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中野大魔神

「解呪は終わった?」

「とっくの昔に」

 朝の食堂。

 梅干しをかじる後藤に、美奈代が報告した。

「いやぁ……柏のヤケ酒につきあってたら飲みすぎちまってなぁ」

「柏が?」

「ああ―――若いなぁ。限度ってモノ知らんで飲むから」

「それで、あいつは」

「医務室のお世話だよ。二日酔いで戻したとかいってたな。山崎はやっぱり強いなぁ」

「いや……僕もかなり来てるんですけどね」

 山崎は濡れたタオルを額に当てて青い顔をしている。

「……さすがに昨日は荒れましたね。美晴さん」

「16の娘相手に手玉に取られたってか?」

「申し訳ありません」

「報告は読んでいるけどなぁ……和泉」

「はい?」

「穂村って娘、どうしている?」

「一応」

 美奈代はポケットから一枚の書類を取りだした。

 A4サイズの白紙に、

 

 穂村千鶴。


 そう書かれただけの、ただの紙切れだ。

「言われた通り、サインはもらってきましたけど」

「いい。この紙で書類偽造するから」

「今、偽造っていいませんでした?」

「造るって言ったんだよ。耳、遠くなったか?」

「意識が遠のきました」

「でもさすがだねぇ」

 美奈代から紙を取り上げた後藤が感心した様子で言った。

「たった一晩で、16歳の娘をモノにしちまうんだからなぁ」

「何ですか、それは」

「ヤったんだろ?」

「―――何をですか」

「だから、ナニをさ」

「してませんよ。単に、問答無用で、この線の上にサインしろって、そう言っただけです」

「謙遜しなくていいよ。お前、いいスカウトになれるよ」

「スカウト?」

「人事に回ったらどうだ?縁故や関係者を志願採用させると賞与が出るぞ。別名が“人さらい”っていうけど」

「和泉大尉の場合」

 横でお茶をすすっていた紅葉が言った。

「女衒の方が正しいかと」

「―――だな」

「だからぁ」

 美奈代は堪らずに言った。

「何か、私、本当に同性愛者レズだと思われてません?」

「小清水との修羅場になっても責任もてよ?部隊じゃ、もうドアの修理代なんて負担しないからな」

「まだ分割ローンが残ってるんですよ?」

「ローン破産する前に善処するこった……まぁ、片刃レズでも両刀バイセクシャルでも……親は泣くわなぁ」

 はぁっ。

 後藤は深いため息を吐くと、タバコに火をつけた。

「どこで育て方間違えた?」

「私は!」

「お姉様ぁっ!」

 トレイを持つ涼が明るい声を上げて近づいてくる。

「私は?」

 血相を変えた美奈代に、後藤が楽しげに聞く。

「……何でもありません」

「嫁との修羅場ってのは、恐いもんだぜ?」

「……否定しません」

 美奈代は席をゆずりながら言った。

「それで?穂村少尉なんですけど」

「解呪に成功してるんだろう?」

「はい……あっ、いけない」

 美奈代はポケットから折りたたんだ紙を取りだした。

「後藤さんに渡しておけって、あの子から」

「ああ。悠理君ね」

「クン?」

「あれ、男だぞ?」

「えっ!?」

「名門伯爵家、水瀬家の総領息子だ」

「あの子……悠理って、女の子じゃないんですか?」

「誰ですか?お姉様」

「小清水、和泉が狙っている女の子だ」

「どこの馬の骨ですか!その女っ!」

「涼、落ち着け!」

「お姉様もあんまりですっ!私という正妻がいながら、他の女に手を出すなんて!」

「だぁぁぁっ!」

「何が不満なんですか!?」

 涼が美奈代に涙ながらにすがりついた。

「私、お姉様の望みに全て従ってきたつもりです!どんな恥ずかしいことも、お姉様が望むならって!」

「頼む!黙ってくれ!」

「私に飽きたんですか!?そんなぁっ!」

「そうじゃないって!」

 食堂に居合わせた光菱の職員達が、食事の手を止めて、何事かとこちらを見ている。

 その視線が痛すぎる!

「落ち着け涼……浮気するつもりはない」

「ぐすっ……必要なら、《自主規制っ!》や《伏せ字!》を使うプレイだって、覚悟は出来ています…から!」

「私にはお前だけだ……信じてくれ」

「……お姉様」

「信じろ……な?」

「はいっ!」

「……話、元に戻して良いですか?」

「お前も大変だね……これでもう、ここにいられないじゃん」

「あなたが!」

「冗談だっての……そもそも本妻をそこまで不安にさせるお前の浮気性が」

「誰が浮気性ですか!」

 美奈代は深呼吸して心を落ち着けようとする。

「すぐにムキになるから、みんなの玩具にされるって、いい加減気付いたら?」

「……善処します。とにかく、あのポニーテールの子、男の子なんですか?」

「ああ……といっても、俺が直接確かめたワケじゃないけどさ……ところで和泉」

「はい?」

「これ―――立て替えといてくれ」

 後藤は、紙切れを美奈代に戻した。

「何ですか?」

 美奈代は紙切れを開いた。

「……請求書?」

「価格交渉するの忘れていたよ……前の時ぁともかく、普段は有料だって言われてたなぁ。そう言えば」

「……ゼロが7個って」

「相場だよ」

「私……破産しますけど」

「風呂に沈んでみるか?」

「大丈夫です!」

 はっきりと言い切ったのは涼だ。

「隊長!私がお姉様をこの金額で買い取ります!それでいかがですか!?」

「俺は別にいいけどね」

「隊長っ!?」

「わかりましたぁ♪」

「ちょっと待て、涼っ!いくら何でも」

「お姉様、支払えますか?」

「っていうか」

 美奈代は後藤の前に請求書を叩き付けた。

「なんで私が支払うんですか?」

「支払いは小清水だろうが。必要なら、後で穂村にでも請求しておけ」

「光菱の請求書の中に盛り込んで下さいよ」

「……お前も知恵が回るようになったなぁ」

「どうも」

「それでもいいか。紅葉ちゃん、どっかのパーツ代として、それとなく混ぜておいて」

「今回の調査費はいいの?」

「とりあえず、ゼロ8つで3って所だな」

「了解……分け前は2割ね」

「なら4だ」

「……何の話しですか?」

「大人の話だ―――さて、和泉大尉」

 後藤は真顔になった。

「いつまでも痴話喧嘩してる場合じゃない。昨日の一件について、司令部が調査官を派遣してくる。機密騎1騎大破、3騎小破は冗談抜きで問題だ」

「……」

「いいか?事故調査官の取り調べの中で、いろいろ聞かれるだろうが、とにかく、穂村少尉達の事は、絶対に喋るな」

TACタクティカル・エア・カーゴの中は調べられませんか?」

「それは大丈夫」

 紅葉が頷いた。

「あのTACタクティカル・エア・カーゴは私の私物に近い扱いだから。事故調査官でもそう簡単に査察はさせない」

「……あの中に潜んでいる限りは大丈夫と?」

「というか、もうそろそろ、東京へのフライトに入る所よ」

「お二人、どうするんですか?」

「まだ暫くはここにいることになる。っーか、お前らもな」

「私も“D-SEED”と葉月まで戻る。どっちにしろ、あれじゃD整備だもん」

「D整備……バラバラですか?」

 美奈代が露骨にイヤな顔をした。

「……つまり」

「坂城さんの説教を正座して聞く覚悟はしておきなさい?部隊長殿?」

「また土下座ですかぁ?」

「仕事のうちよ。それが終わり次第、鵜来少尉の騎のフェリーがあるし。山崎中尉達の2騎も修理のため葉月送り。どっちにしても、今回の演習で部隊が支払ったのは、1週間の機能喪失」

「……始末書」

「こればっかりは勘弁してやるよ。報告書は書けよ?」

 後藤は言った。

「山崎、後で医務室の柏にも伝えておけ。フライトの許可が下り次第、葉月へ戻ってもらう。お前達は修理が終わるまでは葉月で休んでいい」

「わ、わかりました」

「私達は?」

「狙撃隊も今のうちに整備だ。和泉?お前は仕事がある。残れ」

「ううっ……あの……穂村少尉達は?」

「少なくとも、少尉は開発局で保護するけど」

 紅葉は、ちらりと後藤を見た。

 美奈代は、その意味を察した。

「中尉については―――存在を忘れた方がよさそうですね」

「それが利口なヤツの生き方さ」

「……ですね」

「?」

 涼達がきょとん。とした顔で互いの顔を見合うが、

「……そういえば」

「ん?」

「さっき、小耳に挟んだんですけど」

 かおるが言った。

「神宮司主任さん、亡くなったって」

「―――何?」

「あれ?後藤隊長もご存じなかったんですか?」

「……知らんぞ」

 後藤は真顔で答えた。

「どういうことだ」

「いえ……私も」

 ジロリ。と睨まれて、縮み上がったかおるが答えた。

「食堂のおばさん達がそう言ってるの聞いただけで」

「警察が来てましたよ?」

 寧々が言った。

「事故死……みたいですけど」



「機材に頭を潰されて死亡?」

「……だ、そうです」

 事情聴取を待つ美奈代は、廊下に置かれた長椅子に座って、横にいる牧野中尉に答えた。

「佐藤副主任と一緒に、研究室で作業していたそうです」

「何の」

「さぁ?とにかく、佐藤副主任が機械操作誤って、プレス機みたいなのに頭挟まれて亡くなったそうですよ?何でも、頭部が原形を留めていなかったとか」

「……おかしな話ですね」

「で、責任感じたんでしょうかね。佐藤副主任が」

「どうしました?」

「同じ部屋で、ネクタイで首を吊っているのが発見されたそうです」

「第一発見者は?」

「……警察みたいですね」

「知っているんでしょう?」

「ええ。後藤さんが食堂のおばちゃんと話しているのを聞きましたから。何でも、今朝出勤してきた同僚の人が、研究室の照明が灯ったままなので、おかしいって。それで発見したそうですよ?」

「ということは」

 牧野中尉は、ポケットからポッキーをとりだし、美奈代に勧めた。

「殺人なのか事故死なのかは判然としない」

「いえ」

 ポッキーをかじりながら美奈代は首を横に振った。

「パソコンに遺書があったそうです。事故で主任を殺したから責任をとるとか何とか」

「……パソコンに?」

「はい」

「警察は?」

「事故と自殺の両方で捜査しているそうです」

「それを後藤さんは?」

「介入するな。勘ぐるな。としか」

「……光菱もいろいろあるのねぇ。あのカワイイ娘さんも苦労したでしょうに」

「涼宮中尉が上手く書類を作成してくださって。異動願を人事へ送っておきました。受理されれば、あの子は部隊の一員として」

「あなたの愛人として」

「違います」

「ロリは守備範囲外?小清水少尉もどっちかというと」

「どうして、みんなしてソッチ側にいくんですか?」

「宗像中尉がいれば、話は違ったんでしょうけどねぇ」

「……」

「どうしてるのかしら?あの人」

「さぁ?」

「……薄情ですね」

「何かの間違いというか、理由があってと信じていますから」

「さすがに夫を信じているんですねぇ」

「……なんですか、その夫って」

「宗像中尉が夫で、小清水少尉が嫁じゃないんですか?」

「どういう組み合わせです。それは」

「そういうものだと思ってました」

 牧野中尉は心外。という顔になった。

「夫に逃げられた寂しさを、若い愛人を持つことで忘れようと、それで穂村少尉に狙いをつけた……昨晩はいかがでした?まだ、処女だったでしょう?ばっちり処女貫通はじめてはいただいたと思いますけど」

「してません!」

「今朝一番で見た時、カナリアを食べた野良猫みたいな満足そうな顔だったから、てっきりそう思ったんですけど」

「どういう表現ですか……とにかく、あの呪いってのが解除出来たので安心しているんです。解除したのが男の子ってのは想像してませんでしたけど」

「愛人ってツバつけていたのに残念♪」

「茶化さないで下さい」

「あらあら。お冠?」

「ったく……私だってそこまで飢えてるように見えるんですか?」

「いえ?反応が面白いからからかっているだけですよ」

「もうっ」

「無事に転属が決まれば良いですよねぇ」

「ですね」

「呪いをかけたのが誰かといえば、神宮司主任さんってことになるでしょうね。光菱もタイミングが良すぎる所で死人を出したものです」

「死人に口なし……ですね」

「私達は?」

「さぁ?全部の責任が死人に行くのは感心しませんけど、とにかく、そのためにここにいるんですよ?」


 ガチャッ

 取調室に指定された会議室のドアが開いた。


「さて」

 美奈代は立ち上がった。

「地獄の釜へご案内♪」




「新型装甲への換装をこのタイミングで進めなければ、後々響くからねぇ」

 起動体勢に入った鵜来騎を見上げながら、紅葉は言った。

有珠ありすちゃんも肋骨骨折だけで済んでよかったねぇ」

「……まぁね。騎体が直る頃には復帰してるでしょうし」

「部隊内で人員配置変える、絶好の機会じゃない」

「うん……あの子、ハッキングも得意だし。偵察型へ乗せてみようかなって」

「都築達を戻すメドがついたの?」

「うん。ただねぇ」

「ただ?」

「それより、紅葉ちゃんよ」

「何」

「穂村少尉。新入りで入れたいっていうのはいいけどさ?騎体はどうするの?和泉に聞いたら、紅葉ちゃんが用意してくれるって」

「ああ」

 紅葉は頷いた。

「皇龍用の予備素体が、ようやく使用可能段階に成長したから、“白雷はくらい”の予備パーツで、予備騎を造ってあげようと思っていたのよ。ほら、あの子達、予備騎が一騎もないでしょう?一騎予備があれば、整備の負担も減るし」

「迷惑かけるねぇ」

「いいのよ。研究データとしては又とない程、いただいているし」

「じゃ、“白雷改”の11号騎かい?」

「ううん?」

「違う?」

「うん。実は、あの子にはちょっと別なことしてもらいたいのよ」

「別なこと?」

「もういい加減、司令部がしびれ切らしてね。最近、しつこいから」

「ん?」

「“白龍”のバージョン・β《ベータ》6を回す」

「ベータ6?……ベータなんてつくからには、試作騎かい?」

「魔族側からの情報供与があったことは……言ってたっけ?」

「二宮さんが飲み屋で教えてくれたよ」

「……あの人もいい加減なんだから。

 “白龍”は次期ベータ級メサイア。

 第五次改装、つまり、バージョン5で完成って方針が固まっていた。

 テストベッドの1騎である“D-SEED”のデータ収集も順調。

 データをフィードバックさせた結果、次期バージョン6で仕様が完全決定ってところで魔族側から追加技術供与があった。

 おかげで、全部仕様変更がキャンセル。これで二度目」

 コキコキと紅葉は首を鳴らせた。

「いい迷惑よ。こっちの苦労を何だと思ってるのかしら」

「そんなにスゴかったんだ」

「もうね。別次元っていうか……間接は完璧メースと同じになる。

 まぁね?それまでにもらった技術で人類に再現可能な分は、すべて“白雷改”に反映させているけど、司令部が求めているのは、あくまで“白龍”なのよ」

「上っ面だけ変えるつもり?」

「まさか」

 紅葉は言った。

「そんなんじゃ司令部は納得しない。完璧に、“白龍”として純粋に設計したヤツが組み上がるから、それを穂村少尉に任せる。

 本来なら、お姫様か和泉大尉あたりが適任だろうけど……ね」

「まだいるんじゃない?」

「誰」

「二宮さん」

内親王護衛隊レイナガーズの火消しを誰がやるのよ」

「……成る程?設計やり直して、あまつさえ、すぐにでも実戦データが欲しいほどの技術が魔族から供与されたんだ」

「出所はわかんないけどね」

 紅葉は頷いた。

「魔族が人類にも生産可能な前提の元、設計してくれたとしか思えない」

「そりゃ……ずいぶんだねぇ」

「すっかり舞い上がった司令部が、生産のゴーサイン出した。試験騎としてね」

「おいおい」

 後藤は肩をすくめた。

「今すぐ量産して、前線に出せって言ってよ」

「無茶いわないでよ。元来が“白龍”と規格が近いとはいえ、“白雷改”と“D-SEED”シリーズの大手術をする私達も大変なのよ?」

「本当に俺達ゃ」

 後藤は“白雷改”を見上げながら呟いた。

「人体実験の被験者ってことかい」

「愚痴らないでよ。こっちも、いろいろ後ろめたくなるじゃない」

「まぁ……ね」

 悪かった。と、後藤は片手で謝罪の仕草を見せた。

「しっかし、遂に“白龍”まで投入かい。ウチの部隊は恵まれてるねぇ」

「実質的に“白龍”運用試験部隊。それが独立駆逐中隊の本当の姿でしょう?」

「まぁ……百点は出せないね」

「……私も死にたい歳じゃないから、ヘンな詮索はしないけど」

「それでいいよ」

「こうも次から次へと仕様が変更されるのは勘弁して欲しいわ。本音だけははっきり言っておく」

「……それでいい」

「私が苦労する分、明日から狙撃隊と和泉大尉は、私の指揮下にいれていいんでしょう?」

「ああ。いいよ?」

 後藤はさらっと言ってのけた。

「俺はいろいろ忙しくなるからさ―――潰れるまでコキつかってくれや」




 美奈代がテレビ会議システムの前に立たされたのは、取調室で絞られた後だ。

 何時何分だったか。

 その時の距離は。

 そんなこと一々覚えているか!と何度怒鳴りそうになったか。

 美奈代は一生分の忍耐力を使い果たした気分で、その部屋に入った。

 テレビの向こう側―――液晶に映っているのは、苦虫を噛み潰したような顔の中野だった。

 腕組みした指が、しきりに腕を叩いている。

 額に青筋が立っているのがはっきりとわかる。

「―――何か」

 本能的に嫌な予感がしたのは、テーブルに置かれた書類に気付いたからだ。

 FAX送信状と、そこに書かれた筆跡は間違いなく自分のモノだ。

「……お前なぁ」

 中野は完全に怒っている。

「その書類は何だ」

「え?あの……」

 美奈代は書類を手に取った。

「穂村少尉の異動願いですけど」

「本人の署名と、異動希望の部隊名だけ書いて、それで書類が通ると思ってるのか?」

「ち、違うんですか?」

「誰に聞いた」

「……あの」

「勝手な判断するんじゃない!」

 ドンッ!

 中野がデスクを叩いた。

 デスクに置かれていたコーヒーカップが一瞬、宙に浮いた。

「そんな書類が通ると思ってるんだろう!?ってことは、俺達がそんな中途半端な仕事していると思っているってことだな!」

「そ、そんなつもり!」

「うるさいっ!」

 またデスクが叩かれた。

「士官教育を一やり直せ!ってか、俺が一から教えてやるっ!反省文の書き方からだ!紙とペンもってこいっ!」

「そんなぁっ!」

「つべこべ言うなぁっ!反省文の後、部隊日誌を出せ!全部の書類が書き上がるまで、メシもトイレも認めんからなぁっ!」


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