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破壊神の息子  作者: 江川 凛
3/30

称号

 途中までお読みいただいた方には大変申し訳ありませんが、活動報告にも書きましたとおり、3話より再構成させていただきます。

 何卒宜しくお願いいたします。

 俺は破壊神と聞いても正直怖いとは思わなかった。

 半分やけくそになっていたのであろう。

 そんな俺に破壊神バスティアは聞いてくる。「お前の命を助けたら、何をする?何ができる?」


 俺は復讐がしたかったが、とてもできる力がない。だから、黙ってしまっていたが、「そうか復讐がしたいのか」といきなり図星をつかれてしまった。


 「俺の考えていることが読めるのか?」そう思うと、「そうだ」という返事が返ってくる。

 それを聞いて俺は怖いというより、心底すごいと思った。そして、こんな力が持ちたいと思った。


 すると「強くなりたいか?」と聞かれたので、「強くなりたい」と答える。

 「強くなって復讐したいのか?」という質問には少し戸惑った。

 正直、俺は俺をいけにえにしたやつらが憎い。しかし、一番憎いのは公爵夫人だ。


 そのためにはいくら俺でもただ強くなるだけではダメだということはよくわかる。

 「おそらく今の社会、体制そのものを変えるくらいの力が必要だろうが、俺はそれを手に入れることができるのか?」そんなことを思った。


 すると、「おもしろい」という声が返ってきた。

 「お前たちは儂らを『破壊神』と呼ぶが、別に破壊を目的としているわけではなく、天空神アフラが安定を求めるに対し、変革をもたらすのが、儂らの本来の目的だ。」

 「だから、お前が今の社会を変えたいというのなら、その手助けをしてやってもよい」とまで言ってくれた。


 嬉しかったが、すぐに俺は「代償はなんだ?」と聞いていた。

 「この世で、タダほど高いものはない」というのが俺の経験則だ。誰もが親切そうな顔をして近づいてくるが、そういう奴に限って必ず何か目的がある。


 「儂は神だぞ、おまえごときに何を求めるというのだ。しかし、その発想は悪くない。儂の目的はすでにいったとおり、変革だ。お前は社会をひっかきまわしてくれればそれでよい」


 「そのためにお前をコボルトの小さな村の村長にしてやろう。まず1ケ月の猶予を与える。その村をおまえの好きなようにしてみろ」


 「ただ、そうはいってもお前自身が弱すぎる。まずはお前を鍛えてやる。儂の信者にガスパルという者がいる。そいつのところでいろいろ学んで来い。更に加護として『破壊神の息子』をやろう。これがあれば、かなりスムーズに経験値を稼ぐことができる」


 「経験値を稼いで、スキルを身に着け、強くなれ。そしてコボルトを好きに使ってみろ。たかが1つの村をどうこうできないようでは、世界を変えることなど到底無理だからな」


 確かに、俺は奴隷で、今までは武器の訓練など間違ってもさせてもらえなかった。

 そのため、弱いということは自分が嫌という程自覚していた。

 ただ、奴隷がいきなりゴブリンのとはいえ「村長」といわれると、何をして良いののかもわからず、喜びより困惑が先にたってしまった。


 それにほかの人に「破壊神の息子」などという加護を持っていることがバレたらどうなるのかという不安も頭をよぎった。


 すると、「そんなことは心配するな。加護はおまえ以外見ることができないようにしてやる」という声が響いた。


 「奴隷紋も消してやろう。奴隷では自由な行動もできないからな。儂に感謝しろよ」


 それが聞き終わるか終わらないかのうちに、視界がゆがむ。

 かなり頭がクラクラするが、俺は、いつの間にか森の中の小屋の前に立っていた。

 「転移魔法」そんな独り言を言っていると、小屋の中から60歳くらいの男性が「やれやれ」と言いながら出てきた。


 「この人が信者のガスパルか?」と思っていると、「バスティア様から神託があった、中に入れ」と言われた。

 すると食事が用意されており、「食べろ」という。

 正直残り物といった感じだったが、俺には十分なご馳走だった。


 いけにえに決まってから正直、ロクに食事が喉を通らなかったので、腹はすいていた。

 「俺が『破壊神の息子』だから、それなりの待遇なのかな」などと、勝手に自分の都合良い様に喜びながら久しぶりの食事を満喫した。


 すると、急に腹が痛くなってきた。いきなりで失礼かと思ったが、背に腹は代えられない。トイレを借りるとものすごい下痢をしていた。

 久しぶりの食事にとったせいかと思ったがどうもおかしい。


 何度もトイレに駆け込んで、やっと落ち着いたと思ったら、≪毒耐性Lv1を獲得しました≫という声が頭に響いた。

 そこで俺はやっと毒をもられたことに気がついた。


 「何故バスティアの信者が俺にこんな」と思っていると、「毒耐性が身についてよかったじゃないか。これで少し強くなった。感謝してもらいたいな」とガスパルは言ってきた。


 それを聞いて俺は、「やはり世の中、そうおいしい話はない」とつくづく思った。

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