奴隷
スライムを狩り終わったコボルト見ていると、どうも戸惑っているように見える。
おそらくレベルアップをしたと思われる。俺もおそらくこんな感じだったから、ガスパルが「レベルアップをしたのか?」と聞いてきたのだろう。
そういう俺もスライムを狩り続けた結果、レベルは3に上がっていた。
【Lv】 3
【HP】 13/13
【MP】 10/10
【スキル】打撃耐性Lv1 毒耐性Lv2 (剣術基礎 握りLv1)
【称号】 コボルトの村長1
【加護】(破壊神の息子)
もう3回目だから、俺は慣れたものだ。きっと顔には出ていなかったと思う。
そうすると、このコボルトたちは本当に久しぶりにレベルアップしたということがわかる。
そんなことをガスパルと話していると、俺の経験値獲得は補正がかかっているのではないかと言われた。
スライムでは通常経験値は2しか入らないが、俺の場合は3入っている。
もう少し検証してみないと何とも言えないがおそらく1.5倍の経験値を獲得できるようになっているのではないかと思える。
これが加護の効果かと思っていると、ガスパルが「お前は、どんな加護をもらったんだ?」と聞いてきた。
正直俺の場合、他人に知られるとかなり誤解を受けそうな加護なので、「どうして俺が加護をもらったことを知っている?」と警戒しながら、逆に訊ねた。
「前に言った様にバスティア様から『『加護』を与えた者を送る。いつものように鍛えてくれ』という神託があっただけだ。それで、教えてくれ、どんな加護をもらったんだ」と本当に知りたくてたまらないという感じで聞いてくる。
ガスパルが今一信用できなかったと、やはり「破壊神の息子」という名称はあまり人に知られたくなかったので、教えたくないというのが本音だが、面倒ごとを避けるために、「バスティアが教えなかったのなら、教えることはできない」と破壊神を理由に断る。
すると、「だったら仕方がないな」とすんなり引いてくれた。
それより「いつものように」と言われたのが気になって俺以外にもここに送られたのがいるのか聞いてみる。
すると「お前たちは誤解しているかもしれないが、いけにえとしてささげられた奴隷はよほどのことがない限り殺されない」
「バスティア様の前で、このまま死ぬか、世界をひっかきます手伝いをするかと聞かれると、大体皆後者を選び、ここに送られてくる。そして、毒の入った食事を食べ、1割が死んで、5割が怒って出ていく」
「残りも半分以上が逃げ出したり、修行の最中に命を落としたりする。だから生き残れるのはせいぜいが1~2割といったところか。だが、お前のように『加護』をもらったものは久しぶりに見た」と言ってきた。
「1割が毒で死ぬ!」何をサラッとすごいことを言ってくれるのかと思った。今更怒る気もないが、少し呆れてしまったというのが本当のところだ。
それと「いけにえとしてささげられた奴隷・・・」と言わなかったかと急に思い当たった。
「今、『奴隷』と・・・」と言うと、ガスパルは「俺も元奴隷で、バスティア様に救われたのはお前と同じだ」と言われたのにはびっくりしてしまった。
俺が元奴隷だというのはガスパルには分かっていたようだ。
冷静に考えれば、いけにえにされるのは大半が奴隷だ。
それ以外にも、俺があまりにもモノをしらないのと、最初俺の手を見たとき、「農民の手にしては鍬などを持った時にできる豆がないからすぐに分かった」と言われた時は、恥ずかしさから顔が赤くなってしまった。
しかし、ガスパルも意地が悪い。だったら最初からそう言ってくれれば良いのに、俺の反応を楽しんでいたようだ。
スライムはもはや、問題がなくなったので、そろそろ次の段階へ進むべきかと思っていると、ガスパルが、「次はコブリン狩りだろう」と言ってきた。
本来なら『剣術1』になってから行くのが通常らしいが、俺はレベルが3にあがったし、コボルトもいるから大丈夫だと判断したと言われた。
「念のため」皮でできた胸当てと兜をかぶる。子供用はなかったので、どちらも無理やり紐で調整してやっとつけている状態だ。
「これで大丈夫だ。何の問題もない」と言われてゴブリンが出るという場所を教えてもらって、いつもメンバー(攻撃3匹、予備1匹、荷物持ち2匹)で向かったが、全然大丈夫ではなかった。