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約束を果たすために  作者: 楼霧
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第百五十八話 礎の巫女 中編

エリオットが「一体どうやって?」と手を顎に添えながら心底、不思議そうに呟く。俺はその様子に小さく笑ってから、シルフィアに歌を歌って欲しいとお願いして録音の魔術具を預けていたこと、その魔術具を今日イシュエラから受け取り、その中でシルフィアが礎の巫女になるという話をしていたことをエリオットに話す。俺の話を聞いたエリオットは「いつの間にそんなものを。全く、ルート君は想定外過ぎる」と言って苦笑した。


・・・どうしてそこで笑うかな?まあ、いいけど。・・・そんなことよりも。


「礎の巫女とは何ですかエリオットさん。その扉の先に居るシルフィア先輩は一体何をしているんですか?」

「礎の巫女が何か。聞けばルート君は間違いなく嫌な思いする。それに怒りを覚えることだろう。それでもルート君は聞きたいかい?」

「俺がここまでやって来たのが、何よりの答えだと思います。それに、エリオットさんがわざわざこんな場所で、こんな時間になっても俺が来るのを待っていたということは、そういうつもりだったということでしょう?」

「・・・はぁ、ルート君は自分のことを知り過ぎていると私に言うけど、その言葉をそっくりそのままルート君にお返しするよ」


エリオットはやれやれといった感じに首を左右に振ってから「まずはこの地下遺跡について話すよ」と言って、エリオットのレクチャーが始まる。久しぶりのエリオット先生の登場だ。


「地下遺跡はこの王都が、いや、エルグステアという国がここに出来るよりもずっと前からある遺跡で、かなり古いものなんだ。遺された古い文献によれば古代時代まで遡ることになる。元々、古代にもここに大きな街があったみたいで、その時に造られたものみたいだね。そして、この遺跡の役割は、広範囲の結界を作り出すこと。つまりは、王都を包み込んでいる結界を生み出しているのがこの遺跡という訳だ」

「結界を生み出す遺跡、ですか。・・・そうか」


エリオットの話を聞いて、俺はあることを思い出す。ロクアートから王都に帰ってきた時のことだ。結界を通って王都に入った瞬間、俺は何とも説明のつかない違和感を感じたのだが、結局その正体は分からなかった。だが、その正体は、シルフィアが礎の巫女なり結界を張っていることを俺は感じ取ったのだろう。


・・・違和感を感じて嫌な感じがしなかったのは、そういうことだったのか・・・。


「どうかしたのかな?」

「いえ、何でもありません。お気になさらず。それよりも、結界を生み出すための遺跡と言うことはかなり重要な遺跡となりませんね」

「うん、その通りだ。この結界は王都の護りのかなめと言えるからね。しかも、遺跡本来の性能を発揮すれば、エルグステアの国土全体を結界の中に入れることが出来るとも言われている。それにこの遺跡はただ結界を張るだけじゃない。単なる結界では、何かもを弾いてしまうものなのは知っているね?でも、この結界は特定の条件下であれば行き来することが出来る様になる。人や物資の往来が出来る結界など他にはない。それだけこの遺跡は稀少で貴重なものなんだ」


今居るこの地下遺跡がどれだけ大事なものなのかエリオットは語る。その稀少性と重要性が高いことは俺も理解出来る。魔族領の情勢が不安定な今、この国になくてはならないものと言えるだろう。何しろ、魔族領に対抗するために存在しているのが、エルグステアという国なのだから。でも、まだ肝心話が出ていない。


・・・大体の予想はついている。でも、確認せずにはいられない。


「この地下遺跡がすごいことはよく分かりました。では、そんなすごい遺跡で礎の巫女は一体何をしているのでしょうか?」

「礎の巫女としての役割。それはこの遺跡への直接的な魔力供給。巨大な魔石にその身を封じ込め、生きている限り魔力を遺跡に捧げること。以前、ルート君は言っていたね。魔術具は人が使うものであって、人が魔術具に使われることがあってはならない、と」

「それはつまり人を、いや、シルフィア先輩をこの遺跡に魔力を供給するためだけに使っているということですか!!」

「その通りだルート君」


冷静に淡々と答えてくれるエリオット。何一つ嘘はついていない。シルフィアの置かれた状況を知って、俺は力いっぱい拳を握る。予想通りの回答とはいえ、怒りで頭が沸騰しそうで、今すぐにでもこの遺跡を叩き潰してしまいたいぐらいの気分だ。でも、俺に出来ることは、爪が自分の手のひらに食い込むぐらいにただひたすらに拳を握り、打ち震えて耐えるのみである。感情任せに、国の根幹を脅かす訳にはいかないのだ。


それに、その捌け口として「どうして止めなかったんですか!?」とエリオットに掴みかかったところで、何にもならない。エリオットの置かれた立場として間違った判断はしていないし、すでにシルフィアは礎の巫女としての役目を負ってしまっている。俺が騒ぎ立ててエリオットを責めたところで、今更何も意味がない。


「いつからシルフィア先輩が礎の巫女になることが決まっていたのですか?」


エヴェンガルがやってきた去年の火の季節の時点で、前の礎の巫女は限界に来ていた様な話をしていたことを思い出し、俺は声を絞り出す。シルフィアはいつからその身を犠牲にすることを決めていたのだろうか。


「彼女が学園に入る頃よりももっと前。今から約十年ぐらい前からだね」

「十年も前から、ですか・・・」

「そう、彼女は目が見えないという不遇の立場ではあったが、類稀な魔力の持ち主だったんだ。だから彼女が次代の巫女として選ばれた」


俺がシルフィアと出会ったのは一年前の話である。すでにその時には礎の巫女になることが決まっていたということに、俺は愕然とする。シルフィアがそんな立場に置かれていることなど、露程も知らなかったのだ。長い時間を共に過ごした訳ではないが、それでもシルフィアと接触する機会はたくさんあったというのに何も知らなかった。そして、そのことに俺は全く何も気が付かなかった。


シルフィアが会う度に見せてくれていたのは、普通に楽しそうにお喋りをして、嬉しそうに歌ってくれる。そんな、どこにでも居る様な少女の姿である。礎の巫女のことを全くおもてに出さなかったは、それだけ、シルフィアが自分の身を犠牲にする覚悟をしていた裏返しと、言えるのかも知れない。


・・・そんなこと言ってくれれば・・・。くそっ、言える訳ないか。それに教えてもらったところで俺に何が出来る?


「シルフィア先輩はいつからこの遺跡に?」

「去年の土の季節、魔法祭が終わった頃に先代の巫女が亡くなったんだ。だから、この間の水の季節から彼女が巫女を務めている」

「・・・土の季節に亡くなったのに水の季節?随分と間が空いている様ですが?」

「遺跡自体に魔力が残された状態にはなるからね。亡くなったからといって、すぐに魔力が枯渇する訳ではないよ」


俺は「それはそうかもしれませんが・・・」と口にしたところでハッとした。


「・・・もしかして、俺がロクアートに行くことになったのは、シルフィア先輩が礎の巫女になるのを邪魔されない様に、ですか?」

「ロクアートからの要請があったのも、それを国として断るのが難しかったのも事実だけど、そういった面もあったことは認めるよ。ルート君は随分と彼女と仲が良かったみたいだったからね」


エリオットの言葉に俺は顔をしかめるしかない。もし、シルフィアの置かれた立場を知っていたら間違いなく邪魔をしたと断言出来る。それに、例え知らなかったとしても、ずっと王都に居れば何か変化に気が付いたはずだ。でも、俺は何も知らなかったし、気が付かなかった。極めつけを言えば、俺は国外へ行けると浮かれていた。


俺に知られない様にと国を挙げて画策されて、どうしようもなかったとはいえ、そんな自分に腹が立って仕方がない。俺は握り締めていた拳を開いて、思いっきり両手で頬を叩く。パンッと渇いた音が、地下遺跡に鳴り響いた。


ただただ不甲斐ない自分を戒めるために、俺は自分の頬を叩いた。それで特に気が晴れるという訳でもないし、衝撃で少し頭が揺れたし、頬はジンジンと波打つ様に痛みが襲ってくる。気分はとにかく最悪だが、それでも少しだけ前を向くことが出来る様になった気がする。


「ルート君・・・。あ、頬に血が」

「大丈夫ですよエリオットさん。頬に付いた血は手のひらのですから」


エリオットにそう言われて、俺は頬を撫でてその手を見た。確かに血が付いていることが分かる。同時に爪が少し肉に食い込んで、抉れたところから血が出ていることに気が付いた。俺は手に出来た傷から血が付いただけだと、手のひらをエリオットに見せるながら問題ないと首を振って見せる。だが、エリオットは額に手を当てながら、自分が痛そうな顔付きになってしまった。


「はぁ。身内のことには殊の外、責任感が強いルート君のことだから、責任を感じて自傷に走る可能性もあるかも知れないと思っていたけど。やっぱり、こうなってしまったか。防ぐことが出来なかった私のミスだ。でも、ルート君。治癒が出来るからと言って、自分をそう簡単に傷付けて良いことにはならない。お願いだからそれだけは覚えておいて欲しい」


エリオットは話しながら痛そうな表情から真剣な表情へと変えていく。そして、俺のやっていることは間違っているとはっきりと言われてしまった。自己満足に浸っていると指摘された様な気がした俺は、確かにその通りだと思い、肩をガクッと落とす。


「・・・そう、ですね。エリオットさんの言う通りです。結局これは自分で自分を罰してるという事実に、満足しているだけですよね。こんなの何の意味もない」

「そこまで追い詰めるつもりで言った訳ではないんだけど。でも、そんなところもルート君の美徳と言えるだろうね。是非、もっと自分のことを大事にして欲しい。・・・そして、こういう状況になることを止めることが出来ない私のことは恨んでくれていい。ただ、どうか、虫のいい話だと分かっているけど、そうあらねばならないエルグステアという国のことは恨まないで欲しい」

「エリオットさんのことを恨むのはお門違いもいいところでしょう?そんなことはしませんよ。それは、エルグステアに対してもです。でも、大切な友人がその身を犠牲にする真似を止めることが出来なかったことには憤りを感じています。その奥に、シルフィア先輩は居るのですよね?会うことは出来ますか?」


石の扉の先に行かせて欲しいとエリオットにお願いしてみるが、エリオットは「それは出来ない」と首を横に振った。重厚そうな石造りの扉を見ても、扉の先が重要な部屋だということは分かる。何人たりとも人を通す訳にはいかないということだろうか。


「この先は王族と王族に連なる者にしか入ることは許されていない領域になる。だから、ルート君が入ることは出来ない」

「王族と王族に連なる者ですか・・・。もしかして、王族に流れる血とか魔力とか、そういうのがないと入れない結界が張られているということでしょうか?」

「半分正解といったところだね。この扉は予め王族と王族に連なる者の魔力を登録しているんだ。だから、登録がない者はこの扉を開けることが出来ないという訳だ」


エリオットの回答に俺は「あれ?」と首を傾げる。思っていたよりも条件が緩かったからだ。


「その条件なら、エリオットさんがその扉を開いてくれたら、俺はその中に入ることが出来るのではないですか?」

「入ることは出来るよ。だけど、さっきも言った通り、この先にある供給の間に入ることが許されているのは王族と王族に連なる者だけだ。今のルート君には中に入る資格がない。何せ部外者だからね。もし、資格もないのに中に入ると言うのであれば、私はルート君を力尽くで捕縛しなければならなくなる。出来るかどうか別として、ね」


話の後半は明らかに冗談だと分かる表情で言うエリオット。俺が絶対にしないと分かっていての発言だ。とても意地が悪いと思う。俺はそんなエリオットに眉間の皺を寄せながら腕組みをして見せる。


「それ、一番家族に迷惑が掛かるやつじゃないですか。そんなこと俺がしないと分かってて言うなんて、ひどいですよエリオットさん」

「あはは、ごめんごめん。確かに今のは意地悪だったね。・・・でも、そうだね。どうしてもルート君が供給の間に入ることを望むと言うのであれば、全く方法がない訳ではないよ」


エリオットから中に入ってもいいと譲歩されたことに、俺はキョトンとしながら首を傾げた。


「方法ですか?」

「ルート君が王族になればいい。つまりはエリーゼの婿に来れば良いよ」


とんでもない提案をするエリオットに、俺は目を剥いてから、ムッとした表情をして首を横に振る。エリオットからそんな命令を受けたらブラコンであるエリーゼは、それがどれだけ嫌なことでも大人しく首を縦に振って受け入れてしまうだろう。それはエリーゼが可哀想過ぎるし、良き友人としてそんな目に遭わせる嫌だ。


「エリーゼの立場を考えれば、政略結婚があることは分かります。でも、俺がただこの先にあるという供給の間に入るためだけに、エリーゼを巻き込むのはおかしいでしょう?エリオットさん、エリーゼが望まないことを提案するのはやめてあげてください」

「エリーゼが望まないねぇ・・・」


神妙な面持ちで顎を撫でるエリオット。何だかその態度が、強引に話を進めてしまいそうな気がした俺は「今の話で供給の間に入ることを許してもらえるなら、俺でなくても良いじゃないですか」とエリオットに話し掛ける。エリオットは興味深そうな顔付きで「どういう意味だい?」と首を傾げる。


「エリオットさんがソフィア姉様を娶ればいいのです。そうすれば、エリオットさんは俺の義理の兄になります。俺は王族に連なる者と言えるでしょう?少なくともソフィア姉様との間には、同じ血が流れてますから」


俺はアレックスとリーゼの本当の子供ではなかった。だから、リーゼの姉である王妃のリーリアとの家族としての関係はとても薄い。ないと言ってもいいだろう。つまりは、ソフィアにとってはレオンドルは義理の伯父でも、俺からすればそうではない。今の俺では王族との繋がりがない。


でも、同じエルスタード家の血を引くソフィアを、エリオットが娶れば話は違う。実の姉弟ではなくても、家系を考えれば近親と言って差し支えないはずだ。それで許してもらえるのかどうかは分からないが、エリーゼの話よりもとても現実的で実用的な話だと思う。


「そうか。出生についてカジィリア様から話を聞いたんだったね」

「はい、お婆様から詳しい話を聞かせて頂きました。ソフィア姉様は実の姉ではありませんけど、血の繋がりは十分にあります。そのソフィア姉様をエリオットさんが娶れば、俺は十分に王族に連なる者と言ってもいいでしょう?」


俺の提案にエリオットは面白がる様に「ククッ」と小さく笑う。


「少々、強引な考えである様な気はするけど、大きく間違ってはないと言えるかな?でも、そんな勝手なことを言ってしまってもいいのかいルート君?」

「何がですか?」

「エリーゼの望まないことをやめる様に言ったルート君が、勝手にソフィアの結婚相手を決めてしまう様なことを言っていることを、だよ」


ジトッとした咎めるような目で俺を見るエリオットに、俺は問題ないと言わんばかりに胸を張って見せる。


「それなら問題ありません。この話は俺だけが勝手に行ってる話ではありません。お婆様もその気です」


俺の発言にエリオットが何かを思い出す様に天を仰ぎながら「カジィリア様か・・・」と呟いた。俺の知らないところで、カジィリアはしっかりとエリオットにアプローチを掛けていたらしい。その割には、ソフィアとエリオットの二人の関係に進展がないこと、今のエリオットの反応がかんばしくないことに、俺は少し不安を覚える。


「もしかして、エリオットさんはソフィア姉様のこと、そんなに好きではなかったりしますか?」

「そんなことはない。私はソフィアのことを愛しているよ・・・。って、何を言わせるんだいルート君」


俺が尋ねるとエリオットはすぐさま首を振って反論した。そして、エリオットには珍しい照れた表情を見せてくれるので、俺はニヤニヤとした笑みを浮かべる。その分、エリオットには睨まれてしまうが、未来の義兄に睨まれたところで、痛くも痒くもない。


「ほうほう。だったら何も問題ないですね。そもそもソフィア姉様が出している条件をクリア出来そうな人がエリオットさんしかいませんし、エリオットさんなら俺もソフィア姉様を安心して任せられます」

「ルート君は、もう一人条件を満たす者が居ることを忘れていると思うけど?」

「そんな人が居るのですか?居るならソフィア姉様を任せられるだけの人物か見定めたいところですがどなたでしょう?騎士団の方でしょうか?でも、騎士団の方でソフィア姉様よりも強そうな人は居なさそうでしたが・・・」


エリオットにもう一人忘れていると指摘されて、俺は真剣に考える。でも、ソフィアに勝てる人物がエリオット以外に思い浮かばない。同性で良いのであれば、魔法剣を会得したアンジェや魔法の実力をメキメキと上げているティア辺りなら、本気で闘えばソフィアに喰らい付くところまでいけると思う。そんなことを真剣に考えていると、なぜかエリオットに思いっきりため息を吐かれてしまった。解せぬ。


「まあ、とにかく。エリオットさんが覚悟を決めて、とっととソフィア姉様に決闘を挑んで勝ってください。火、風、土、水の四属性を扱えることが出来るエリオットさんが、ソフィア姉様に後れを取る訳がないのですから」

「確かに、ソフィアと本気で闘ったことはないが。でも、それは・・・」

「ソフィア姉様が望んでない、と言いたいのですか?でも、ソフィア姉様が自分よりも強い人でないと結婚しない、なんて条件を付けている時点で、誰となら結婚しても良いと、言っている様なものだと俺は思うのですけどね」


俺が肩を竦めて見せると、エリオットは考え込む様に俯き加減になってしまう。エリオットの中ではすでにソフィアに対する思いがはっきりと固まっていることは、さっきの愛している発言で確認することが出来ている。あとは、エリオットが覚悟を決めて掴み取るだけの話だ。


・・・まあ、自分の中で折り合いを付けるのは難しいことだよな。それよりも・・・。


「今すぐ覚悟を決めなくても良いですが、結果は変わらないと思うのです。だから、観念してそこを通してくださいエリオット義兄様?」

「・・・はぁ、全く君と言う子は・・・。仕方ないね。私も中々に欲深い様だ。良いだろうルート君。未来の義理の弟として、君がここに入ることを許そう」


エリオットはそう言うと、石の扉に手のひらを押し付ける。エリオットの魔力に反応したのか、石の扉に魔法陣が薄らと浮かび始めた。淡い光を放っていた魔法陣が、くっきりとその姿を浮かび上がらせたところで、エリオットが両手で石の扉を押し込む仕草をする。


すると、魔法陣が丁度半分に分かれる様に一筋の隙間が現れると、石と石が擦れる鈍い音を出しながら石の扉が内開きで開いていく。石の扉は内側に九十度まで開くとズンッと大きな音を立てて動きを止めた。ただ扉が開いただけというのに何とも大仰なことである。


石の扉が完全に開き切ったところで、エリオットが供給の間に足を踏み入れながら「どうぞ、ルート君」と言って、後ろについて来る様に手招きする。俺は駆け足でエリオットに近付いて、エリオットの背中にくっつく様にして、供給の間に入った。

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