第20話_使い魔の立ち位置
プレシャスは立ち上がって、前方にいるコーテリアさんへ顔を向ける。
「わたしの名前はプレシャスで、アイ様のお世話をしています」
「探究心をくすぐります。その年で話せる使い魔がいるのにはおどろきますが、その使い魔が話せるとはすごいです。さらにライマインが話す変わった魔法にも、探究心をくすぐります」
コーテリアさんはギルドマスターで立場が高いけれど、少女にみえる私が急にていねいな話し方だと違和感があると思う。すでにリリスールさんたちにも普通に話しかけているから、同じ感じで話したほうがよさそうね。
「すでに聞いていると思うけれど私がアイよ。変わった魔法は、私がいた国では宝石魔法と呼ばれていた。変わった呪文で効果も特徴的だから、不思議に感じたのかもしれない。それとプレシャスは私の使い魔とは違うよ」
「アイ様!」
プレシャスが声を張り上げて、今までにない強い口調だった。私にはプレシャスの態度が変化した理由がわからなかった。
「アイの使い魔ではないのにも関わらず、契約した主人以外と一緒にいるのは初めて見ました。それもここまで従順しているとは探究心をくすぐります。ぜひ詳しく知りたいです」
普通はほかの人の使い魔は従えないみたいだけれど、プレシャスは私を様で呼んでいる。傍から見れば私の使い魔と考えるはずだから、私の使い魔ではないという言葉が問題だったみたい。
私が口を開くと、またおかしな発言をするかもしれないから、プレシャスに助けを求めるため視線をおくった。
「わたしは、アイ様のお姉様にあたる方の使い魔です。異国では契約した主人以外と一緒にいる使い魔も少なからずいます」
プレシャスは異国という言葉を強調していた。
「この大陸では考えられませんが、異国は遠い場所ですか?」
「あなた方が到達するのは無理な場所です。運よくアイ様とわたしのみが、この地にたどり着けました。これ以上はあなた方の命に関わる内容となります」
プレシャスは頭の回転が速いと感じた。話した内容に嘘はなくて、最後の言葉も本当だと思った。私に何かあればイロハ様が黙っていないから、つまり女神様の神罰が下るので命にも関わってくる。
コーテリアさんが口を閉ざして何かを考えているみたい。ただ頭の中で結論が出たのか、数秒後には口を開いた。
「続きは後日がよさそうですね。アイは探究心をくすぐる人材ですが、それだけの理由で入会は許可できません。ただライマインが問題ないと判断したので、討伐依頼はランク2になるまで監視役をつける。この条件でよければ入会を許可しましょう」
「コーテリアさん、ありがとう。私はその条件で大丈夫よ」
「迷いはないようですね。おめでとう、アイは今日からハンターです」
コーテリアさんの言葉が、私のハンターへの第一歩となった。
「アイは凄いな。ギルドマスターが即決で認めた」
ライマインさんが感心したように驚いていた。
「ハンターギルドの証を作ります。ザムリューン王国内なら身分証明にもなりますから、大切に使ってください。準備をしますからお待ちください」
マイリンさんが奥から品物を取ってきてカウンターの上に置くと、品物は手のひらに乗るくらいの大きさだった。マイリンさんは、品物と一緒にもってきた紙を私の前においた。
「この紙に名前やハンター区分を書いてもらえますが、わたしのほうで代筆も可能です。最後に血が一滴だけ必要ですが、痛くないから大丈夫ですよ」
上側にはリガーネッタと書かれていて、下側に名前とハンター区分を書く欄があって今は空白の状態だった。
「私自身で書けるから平気よ。ところでハンター区分はどのような種類があって、区分にはどのような意味があるの?」
書く内容が少なくて助かるけれど、ハンター区分はどのような意図で使うのかが分からなかった。
「ハンター区分はパーティーを組むときの参考にします。区分は物理系が接近物理と遠隔物理、魔法系が回復魔法と攻撃魔法です。ライマインさん、アイさんの区分はどれが妥当だと思いますか」
マイリンさんが私の質問へ答えてくれながら、ライマインさんへ顔を向けた。
「攻撃魔法がぶなんだろう。魔法で剣を出していたが、基本は魔法による攻撃だ」
「ライマインさんの言葉を参考に、ハンター区分は攻撃魔法にする。名前も書いたからこれで完成ね。このあとは何をするの?」
書き終わった紙をマイリンさんへ渡す。
「次は本人とハンターギルドの証を結びつけますが、ハンターギルドの証には血が1滴ほど必要となります。最後に魔法を使って所属のハンターギルドがどこかなどを写します。特殊な装置で見れば本人かどうか証明できます」
「この装置も魔道具なの?」
「その通りです。この装置も魔道具で、魔石が原動力となって動きます」
マイリンさんは私に答えながら、魔道具の上に私が書いた紙を乗せて、さらにその上へ銅らしき板をおく。板の大きさは手のひらの半分くらいで長方形をしている。
「これで準備ができました」
マイリンさんがコーテリアさんへ視線を向ける。




