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僕らのフェアリーテイル  作者: 水輝希愛
序章 契約
8/8

呼び出し

更新です。前書きで書くことがなくなりました。

ルカちゃんの出番をもっと増やしたい。



校舎裏の森の奥。『いつも』の場所まで僕は連れてこられた。

校舎から離れており特に何もないのでここに来る人間は僕ら以外におらず、

どれだけの大声を出したとしても木々のざわめく音や鳥の鳴く声にかき消されてしまい校舎までは届かない。


先頭を歩いていた人物が突然止まったかと思ったらいきなり僕の腹部を殴ってきた。


「お前さぁ。俺らのこと誰かにチクりやがったな?」


おそらく今日の全校集会で校長が話したことでそう思ったのだろうが生憎と僕はまったくそんなことをしていない。

だが、彼らにそんなことを言っても無駄なのだろう。結局ストレスが発散されるまで僕は殴り続けられるのだから。

ならこのまま殴られていたほうがまだ早く済ませられるだろう。


―――本当にそれでいいのだろうか。

今までの僕ならこんな考えも浮かばなかっただろう。

だが今は違う。あの子は僕を誇りと言ってくれたのだから。

なら僕は彼女が誇りと思えるような人物に少しでも近づけるように努力するべきなんだ。


「なんか言えやオラぁ!」


彼が大きく振りかぶり僕の顔へ拳を振るう。

それを僕は首を少し傾けることによって回避した。


「!?テメェ…」


彼らにとって、僕にとって初めての反抗だ。殴られるままだと思ってた彼らは多少なりとも驚いただろう。目を丸くさせている取り巻きをみると多少なりとも気持ちがいい気分になった。


「僕は何もしていない。」


僕ははっきりと。確実に彼らの耳まで届く大きさで。僕はそういった。


「は!?そんなわけねぇだろうが!朝の校長の話。ありゃまぎれもなくてめぇのことだろうが!」

「何度でも言うよ。僕は何もしていない。」


話ながら彼は何度も僕を殴りつけてくるがそれらの全てを捌く。避けれるものは避け、どうしても避けれなさそうなものは腕をつかって逸らす。


彼の体力が尽きて殴打の嵐が止んだところで僕はもう一度いう。


「僕は何もしていない。」

「………殺す。」


怒りからくるものなのか疲労からくるものなのかわからないが彼は顔を真っ赤にしながらそう言い、僕から距離を取った。

魔法を打つつもりだろう。一矢報いるために少しでも反抗の意志を示してみたけど魔法はどうすることもできない。


「風よ貫け ウィンドアロー」


名前の通り風を矢の形状にし対象へ放つ汎階魔法だ。

彼は魔法の実力は高い。それをわかりやすく示しているのが詠唱破棄。

本来のウィンドアローの詠唱は 風を纏いて 敵を貫け である。

だがそれの一部を省略することによって魔法発動までの時間を少なくする技術である。

その魔法を深く理解しなければできない技術であるため、この学園の生徒でもできる人物はごく一握りだろう。


襲ってくる痛みに備えて目を閉じ歯を食いしばる。昼間にした模擬戦闘の時に飛び込んだフレアハウルも汎用魔法であるが、

あれは広範囲を攻撃するための魔法なので威力はそれほどはない。だが、この魔法は貫くというその一点に特化している

故にもし急所に当たってしまえば最悪絶命することもあるだろう。


またアルバ先生に怒られてしまいそうだなぁ

そんなことを考えながら目を閉じているがいつまで経っても痛みはやってこない。

恐る恐る目を開くと目の前には土でできた壁があり、そこにウィンドアローが突き刺さっていた。


「おーい、お前ら何やってんだ。」


覚えがある声が聞こえた。校舎のほうから一人の男性がやってくる。

そこにいるのは紛れもなく僕らの新しい担任。ノックス先生だった。


「…なんであんたがこんな場所にいるんだよ。」


そう呟いたのは魔法を僕に向けて発動させた本人だ。

顔色から今の状況が彼らにとってマズイということがよくわかる。


「いやぁうちのクラスの奴が仲良さそうにどっか行くもんでな?試しに着いて行ってみたら楽しそうなことをしてたんで俺も混ぜてもらおうと思ってなぁ?」


これを聞いた彼は顔色を途端に変えこう言った。


「なんだよ…驚かせやがって。あんたもこっち側だったのかよ。」


にやりと笑いながら話を続ける。


「先生様ならお手本を見せてくれよ!俺じゃあ手加減できずに殺しちゃいそうなんだよ。」


一瞬助けに来てくれたのかと思ったが違ったらしい。

それもそうだ。魔盲を助けるような者好きはめったにいないんだから。


「あぁいいぜ。風よ貫けウィンドアロー」


そういってノックスは魔法を発動させた。















彼らに向けて。


「おい。一体なんのつもりだ。」


いまにも殴りかかってきそうな形相でノックスに向けてそう言った。

また顔を少し赤くし、こめかみには血管が浮かび上がっている。


「いやだから、楽しそうなことをしてたから俺もやってみただけだぞ。」


そういって彼はまたもや魔法を放つ。


「まぁお遊びはここまでということで。いやぁ流石に大貴族様のご子息には下手なことできねぇからなぁ。泳がせてみたらまぁビンゴ。

朝の校長の話があってその日に事を起こすとは思ってなかったけどなぁ。」


ケラケラ笑いながらノックス先生はそういった。

一体何を考えているんだ…この人は。


「さてアリシューザにしてたことに合わせて魔法発動無許可区域での魔法使用。さらに言質までとったわけだ。

いくら大貴族が親だとしても学園としても無視はできない。少なくとも退学には持っていけるだろうなぁ。」


「…覚えておけよ。ノックス。それにアストラル=アリシューザ。」


これ以上墓穴を掘らないように今はここから立ち去ることを彼らは選んだようだ。


「あ~疲れたぁ。ほれほれお前もさっさと帰れ~」

「えっと、はい。ありがとうございます。」

「おう。」


そういってノックス先生はさっさと校舎のほうへと向かっていった。


「なんか今日はすごく疲れた。帰ろう。」


とりあえず帰ろう。

この森を出て校門へと向かう。


「あっ、鞄忘れてた。」

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