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第11話_森への冒険

 プレシャスと一緒に森の中を歩きながら、プレシャスに声をかけた。


「魔法の検証を予定しているけれど、できれば一緒に食材も探したい」


「移動するものが探知魔法に反応したら、移動している点が何かを確認しながら進めば平気でしょうか」

「その感じでお願いね。これから魔法を唱えるつもりだけれど、この世界の距離や長さはどのような単位なの?」


 この世界で生活するのに、知っておきたい単位のひとつだった。宝石魔法は元の世界にある単位でも問題ないけれど、ほかの人に説明するのがむずかしいから、じょじょにこの世界の単位も知っておきたい。


「一般的にはメートルが使われます。例えばアイ様の身長は1.5メートルと表します。ただ通常生活では正確な長さを確認する機会は少ないと思います」


「私が住んでいた元の世界と同じ単位で、聞いた感じでは同じ長さなのね」


 きっと偶然と思うけれど、イロハ様と本物のアイ様は姉妹関係にあるから、もしかしたら似たような部分が多いのかもしれない。


「単位はアイ様になじみのある言葉に置き換わっている可能性があります。ただ同じ長さなのは偶然かもしれません」


 この世界の単位名称は異なるけれど、私が把握できる名称に変換された可能性があるのね。イロハ様から授かった能力は便利でうれしかった。


「本来の言葉が異なっても、私が把握できればいまは充分ね。ちなみにメートルよりも短い単位や長い単位はどのような単位なの? 元の世界ではミリメートルやキロメートルと呼ばれていたよ」


「長さが短い場合は似たような長さの品物で、長い場合は徒歩や馬車で何日などの表現を使う場合が多いようです」


 長さの単位は詳細には決まっていないみたいね。きっとほかの単位も目安があるだけで、細かい単位はないのかもしれない。


「ありがとう、勉強になった。今後も私の知らない知識を教えてね」


「いつでもお聞きください」


「長さの単位も分かったら魔法を唱えるね。探知クリスタル」


 広さは直径で1000メートルくらいの大きめな範囲にして、犬くらいの大きさ以上が反応するように心の中で念じた。小さな動物まで反応すると、移動する点が多すぎると思った。


 基本ルースが出現してから、無色透明な球体が私の前に移動する。デリートで基本ルースを消してから、移動するものがあるのか確認した。


「いくつか点がみえますが、どれから確認しますか」


「魔物の可能性もあるから、単独に存在する点へ向かってほしい」


「左側にひとつだけの点がありますので、最初はその場所へ移動します」


「魔物だったら対処をお願いね」


 プレシャスを先頭に歩き出した。私には戦う術も私自身を守る方法もないから、プレシャスから離れないように注意した。視線はプレシャスと探知魔法の球体を交互に見ながら、点の位置へ近づいていくのを確認する。


 半分程度進むと、プレシャスが歩みをとめた。


「魔物の気配がしますので、さきほどの点は魔物だと思われます」


「下手にさけて追いかけられても大変だから、魔物を倒してくれる? 無理そうなら早めに教えてほしい」


 プレシャスが強いのは聞いているけれど、この世界の強弱関係が不明だったので少しだけ不安はあった。


「安心してください。普通の魔物に後れを取る、わたしではありません。周辺にはほかの魔物はいませんので、この場所で待っていてください」


 すぐにプレシャスが移動して、目の前の木々に姿を消す。球体にプレシャスの点が表示されて魔物の点と交差すると、瞬きする間に魔物の点が消えた。倒したかは不明だけれど、少なくとも魔物は動けない状態となっている。


 プレシャスの点が私のところへ戻ってくるから、無事に魔物を倒せたみたい。


 木々の間からプレシャスの姿が見えた。


「魔物はどうだった?」


「問題ありません。こちらが魔石になります」


 プレシャスが口の中から、大豆くらいの大きさがある無色のものを取り出した。見た目は宝石に似ているとも感じた。


「これが魔石なの? そもそも魔石とはどのようなものか知りたい」


「この石のようなものが魔石です。大きさや色合いはいくつかありますが、魔石は魔物の核であって、魔物を倒すと入手できます」


 分かりやすく考えると、ゲームなどでモンスターを倒したときにもらえるアイテムみたいなものね。わざわざプレシャスがもってきてくれたから、魔石は利用用途があると考えてよさそう。


 魔石についてもう少し詳細を聞こうと思ったときに、球体の外周側から大きな変化がおきた。


「急に複数の点が現れて、速い速度で移動している」


 話ながら、球体をプレシャスへみせる。


「直線的な動きなので、森の外れにある街道を移動している可能性があります」


 プレシャスの話を聞きながら球体を見ていると、うしろから移動している点のほうが速くて前を進んでいる点に追いつくと、全体的に移動速度が低下した。


 ふつうに街道の移動なら、速度を落とす理由はないはず。うしろの点が追いついて速度が落ちたのなら、前の点は追いかけられたと考えるのが自然よね。


「プレシャス、点の位置まで移動して何が起きているのか知りたい。もし魔物などに襲われている人間がいたのなら助けてあげたい」


「分かりました。ただしどのような危険があるのか不明ですので、わたしよりも前には出ないでください」


「プレシャスのうしろに着いていくね」


「点の速度が落ちて止まりかけていますので、早めに移動します」


 プレシャスが点の方向へ走り出すと、私もプレシャスを追いかけて駆けだした。

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