表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/36

scene15 二人の夜はまだまだこれから? 1/2

 僕はしどろもどろで山本さんの部屋を後にする。


「そ、そういうわけで、おやすみなさい。また明日の朝に」


 そそくさと縁側の方に出ていく。


「ゆーとさん、おやすみなさい」


 背中に山本さんの声を受け、振り返る。

 にっこりと微笑みを返してくれる山本さん。


 見透かされているとは思わないけど、何もやましいことはないけど、なんとなく慌てて障子を閉じた。


 縁側へ出るけど雨戸は閉めず、ガラス戸だけ風が通る程度に閉める。

 居間へ戻りの扇風機と電灯の電気を消す。

 台所に行って火の元をチェック。

 玄関の鍵を掛ける。


 そして自分部屋に戻り、布団を敷き、電気を消して横になる。

 縁側と部屋の間にある障子から、藍色の薄明るい光が透けている。


 いつもの流れを終えるとだいぶ落ち着いた。


 それにしても、今日は盛りだくさんの一日だった。

 知らない女の子が訪ねて来て。

 でも祖母の知り合いらしくて。

 どういう訳か一緒に住むことになって。


 ふぅ。


 大丈夫、大丈夫。

 親戚みたいなものなんだし。

 なんてったって、祖母の知り合いなんだから。


 ……しかも、その女の子が、とびきりの美少女で。


 いやいやいや。

 大丈夫、大丈夫。

 親戚みたいなものなんだってば。


 ……しかし、いい匂いがしたな……。


 まてまてまて。


 美少女と同居と言っても幸運と捉えるな。

 そんなところで運を使うわけにはいかない。

 むしろ急に押しかけられたんだから、本来はアンラッキーなはずだ。


 うん、そうだ。

 ふむ。

 そう……だ。

 そう、これは人助けだ。

 住むところがないまま日本の高校に通うことになったんだから。

 しかも、祖母の知人を助けないわけにはいかないし。


 むしろ運貯金が貯まるはずだ。


 もやもやと考えつつ、暗い天井を見る。


 汗ばんでいる自分に気づき、部屋の扇風機のスイッチを入れ忘れたことに思い当たる

 もそもそと扇風機へ近づき、スイッチを入れる。

 同時に、山本さんに使い方を教えてなかった事に気づく。


 ……とはいえ、今からは山本さんの部屋に行けないしなあ。


 少しの不安と少しの罪悪感がブレンドされた感情を抱えてしまう。

 すぐに山本さんの寝姿を思い浮かべそうになったので、慌てて明日の不備がないか考える。

 もちろん、宿題はいつも通りの平均点仕上げなので大丈夫だし。

 他にも考えてみる。

 だけど、始業式だけなので特別な準備なども思いつかない。


 思考はふらふらと学校を離れる。


 山本さん、祖母とはどういう関係なんだろう?

 山本さん、なんで一人で日本に来たんだろう?

 山本さん、かわいかったな。


 ……おっと。







 明日から二学期が始まるのに、なかなか寝られない夜です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ