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破壊神の息子  作者: 江川 凛
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狩り

 そもそも回収したスライムの体液は当然泥まみれだ。

 それでもコボルトにとっては、おそらくかろうじて肉のかわりになるものなのだろう。

 「村長」として一番に解決しなくてはならない問題は、やはりこの食料問題だと実感する。


 せめて俺が強ければ、一緒に狩りに行って手伝うということも可能なのだろうが、現時点で俺は全く素人で、とても手助けができるとは思えない。

 やはり早く強くならなければならない。

 「せめて木の実を一緒に探すこと位しか今の俺にできることはない」と考えて手伝う。


 暗くなるまで木の実を探すが、正直あまり役に立ったとは思えない。理由は簡単だ。俺の背が低いからだ。

 もう少し背が高ければコボルトでは採れないところにある実が採れるのだが、今の俺の身長はコボルトとそんなに差がない。

 

 小屋に帰ってから、ガスパルと今後のことを相談する。

 とりあえず、午前中は強くなるための修行をし、午後は「村長」としての仕事をすることとする。


 次の日、起きると庭に出て、俺は剣の練習を始めた。

 他にやることもなかったからでもある。

 居候なのだから、せめて食事の支度でもしようかと思ったが、「そんなことをしている暇があったら、剣の練習でもしていろ」と言われて追い出されてしまった。


 正直、ガスパルが毒が入れるのを防ごうと思ったという下心がなかったわけでもない。

 剣の持ち方を確かめ、上から下へ振る。1つのことしかしないのは結構きつい。

 しかし、ガスパルに言われたのはこれだけだから仕方がない。


 そんなことを思いながらも俺は言われたことをひたすら続けていた。

 それができた理由は、ほかにやることがなかったというのもあるが、これを繰り返せば強くなれると思えたし、剣の練習をさせてもらえるだけで嬉しかったというのは本当だ。


 しかし、手のひらにできた豆には閉口する。痛くて仕方がない。

 そんなことを思いながら練習をしていると、「昼飯だ」と呼ばれる。

 相変わらず、毒入りの飯だろうから、もはや確かめる気も起らない。


 当然のごとく、トイレに駆け込むこととなるが、以前よりは大分マシになっている。

 トイレからでると、コボルトの村に行く。昨日の反省を踏まえ、今日は木の実集めに参加するのはやめた。


 まだスライム狩りの方が役にたちそうなので、剣をもって一緒に狩りについていく。

 正直コボルトの攻撃は手当たり次第と言った感じで、順番も何もない。

 俺もあまり人のことを言えたものではないが、いくらなんでもこれはひどすぎる。

 こいつらが俺の言うことをどこまで聞いてくれるかわからなかったが、とりあえず俺を入れて4人で四方を囲むよう指示をだす。


 すると最初戸惑っていたが、俺が具体的に指でどこにいけと指し示すと、その場所に動いてくれた。

 とりあえず、周りを囲んでスライムが逃げられないようにする。

 これだけでも大分違うはずだ。


 そこで四方から攻撃を加える。スライムを倒すにやっかいなのは、急所である核が移動することだ。

 だったら、四方から攻撃すれば、当たる確率も増えるのではないかと考えた正直苦肉の策だ。

 ただ、これは思ったよりうまくいったようだ。


 昨日の半分位の速さで倒すことができた。

 俺も加わってということは、俺も所詮その程度かと気がしないでもないが、考えないようにする。

 俺は剣の練習も兼ねて握りに気を使ってスライムを攻撃していたからだ、そうに違いない。


 そんなことを考えていると、≪経験値3を獲得しました≫と頭内に声が響く。

 ガスパルを見ると、「経験値が手に入ったのか?」と聞いてくる。

 それを聞いて、そういえばバスティアが「経験値を稼げ」と言っていたことを思いだす。


 スライムを倒すと昨日と同じように、後ろから別のコボルトが出てきて、体液を木の椀に回収する。

 そこで気がついたのだが、椀は2つしかない。どうやら今まで最高で2匹しかスライムを狩ったことがないと推測できる。


 せめてスライム位ならもっと狩りたいと思っていたので、その体液を回収しているコボルトに、もっと椀を持ってくるように指示をだす。

 ただ、ある意味、これでうまくいかなったかったら、俺の「村長」としてのメンツがつぶれるかもしれないと指示を出した後で考えてしまった。

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