第28話:武器狂の商人
倉庫の最奥。
重厚な鉄扉を押し開けた瞬間、冷たい笑い声が響いた。
「――やっと来たか、黒狼の小僧ども」
奥に立っていたのは、紫の上着を纏った大男――ラブプラム。
その手には、異様な武器が握られていた。
槌と杖を融合させたような巨槌。
柄には帝国式の魔法回路が刻まれ、槌の先端は脈動する魔力の光を放っている。
「ハンマー」と呼ぶにはあまりに精緻、まるで戦場に持ち出された魔導機そのものだった。
ラブプラムは誇らしげにそれを掲げた。
「帝国の至宝、《魔導戦槌〈アーク・ドライヴ〉》よ。殴れば岩を粉砕し、叩きつければ大地を割る。――だが真価はこれからだ」
そう言って槌を反転させると、側面の魔力銃口が展開し、赤く輝く。
「試作品の土魔法収束砲……名付けて《アース・ガトリング》。岩塊を連射できる帝国の傑作だ!」
次の瞬間、轟音と共に岩塊の弾丸が雨のように吐き出された。
壁を抉り、床を砕き、木箱を粉々にしながら、俺たちの眼前に迫る。
「うわっ!? なんだこれぇ!」
ルカが慌てて身を伏せる。
俺はとっさに剣を構え、砕け散る破片を弾いた。
「武器商人ってレベルじゃねえぞ……!」
ラブプラムは高らかに笑った。
「私はただの商人ではない! 世界で最も強き武を蒐集し、改造し、試す者だ! 黒狼の若造よ、存分に楽しませてもらおう!」
轟音。
再び岩弾が撃ち出され、倉庫全体が揺れる。
まさに「戦う兵器」と化した商人が、俺とルカの前に立ちはだかっていた。




