第百五十九話 礎の巫女 後編
「すでに覚悟の上だと思うけど、ルート君にとっては辛いもの見ることになる。それだけは心しておいて欲しい。あ、それと。お願いだから、くれぐれも暴れないでねルート君」
「その忠告は前半だけで良かったと思うのですけどエリオットさん?」
キリッとした真剣な顔付きで、茶化す様な口調でひどいことを言うエリオットに俺はツッコミを入れる。多分、さっきの意趣返しではないだろうか。エリオットにも意外と子供っぽいところがあることに、俺はクスッと笑う。
・・・そんなところがあるからこそ、付き合いやすいんだけどさ。
供給の間に踏み入って、俺はエリオットの背後から一歩横に避けて部屋の中を見渡す。供給の間はとても広々とした、かなり大きな空間が広がっており、部屋の形が正方形になっていることが分かる。もしかしたら、俺がエルスタード家の屋敷の地下に造った武舞台のある空間よりも大きいかもしれない。そして、そんな広い空間に係わらず、さっきまでいた部屋と比べると供給の間はその全体がとても明るい。
それは、地面に浮かび上がった大きく複雑な魔法陣が淡い光を放っており、さらにはその魔法陣からいくつもの光の線が伸びて、床から壁、壁から天井へと張り巡らされている。よく見るとその線を時折、一際強い光が通っていくのが分かる。七色に色を変えながら光るとても不思議で綺麗な光だ。
目の前に広がる幻想的な光景は、目を奪われるほどに美しい光景と言える。但し、魔法陣のど真ん中、部屋の中央で存在感を放つ大きな魔石の存在がなければの話だ。大人一人は優に入れる大きさで、ゲームで言うところのセーブクリスタルの様な魔石。その魔石の中に人影があることが遠目で見ても分かった。
エリオットと並ぶ様にして俺は魔石に近付く。魔石に近付くにつれ、魔石の中に入っているのがシルフィアだということがはっきりと見て取れた。人が魔石の中に埋まっているという異様な光景に、俺は胃からせり上がるものを感じることになる。そう、魔石の中に人が入っているという光景が、単順に見ていて気持ちが悪い。
・・・大抵のことには不思議と耐性があると思ってたけど・・・。
自分で動物を捌いたり、魔獣や魔物を斬り伏せたり、或いは逆にひどい怪我を負わされたり、生前なら目を塞ぎたくなる様な血生臭い場面を見ても不思議と全く動じることない。そんな俺でも、人が魔石の中に居るという光景が余程、衝撃的だったみたいだ。
俺は吐き気を堪えるために、唾をゴクリと飲み込んで溜飲を下げる。もしかしたら、こんな風に吐き気を催すほどに気分が悪いのは、この世界に来てから初めてのことかしれない。何とも不甲斐ない俺の精神に、俺はしっかりしろ!と自分の胸をトントンと叩いて鼓舞した。
「ルート君?顔色が良くない。もう部屋を出た方が良いじゃないか?」
魔石が眼前に迫れば迫るほど、その中にシルフィアが居ることがよく分かる。俺の歩みが鈍くなり、遅れ始めたことに気が付いたエリオットがこちらを振り向く。すると、エリオットは驚きに目を見張りながら俺の顔を覗き込み、心配をしてくれる。だが、俺はふるふると首を横に振って見せた。
「いいえ、帰りません。ロクアートでドラゴンと対峙した時でさえ、ここまでの衝撃は受けなかったのですが・・・。でも、大丈夫です。俺は向き合わないといけないのです」
エリオットの制止を振り切るように俺は真っ直ぐ魔石に近付いた。シルフィアは魔石の中で立っているとも、浮いているとも言える様な状態で、眠る様に目を閉じている。丸で初めから魔石の中に居たかの様な様相だ。一体、どうやってこんなことを、と内心で思いながら俺は魔石にそっと触れる。
当たり前だが人の温もりも何も感じない魔石は、凡そ人が中に入って生きていられる様な温度ではない。そのことが分かっただけで、勝手に涙があふれて零れ出ると俺の頬を伝って落ちる。シルフィアに泣かされるのは、今日で二回目だ。勝手な言い草になるが、ひどい女性である。
「エリオットさん。シルフィア先輩はちゃんと生きているんですよね?死んでないですよね?」
「もちろんだ。生きているからこそ魔力が産まれる。その魔力がこの遺跡を、結界を張るための魔術具を動かしているんだから」
「そう、ですよね。何を分かりきったことを、と思われているかも知れませんが、とても生きている様には見えなかったものですから」
「安心して欲しい、という言葉は少しおかしいかもしれないが、魔石の中に入ると身体の成長が止まるんだ。老化が止まると言った方が良いかな?そのお陰で、魔石に入った者は余程のことがない限り死なない。何もなければ百年以上もの時を生きることが出来るんだ」
シルフィアは長生き出来るとエリオットは教えてくれる。それはシルフィアの姿に不安を覚えた俺を安心させるために教えてくれた情報なのだろう。でも、百年以上もの長い間、ここに囚われ続けることを考えると、とてもではないが安心など出来ない。
しかも、百年以上というのは何もなければの話だ。エヴェンガルの時の様なことがあると、短くなってしまうということだろう。何も問題になるのは強大な魔物だけではない。現実問題として、情勢の不安定な魔族領から魔人族がエルグステアに進攻してくる可能性がない訳ではないのだ。シルフィアの寿命を削られる要素は十分にあると言える。
エリオットの話を聞き、今の結論を導き出したところで、今更ながらに俺はあることに気が付いた。魔石の中で眠るシルフィアの周りに淡い光の粒が点々と現れると、それが魔石の下へと集まっていく。複数の小さな光が一つの光の塊になると、それが魔石の末端から魔法陣にポトリと落ちる。
すると、魔法陣から延びる光の線へとその光が移動していった。どうやら、光の線を移動していた七色に色を変えながら移動する光の正体は、シルフィアの魔力だった様である。
・・・あの光は言ってしまえば、シルフィア先輩の命そのものということか。通りで綺麗なはずだ。くそっ。
俺は魔石に触れていた手を離し、踵を返してエリオットに向き直る。シルフィアがどういう状況に置かれているのか確認することが出来た。無事とは言い難いかもしれないが、何はともあれ、今のところは生きていることも分かった。だったら、次はどうしてこんな状況にしなくてはならないのか、何か打開策はないのか考える番だ。
「エリオットさん。聞きたいことがあるのですが良いですか?」
「あぁ、構わないよ。この地下遺跡で分かっていることは、何でも話してあげよう」
普通であればこの地下遺跡は、この国にとっての機密事項の塊と言ってもいい場所である。それなのに、何でも話してくれるということは、それだけエリオットからの信頼を得ているということだろう。それとも、何か奇策を思い付いてくれるかもしれないと期待してもらっているということだろうか。こんな状況だが不謹慎にも、そのことに俺は少しだけ嬉しくなってしまう。
「ありがとうございます。では、早速ですが、どうして、魔石の中に人が入る必要があるのでしょうか?一般的な、市場に出回っている様などこにでもある魔術具は、魔石に外から、つまりは触れて魔力を供給しますよね?それでは駄目なのですか?」
魔術具に取り付けた魔石や魔石代わりの宝石に魔力供給をする場合は、総じて魔石に触れて魔力を魔石に流し込むのが一般的だ。俺や魔法制御に長けた者であれば、魔力を飛ばしてそれを遠隔で行うことも出来る。直接か遠隔かの違いはあれど、外側から魔力を供給するという形に変わりはない。それが魔石へ魔力供給する方法であるはずなのだが、どうして魔石の中に入る必要があるというのか。
「確かにルート君が言う様に、外から魔力を送ることが出来ない訳じゃない。でも、残念ながらそれでは駄目なんだ」
「なぜですか?」
「外からの魔力供給では、ほとんどの魔力が遺跡に流れていかない。出来ない訳ではないが、効率が圧倒的に悪い、いや、ほとんど無意味と言った方がいいだろうね。どうしてこんな造りになってしまっているのか、この遺跡を造った古代人のみぞ知る、といったところなんだ」
エリオットの話によると、エルグステア建国時、結界を張ることが出来るこの遺跡がある場所を王都にすることになったそうだ。その時、遺跡で発見された古代人の遺した文献には、魔力長けたる者を魔石に入れて、魔力を遺跡に行き渡らせること、といった感じの方法しか、記載されていなかったそうだ。
「魔力長けたる者ですか・・・。それで、潜在的に魔力が豊富なシルフィア先輩が礎の巫女に選ばれたと。・・・でも、そういうことであれば、魔獣や魔物でも代用出来るのではないですか?」
「建国当時の人も初めはそう考えたみたいだね。実はすでに試されているんだ。そして、残念ながら結果は失敗に終わったと記されていた」
「駄目だったんですね」
魔獣や魔物を魔石の中に入れること自体は出来るそうだ。だが、すぐに魔石の中から弾かれてしまうそうである。丸で異物が入ることを拒んでいるようだ、という研究者の記録が残っているとエリオットは教えてくれる。
「それで、次に入れたのが人という訳ですか・・・」
「まあ、そういうことだね。当時は罪人を入れた様だよ」
極刑を受ける様な罪を犯した大罪人を当時は魔石の中に入れた。だが、そういった罪を犯した者は、大体が魔力には恵まれなかった者たちばかりで、短い時間で死に至ってしまったそうだ。それはとても単純な話で、遺跡に供給される魔力の量よりも回復する魔力の量が少なかった。つまり、遺跡に魔力を搾り取られて、魔力枯渇で死んでしまったという訳だ。
それでも、全くの成果がなかった訳ではなかった。数をこなすことであることが分かったことあった。それが男性よりも女性の方が長い時間、魔石の中で魔力を供給することが出来たという結果である。その結果により、徐々に男性は排斥され、女性を選んで魔石の中に入れる様になっていく。
そして、魔力が乏しい者よりも魔力が豊富な者であればある程、長い期間が保てる様になっていったのが、今日の姿という訳だ。礎の巫女という呼び名は、想像以上に重たいものの様だ。一体どれだけの人を犠牲にして、この国は成り立って居るのだろうかと思い、俺はこめかみをグリグリと押さえる。
・・・昔の研究者が多くの犠牲を払った上に導き出した最善の結果なんだろうけど、こんなのは絶対に認められない。だってそうだろう?場合によっては、ソフィア姉様が、リリが、メルアが選ばれていたかもしれないじゃないか。それに、これは今だけ済めばそれで全てが終わりという話じゃない。こんな悪しき習慣、絶対に終わらせてやる。
俺は心の中でそう意気込みながら、グッと拳を握る。でも、勢いだけでどうにか出来ることじゃないことは分かっている。頭の中で冷静な俺が、長い年月を掛けて出来上がったのが今の状況だと言うのに、それをどうやって覆そうと言うんだ?と疑問を呈してくるのだ。
・・・目下、一番の問題点は魔力供給の仕方、もしくは、魔力供給源にある。人に取って代わり、安定的に魔力を供給することが出来る存在があれば話が早かったんだけど・・・。
俺は瞳を閉じて、熟考する。魔獣や魔物が駄目だったのは何となく理由が分かる。イエロードラゴンのダストアから聞いた話に、魔獣や魔物は自ら魔力を生み出すことが出来ない存在だという話があった。大の大人一人は優に入る魔石だが、魔獣や魔物を入れるとなると明らかに小さい。恐らく、小物の魔獣や魔物を入れても、すぐに魔力枯渇で死んだのではないだろうか。
・・・俺が闘ったことのある魔獣で一番大きかったのは魔獣シロ・クマか?多分、片腕も入らないだろうなこれ。
俺は目を見開いて、改めてシルフィアの眠る魔石へと目を向ける。魔石を見上げながら「・・・人の代わりに魔力を生み出すことが出来る存在か」と呟く。エリオットが俺の隣に並び立つと「ルート君は諦めるつもりはないんだね?」と仕方なさそうに眉尻を下げる。
「無論です。何もしなければそれで終わってしまうではないですか。とある人は言いました。諦めたらそこで試合終了なのですよ、と。俺もその通りだと思います」
「ふふ、ルート君は一体何と闘っているんだか」
エリオットに苦笑されてしまったが問題ない。今すぐやめろとか、考えるのは諦めろとか、俺を止める言葉は一言も言ってないのだから。ずっとひしひしと感じていたことだが、エリオットもまた今の現状を憂いて悩んでいる一人なのだろう。
・・・まあ、エリオットさんの立場として、それを公言することは憚れるんだろうな。エリオットさん、優しいし、良い人だし、苦労人っぽいよね。
俺の魔法の師匠であり、未来の義兄でもあるエリオットのためにも、俺は自分に出来ることを考える。
・・・こう魔力が都合よく無限に湧いて出てくるみたいなものがあれば・・・って、そんなものがあれば苦労してないか。・・・いや、でも待てよ?そういう意味で言ったら、あの遺跡はどういう仕組みになっているんだ?
俺は学園の森にある遺跡を思い浮かべる。学園の教育の一環で、遺跡調査訓練が行われる遺跡だ。その遺跡の特徴は、人が出入りする都度、遺跡内部の構造が変わるということ。そして、倒した魔獣や魔物が再配置されるということである。その話を聞いて、正に不思議なダンジョンと言っていい遺跡だ。
・・・アイテムの類の自動生成はないので、完璧ではなかったけど。
どういう仕組みになっているのか全く分からないが、遺跡の内部構造を変えるためにも、魔獣や魔物を再配置するにも、大量の魔力が必要になるはずだ。それは、各階の階層の間に、索敵魔法の広がりを妨げるほどの魔力の層があることを考えても明らかだ。
・・・過去に行われた調査で、少なくとも地下三十階はあることが分かっている。そんな遺跡がもっともっと深いとしたら?途方もないほどの膨大な魔力が必要になるんじゃないか?
不思議なダンジョンを機能させるだけの魔力をどのように調達しているのか。きっとそこに何か秘密がある。俺が光明を見出したことが顔に出ていたのだろう。エリオットに「何か思いついたのかいルート君?悪い顔をしているよ」と言われてしまう。
何だか似た様なことをいつも言われるな、と思った俺はペタペタと自分の顔に触れてから、エリオットに返事する。
「どうにか出来ると断言は出来ません。でも、どうにか出来る可能性は十分にあると思いま・・・」
「本当かいルート君!?」
エリオットが俺の肩を掴んで明るい声色で俺の返事を遮った。それだけ、エリオットも現状をどうにかしたいと思っていたということが伝わってくる。期待の眼差しを向けてくるエリオットに、俺はコクりと頷いてから、エリオットに指を二本立てて見せる。
「つきましてはエリオットさん。いえ、エリオット学園長に二つお願いがあります」
「・・・ふむ、話を聞こうかルート君」
エリオットは、俺の肩から手を離すと顎に手を当てながら先を促す。
「一つは、学園の休学許可をください。すでに試験を終えているので、特に問題はないですよね?」
三年生としての試験過程はすでに終えている。出すべきものは出したし、やるべき課題もやった。それが、どの様に評価されたのかは基本的に通知されないのでどうでもいい。通知されるのは、落第点であった時だけであり、その場合はすぐに通知される。それがないので、試験はクリアしていると考えて問題ない。
試験が終了していても、卒業するのに出席日数が足りないと卒業出来ない、と言われるのはとても悲しい。そんな話を耳にしたことはないが一応の保険である。王命を受けた三年間の縛りが解けたら、俺はルミールの町に帰るつもりである。その時に、学園を卒業して去るのと、卒業ではなく退学して去るのでは、卒業して去りたいと思うのだ。
「確かに問題はないし、それを許可するのも吝かではないけれど・・・。それで、ルート君は休学をしてまで何をしようというのかな?」
「はい。それがもう一つのお願いになります。学園の森にある遺跡に入る許可が欲しいのです」
俺はエリオットに、学園の森にある遺跡の仕組みについて考えたことを話す。明らかに膨大な魔力で維持されている遺跡に、何かヒントがあるはずだと。
「学園の森にある遺跡は、未だに踏破されてないという話でしょう?最下層まで下りてみれば何かを発見出来るかもしれません。リッド、ティア、アンジェの三人と初めて遺跡調査をした時みたいに」
「なるほど。確かにルート君が言う様に、有用な情報を得られるかもしれない。だが、何階層あるかも分かっていない。しかも下に下りれば下りるほど、魔獣や魔物がどんどんと強くなっていく。どう考えても危険だ」
「分かっています。それでも、やるだけの価値はあると思います。幸い俺なら騎士団みたいに食糧問題で引き返す必要はないですし、どれほど強い魔獣や魔物が出たとしてもドラゴンほどではないでしょう」
俺が胸を張ってそう答えると、エリオットは目を見張ってから仕方なさそうに小さく笑う。
「はぁ、君という子は。でも、実にルート君らしい。・・・分かった。ルート君に遺跡へ入る許可と休学の許可を出そう。但し、どれだけの危険があるか分からないので、こちらから人手を出すことは出来ない。ルート君の自己責任で行ってもらうことになるけど構わないね?」
「もちろんです。端から単独行動で行くつもりですし、その方が行動しやすいです。少し無茶をしても他人を巻き込む心配がないですからね」
「頑張ってくれるつもりなのは嬉しいけど、遺跡を破壊してしまわない様にお願いするよ」
エリオットはそう言いながら苦笑した。俺は「遺跡を壊しに行く訳ではないですよ」と反論しつつ、心の中で「でも、多少は目を瞑ってくださいね」と付け加えておく。
その後も、エリオットと少し話をした。明日からの予定の話だ。明日は色々と準備をするのに登校して、明後日から早速、遺跡に潜る算段となった。話すべきことを話し終えた俺とエリオットは、供給の間を後にする。家路につくために二人並んで通路を歩いていると、エリオットが不意に口を開いた。
「ルート君がシルフィアのためにそこまで動くのは、やはり彼女のことを?」
「好きか嫌いかと聞かれたら好きですよ。但し、異性としてではなく友人として、ですけどね」
「友人としてか・・・」
「そうです。あ、それとシルフィア先輩の歌は大好きですね。本当にうっとりするぐらい素敵なのですよ」
俺はシルフィアの歌声がどれだけ素敵なのかエリオットにアピールする。俺が興奮気味に話すのでエリオットが少し引き気味になっていたが気にしない。最終的に「全てが上手くいったら、一度拝聴したいものだね」とエリオットから言質をもぎ取ったので俺は満足だ。
二人並んで歩いている内に、俺が地下遺跡に侵入した場所にたどり着く。このまま一緒にエリオットについて行くと王城の中に出てしまうそうなので、俺は侵入した場所から退散することにする。エリオットからそのことについて一言も咎められていないが、俺は完全に不法侵入状態なのだ。
「色々とありがとうございましたエリオットさん」
「お礼を言われるのは少し面映ゆいかな?それにルート君と話したことで、心のつかえが少し取れた。お礼を言わなけばならないのはこちらの方だろうね」
ポリポリと頬を掻くエリオット。俺は土のマナに働きかけて壁を通り抜けながら「では、そのお礼は無事に遺跡から戻った時に、聞かせてください」と言って、エリオットと別れた。
令和初投稿(世間の波に乗った風)
次回は遺跡に潜るための事前準備です。
なお、主人公はまだまだ屁理屈をこねこねするので
今しばらくお付き合いください。