涙の故郷
星が揺れていた
風も雲もない夜の
しずかな道の上
伸ばした手は
空を掴み
すり抜けていく明かり
手のひらの熱を
ひとり握り締め
見上げた
上手く描けない明日と
今へと至る遠い輝き
いくつもの
さよならを流して
消えゆく尾の
最後のひとすじまで
手を振るように
見届けていた
瞳の中に
おさめた夜空
堪えるほどに
増えていく光
星を揺らしていた
せり上がる
あつい涙の縁で
こぼれ落ちれば
砕け散る
星屑から生まれてきた
この込み上げるばかりの
寂しささえも──