表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/29

第13話_冷たい飲み物

 今日はよく晴れていたので、お昼過ぎに森の中へプレシャスと一緒に食材探しへ行った。いまは家へ戻ってきてリビングで休憩している。テーブルの上には水を入れたコップと、プレシャス用のお皿にも水を注いだ。


「森の中を歩き回るだけで、よい運動になるよね。これで冷たい飲み物があれば最高かもしれない」


「氷の魔道具で冷やせばよいかと思います」


 プレシャスが提案してくれる。たしかに氷の魔道具は冷蔵庫を思わせるから、望んだような形で冷たい飲み物が飲めそう。


「いつでも飲めるように、今度から水を冷やしておくね。できれば森の中や街中でも冷たい飲み物を飲めるようにしたい」


 そこまで話したときに、ひとつの考えが頭の中へ自然と浮かんだ。


「何か思いついたのですか」


 私の表情でも変化していたのか、プレシャスが聞いてくる。


「魔法で氷を作れれば、どこにいても冷たい飲み物が飲めると思ったのよ。宝石魔法なら水や火も出せるから、氷も問題なく作れると思う」


「たしかにアイ様の魔法なら可能だと考えられます。その場合はどの宝石で魔法を作るのでしょうか」


「探知の魔法で使ったロッククリスタルよ」


「氷の魔法にあっていると思います。宝石魔図鑑でみていた姿は氷のようでした」


 プレシャスがこの前みた立体映像を思い出したみたい。心の中で宝石魔図鑑と念じてロッククリスタルの頁を開いて、透明な水晶玉の立体映像を表示させた。


「ロッククリスタルはその見た目から、昔は溶けなくなった氷と思われていた時期もあったみたいよ」


 しばらくの間、プレシャスと一緒に立体映像を眺めながら、ロッククリスタルのうつくしさを堪能した。


 宝石魔図鑑へ氷の魔法を記載するために、姿勢を正した。


「水や火と同じように氷が出現するのでしょうか」


 私が魔法を考えていると分かったみたいでプレシャスが聞いてくる。


「似たような感じになると思う。基本ルースから6角形の平板ルースが出現して、その中央から指定した大きさの氷が湧き出るようにする予定よ。もちろん口に入れるから、水と同じく清らかな氷にする」


 氷の結晶を思わせて、ルースとして成立する六角形にした。


 小粒の氷ならかき氷に近い感じで食べられるかもしれないし、普通の大きさを飲み物に入れれば冷たさが口の中へ広がる。巨大な氷を考えれば、冷房に代わりとして使えるかもしれない。大きさを変えるだけでも応用ができると感じた。


「扱いやすそうですので、料理前や料理中の食材を冷やすのにも使えそうです」


「長時間は無理だけれど、何処でも使えるから便利になると思う。呪文も考え終わったから、宝石魔図鑑に記入するね」


 プレシャスが見ている横で、宝石魔図鑑へ魔法の効果や呪文を記入していく。全てを書き終えるとテーブルの中央に水が入っているコップをおいて、魔法の効果を確認する準備が完了した。


「さっそく試してみるのですね」


「魔法にも少しなれてきたら、この場所で確認するつもりよ。かりに氷がカップからこぼれても水と異なって広がらない。魔法を唱えるね、冷却れいきゃくクリスタル」


 置いてあった宝石魔図鑑からロッククリスタルの基本ルースが飛び出して、さらに想定した6角形の透明な平板ルースがコップに向かって移動した。コップの上で平板ルースが止まると、小粒の氷がコップの中へ降り注ぐ。


 氷の出現が終わると、コップを手にとって水と一緒に氷も口の中へ含んだ。


「どうですか? 水は冷えているでしょうか」


 興味深そうにプレシャスが聞いてくる。


「氷を入れたばかりだから水自体はそこまで冷えていないけれど、氷と一緒に水を飲んだから冷たさが喉を通り越しておいしかった」


 プレシャスに答えてから、残りの水も飲み干した。小粒の氷だったので2度目の水は冷たさが増していて、氷自体もおいしかった。


「私のお皿にも氷を入れてください」


「コップよりも入れやすいから、大きめの氷を出現させるね。冷却クリスタル」


 お皿の上と氷の大きさを想定しながら呪文を唱えた。コップの上にあった平板ルースが移動してお皿の上で止まると、よく見かける大きさの氷がお皿へと落ちる。


 氷を入れて少し立ってから、プレシャスは近づいて水を飲み始めた。半分くらい水を飲み終えると、氷をひとつ口に入れて砕いていた。


「水は冷えておいしかった?」


 プレシャスに訪ねると、私のほうへ視線を向けてくれた。


「暑い日にはうれしい冷たさで、氷自体も癖がなくておいしささえも感じました。この方法なら屋内外を問わず使えますので、応用が効いて便利だと思います」


「プレシャスも満足してくれてうれしい。これで外での食事でも冷たい飲み物をいつでも提供できるから、暑い日は外で食事するのも楽しそう」


「この家の敷地内でしたら魔物は入ってこられませんので、庭でも食事が気軽にできると思います」


 この世界には魔物がいるけれど、この家と敷地内はイロハ様の加護があるから、元の世界の感覚で楽しめそう。私自身が魔物へ対応できるようになれば、旅先でもキャンプ感覚で食事や寝泊まりができるかもしれない。


「生活が落ち着いてきたら、一緒に庭で食事でもしようね」


 イロハ様にはこの世界を楽しんでほしいと言われたから、元の世界で出来なかった遊びやこの世界らしい魔法を使って楽しんでみたい。


 空のコップの中へ魔法で水と氷を出して、おいしい冷たい水を飲み干した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ