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女神様に溺愛されたアイは宝石魔法を覚えて、モフモフな使い魔と一緒に異世界スローライフを送る  作者: 色石ひかる
第5石_エメラルド

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第30話_癒しのエメラルド魔法

 街で会ったのは大聖女様だったけれど、聖女様がどの程度まで回復できるのかをプレシャスに聞いた。


「重傷や重病を治せて、魔物の弱体化も可能です。国にとってはある意味、国王よりも重要視されています」


 聖女様が王都に住んでいる意味が分かった気がする。王都を魔物から守れて、王族や重要人物などが重傷や重病になっても聖女様なら治せる。たしかにプレシャスが話すとおり、国にとって欠かせない存在の意味もわかる。


「聖女様にはすごい魔法があるのね。死者でも生き返せるの?」


 元の世界にあるゲームなどではよくある魔法だけれど、この世界ではどうなのか知りたかった。


「自然の摂理に反するので、聖女でも死者蘇生はできません。ただこの街出身の大聖女はイロハ様に会った影響で特別な魔法が使えて、重体や難病を治せます」


「聖女様でもむりなのね。神聖魔法の効果が把握できたから神官くらいの回復を考えてみる。このくらいでもハンターには有効で、使っても違和感がないと思うのよ」


 せっかくだから、ふたつの魔法を作ろうと思った。ひとつは旅や魔物退治用に汎用性が高い回復魔法で、もうひとつは疲労回復の魔法が面白そう。寝る前に疲労回復の魔法を唱えれば、目覚めのよい朝が迎えられる。


「アイ様の魔法は見た目も重要視していますが、今回も同様でしょうか」


「その通りよ。回復魔法だから剣や盾と違って形がないから、そこまでの表現はできないけれど、使う宝石の中身は凝るつもり」


「わたしの知らないエメラルドを見られそうです」


 プレシャスが7色の瞳をかがやかせながら、私を見つめる。それに応えられるような、エメラルドの特徴を思っている中身を考えていた。


「ふたつの魔法を作るつもりで、ひとつ目はあざやかな緑色で知られる地域のルースで、ふたつ目は見た目が楽しいトラピッチェね。トラピッチェは黒い6本の筋が放射状に広がっていて、6角柱の成長と一緒に6本の筋も成長する魅惑的な現象よ」


 答え終わったあとに該当する写真をプレシャスに見せる。ルースで表示されるので6角柱ではなかったけれど、その状態でもトラピッチェは存在感があった。


「不思議な現象で、宝石魔図鑑の宝石には興味がつきません」


「宝石魔図鑑にはいろいろな宝石があって、私も知らない宝石もあるから、中身をみるだけでも楽しくなる」


 宝石の中身が決まったので、魔法の効果について続きを話す。


「魔法の効果だけれど、ひとつ目の魔法は日常の病気や魔物退治で発生する怪我や状態異常が治せて、ふたつ目の魔法は精神と肉体が完治する魔法にする。疲労回復ができれば疲れもなくなるから便利よね」


 私が考えた魔法にプレシャスも頷いてくれて、呪文も考えたあとにふたつの魔法を宝石魔図鑑へ記入した。


「記入してあった見た目はすてきで、実際の魔法をみるのが楽しみです」


「回復魔法はイロハお姉様由来の魔法だから、神秘的な雰囲気を出すために光の粒子や閃光で回復の感じを出したのよ。文章や言葉だと説明がむずかしいから、実際に魔法を試したほうが早そうね。最初はひとつ目の魔法を唱える、真緑しんりょくエメラルド」


 自分の胸に手を向けて唱えた。


 宝石魔図鑑から基本ルースが飛び出して、基本ルースから緑色の光が粒子となってあふれだす。緑色の粒子は私の胸を覆ってから、数秒をかけて色合いが薄くなりながら徐々に消えた。


「幻想的な雰囲気で、効果や威力はどうでしたか」


「いまは傷などないから体に変化は感じなかったから、どこかで試す必要はありそうね。次はふたつ目の魔法ね、結晶けっしょうエメラルド」


 続けて魔法を唱えた。


 すでに出現している基本ルースから緑色の6条光が花火のように飛び散った。最初の魔法に比べて強い光が私の体に降り注ぐ。私自身を光の壁が包んで、手を伸ばすと光の壁にぶつかって隔離されていた。1分間程度で光の壁がなくなった。


「アイ様、大丈夫ですか。光の壁が出現して、わたしでも中に入れませんでした」


 心配そうにプレシャスが聞いてくる。


「問題なくて平気よ。想像以上の演出だったけれど清々しい気分になって、体も軽くなったよ。疲れも取れたみたい。ただ見た目で誤解を招きそうだから、普段は真緑エメラルドがあれば充分ね。あとは実際に怪我などを治して確認したい」


「わざと怪我するのはお止めください」


「痛いのは私も嫌いだから、ハンターギルドに行って魔物退治で怪我した人がいたら治してみるね。それなら私も相手も喜ぶから問題ないはずよ。ハンターギルドへ行くのなら、マイリンさんにお金の価値も聞いてみたい」


 私の考えにプレシャスも同意してくれて、昼食後にプレシャスと一緒にリガーネッタの街へ向かった。


 ハンターギルドの扉を開けて中に入ったけれど、まだ慣れていないから少し緊張している。でもマイリンさんの顔が見えると安心できて、マイリンさんが私に気づいてくれて手を振ってくれた。


「アイさんはハンターギルドに慣れましたか」


 私がカウンターに着くと、マイリンさんがやさしく声をかけてきてくれた。


「まだ緊張するけれど、少しだけ慣れてきた。新しい魔法も覚えてきたから依頼を受けたいけれど、今日はお金の価値を教えてほしい。魔石が6種類あるのをプレシャスから聞いたけれど、どの程度の価値があるの?」


 常識知らずと映りそうだけれど正直に聞いた。


「お金を使ったことがないのですか。どのように暮らしていたの?」


 マイリンさんが不思議そうに聞いてくる。


「森で食材を取って自給自足していたから、お金を使っていなかったのよ」


「そうですか、アイさんには常識を教える必要がありそうです。お金の基準は銀貨1枚で、飲み物つきで夜の食事が取れる価値で、魔石の色つき小粒も同じ値段です」


 色つきの小粒でトリプルボアーを思い出した。トリプルボアー3匹で1日分の食事は心配なさそうだから、ハンターになれば、そのくらいの魔物を倒せないと生活がむずかしそう。

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