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恋は思案の外   作者: 幾見咲月
prologue 
1/5

0.いちご組へようこそ!!

 ここは、私立フルーツバスケット保育園。

 県庁所在地の片隅で、0歳児から就学前の児童まで、約150名の子どもたちが毎日元気よく園生活を送っている。

 子どもたちは登園した後、クラス単位で制作活動を行ったり、保育室や園庭で遊んだりしながら午前中を過ごす。給食がおわると幼稚園は家にバスに乗って帰ったりするが、保育園では長時間保育の為午睡の時間がある。

 子どもたちがすやすやとお昼寝している午後のひと時。

 この時間は子どもたちの連絡ノートを記入をしたり、製作の準備をしたりするとともに、トイレにも中々いけない保育士の貴重な休憩時間であったりする。

 保育園で1番小さな0歳児クラスのいちご組でも、子どもたちの連絡ノートに食事の様子や今日の出来ごとを記入しながら、保育士たちが小声で雑談中のようである。



「ひろ先生。はやとくん、ご飯完食してましたか?」

「かぼちゃの舌触りが嫌いだったみたいで、一口だけ食べた後は口から出してわ~。

あっ、とも先生、みほちゃん午前寝何時に起きたっけ?」

「離乳食の前だったから、……10時だと思います」

「了解」



 巴と千尋は互いに聞いたことを記入していく。その間にひとり書き終え、次の子どものノートに手を伸ばしていた有希がいきなり机に突っ伏した。



「はぁーーーー」

「……、有希先生?」

「もぉ!聞いてくださいよ!香先生」



 有希の口癖の『聞いてくださいよ』に、いちご組のリーダーでもある香は手を止めた。

 乳児(0歳児)は3人につき保育に従事する者が1人必要であると国によって定められている。フルーツバスケット保育園の0歳児は10名。その為、保育士は4名は必要であるということだ。

 古今東西。

 女が3つ集まると、言うではないか。『姦』という文字になると。この漢字は、やかましいという意味を持っている。3人で『姦』なら、年齢も性格も様々な4人が集まれば、なんとやら。今日も話に花が咲く。



「あたし、巴先生に友だちを紹介したんですけど、たった3日で音信不通になってるんですよ」

「あっ!!」

「あって、巴先生?」

「そういえばマナーモードにしたまましばらく見ていない・・・・・・かもです?」

「まぁ、しかたないですよ。だって、とも先生だし」

「もぉぉっ、巴先生!!」

「取り合えず、巴先生。携帯できる電話なんだから、携帯しようね?園からいつ電話がかかってきてもいいように」



 1年目のどこか抜けている巴に、3年目の千尋がツッコみ、それを6年目の有希が広げれば、リーダの香がまとめる。



「ああもぅ、巴先生、説教は今週の土曜日にするからねっ!巴先生、千尋先生、飲みに行くわよ!!」

「えぇっ、結構です~」

「はーい、了解!」

「それはまぁ置いておいて……。あなた達、そろそろノートを終わらせないと、もうすぐ午後の離乳食の時間よ?」

「ぎゃー!!」



 香の言葉に時計を見た3人は、慌ててボールペンを持ち直しノートに向かうことになるのだった。



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