7話目
「ハッ」
ジェラートは鈍痛と共に勢い良く起き上がった。後頭部に手の平を当てるとコブが出来ているようだ。
辺りは暗くなっており人がげすら見る事が出来ない。いや、違うようだ。石畳にかび臭い匂い鉄の柱があるこれは。
(牢屋だな。え? どうしたの? なんで俺が入れられてんの?)
ジェラートは混乱しながらも辺りを見回していた。するとだんだん目が慣れていき見渡せるようになってきた。
迎えの牢屋に、一緒にいた子供達の姿が見えた。どうやら別々の檻にジェラートとその他で分けられているようだ。
(………一人かよ、ハブられてんの? 殴られたし。)
殴られた時の事を思い出し怒りが溢れそうになるが、それより先に現状を確認することにした。
(俺達以外は見当たらずオッサンの姿はない。牢屋は全部で2つ牢屋部屋の奥から光が漏れている。俺を殴ったクソガキとその他はぎゃあぎゃあ五月蝿いし、女は泣き叫び、男は壁を蹴ったり、鉄の棒を外そうとしている。天然勇者だけが冷静みたいだな)
ジェラートが状況判断をしていると、通路から光が近づいてきた。
しらない男が松明片手に牢屋を覗き込んでいる。男はやけに汚らしくヒゲなど伸ばし放題のようだ。
どうやら食事を持って来たようで、ジェラートが居る牢屋にパンを一つ勇者達の方に7つ放り投げていた。
放り込まれたパンを天然勇者が両手で掴み貪り食い始めた。このままでは自分の分も食べられると思ったのか他の奴らが怒鳴ったり、掴みかかっている。
(うわ……最悪だ自分の事しか考えてないのかよ)
ジェラートが、浅ましいと思いながら見ていると天然勇者の様子がおかしくなり倒れてもがき苦しんでいた。他の者は突然だったので少し硬直し天然勇者の様子を見ていた。
どうやら喉が詰まってしまったようだ、牢屋の中の子供達は外にいる汚い男に何か叫んでいる。
「hngjfhahfjakjdfjdlkjflk」
「klfdjgkjsaldkfl;ksdlkflkdlf」
汚い男と子供達は言い争っていたが、天然勇者が唐突に動きを止めた。
(死んだのか? ……自業自得だな)
汚い男は、天然勇者が死んでは困るのか慌てて牢屋の鍵を開け中に入って行き天然勇者を覗き込んでいる。
赤髪短髪が汚い男の後ろ後頭部に鋭い蹴りを放った。男は何も言わず地面に激突する、男が動かない事を確認すると天然勇者が何事もなかったように立ち上がった。
(オゥ……。芝居だったんだ騙された! めちゃくちゃリアルだったし騙されても仕方ないよな? うん仕方ない)
天然勇者は、汚い男が身に付けている物を漁りナイフや袋(財布)を奪い取った。そして牢屋の鍵穴に刺さったままの鍵を抜きジェラートの牢屋の鍵を開けた。
ジェラートは頭を下げ感謝したが、天然勇者以外の6人はジェラートを見下していた。
(くそ、何なんだこいつ等は馬鹿にしやがって! 偉そうにしやがって、助けてあげたから感謝しなさいってか? 誰がするか! 殴られたしな!)
天然勇者達はここから脱出するようなので。ジェラートも最後尾について行く事にした。
牢屋部屋から出ると通路は左右と前にい伸びており、右から松明の光と複数の話し声が聞こえ左には木の扉、前には梯子が伸びていた。天然勇者達は、前へと進み梯子を上がって行く。