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フミール  作者: 天地
少年編
8/25

8話目

 ジェラートは梯子を登りきり辺りを見回す。どうやらここは小さな家のようで、ベット・釜戸・暖炉・机・椅子が置いてあり窓からは銀色の光が差し込んでいた。


 天然勇者達は、ドアを開けると一目散に森の中に入って行った。


 (おい、夜の森の中に入るのかよ! 自殺行為だな……いや、あいつ等のステータスなら行けるのか? 俺が付いてったら真っ先に魔獣に襲われそうだな。モブは一番初めに死ぬからな)


 ジェラートは天然勇者達を追わず小屋の中に居た。


 (かと言ってこのままだと牢屋に逆戻りだしな。隠れるか? 何処にだよ? 人攫いの近くに隠れるなんて現実的じゃない。天然勇者達を追っかけるか? 魔獣バットエンドだろうな。

 となると後は、人攫いを殲滅する? どうやって? モブ並みのしかもレベル0の俺が? アホらしいな)


 シェラートは頭を振っりながら考える。


 (取り敢えず、ここの物と周りを確認するか? うんそうしよう。どれどれ? 先ずは、地下に行く扉だな。分厚い木の扉で下から押し開きか。机と椅子はボロボロだな。暖炉と釜戸も余り使われていないようだ。ベットは藁の上に布を被せただけか。窓は、ちっさ! しかもガラスじゃないんだ、そのまんまかよ! 一応木で塞げるようになってんだ。ドアは頑丈そうだな。役に経つ物が見当たらない! 武器とかないの? おぉう、どうしよう? ………考えてても仕方ない家の周りでも見とくか)


 家から出ると、そこは銀色の光で溢れていた。


(おお、めっさ綺麗じゃん。すげえすげえよ!)


 ジェラートは、見とれていたが今の状況を思い出し辺りの物を探し始めた。


 (しかし、月明かりのおかげで良く見えるな。有る物は、家と森と家の横に薪ぐらいか。……うぉ!びっくりした家の裏は崖だったのか! 暗かったら落ちて死んでたな。収穫は無しか、詰んだなこれは………)


 ジェラートは自暴自棄になりながら崖の下を見ていた、すると赤い光がチラチラと浮かんでは消えている。


 (………ゆっゆゆ幽霊? え。えええ~マジで、マジで幽霊なの? ちょい幽霊とかマジでダメなんだけど!?)


 ジェラートは、ガクガクブルブルと震えながら後ずさりしていたが、


 (ちょい待て、ここは異世界魔物もいる世界、霊体型モンスターもいるだろ………多分そうだ、ウィスプかなんかだろ? 怖くない怖くない怖くなんかないぞ!)


 ジェラートは、震える体を動かし崖へと近づいていく。よく見ると赤い光はチラチラと消えたり点いたりしているが、同じ場所から動いていない。おかしいと思いよく見ているとそれは、炎の光に似ていた。


 (どう言う事だ? 何故、炎の光が見える? 何か頭に引っかかるだけど)


 ジェラートは、頭を掻き毟り考えていたが地下での出来事を思い出した。


 (地下に居た奴ら、そこから漏れる光………そうか! そう言う事だったのか! 謎は全て解けた。私に解けない謎は無い!)


 ジェラートは、両手を広げ天を仰いでいたが、この場所には彼を賞賛する者は居ないその事が、彼が滑稽なピエロのようだった。


 (あれだ!あれだよ! ワトソンくん、地下で火を焚けば酸素がなくなり死んでしまう、だから空気穴を崖の方に開けていたんだ。それが、ウイスプの正体さ! あぁ~、スッキリしたな~………あれ、現状何も良くなってないよね。………無駄な時間過ごしたな。………ん?何かまだ引っかかってるような気がするな? 何だ?)


 頭を振っていたジェラートだが、振るのを止めると小屋を凝視し始めた。


 (この方法は使えるか? いや待て先ずは確認してからだ)


 ジェラートは家に戻ると壁・窓・ドアを確認し始めた。


 (壁は頑丈に出来ている、窓の木とドアも頑丈そうだ。後は、そうだ布と藁があったな! 行ける行けるぞ! これならあいつ等を殲滅する事が出来る! 勝った! 勝ったぞ!)


 ジェラートは興奮しながら、窓を閉め隙間に藁をビッシリと詰めていた。

 

 全ての窓とドアに、同じように藁を詰め終えると今度は地下へと続く扉を占めた。

そして、机の上に乗り手から水を出し始めた。


 (ハッハハハハハ。これぞダンジョンで良く有る水責めだ! 気づくのが遅ければ水圧で下からは開けられない。無理に開ければ水責め完璧だな!)


 ジェラートは水を出しながらほくそ笑んでいた。水かさが高くなり天上に達するまで余り時間は掛からなかった。


 それもそのはず、ジェラートは1分間に600Lの水を出す事が出来る。アイテムボックスには60万の水が有るので、無くなるまでは出し続けられる。


 (扉を開けない事があれば、天井をぶち破り布で外に出れば良いだけだし何も問題無いな!)


 ジェラートは全く役に立っていない机の上で、泳ぎながらほくそ笑んでいたがその表情が凍りついた。

 

 (やべーーーーーー、地下に別の抜け穴が有ったらどうしよう? 地上の家から入ってきたら意味がない! 外に出てた仲間がいてもアウトだ! 穴が有りすぎだ!)


 ジェラートがパニックを起こしていると水かさが減り始めた。


 (やばっ。取り敢えず水出し続けないと!)


 ジェラートは水を出し続ける、減る量は多くはないが少しずつ減ってゆく。

そして、ついにジェラートのアイテムボックスから水が無くなった。

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