生活水準向上計画・下
今日もギリギリで先程書き終わりました……
(ゲームのイベントが)忙しいせいだ
殆んどサブタイ詐欺になったかもです
すいません
ルークは高台から下ろしてもらうとゴーレムの方に近づいた。
「ゴーレムに興味があるのか?」
「うーん?」
あるかないかと言われると正直言ってない。ゴーレムに関しての知識は既にあるし、素材さえあれば作れるだろう。
ルークはゴーレムの作業内容に興味があった。少しだけ見た目の方にも興味はあったが。
「なにしてる?」
ゴーレムが何の作業をしているのかアルベルトに聞くとアルベルトは得意になって、
「今は除草とか虫の駆除やらしてるが、種植えから収穫まで何でもこなせるんだぞ!」
つまり万能農業マシンならしい。魔法という物がある以上予想はしていたが、農業に関しては下手したら日本より発展しているかもしれない。
ルークは次に土を触った。
「うーん……」
転生前は農家で働いていたわけではないので、土の状態の良し悪しは写真でしか見たことがなかった。触っただけでわかるようなプロフェッショナルではないのだ。
叡智の権能に詰まっているのはこの世界の知識であり、もと世界の知識はルークの頭の中にしかない。
やはり土を触った程度ではわからないのだった。
ルークが土で遊んでるように見えたのかアルベルトが近づいてきて、
「土に興味でもあるのか?」
と聞かれた。興味はない。
「えいよう」
とだけ答えた。土の中に栄養が入っているかということだ。腐葉土や肥料を使えれば理想的である。
さすがに肥料はこの世界にはないと思うが。
「土は常に土の精霊がいい状態にしていてくれるんだ。だから栄養がなくなるってことはないぞ」
ルークの簡潔な言葉にアルベルトが解説した。
精霊のお陰で土地が痩せることはないのか。さすがファンタジー世界だ。
ルークは畑の所々に浮かんでいる色とりどりの光を見た。多分この光が精霊なんだと思う。
主に浮かんでいる色は青、茶色の二色だ。
「あの光がせーれい?」
浮かんでる光を指差してアルベルトに聞いた。さすがに二歳では滑舌があまりよくない。要訓練である。
「なっ!?ルークは精霊が見えるのか!?」
アルベルトは驚き声を荒げるとルークの肩を掴んで問いただす。力がこもっているのか少し痛い。それくらい興奮しているようだった。
ルークは内心後悔しながらも、光について説明した。
「あおいろと、ちゃいろの光がとんでる」
自分でも頑張った方だと思う。長く話せないなかで、簡潔かつ、わかるように言えた気がする。
「茶色は土精だとして、青色は水精か……」
アルベルトがぶつぶつと考え事を始めたので、今のうちとルークは精霊について検索した。
精霊
・恩恵をあたえる存在で意志を持つ自然
・主に火、水、土、風、光、闇、命の七属性が存在する(ごく稀に七属性以外の精霊も存在する)
・普通は見えない(一部の天職は視認が可能)
・見えなくても感じることは可能(一部の天職のみ)
・精霊魔法に使われる
属性によってあたえる恩恵が違うらしく、土精なら土壌を良くしたり、戦闘では防御の恩恵を与えたりすることができるらしい。
そして自然には必ず精霊が存在するそうだ。精霊がいないと自然現象はおきないらしい。
ルークは自分が何故見えるのか気になったので自分の天職である吟遊詩人を検索する。
吟遊詩人
・旅をしながら歌を歌ったり、楽器を演奏したりして金を稼ぐ職業
・他の天職に比べて力がない
・戦闘では精霊魔法が使用できる
・精霊が視認、使役可能
・歌や演奏に魔力をこめることが可能で、こめることによりあらゆる事象を起こすことができる
・事象が起こるかどうかは運に依存
ただ単に歌織が歌とか好きだったからという理由だけで選んだ天職がかなり有能天職だったようだ。特に最後の『事象が起こるかどうかは運に依存』この一文でルークにピッタリの天職であるということがわかる。
ではどんな事象が起こるのだろうか?
吟遊詩人が起こす事象
・聞いた生物の精神に干渉する
音楽を操る天職なだけあって、やはり精神干渉系ならしい。音楽を聴いてるとテンションが上がったり、逆に悲しくなったりするからな。多分そういうことだろう。
ルークが考え事をしているとたくさんの光がルークの方に近づいてきた。
光というのは勿論精霊のことだ。
(あなたからいい空気を感じる)
不意にそんな声が聞こえた気がしてルークは顔を上げた。だが周りにいる人というと難しい顔で考え事をしている父親くらいだ。顔が怖いのは言わないでおこう。
気のせいだと思い再び考え事を始めようとすると、
(私たちが見えてるんでしょ?)
(この人に近づくと心が落ち着く~)
(ふわぁ~)
ルークはもう一度周りを見渡した。そして気づく。自分が沢山の精霊に囲まれていることに。
この声が精霊のものだということだ。
(不思議そうな顔をしてるわね)
精霊に話しかけられるとは思ってもみなかった。どうせならコミュニケーションがとりたい。
ルークがそう考えていると、何でもお見通しかのように
(頭の中で念じれば私たちと会話できるわよ)
やり方を教えてくれた。念じるというのが理解できないので相手に受信するイメージで伝えようと試みる。
(こ、こうか?)
(そう。それにしてもあなたの精神は年齢よりも大人びているのね)
そう言ってクスッと笑われた。精霊とはよっぽど頭がいいのだろうか?
まあ精霊と会話できる人なんて少ないと思うので別に隠すつもりはない。
(いろいろ事情があってな)
(ふーん……まあ別にどうでもいいわ)
どうでもいいのかよっ!ってツッコミを入れたのは精霊には秘密だ。精霊というのはかなり気まぐれならしい。
(そんなことよりもあなた吟遊詩人よね?)
(なんでそう思ったんだ?)
素直に「はい」とは答えない。精霊がどんな存在なのか知りたいからだ。精霊のことに関して先程以上の情報が出てこなかったのだ。
感情面の情報は叡智の権能ではでないので、そのあたりの問題なのではないかと思っている。
(あなたの近くにいると落ち着くのよ。それは吟遊詩人の特徴なの)
(確かに俺の天職は吟遊詩人だけど)
なんかフェロモンでも出ているのだろうか?自分の匂いを嗅いでみてもよくわからなかった。当たり前か。
(やっぱりね!)
(わーい!)
(ふわぁ~)
話していた精霊以外にも嬉しかったのか喜びの声が聞こえる。一人……一匹?ずっと寝てるやつがいるのは間違いないだろう。
(それならこれから毎日ここに来なさい)
(毎日は無理だ)
ルークにも都合というものがある。多分……
精霊は少し考えたあと、提案するように
(来てくれたら収穫量が増えるように頑張ることを約束するわ)
と言った。痛いところをついてくるものだ。
確かに家が潤うのは嬉しいところであるが、それだけで毎日を制限されるのもな……
(お昼までで、さらに隣のアルドーナ家にもそれをしてくれるなら)
(契約成立ね!)
そう言うと精霊たちの輝きは先程よりも増した。
(じゃあ明日からよろしくね)
そう言って畑の方に戻っていった。
次回、ついに歌織ちゃん生まれます!
お待たせいたしました!
自分としてもやっと兄妹いちゃいちゃものが書けるという事で楽しみであります!