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ヴァルキリーズストーム  作者: 綿屋 伊織
第一章 富士学校
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同期生の腹の中




---キャラクター紹介-----

柏美晴かしわ・みはる

・適正値A+

・真面目な性格であり、成績は優秀、メガネという優等生。

・分隊の実質的指導者。

・勝負事も罰があると燃えあがる上に他人に厳しいサディスティックな性格の持ち主。

・へりくつをこねるのが得意で、白を黒を言い含めることなど朝飯前。

・山崎とは恋人関係にある。意外かもしれないが、最初に告白したのは彼女の方。

・実家は薙刀道場を経営しており、彼女自身、全国大会の常連の実力者。

・石川県出身

・父親は海軍第三航空群司令《少将》

【イメージ】

・『艦隊これくしょん』の鳥海



早瀬さつき

・適正値AA+

・豪快な性格の持ち主で負けず嫌い。分隊内の実行隊長的存在。

・実家が槍術道場を開いていたため、槍については達人の域に達している。

・新潟県出身。

・血の繋がっていない弟がいる。

【イメージ】

・『艦隊これくしょん』の矢矧



都築真つづき・しん

・適正値AA

・分隊では貴重なオトコ。

・ケンカっぱやく、やることは粗暴に近い。

・能力は高いが頭は単純。

・東京都出身。

【イメージ】

・これだけ出しておいてなんだけど、イメージは特になし。



山崎大輔やまざき・だいすけ

・適正値AA+

・身長2メートル近い大男。

・外見だけなら最も騎士らしい。

・巨体に似合わず、世話好きで心根は優しく思いやりにあふれる性格のため、女性達からは意外な人気を集めている。

・別名「フラちゃん」

・和歌山県出身。

・実家は林業。

・柏美晴の恋人。

【イメージ】

 『機動警察パトレイバー』の山崎ひろみ



神城一葉かみしろ・かずは

神城双葉かみしろ・ふたば

神城光葉かみしろ・みつは

・三姉妹ではなく三つ子。

・身長147センチ。

・黒髪のボブカット。

・外見上の区別は常人には不可能《実の父親でさえ区別出来ない》

・なお、三つ子で騎士の子を産む可能性は数十億分の一。

・テレパシーというか、三姉妹同士で精神感応出来る特技を持つ。




天儀祷子あまぎ・とうこ

・適正値FL+

・近衛史上でもトップクラスに入る適正値の持ち主。

・本編のヒロイン……のはずだが、いつの間にか脱落していた。

・天然ボケ系だが、妙に冷静沈着になったりする。

・別名「ボンクラちゃん」

・特殊騎D-SEEDに訓練生の時点でパイロット認定されるなど、謎の多い女性。

・“ある”特殊能力を持つ。

・底なしの大食い。

・銃火器や武器は左利き。

・ヴァイオリンの名手で、全国大会や世界大会に入賞。近衛入営がなれば、ウィーンに留学してCDを売り出す予定だった。

・裏で何か画策しているらしく、裏事情にやたら詳しい。

【ネタバレ】

・やたらと作者に忘れられる悲劇のキャラ。

・イメージは『マブラヴ・オルタネイティヴ』の風間祷子。

・活躍させてやりたいけど、いろいろあるので使いづらい人。

・元々は本作品のヒロインとなるべき地位にいたが、いつの間にか美奈代にもっていかれた。

●富士学校 第203教室

 美奈代が同期生と初めて出会ったのは、木枯らし一号が観測された日だった。

「和泉美奈代だ」

「よろしくお願いします」

 教壇に立たされた美奈代は、二宮の紹介後、頭を下げた。

 ガランとした教室は、高校まで慣れ親しんだそれと広さは同じ。

 ただ、生徒の数は圧倒的に少ない。

 こっそり数えてみたが、両手の指で足りた。

「数が少なくて驚いたろう?」

「はっ。はい」

 指導教官である二宮から、そう訊ねられた美奈代は、思わず素直に頷いてしまった。

「だろうな。44期生は100人を超える大所帯だから、教室も一杯だが、45期生はこれしかいない。理由は――」

 二宮はチラリと生徒達を見ると、

「都築」

「はい」

 たった二人しかいない男子生徒の一人。

 やたらガラが悪く、高校では絶対不良として名前が通っていたろう男が立ち上がった。

「貴様等の数が少ない理由は何だ?」

メサイア操縦能力(SMD)です」

「応えになっていない――早瀬」

「はい」

 都築の横に座っていた、長い髪をポニーテールにまとめた、活発そうな女生徒が立ち上がって答えた。

「我々45期生は、全員がメサイア操縦能力(SMD)測定においてAランク以上と認定されています。Aランク以上の保有者は極めて限られるため、その数が生徒数に反映されています」

「まぁ。いいだろう」

 教本を棒読みしたような返答に二宮は頷いた。

「Aに最も近いBBBランクが最高という44期生とでは、とてもではないが、同じカリキュラムで学習させるワケにはいかん。そこでAランク以上の保有者により編成されたのが45期生だ」

「質問」

 挙手したのは、おさげのメガネという、学級委員長さながらというイメージの女子生徒だった。

「和泉候補生のランクを教えて下さい」

「……柏はA+だったな」

「はい」

――ああ。値踏みしているな。と、美奈代にも質問の意図は察することが出来た。

「AAA-。マスターピースのおまけつきだ」




ホームルームの後の自由時間。


「すごいじゃない!」


席に着いた美奈代の周りに皆が集まっていた。


「マスターピース持ちなんて初めて見た!」

 目を輝かせながら言ったのは、先ほどのポニーテールの女生徒。

 ネームプレートには、「早瀬さつき」と書かれていた。


「わ、私は」美奈代は答えた。


メサイア操縦能力(SMD)保持者を初めて見たんだけど……」


「へ?そうなの?」

「めずらしい」

「あるんだねぇ」

 それぞれ勝手な発言をするのは、同じ顔をした三姉妹。

 長女の神城一葉かみしろ・かずは

 次女の神城双葉かみしろ・ふたば

 三女の神城光葉かみしろ・みつは

 正直、ネームプレートがなければ、区別出来る自信は美奈代にはなかった。


「まぁ、44期生の教室にいけば」

 ネームプレートに「都築真」と書かれた、ガラの悪い男子生徒が言った。

「腐るほどいるぜ?」


「で、でもさ」

 美奈代は訊ねた。

「AランクとBランクって、そんなに違うの?」


「全く違います」

 メガネの学級委員長が答えた。

 ネームプレートは「柏美晴」となっている。

 少なくとも、美奈代はネームプレートよりもその巨乳に圧倒された。

「ランクが高い程、メサイアの潜在的な性能を引き出すことが出来ます。この差は決して後天的な努力でどうこうなる代物ではありません」


「そ、それでもね?例えば、剣道とかやってたら、何もしていない私みたいなのより強いんじゃない?例えばBランクの人でも」


「肉体を使った戦闘ならそうかもしれません」

 美晴は頷いた。

「しかし、問題はメサイアを使った戦いです」


「というと?」 


「メサイアの操縦者のランクは、そのまま操縦スキルとして反映されますから――」


「まぁ、ようするに」

 延々とメサイアの操縦について説明を始めた柏を尻目に、早瀬さつきが苦笑交じりで言った。

「操縦者のランクが低いと、メサイアの潜在的な性能を引き出せない。例えば、武道をやっていたとしても、それは小手先の技が使えるってだけの話なの」


「ふぅん?」


「美奈代さんは」

 ずっと後ろで壁のようになっていた「山崎大輔」と書かれたネームプレートが嫌に遠く感じる、フランケンシュタインのような顔と体格の持ち主が訊ねた。

「武道の経験がないのですか?」


「全然」美奈代はきっぱりと言い切った後、

「みんなは?」


「私は槍」と早瀬さつきは言った。

「実家が道場でね。全国大会優勝よ?」


「へぇ?すごいな」


「美晴なんてもっとすごいよ?実家が道場なのは一緒だけどね。獲物は薙刀」


「……似合うな」

 胸以外、楚々とした衣装のある柏美晴が着物姿で薙刀を構える所を想像して、美奈代は素直にそう言った。


「こっちは国体優勝経験あり」


「国体!?」


「スゴいでしょ?山崎は実家が林業で斧を使い慣れてるし……」

 チラリと都築を見た後でさつきは続けた。

「都築はまぁ、ケンカの獲物は鉄パイプだったわけで」


「……なんか私」

 美奈代は言った。

「みんなについていける自信が無い」


「何とかなるわよ」

 さつきは美奈代の肩を叩きながら言った。

「私達だって、44期相手にどうなるかって、最初は生きた心地もしなかったし」


「でも、今は――」


「うん」

 神城一葉は言った。

「いろいろ言ってきたからね?みんなでボコボコにしてやった」


「ボ、ボコボコ?」


「うん。セクハラされたってインネンつけて、みんなで袋だたき」


「……いや」

 美奈代は言った。

「メサイアでやったのかと思った」


「あれ?美奈代っち」

 双葉が訊ねた。

「メサイア乗ったことあるの?」


「シミュレーターなら乗った――というより、乗せられた経験ならある」


「どん位?」


「半年」


「半年も?」


「しかも、毎日」


「ホント!?」

 光葉が目を丸くした。

「で、どうだったの!?」


「いや、それが」

 美奈代はバツが悪そうな顔で言った。

「全然、指一本動かせなかった」


「――へっ?」


「あ、あのさ」

 皆が驚いた。という顔になった。

「美奈代?あんた、ランクAAA-だよね?」


「らしいけど……あ」


 ガラッ。

 扉が開いて教官が入ってきた。

 授業の始まりだ。


 皆が自分の席に戻る中、

「ねぇ」さつきが美晴に小声で言った。

「あの子でしょ?天皇護衛隊とやりあったって子」


「みたいですね」


「よかったわね」


「はい?」


「潰し甲斐のあるヤツが入ってきて」










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