Hp
俺がスライム2匹を倒してLv2にレベルアップしたのだから、あのコボルトたちもレベルアップして良いはずだが、どうもそんな感じはなかった。
もしかすると、すでにLv2とか3になっていて、もっともっとスライムを倒さないとこれ以上のレベルアップは望めない状態なのかもしれない。
ガスパルにステータスについて聞く。
Hpは生命力、これが0になると死ぬ、ただ、実際問題として、残り1や2でも瀕死の状態なので、あくまで目安にしろと言われた。
確かにHpが100の者にしてみれば、一桁になってしまえば、動けないくらいのダメージを受けたということだから、わからない話ではない。
それに、出血などしていれば1や2など瞬く間になくなってしまうから結局死ぬことにかわりはない。
逆に0になったからすぐ死ぬとも限らないそうだ。極端な話ー1でも「絶対死なない」との気力で、しばらくの間なら持たせることが可能で、すぐに治療を行えば、何とかなることもあるという。
確かにHpが100の者にしてみれば、1や2などは誤差の範囲内だろう。
Mpは使える魔力の量を表す。
当然大きい魔法を使うには大きな魔力が必要となる。Mpは精神に影響を与えるものだから0になっても死ぬということはないが、まず間違いなく気を失うと言われた。
それもわからない話ではない。
しかし、敵の真っただ中でそうなれば間違いなく死ぬだろうから、これも気を付けなくてはならない。
数字として表示されるのは、HpとMpの2つだけだが、魔物などを倒し、経験値を稼ぐとレベルがあがり、Hp、Mpがあがるのは当然として、それ以外の素早さ、耐久力などもあがると教えてくれた。
ただ、これも当たり前の話だが、体調によってこれらの数字は多少上下することがあるという。
つまり基本Hpが100でも調子が良い時は102だったりすることがある反面、体調が悪いと98だったりすることがあるという。
つまりその程度は誤差の範囲内ということらしいが、Hp8の俺にとってはしばらく関係のない話だ。
握りの時は、本当に基本的なことをだけを教えて、ほおっておかれたが、俺が「剣術基礎 握りLv1」を覚えると、「振り」と「足さばき」(体さばき)はそれなりに脇について、きちんと教えてくれた。
確かに「握り」スキルを覚えると全く違った。
これまで剣を握ってから、いろいろしっくりこなくて、手の位置を少し動かしたりしていたが、それがなくなった。
それでも、ガスパルに言わせると「『握り』は基本だが、最後まで学ぶべきことでもあり、(俺は)まだまだ」だそうだ。
「振り」を学ぶにあたっての問題は俺に力がないことだ。何と言っても剣が重すぎる。
弱音は吐きたくなかったが、こればかりはどうしようもないので、ガスパルにそう言うと、やはりそうかという顔をして、少し軽い剣をもってきた。
それでも重いがこれなら何とかなりそうだった。
それから1週間ひたすら「振り」と「足さばき」の練習を行い、毒入りの飯を食べ続けた。
少しずつだが、何となくわかってきたことがある。何か聞きたい(要求したい)ことがあれば積極的に聞く(要求する)しかないらしい。聞くと教えてくれるが聞かないと何も教えてくれない。
「振り」も自分で納得のいかないところがあって聞くと、どこが悪かったか教えてくれた。
「足さばき」でも、それなりに相手になって対応してくれた。
どうやら、ガスパルなりの基準があったようで、「握り」ごときで弱音を吐くような者は次に進む資格がないと勝手に思っていたようだった。
それはわからない話でもないが、もう少し親切にしてくれても良いのではないかと思う。
1週間たって俺はやっと「毒耐性Lv2」を手に入れ、食事後トイレに直行しなくても済むようになった。
その間、午後はひたすらコボルトたちとスライム狩りをしていた。
最初は確かに俺をいれて四方からスライムを攻撃するということをしていたが、俺が剣の扱いに慣れるにつれて、できるだけ参加しないようにしていた。
というのは、「剣術基礎 振りLv1」はまだ習得していないが、それでも「振り」がある程度様になってくると、スライムなら俺一人で倒せるようになってしまったからだ。
これでは、他のコボルトたちに経験値が入らない。
そこで、コボルトには4匹で四方から攻撃をさせ、俺は俺で単独でスライムを狩ることにした。
成果はかなり順調で、コボルトだけでも半日で5匹は狩れるようになっている。
俺は俺で3匹位は狩れているから、スライムの体液だけなら、以前とは比べ物にならないほど捕れるようになっていた。