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破壊神の息子  作者: 江川 凛
9/30

ゴブリン

 まず、単独行動しているゴブリンが少ない。

 正直初めてゴブリンに挑む俺たちが2匹を同時に相手にできるとは思えなったので、それを探すのに苦労した。


 やっと見つけたと思って襲い掛かったら、動きがすばやい。

 なおかつナイフを持って攻撃してくる。これには心底怖いと思ってしまった。


 俺は剣を持っているが、コボルトたちは基本的に、こん棒だ。

 完全に腰が引けている。

 俺は一度ガスパルにコボルトたちにも剣を支給してくれないか、頼んだことがあるが、「これはバスティア様のものだから、信徒でないものには渡せない」と言われてしまった。


 確かにその通りなので、そう言われると返す言葉がない。

 それにコボルトたちの武器は俺が村長なのだから、俺が何とかすべき問題なのだろう。


 確かに、スライムも攻撃をしてきたが、体全体を使っての攻撃だったし、何といってもそれほど速くなかった。

 やはり、刃物をもっているものと対峙するとそれだけで恐怖心がわいてくる。

 俺の持っているのは剣だから、理屈から言えば、間合い的に圧倒的に有利なはずだ。

 しかし、ゴブリンはすばやい動きで、おれの懐に入って急所を狙ってくる。心臓を貫かれたら、Hpも何もない、それで終わりだ。


 これだけ素早い相手となると、はっきり言って重い剣は邪魔でしかないが、俺にはこれしか武器がない。

 本来なら、指導役はこうしたことを予め俺に指摘しておくべきだと考えるが、どうもガスパルはこういうところが不親切だ。


 俺たちがやることはスライムの時と基本的に何ら変わりはない。四方を囲んで、隙を見て攻撃するだけだ。

 しかし、やはりコボルトたちの腰が引けている。そのためコボルトの牽制がうまく機能しない。

 相手コブリンも攻めてこないとわかってしまえば、1対1と殆ど同じ状態になってしまう。


 かく言う俺も偉そうなことを言っているが、傍からみれば、おそらく大して違いはないであろう。

 ただ、いつまでもそんなことをしているわけにもいかない。誰かがおとりになってゴブリンのナイフを受けて、そこを皆で総攻撃するしか俺たちに勝ち目はない。


 誰がなるかという話だが、やはり俺しかいないだろう。

 しかし、ゴブリンは相変わらず、いっきに俺の懐に入って、急所(心臓)を狙う攻撃をしかけてくる。

 必死でかわす、その瞬間≪『剣術基礎 足さばきLv1』を習得しました≫という声が頭に響く。


 やはり命がけだと習得できるのかとも思ったが、実際「足さばきLv1」を習得して以降は俺の動きが全く違った。

 攻撃は難しいが、かわすだけなら何とかなった。

 俺に攻撃が集中しても、何とかなるとわかると、コボルトたちも攻撃に参加できる。


 三方から攻撃が来るわけで、1つ当たったから即死ということはないが、こん棒で殴られるわけだからそれなりに痛い。

 すれば隙もできるわけで、この期を逃したら俺に勝ち目はないのは明らかだったから、一気に前にでて剣をゴブリンの腹に突き立てる。


 何とも言えない感覚が手に残ってゴブリンは血が噴き出して倒れた。

 散々長い剣の悪口を言ってきたが、この時ばかりは、長い剣で助かったと思った。


 これをナイフでやるとなると、相手に密着しなくてはならないし、返り血がすごいことになって結構きついものがある。

 ≪経験値6を獲得しました≫という声が頭に響く。

 それを聞きながら、通常は経験値は4でスライムの倍かと考えながら、とりあえず終わったので、座り込んで一息つく。


 コボルトたちは大喜びだ。最初その理由は、初めてゴブリンを倒したからだと思っていたが、ゴブリンの死骸を見ている目を見て「肉か」と気が付いた。

 今まではスライムの体液しか食べるものがなかったわけだが、それが肉が食えるとなれば確かに喜ぶのも間違いないだろう。


 コボルトたちが肉を食いたくてたまらなそうにしているし、このままもって帰るのはかなり重いので、「少しなら食べて良いぞ」と許可をだす。


 すると、ロクに血抜もしないで、生のまま食べ始めてのには少し閉口してしまった。

 ただ、食べ始めてから少し経つと、6匹のうち、俺と一緒に攻撃に参加していた3匹だけが急に変な声を出し始めた。


 何が起こったのかとみていると、そいつらの体が一回り大きくなって、体の緑色が濃くなった。

 俺が呆然としていると、ガスパルが脇で「進化か」とつぶやいた。

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