世界の崩壊が始まり3日目。

 隕石は絶え間なく世界中に降り注ぐ。

 『大結界・天ノ岩戸グレートバリア・ゲート』は、ヒビが入る度に魔力を補給し修繕を繰り返していた。

 時々、巨大隕石アンコロモチが降ってくると、これがかなりのダメージを受ける。

「世界中……地獄絵図の様になってますね……」

「あぁ……結界がなかったら僕らも今頃は……」

 無数の隕石衝突で山は燃え、川は氾濫し、町は崩壊していた。

「ハルト!!来たぞっ!!」

天十握剣(アメノトツカノツルギ)!」

 レディから預かっている剣が光輝くっ!!

海斬破(カイザンハ)ッ!!」

 天十握剣(アメノトツカノツルギ)が水しぶきをあげ、12体の水龍が隕石を切り裂いていく!!

 コホォォォォォォォォォ!!!!

 ザシュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!

「ハァハァハァ……」

 直撃しそうな巨大隕石アンコロモチは結界に当たる前に消していく。

 しかし、僕の体もそろそろ限界に来ていた。

「いつまで、続くんだ……はぁはぁ」

 目の前がふらふらとし、地面にひざを着く。と、その時だった。

「国王様!」

「ご主人様!」

「だ、大丈夫だ……少し疲れ――!?」

 パリパリパリパリ……聞いたことない違和感のある音が聞こえる。

 パッキィィィィィィィィィン!!

「なにぃぃぃぃっっ!!?」

 大結界を張る為、祭壇に供えていた天之叢雲(アメノムラクモ)が粉々に砕け散り、大結界が薄くなっていく。

「くっ!!もうすぐじゃと言うのに!」

 3日間……これを乗り切れば隕石は収まると読んでいたアリス。修復したとは言え、一度は折れてしまっている天之叢雲。まさかこの状態で砕けるとは思ってもいなかった。

 ゴゴゴゴゴゴ……!

 グラグラグラグラッ!!

 地鳴りがし始め突如地震まで起きる!

 とても立ってはいられない!全員地面に倒れ込み、地震が収まるのを待つ……。


 ゴゴゴゴゴゴ……。

「地震、雷、火事、親父ってか……?皆、大丈夫か!」

「はい……何とか」

 その時だった。

 ゴンッ……!と、にぶい音が後ろで聞こえた。結界の亀裂から落ちて来たのだろう。

 振り返るとこぶし程度の隕石が転がっている……その隕石はアリスの頭を直撃していた。

 頭から出血し、白目を向き仰向けのまま動かないアリス。

「嘘だろ……おいっ!アリスッ!救護班を呼べっ!!完全回復(エクスヒーリング)!!」

 見る見る傷は塞がっていく!

「アリス!おいっ!!アリス!!しっかりし――」

 返事がない……。

「動かさないでっ!脈はあります!!すぐに病室へ――!」

「ア……アリス?」

 と、アリスが……急に起き上がる。

 しかし様子がおかしい。意識が無い……まるで操り人形の様に立ち上がる。

 そして徐々に黒い髪の毛がまっ白になり……目は見開き……悪魔のような姿に変わっていく……!

「ア……アリス?なのか?」

「ねぇさん……まさかっ!?終わらせるつもりなのか!ねぇさん!しっかりしろ!自我を失ってはいか――!」

 いつの間にか月子がアリスの前に立って叫んでいた。そしてアリスが一言呟いた……。










『――世界の終末日(エンド・ヴァースト)――』











 次の瞬間!!大結界が壊れ、空から巨大な足が現れる!!

 ズドォォォォォォォォォン!!

 パラパラパラ……!

「月子っ!!アリスはっ!!」

「……ハルト。見よ、あれがねぇさんの本来の姿じゃ。ねぇさんはこの世界を終わらせる事が神に与えられた使命。自我を失い、全てを無に返そうとしているのじゃ」

「そ、そんな……馬鹿な……そんな馬鹿な事があってたまるかっ!きりんっ!僕をアリスの所へっ――!!」

 パァァァァァァァァン!!

 プリンが僕を思いっきりビンタした。

「落ち着きなさい、バカハルト。以前にもねぇさまは我を失い、巨神化し、そしてすべてを破壊したわ……これが自然の定めなの。誰も止める事は出来ないのよ。これがこの世界の未来なのだから――」

「でも!でも!アリスを止めないとっ!!このままではみんな死んで……しま……!!」

 涙が流れ出て、声が詰まる。

 隕石はことごとく、巨神化したアリスの体に当たり落ちていく。

 コリータ城もその欠片が当たり、城壁が破壊され町のいたるところで火の手が上がり、町中で悲鳴が聞こえてくる。

「ねぇさんは……ハルトの為にこの世界を救おうとしていたのですわ。しかし本来はこの世界を終わらせるのが使命……終わりをもたらすのがねぇさんの本当の役目なのだと理解しなさい」

 巨神化したアリスの足がコリータ城に迫る。城ごと踏み潰すつもりなんだろう……。

「アリス……もう……やめてくれ……!」

(あぁ……なんだ……これ……最後の最後にこれはないだろう)

「もう……やめろぉぉぉぉぉぉっっ!!」

 僕は力いっぱい声を張り上げるがアリスは止まらない。

「きりん、行くぞ……」

 覚悟を決めた。

「……はい。ご主人様」

 アリスの事は大好きだ。小さい頃からずっと一緒にいた気がする。

「もうやめなさいっ!ハルト!!きりんも、やめさせなさい!」

「プリン様すみません。私は……ご主人様にお仕えする神獣です。最後までご主人様の為に……!」

 プリンが僕の腕を掴もうとするが、それを振り払う。

(あの時、交通事故で死んだ僕をアリスが生かしてくれた……)

「もう手遅れじゃ。世界は一度リセットされる……」

 月子が悲しい顔をし、アリスを見上げる。

(この世界でもアリスがいつも横にいて、笑顔で答えてくれた……)

「あなたも死に急ぐのね……」

 セリが他の誰かと僕を重ね、祈るように空を見上げた。

(今までありがとう。アリス……)

 僕ときりんはコリータ上空まで急上昇し、巨神化したアリスの目の前で止まる。

「ご主人様。これがアリス様の本当のお姿……」

 きりんがポツリとつぶやく……。

 アリスのその姿は、まるで魔物でも見ているようなおぞましい姿だった。いつも僕の横でニコニコ笑うアリスの欠片も無い。

 もしこのままコリータ、いや大陸中を踏み荒らしたらアリスこそ魔王と呼ばれることだろう。いや、その時には全ての生き物が死滅しているのか。

 ……アリス自身が誰より、この大陸を愛し大切にしてきたのに。アリスとの思い出が蘇り、涙が流れる。

(……アリス1人では行かせない。僕も一緒に行く)

「魔法剣っ!!」

(最後はこのアリスにあげたこの剣で……)

神々之黄昏(ラグナロク)!!」

 黒いまがまがしい闘気を帯びた魔法剣が、にぶい光を放つ。

「ご主人様!行きます!」

「きりんっ!頼む!」

 アリスがきりんめがけて拳を振り下ろす!きりんが空を蹴り拳を間一髪でかわすと、アリスの懐へと潜り込んだ!

 僕は魔法剣をアリスに向け、力の限りの魔力を注ぎ込む……。

 そして……。




「さようなら……アリス……」




 ザシュュュュュュュュュュュュ!!

 何とも言えない感触が手に伝わる。


 僕が突き刺した剣は……


 大好きな……大好きな……


 アリスの胸を貫いた……!


 パキッッッッン!!

 同時に僕の胸にあった宝石が砕け散る!

「がはっ!!」

「ご主人様っ!!地上へ戻ります!」

 吐血する僕……アリスと僕は一心同体。そしてアリスが死ねば、複製体の僕もそしてプリンも死に、もう蘇る事はないだろう。

 ――その覚悟が……いや、もういい。全てが終わったのだ。


………

……


◆◇◆◇◆


 巨神化したアリスの姿はもう見えない。意識が朦朧とする中、きりんが僕をガッコウの屋上へと降ろしてくれる。

 屋上に倒れているプリンの横に、僕も横たわる。

 アリスも……胸から血を流し倒れていた。

『わしと世界だったら、どっちを取る?』

『何を言ってるんだ。アリスに決まってるだろう』

 ふいに、アリスが言ったあの時言った言葉が頭を巡った。

 ごめ……ん!アリスごめん!!

 僕は嘘をついた!

 世界を……皆の命を選んでしまった!

「アリ……ス……」

「ねぇさ……ま……」

 僕とプリンは最後の力を振りしぼりアリスの手をにぎる。

「はぁはぁ……なんじゃお前ら……その顔は……?見てみよ。世界の崩壊は止まったのじゃ……」

 アリスが指差す空には青空が広がっていた。

「アリス……ごめん。君を守れなかった……」

「かはっ!……はぁはぁ……ハルト……ようやった……」

 アリスはこの未来が……僕がアリスを止める未来が見えていたのかもしれない。

 そして月子がアリスの頭元に立つ。

「ねぇさん、ゆっくり休め。ねぇさんの頼みはきちんとこなしておく」

「うむ……頼んだぞ、月子。はぁはぁ……ハルトよ。わしはもうすぐ逝く。じゃが忘れるな。わしはいつでも主の側におる……。泣くな……バカモ……ノ……」

「えぐっ……ぐっ……」

 もう声が出なかった……苦しさと悲しみで……!

「ふぅ……ハルト、プリン。最後にお主らの魔力を全てわしに捧げよ……」

 アリスの手を僕とプリンがにぎる。

「ふぅ……みな、ありがとう。こんな楽しかった世界は初めてじゃった。最後に……わしの……命と引き替えに……はぁはぁ……さらばじゃ――」

「アリス様っ!」

「アリス様!!」

















THE完全複製ザ・パーフェクトコピー――』












 そうアリスが言うと、アリスの体が光り輝き散り散りに砕けていき……まるで夏の夜の蛍のように、それは空へと昇っていく。

「ア……リ……ス……」

 同時に僕も意識が薄れていった……。


 これで……良かったんだ。


 これで……。


「いやにゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

「ご主人様ぁぁぁぁ!!いやぁぁぁぁぁ!」

「うぅぅ……!」

「な、なんで、こんな事にっ!?」

「だれか……嘘だと言って……!」

 魔法球で僕とアリス、プリンの消えゆく最後の姿が全大陸に映されていた。

「くっそ!私はコリータへ行く!!旦那様のバカがっっ!!死なぬと約束したではないか!くっそ!!」

「レディ様!お待ち下さい!私達も行きます!」

「もう!いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

「おにぃちゃん!!いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

「そ、そんな……ウソでしょ……」

「だれか!!だれか!国王様を助け……!!うぅ……!」

 この日、大陸中の仲間達が僕らの為に泣いた……。

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