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謝った二人を見て華奈はしょうがない、といった様に肩をすくめてみせる。
「まぁ、いいけどね。本当に突然だったし」
「ですよねー」
「だけど、頭おかしくなったはないなぁ」
「華奈さんすみませんでした!」
勢い良く頭を下げる美桜を横目に、華奈は先程の問いの答えを言う。
「小説を書くのはね、メールでも言ったように本当に気紛れなんだよ」
「気紛れで小説って……」
麻音は華奈を見ながら、ぽつりと呟いた。
その呟きを隣で拾った美桜は、少し思う所があるように口を開く。
「気紛れねー。ま、今はネットでも書けるし」
「そっか、確かに。携帯小説だってあるね」
美桜と麻音の言うように、書く場のハードルは低くなっていて、書こうと思えば書ける時代なのだ。
書き手は様々、作品はピンからキリまで、である。
そして、読み手もしかり。
「まぁ、そんな感じであたし達をモデルにして、これから書くんだけど」
ここから、本題。
「二人には始まりだけでも伝えておこうと思って」
だから、こうしてそれぞれの時間を少しだけ割いてもらったのだ。
割いてもらった、と言うには僅かすぎる時だけれど。
歳を重ねるごとに、同じ出来事を共有するのは難しくなっていく。
時間を作って、会って、話して、交わるのだ。
離れても、心を感じることが出来るように。
「Once upon a time」
―――それは、まるで。