神風
リア友に感想をもらいました。その中身がどうあれやっぱり感想をもらえるというのは嬉しいですね!
やっぱり感想をもらえるというのは嬉しいですね!!!!!!!!!う れ し い で す ね
そのまま雑談しながら歩き、しばらく経つと愛すべき我が家がに着いた。
友人と呼べる友人もおらず、外にでる用事も無かったので必然的に家で何かをすることが多くなった。
だから僕にとって我が家は唯一の安息の地と言っても過言ではない。
…今日だけはゆっくりできそうにないけども。
「へ~。ここがアス君のおうちかぁ。一人暮らしだと思えないほどおっきぃね。」
ルカが物珍しそうに家を眺めながら話す。
「うん。さっきも言った通り両親が残してくれた家だからね。」
歩いてる最中の話題で僕の家庭の話が出てきたため、既にルカは僕の両親が亡くなっていることを知っている。
両親のことなど今まで誰かに話したことなどなかったが、引け目に思うことでもないので両親のことを話すのに戸惑いはない。
むしろ国家魔術師として戦い続けた両親を僕は誇りに思っている。
鍵を開け、扉を開けると真っ先に視界に入ってくるのは幼い僕を抱きかかえる両親の写真だ。
家に帰ってすぐに挨拶をできるように玄関に飾っている。
「ただいま。母さん。父さん。」
「…アス君はご両親のことが大好きなんだね。」
「余り記憶はないけどね。でも、それでも愛情を持って育てられたってことはわかってるから」
「そっか…」
そこから廊下を抜け、リビングへと進み台所に買ってきた食材を置く。
いつもと違い二人分の食材が並ぶのはなんだか新鮮に感じた。
「いま準備するからソファに座って待っててね。」
「はーい」
待たせてる以上余り時間がかかる物は出せないので、作り慣れている野菜の炒め物にすることにした。
そうと決まればやることは決まってるので、後は単純な作業だ。
テキパキと料理を進めていくこと20分。後は盛り付けをするとこまで来たのでいつもに日課をすることにした。
待っているルカには申し訳ないが、こればっかりは自分の中で譲れない物である。
「クンクン。いい匂いがする!ご飯できた!?」
「うん出来たよ。ただちょっとやることがあるからもう少しだけ待っててもらっていいかな?
食事ができた匂いに反応し、ルカがソファから台所までやってきた。
そこで僕は初めてルカがローブを脱いでいることに気づいた。
ローブの下には純白のワンピースを着ており、それが一段と彼女の愛らしさを引き立てているようにも思えた。
思わず彼女のことをまじまじと見てしまうと、
「…えっと、アス君?そんな見つめられちゃうとすこし照れちゃうかな。」
頬をほんのりと赤く染めたルカがそう言ってきた。
いけないいけない。無意識に凝視してしまっていたようだ。
「あっ、うんごめん。」
「許して進ぜよう!」
「ははぁーありがたき幸せでございます。お姫様。」
「うむ。くるしゅうない。」
こんな感じで遊びながら木刀と鞘に収まった刀をもって庭にでる。
刀はあまり使い手がおらず流通もしてないが、写真に写っている父が刀を持っているのと、家に刀があるのを見つけたので僕も刀を愛用している。
「ところでアス君。いまからすることはボクも見てていいかな?」
「う~ん、いいけど。あまり面白い物ではないよ?」
いつもの筋力トレーニングを始める。そして直後に剣の練習を始める。
今日はいつもよりも調子がいいらしく、体がスムーズに動いてくれる。
そのまま暫く剣術の練習をしているとふいにルカが話しかけてきた。
「……ねぇアス君。キミって誰か師匠とかいたりするの?」
「え、いや完全な独学だよ。剣を教えてくれる人に心当たりもないしね。見てもつまらないって言ったでしょう。」
「キミの技術が拙いって意味で師匠の有無を聞いたわけじゃないよ。むしろその逆。ボクはキミ以上に剣術を使える人を知らない。」
「ハハッ。お世辞でもうれしいよありがと。」
「お世辞じゃないんだけどなぁ。まぁいっか!」
王宮の兵士たちはみんな剣を持っているし剣術の訓練もしていると聞くし。
僕以上に剣術を使える人なんてたくさんいるだろう。
そして練習の締めに自分がもっとも時間をかけて磨き上げた技を行う。
何よりも、誰よりも速く。ただそれだけを極めるためにアストラルはこの技を編み出した。
用意した刀を鞘に収まった状態のまま腰の横あたりまで持っていく。
左足を後ろに下げ、重心を落とす。そして顔が後ろを向くほどにまで腰を捻る。
その状態から一気に左足で地面を蹴り、同時に腰の捻りをもとに戻す。
地面を蹴る力と捻りの力に抗わず、その流れのまま鞘から刀を振り切る。
「神風。」
最後まで終わりその名前をつぶやいた直後、その刀の軌道をなぞるかのように一陣の風が吹く。
神ですら気まぐれに吹く風を容易に掴むことができない。そこからこの技の名前を取った。
「ふう、お待たせ。シャワー浴びたらご飯にしよう。」
「う、うん」
(本当にすごいや。空気を切り裂くほどの剣速。そしてそれを埋めるように風が吹く。一体この子はどれ程の努力をしてきたんだろう)
剣術は魔法がある以上この世界ではあまり評価されてはいない。
王宮の兵士でさえ緊急時に魔法が使えない状況下に立たされた保険としてある程度の剣術を訓練しているだけだ。
アストラルの剣術と比べればそれは赤子のおままごとのようなものである。
だがアストラルはそれを知る機会が今まで無かったことにより、王宮の騎士は皆、魔法も剣術もエキスパートだと思っている。
それからシャワーを浴び着替えた後に、作った料理を盛り付け食卓へと運んだ。
ルカが背中を流そうとし、風呂場まで突入してくるというトラブルもあったものの
なんとか説得しリビングで待機してもらうことができた。