表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

異世界恋愛もの(わりとシリアス系)あれこれ

私に迫ってくる元護衛はどうやら天才だったらしい

第4回下野紘・巽悠衣子の小説家になろうラジオ大賞応募作品です。テーマは「天才」。


拙作「ひまわり畑の初恋の君」(https://ncode.syosetu.com/n8577hy/)

と、「ポーカーフェイスの想い人」(https://ncode.syosetu.com/n9364hy/)

の続編ですが、本作だけでも読めるようにしている……筈です。

 初恋の相手(と言っても、人違いと最近知った)が他の人と婚約し、その披露パーティーに招待された私。

 当然エスコートの相手も無く、他の令嬢達にヒソヒソされる惨めな姿を晒す予定だったわ。


 それが当日になって私をエスコートしたいと言う人が現れた。

 彼はフローレンティン。つい先日まで女装して私の護衛を勤めた、本当の初恋の相手。


 平民で身分差があると思ったら、なんと彼は王宮に武官として就職していた。

 そしてパーティーで彼は私と見事なダンスを踊ったの。


「この為に徹夜で特訓しました」


 微笑むフロー。えっ、一夜漬けで身に付けたの? 天才じゃない?

 彼の美貌とダンスの腕前に頬を染めて近寄る令嬢もいたけれど、彼は手袋をはめた私の手にキスをしてこう言った。


「私はずっとマリエ様だけのものです」


 もうね。私だけじゃなく、それを見た令嬢達も真っ赤になったわよ。なんなのフローって。人を恥ずかしがらせる天才よ。





 それから暫くして、王宮の剣術大会があったようなの。彼はどうやら剣の天才だったらしい。初参加で四位に入ったそう。


「ご褒美を下さい!」


 彼は私の髪にキスをした。また恥ずかしくなったわ。





 また暫くして今度は事件が起きた。王女様が慰問中に不届者(ふとどきもの)に狙われたのだとか。それを女装していたフローが防いだのですって。

 彼は騎士の称号を獲たの。


「ご褒美を下さい……」


 彼が私の隣に座る。私の指に彼の指が絡み、そのまま口許に引き上げて、今度は素手にキスをされた。私を熱く見つめながら。

 なんなのフローって。実は女遊びの天才とかじゃないでしょうね。





 父が又聞した噂によると、男の世界にも嫉妬はあるそうよ。

 平民だったのに異例の出世をしたフローは妬まれる存在なのですって。嫌ね。

 だけど私は知っている。彼の剣の腕は努力の賜物だと。今回も努力して乗り越えたそう。


「どうやったの? 人たらしの天才さん」


 私が半ば揶揄(からか)うと、彼は微笑んだ。


「本当の事を話しただけですよ。まあ少々根回しに時間を要しましたが」


 根回し? 男の世界では(はかりごと)も有ると言うわね。





 あるお茶会に出席したら私を見てヒソヒソする人達がいた。何の噂かしらと不快に思っていたら、とんでもない事を言われたの。


「マリエ様の為だけにフローレンティン様は出世に励み、遂に伯爵家の養子になったんでしょう? 愛の力は偉大ね」


 なんですって!?


「一途な恋物語として噂の的よ」


 根回しの意味を知った私は、外堀を埋める天才でもあった彼に遂に陥落した。

お読み頂き、ありがとうございました!

まさかの三部作になりましたが、お嬢様とフローレンティンのお話はこれでおしまいです。


↓のランキングタグスペース(広告の更に下)にこの話の前日譚や、「5分前後でサクッと読めるやつシリーズ」のリンクバナーを置いています。もしよろしければそちらもよろしくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この話の前日譚は↓こちら↓です。
ひまわり畑の初恋の君
ポーカーフェイスの想い人

他の短めな短編もよろしくお願いいたします! ↓のバナーからシリーズに飛べます!
5分前後でサクッと読めるやつ あれこれ
(バナーは楠木結衣様からのご厚意で頂きました♪)
― 新着の感想 ―
[良い点] これまで秘めておさえていた恋慕が、もう隠すことはないとめっちゃくちゃ情熱的に、そしてその思いだけで突っ走るのではなく、しっかりと実績を積み重ねていったんですね~。 これほどまでお互いがお互…
[良い点] マリエ様の為だけにフローレンティン様は出世に励みとありますが素晴らしいです。 一途に努力したんですね。
[一言] 完全に逃げ場がなくなりましたね(だいかんき ここまで徹底して傍にいてくれる相手って、あるいみ最高のパートナーかもしれませんね。 ハッピーエンド! ってやつなのかな?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ