35:戦うしかない
「お主らでは無理じゃ。いくら多量の力を寄せ集めても、命をなくすだけ。無駄というもの… 」
こういう『神様ですから、全部わかってます』みたいな傲慢なところ……かなりムカつく。
「そんなふうに決めつけないでほしいなー 」
嫌味たらしく言ってやった。
魔王を倒すための秘策くらいある。
そりゃ、リスクは高い……ってか、僕は死んじゃうけどさ。
魔王さえ倒せれば死ぬことなんて苦じゃない。
寧ろ僕一人の命で済むのだから、安上がりなもんだ。
すると、少し怒ったかのようにカオスが僕たちの方を改めて見た。
「分かっておらんようだから言っておくが、ルシファーはお前らと戦うために来るのではない。葉月を取り戻すためにここに来るのじゃ 」
「それなら尚更、戦うしかない 」
ファイのこの一言。もちろん僕も、
「同感 」
…すると一気に辺りの空気が重たくなった。
ずっしりと乗りかかってくるそれは、まるで僕らを地面に押さえつけているかのようにじりじりと重さを増す。
その中で軽々とこちらに歩み寄るカオスからは、冷たい何かが感じられた。
「この阿呆が、葉月をルシファーに渡さんとまた世界の半分…いや、今度はすべてが滅ぶやもしれんのだぞ! 」
この重さを何とかしようと考えに耽っていた僕の代わりにファイが答えた。
「…っく、それは、どういうことだ? 」
カオスは目を見開いて、一瞬身動きを止めた。
…先ほどの傲慢な態度とは打って変わって、ファイが言った言葉にかなり驚いた様子だ。
分からない。
いったい何故そこまで驚くのかが……。
こりゃあ、…裏がありそうだ。
「お主らは知らぬのか! 世界の半分を灰にしたのがルシファーであることを 」
またも急に怒鳴りだしたカオス。
「知……てるよ、それぐ…らい 」
神さまでも野暮なことを聞くもんだね…。
この世界でそのことを知らないものは誰一人としていないのに。
「そこ……で、何故…葉月が出て…くるんだ! 」
重さが増している中で答えたファイの言葉に、カオスの何か(我慢の線)が切れたようだった。
「貴様ら…疎い。 何も知らんと、葉月に近づいたんか…。ならばその真実、お前らにくれてやるわ! 」
そう言い放ったカオスの手から瞬時に放たれた光の中に、僕らは取り込まれていった…
次回からは、ルシファーと葉月の過去のお話です。




