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19 【雑談】読み聞かせ【リュシア】

夜。


WaveTube。


配信開始。



『皆さん、こんばんは』


トク……


ティーカップへ、 静かに注がれる音。


コト。


画面外へ、 ポットが置かれる。


少しだけ間。


『……静かですね』


『何かあるといけないと』


『気をつけています』


両の手を、 そっと重ねる。


指先が絡まる。


コメント欄。


> 今日も静か

落ち着く

夜だ……




『皆さんの言葉で』


『周りを、事故が起きないようにと片付けますと』


『少し……周りが寂しくなってしまいました』


コメント欄。


> あっ

ちょっと申し訳ない

安全になった代わりに生活感減った




『恵那ちゃんに』


『この配信についてを取り上げて下さる方が』


『いらっしゃったと伺いました』


『そのような親切な方がおられるのですね』


コメント欄。


> あー……

親切……うん……

伸びてる新人にあやかりたい人達だぞ




> 下心だぞ




『……?』


少し首を傾げた気配。


『お手紙を出したいのですが』


『駄目なんでしょうか?』


コメント欄。


> あっ

危険

やめよう


> 『個人情報は出してはいけません』




『個人情報……』


『菓子折りなどは?』


コメント欄。


> 可愛い

発想が昭和

お礼の文化が丁寧すぎる



> 『それも控えなさい』




『はい……』


少ししゅんとした声。


コメント欄を見る。


『アカウントがあるなら……』


『配信者のところへ行って』


『コメントを残すと良い……ですか?』


コメント欄。


> そうそう

それでいい

ネット社会適応中




『ありがとう御座います』


『恵那ちゃんに会った時に』


『また、何方か確認することにします』


カチャ。


ティーカップを持ち上げる。


画面の外。


こく……


静かに喉が鳴る。


カチャ。


『未亜ちゃんに』


『見てもらいました』


『すごく驚かれました』


『登録人数が一万を超えてると』


声色は変わらない。


けれど、 少し不思議そう。


『文化祭の来場者くらいですか?』


コメント欄。


> www

スケール感独特

学校基準




> それだけ人いるのすごいぞ




『見に来て頂いてる方は……』


視聴者数。


113。


少しずつ、 数字が増える。


コメント欄。


> じわじわ増えてる

配信者も見に来てるぞ多分




『……?』


『そうなんですか?』


ソーサーを少しずらす。


カラン。


『家にあった私物を』


『いくつかこちらに持ってきていますので』


『一つ、見せますね』


席を立つ。


ゴソ……


ギィ……


引き出しを開ける音。


何かを擦る音。


椅子を引く。


静かに座る。


『戻りました』


画面へ。


重厚な本。


深い色の革。


金具。


コメント欄。


> 本!?

古そう

革装丁!?




『絵本ですね』


『日本昔話の内容が入っています』


『手製本だと聞きました』


コメント欄。


> えっ

手製本?

金具ついてるぞ……




> 有識者呼べ




『……?』


『皆さんは』


『日本昔話はどのような内容をご存知ですか?』


コメント欄。


> それどころじゃないw

本が強い




『美術品的価値……ですか?』


『これは、絵本ですよ?』


コメント欄。


> 感覚が違う

家が怖い

分厚いんだが……




ペラ……


ゆっくりページが捲られる。


『読みますね?』


コメント欄。


> 読み聞かせだ……

寝る前に効く




猫と鼠の絵。


『「ねこが、ねずみをおいかけるわけ」』


ペラ……


紙の柔らかな音。


『「むかし、むかし、遠い昔の十二月の大晦日、神さまは動物たちに言いました」』


少し間。


静かな声。


『「明日の元旦、私の所に挨拶に来なさい。来たもの順に、十二匹に一年をあげます」』


コメント欄。


> 声が良い

ASMRすぎる

落ち着く……




『「ネコさんは、神さまの所に行く日を聞き逃したので、ネズミに何日にあるのか聞きました」』


『「ネズミは二日だと答えました」』


ペラ……


『「ウシさんは、自分は歩くのが遅いので夜に出発し、それを見たネズミさんはウシさんの背中に飛び乗りました」』


ページが捲られる。


絵本の動物達。


『「朝早く、ウシさんは神さまの住む宮殿に着き、門が開くと同時に」』


『「ネズミさんはウシさんの背中から飛び降りると、真っ先に神さまの所へ走りました」』


コメント欄。


> 鼠、普通に酷い

裏切りで草




ペラ……


干支が並ぶ絵。


『「ネズミさんや。お前が一番じゃ。一年目をあげよう」』


『「ウシさんや。お前は二番じゃ。二年目をあげよう」』


静かな声が、 淡々と続く。


『「続いて、トラさん、ウサギさん、リュウさん、ヘビさん……」』


虫の声。


ページの音。


遠くの夜。


『「次の日、ネコさんは神さまの所へ行きましたが、もう後の祭りです」』


『「ネズミさんに騙されたと気づき、かんかんに怒りました」』


最後のページ。


猫が鼠を追いかける絵。


『「それ以来というもの、ネコはネズミを見ると狂ったように追いかけます」』


ペラ……


本が閉じられる。


静かな夜だった。

【雑談】リュシア総合スレ



156:名無しの観測者

最後の『狂ったように追いかけます』でちょっと笑いそうになった


157:名無しの観測者

分かる


158:名無しの観測者

淡々と読み上げるから逆に面白かった


159:名無しの観測者

でも読み聞かせ、 普通に良かったな……


160:名無しの観測者

寝る前に効く


161:名無しの観測者

絵本のページめくる音、 あんな落ち着くんだな


162:名無しの観測者

紙の音がやたら柔らかかった


163:名無しの観測者

本自体がやばい説


164:名無しの観測者

あの革装丁、 普通に博物館レベルでは?


165:名無しの観測者

『これは、絵本ですよ?』


166:名無しの観測者

感覚が違いすぎる


167:名無しの観測者

家の“普通”が怖い


168:名無しの観測者

あと読み方な


169:名無しの観測者

声優系じゃなく、 本当に“読んでもらってる”感じだった


170:名無しの観測者

祖父母に読んでもらった記憶蘇ったわ……


171:名無しの観測者

なんか、 空気が昔の家なんだよな


172:名無しの観測者

分かる


173:名無しの観測者

畳と木の匂いする


174:名無しの観測者

あと地味に怖かったの、


“本物の読み聞かせ文化で育ってる”感


175:名無しの観測者

それ


176:名無しの観測者

動画じゃなく、 人から読んでもらって育った感じ


177:名無しの観測者

夜に本読んでもらって寝る家庭、 今どんだけ残ってるんだろ


178:名無しの観測者

しかも手製本


179:名無しの観測者

“家にある絵本”の格が違う


180:名無しの観測者

あと登録者一万を文化祭換算してたの笑った


181:名無しの観測者

スケール感が学生


182:名無しの観測者

なお視聴者113人


183:名無しの観測者

その113人の中に配信者結構居そう


184:名無しの観測者

今日もミオン来てたろ多分


185:名無しの観測者

どれ?


186:名無しの観測者


> 読み聞かせ、 普通に需要あるんだよな……




187:名無しの観測者

あっ……


188:名無しの観測者

なんかミオンっぽい


189:名無しの観測者

“需要あるんだよな”の業界人感


190:名無しの観測者

あと、


> ページ音いいな




これも怪しい


191:名無しの観測者

音フェチ配信者の目線なんよ


192:名無しの観測者

というか最近、 配信者側が普通に視聴者になってる気がする


193:名無しの観測者

分かる


194:名無しの観測者

数字疲れした後に見ると、 脳が静かになる


195:名無しの観測者

配信界の温泉


196:名無しの観測者


197:名無しの観測者

でも本当にそんな感じ


198:名無しの観測者

なんか、 “競争”から外れてる空気なんだよな


199:名無しの観測者

なのに伸びてるの不思議


200:名無しの観測者

そこが怖い


201:名無しの観測者

普通、 もっと刺激必要だからな


202:名無しの観測者

切り抜き映えもしないのに人来る


203:名無しの観測者

“空気”を見に来てるから


204:名無しの観測者

あと、 今日の『菓子折りなどは?』かわいすぎた


205:名無しの観測者

昭和の礼儀文化


206:名無しの観測者

ネットに向いてない優しさしてる


207:名無しの観測者

だから逆に見てしまう


208:名無しの観測者

あと地味に、 “何かあるといけないと気をつけています” が寂しかった


209:名無しの観測者

分かる……


210:名無しの観測者

事故防止で生活感減ってるんだよな


211:名無しの観測者

視聴者が安全にした結果、 ちょっとだけ現実感が薄くなる


212:名無しの観測者

でも守りたいしなぁ……


213:名無しの観測者

厄介保護者増殖中


214:名無しの観測者

あと最後、 絶対途中で寝落ちしたやついるだろ


215:名無しの観測者


216:名無しの観測者


217:名無しの観測者


218:名無しの観測者

おやすみ読み聞かせ枠だった


219:名無しの観測者

そのうち昔話シリーズ始まりそう


220:名無しの観測者

普通に聞きたい


221:名無しの観測者

でもあの子、 “需要を狙って”やらないんだよな


222:名無しの観測者

だから良いんだろうな



---


深夜2時31分。


スレッドには。


眠る前の人達が、 まだ少しだけ残っていた。

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