竜騎士
初めての人は初めまして 知ってる方はお久しぶり kiririnです
この作品は私の初めてのジャンルの挑戦で書いてみた小説です。
いたらないとこ等あると思いますが、お付き合いしてくださるとありがたいです。
では読者の皆さん ちょっと違ったジャンルに手がけたkiririnの小説をご覧下さい。 ノシ
1
ガルディック広場
大きな都市の一つで水の都で有名な観光地でもあった。
綺麗な水が街中に流れており、あちこち見渡せばゴンドラに乗った観光客がゆっくりと波に揺られ楽しんでいた。
広場の中心にはこの街のシンボルの塔が建ててある。
実際は塔じゃなく塔の中にある宝玉がシンボルかもしれない。
その宝玉は「水の精霊の贈り物」という言い伝えが昔から叔父からよく聞かされていた。
これは幼少期から学校で学ばされていたくらい知っておくべき事らしい。
水のシンボルに落書きをしようものなら、特別指導ではすまないくらいのレベルだ。
まぁそんなワケだが、俺はそんな事はお構いなく塔の屋根で寝そべってるわけだが。さっきから下がうるさい事この上ない。
「先輩!そこ降りましょうよ!大佐に見つかったら始末書ですよ!」
下でぎゃあぎゃあ喚く奴がいるが放置放置。
俺はこの場所が一番好きなスポットだ。風がとても気持ちよく何より街一番の高い建造物なのだから街の全てが見舞わせた。
俺はふと横に鳥がいる事に気づいた。ニヤリと笑って
「ここは俺達だけのスポットだな」
頭を抱えるように後ろで組み、絶景に俺は浸る。
遥か遠くを眺めるように。
「先輩!大佐来ました!」
眺めていると下から大きな声で知らせる後輩。
「…あー、クソ大佐来たのかよー…メンド…」
ダルさ100%でため息を深く洩らす。
すると、右下から水の塊が俺に向かって飛んできた。俺はすかさず、屋根から身を投げ出して間一髪で回避した。
俺に不発だった水塊は見事に屋根に直撃して屋根を半壊し、水塊は拡散した。
俺は下に落ちながら屋根にクリティカルヒットした事に、口笛を吹いた。
「先輩!落ちてる!!」
あー、うるせェ後輩だな。ぎゃあぎゃあ喚くなっつうの。
落ちてる本人が慌ててないのに、見てる奴が慌ててるっておかしいだろ。普通は驚愕だろ?あ、同じか?
何て事を思いつつ下屋根の残骸と一緒に頭から急降下。
さっきの爆発で野次馬がゾロゾロと周囲には集まっていた。
「はぁ…あんま人の前では能力使いたくないんだがな…」
そんな事を言ってられる状況でないのも確かなワケで…。
俺は小さく舌打ちし、身体の重心を少し変えて、仰向けで落ちていく。
落ちながら右指の人差し指をクイッと上に向ける。
「先輩!危な…え!?」
後輩は疑問に思った。風の方向が明らかに変わったからだ。
風の方向は真下からだった。下から巻き起こる風は暴風に近かった。
野次馬達は飛ばされないように踏ん張る者や帽子が飛ばされないように押える子供やスカートがめくれないように押えたりするほどに。
俺を挟んで風と重力がぶつかった。
加速する速度がどんどん軽減されていく。
風は全て俺に直撃しているのではなく、全体を纏うような動き方だった。
そうして徐々に下降して-------
地面に激突した。
「……」
おい、何だこの有様。野次馬の前で不着地って格好悪すぎだろ!ここは着地して「おぉー」って歓声だろうよ。
「先輩…?大丈夫ですか?」
後輩はそーっと近づいて俺を眺める。
「大丈夫だ。問題ない」
地面に手をつき立ち上がる。すると目の前に大佐と呼ばれる人が俺に向かって言う。
「よぉ、遊び人」
「こんにちわ、クソ大佐」
あぁ?とガンつけてきたので、俺もガンつけ返しした。
「クソ大佐、屋根ぶっ壊したよな?これ始末書じゃねぇの?」
「屋根にカビが付着していたものでな」
「あぁ?」
大佐の安い挑発に乗っかる俺。無駄に冷静な態度にもっとムカついてくるわ。
「屋根は問題ないだろ。重要なのは中身だからな」
大佐は涼しげな顔で塔を見上げる。
「中の宝玉に問題なければ問題ない事ぐらい知っているだろう」
確かに中のがシンボル本体ってのも俺は知ってる。だが、市民は知らない。
「けっ!軍の連中がする行為じゃねぇような気がするがな」
「ふんっ貴様も一応軍の人間だろう。シンボルに尻をつけて寝るなど考えられないよ私は」
ああ言えばこういう奴嫌いだ。
「あぁー、俺行きますわー」
「何処に行く気かね。竜騎士」
ピタリと足を止めて俺は首だけ振り向く。
「その呼び名で呼ぶな」
「そうか? なら名前で呼んだ方がいいかね?」
「黙れ クソ大佐」
「躾が難しい戌だこと」
竜騎士。それは俺の所属する組織だ。
組織というか集団だ。
どんな集団かというと、一つの戦闘部員だと思ってくれればそれでいい。
だが毎日戦闘沙汰なワケじゃない。
日々の日常はギルドという「軍」から月に二.三回依頼書が届く。その内容は様々だ。
対怪物討伐依頼/納品依頼/探し物依頼/護衛依頼/等たくさん存在する。
そういった依頼をこなすのが俺達「エンブレム」の名を持った集団だ。
「エンブレム」は集団のかざすチームみたいなものだ。言わばパーティだ。
「エンブレム」を持ったパーティは日々戦力拡大をする為に依頼をこなして名誉を手に入れていく。
もちろん、難易度が高ければ高いほど特別な称号がついたり、有名になる事ができる。
俺はその「エンブレム」の名を持った竜騎士と言うパーティのリーダー的位置だ。
まぁ俺は乗り気じゃなかったがな…。
「じゃあな 大佐」
「し、失礼します 大佐」
俺はそういい残し動揺気味の後輩とガルディック広場を立ち去った。
黒髪黒眼で黒のパーカーで身を包む彼こそが竜騎士パーティリーダーだ。
2
汗を掻きながら人道を速度を落とさずに、少年と少妹らしき少女は走り抜ける。彼達は追われていたのだ。
一人の「エンブレム」の名を持ったパーティーに。
少年は妹の手を引っ張って人気のない道は極力避け、隠れる場所を探す。だがしかし都合よく人通りがあるところに隠れ場所などある筈がなかった。
彼は息を整えるため、すぐそこの建物に身を隠した。
二人は別に追われるような事はしていない。物を盗んだり等していないのだ。
少年の服はところどころ破れており、とても公衆の前で着るような容姿ではなかった。
靴は足の小指の場所が破けていたりといい環境の家庭とは思えない有様だった。
女の子の方はオシャレとか興味がある年齢だが、とてもオシャレとは言いがたい服装だ。千切れてシミだらけのピンクのスカートを着ているがそこに美しさ可愛さはなかった。
兄らしき少年は一週間も洗ってないだろう服に躊躇わず汗を拭う。
彼の手をまだ離さず握っている少女を見る。
「美紀心配するな。兄ちゃんが居るから大丈夫だ」
美紀と呼んだ少年は兄で美紀と呼ばれた少女は妹のようだ。
名前を呼ばれ美紀は兄の顔を上目遣いで目に涙を溜めて見る。
「お兄ちゃん…私…怖いよ…何で追われてるの…?嫌だよ…」
少年は美紀を抱擁するように強く抱きしめる。
「大丈夫だから…何とかするから」
彼は小さく決意するように呟き離さないようにもっと強く抱きしめる。
ある程度息が整えた少年少女は勢いよく人道を駆け抜けていった。
………
……
…
3
少年は裏路地でぐったりと壁に背中を預けて脚を投げ出すように倒れていた。
少年は泣いていた。下を向き涙を流す。
彼の手元にあったハズのブレスレッドは手中にはなく、かわりに身体がズタボロになっていた。
彼は守れなかったのだ。大切な母から貰った宝物を。
「畜生ッ…!奪われた…」
少年はコンクリート製の地面を思いっきり殴った。手がジンジンして痛かったが止めれなかった。
それよりも心が痛かったからだ。紛らわす為にしたつもりだったが、どんどん心が苦しくなってまた涙が溢れ出した。
「う…うぅ・・・」
どれ位泣いたであろうか、人道への方から声が聞こえた。
「おい、そこの泣き虫」
声の主はフードを被っており、顔が分からなかった。
全体的に黒が特徴的なパーカーを着ており背が平均より小さい少年がいた。
泣きながらも謎の人をみる。
「泣き虫じゃない…」
「泣いてるじゃねェかよ」
黒い人は呆れたように笑う。
俺はその場を立ち上がって人道に出る為歩み始めた。
黒い人を通り過ぎようとしたとき呼び止められた。
「お前、一体何あったんだ?そんなズタボロでよ」
立ち止まり黒い人を目だけで見る。
「別に…何でもないです…」
「あッそ、さっきの連中の事知ってたんだが、まぁ何でもないならいいや」
すると、少年は黒い人の胸倉を掴んで問いただす。
「お前知り合いなのかッ!アイツの手下か!何処にいる!」
黒い人はジト目で俺を見続けるだけだ。
「何でもないんだろ?」
黒い人はニヤリと楽しむように笑う。
「あと、あいつ等と一緒にするな」
そういうと少年の手首を掴み無理やり遠ざけた。
「なら教えてくれよ…アイツ等は何処にいるんだよ・・・」
「何しに行くつもりだ?殴りこみにでも行くつもりか?」
「そうですよ…僕は行かなきゃダメなんだ。大切な妹を誘拐されたので…」
「諦めな、あいつ等は人間相手でも殺す気来るぞ。お前みたいな奴が行っても死ぬだけだぞ」
俺はここで大きく怒鳴った。
「でも!大切な妹なんです!たとえ死ぬ事になっても妹は絶対助けますッ!」
「じゃあ勝手に行って勝手にくたばってきな。こんだけ言ってもわからねェなら行ってくればいいさ」
黒い人は翻って人道に向かって歩き始め、少年に告げる。
「バーボック地区……あいつ等の拠点だ」
そう言うと黒い人は人道に溶け込んでいった。
立ち上がり涙を拭い、少年は歩む。
たった一人の家族を救う為に。
………
……
…
4
バーボック地区は昼でも夜のように暗く光源の太陽は深い木々で遮られている。そのため日中闇のように真っ暗なのである。
光源がないため歩くのにも一苦労だ。懐中電灯が無ければ思うようには動く事は間々ならないだろう。
少年は懐中電灯を持ってるわけもないが歩く。少なくとも彼の歩く場所は光源はあった。途中途中に吊り下げランプがあるおかげで少年は何とか歩く事は出来た。
それもそうだろう。今じゃここはある「エンブレム」の拠点になっており、暗闇でも大丈夫なよう色々設置されていた。
結構歩いていると目の前に大きな倉庫のような建物が目に入った。
そう…ここが「エンブレム」の名を持つパーティーのアジトだ…妹を攫った集団だ。
少年は深呼吸をする。今から妹を助けるため「エンブレム」に立ち向かうのだ。頭では理解していた。何の能力も持たない俺が行っても殺されるって事くらい。
だが、行かないワケにもいかなかった。黙って妹を見殺しにするくらいなら立ち向かって散っていったほうがマシだ。
深呼吸を何回か行って、スライド式の鉄板扉を開けた。
倉庫の中は、ほろ明るく外よりもちょっと暗かった。
「お?コイツが女と同伴していた野郎かァ?」
少年は前の方から声が聞こえ歩みを止める。
目を凝らして見たら一人の人物が踏ん反り返って椅子に座っていた。
「はい間違いありません」
横に立っている世話役といった感じの鎧を身に纏った者がそう答える。
「よし俺が当たったな。後で酒場での飲み会はお前が全額払いだなァ」
「はぁ…了解です。グラン様」
椅子に座ってる者はグランと言うらしい。グランは低く笑い少年を一瞥する。
「おいそこの餓鬼。まさか女を助けに来たとかほざくなよ?」
グランは少年をゴミを見るような視線で見てきて、少年はカッとなった。
「妹は何処ですか!妹は無事なんですか!」
「お前兄なのか?ガッハッハッハ」
グランは高らかに笑う。
「わりぃな。お前の妹は見た目はちょいと可愛いからよォ。家族もお前だけのようだし、色々と都合が良くてなァ…。俺の専属奴隷にさせてくれよ。なァ?」
少年は頭に血が上り、グランに襲い掛かる。
グランは表情を変えずに告げる。
『グランド・スピア』
その瞬間、グランの付近の床が棘のように変化し、少年に向かって飛ぶ。
「ぐはッ…!」
棘が腕に刺さり床に倒れる。
「いいだろう?奴隷って言っても生活は保障付きだぜ?俺を奉仕するだけでフリルのついたドレスや酒が飲めるんだぜ?ガッハッハッハ」
「ふ…ざけんなッ!妹を返せ!」
「おいおい…妹の人生に兄まで介入しないでもらいたいなァ」
少年の腕から血が流れているのも関係なく立ち上がりグランに近づく。
「……惨めなゴミだな…。『グランド・スピア』」
再度少年に棘が襲い掛かる。
「が…はぁッ!」
吹き飛ばされ地面を転がる。
だが…少年は立ち上がる。
目が相手を定めきれなくとも、足を引きずってでも歩く。
少年は圧倒的な力の前でもめげずに立ち向かう。
「美……紀…」
「おい泣き虫。何泣きそうなツラしてんだよ。救うんじゃねェのか?」
急に後ろの鉄板扉の外から声が聞こえ、振り向く。
「てめェは妹を救うために来たんだろ。死ぬために来たとか言わせねェ」
距離が段々と近くなる。扉の向こうから黒いパーカーを着て黒髪黒眼の人物が光源に向かって歩いてくる。
「誰だ!!直ちに退却しなければ殺す」
グランは中に入ってきそうな人物に警告する。
「あぁ?許可制なのか?これはスマンな。俺アポとかメンドイからしないんだわ」
黒い人の姿が露になった。
「黒い…人…」
少年は呟く。倒れていたところに来た人物だった事にビックリした。
「ん?黒い人?なんじゃそれ」
黒い人は頭にはてなマークを出現させたが、グランに向き、黒い革製のズボンの前ポケットに手を突っ込み言う。
「コイツの妹返してやんな」
「ふん!貴様に指図される筋合いはないなァ」
「さいですか…」
黒い人はため息を洩らし、少年に告げる。
「待ってろ。お前の大事な妹助けるから、お前は休んでろ」
「何で…助けてくれるんですか…?」
「……。さぁな」
黒い人は問いには答えず、グランに再度向き告げる。
「『エンブレム』竜騎士所属」
黒い人は淡々と告げていく。
「黒月一弥 処刑名『ルナ』」
右足を一歩前に出してグランを睨み、こう叫ぶ。
「てめェを倒す者の名だッ!!」
はい まず最初に言いますが、いいところで終わらせていますね。
この小説を書いていたので「兄×妹」が疎かになってしまってました^^;申し訳ないですねorz
どうだったでしょうか?kiririnの第二作?の小説は
これは連載しようか迷って短編で書いてみました。
もし評判が良かったら、連載する…かもです
感想をドシドシ待ってますので!
では今回はこの辺で筆を置かせてもらうとして、「兄×妹」の制作に取り組むとします(笑)