平野源一郎
「洗脳管理……ねぇ」
気絶したままの千鶴の体をベタベタと触りながら、紅葉がぼやいた。
「気のせいじゃない?この子がちょっと珍しい反応示したからって」
「そうでしょうか?」
そう言われると自信がない。
冷静に考えれば、千鶴が単に頑なな態度を示しただけなのかもしれない。
それを自分は精神異常と勝手に判断しただけなのかもしれない。
だとしたら、とんでもないことしたんじゃないのか?
「……あの、どうですか?」
「うーん」
千鶴の体をペタペタ触り続けていた紅葉は首をかしげ続ける。
「Aカップない……バストサイズは私といい勝負……まな板鉄板……これなら、私だって数年後には絶対勝てる」
「何の話ですか」
「さわってご覧なさいよ。これ、どこに脂肪ついてるのよ」
「どれ……って」
思わず伸ばした手に気付き、美奈代は慌てて手を引っ込めた。
「何させるんですか!」
「それもいいけどさぁ。戦闘服脱がすから手伝って」
「はい」
「……さすがに手慣れているわね」
「いつも着ているんですよ?」
「脱がし慣れているって言ったの」
「どういう意味ですか」
「ところで」
千鶴の戦闘服を脱がせながら、紅葉が訊ねた。
「福沢中尉の方は?」
「本当によかったんですか?」
「大丈夫よ。ちょっと明日のお昼まで目が覚めないだけ」
「目が覚めたら?」
「後藤さんのお知り合いの所」
「……」
それがどんな状況を示しているのか、美奈代はさすがに想像がついた。
気の毒そうな顔で、幸せそうに眠り続ける福沢中尉を見る。
食事に、紅葉が調合したという睡眠薬を混ぜて福沢中尉に渡したのは、確かに自分だが、それがなんだか―――。
「私、殺人の片棒担いでません?」
そんな不安を感じさせてならない。
「失敗したって、一生植物人間なだけ。誰も迷惑しないわよ」
「いや……それってもっとマズ……」
「慰謝料は億単位だけど、支払いよろしく」
「勘弁して下さい!」
「とにかく、MCである以上、絶対に何か知っているのは福沢中尉。光菱から買収されていたとか、何かがあると見ていいでしょうね」
「あの……まさか。後藤隊長達がさっきまで戻ってこなかったのって」
「ご明察。福沢中尉を始め、光菱の裏を取りによ。後藤さんのことだから、宮内省経由で公安や警察……銀行だの、いろいろと調べたでしょうね」
「あの人、一体何者なんですか?」
「アンタの上司」
紅葉はさらっと言ってのけた。
「アンタが知っていて良いのは、それだけよ」
「……了解」
「……さて」
紅葉は、戦闘服のインナーを脱がせた所で手を止めた。
「このブラ、どこで買ったんだろ。サイズは変わんないから、後で聞いておこう」
「あっ。カワイイ柄ですね」
「でしょう?」
「っていうか、まさかこの娘」
「?」
「戦闘服の下にブラつけてたんですか?」
「あんた、してないの?」
「インナーの下はボディスーツですよ。ブラなんてしてたら、Gの関係でワイヤーで体、傷だらけ。上を下にの大騒ぎになるんですから」
「経験者はかく語りき……か。経験あるんでしょう?」
「空中戦闘機動訓練の時、泣くほど痛かったんですからね。まさかみんなの前で全裸にもなれず……医務室のお世話になった時、ブラやインナー血まみれでしたよ。消毒液がしみたのなんのって」
「バカ。これはワイヤーなしタイプでしょ?こういうの便利なのよ?」
「スポーツブラって、無地のしか知らないんですけど、へぇ?今ってこういうのあるんだぁ」
「そうよ。私もいろいろと集めててね?って、んなこと言ってる場合じゃない」
ペンッ。
紅葉の手が軽く美奈代の頭を叩いた。
「ごめん。これは私の分野じゃないわ」
「えっ?」
「うーん。後藤さん呼んできて?もうお酒入って寝てるかもしれないけど」
「後藤隊長?」
「そう……たしか、こういう分野にもツテがあるはずなのよね。あの人のことだから」
「あの……何か?」
「これはね?」
紅葉は、千鶴の体をうつぶせにして、その背中を美奈代に見せた。
「重大犯罪なのよ」
「犯罪?」
染み一つない白い肌があらわになる。
ゴクリ。
思わず唾を飲み込んだ美奈代は、脳裏に浮かんだ、女として普通じゃない欲望を、激しく首を左右に振って頭から追い出した。
「欲望に負けると、ろくな大人にならないわよ?」
「そうですね……って、何言わせるんですか」
「問題は、あんたがこの娘相手にヘンタイじみた欲情を持つことじゃなくて」
紅葉が指さしたのは、丁度ブラに隠れるような場所。
丸くて青黒い痣。
最初、美奈代はそう思った。
じっくり見ると、何だか模様にも見えるが、それが何だと聞かれても、美奈代にはわからない。
「これが?」
「これが、犯罪なのよ」
「何かの宗教ですか?」
「はぁ?」
「肌に入れ墨したら死刑とか。でも、この子って日本人ですよね?日本で入れ墨したら」
「バカ。コイツは入れ墨じゃない。魔法処理よ」
「魔法?」
「そう……ベルリン魔法人権条約第101項指定禁止魔法―――『絶対服従』。聞いたことない?」
「何ですか?それ」
「あのね?」
語り始めた紅葉は真顔だった。
『絶対服従
別名「人形化の魔法」「家畜化の魔法」
・一種の強制魔法の総称。呪符魔術。国際法規定禁止魔法。
・これを受けた者から理性を奪い、施術者の絶対的な服従下に置く、忌み嫌われた魔法。
・ローマ法王や天皇など『君臨する者』の力を参考に開発され、施術者はその力に近い力を発揮できる。
・『君臨する者』の力との違いは、殺傷力を伴う強制力と、呪符や入れ墨という、施術にかかる手間の有無。
・歴史上、何人もの専制君主が民衆に強制的に施したことでも知られ、数多くの悲劇を生みだした、魔法に対する大衆の憎悪の根拠にもなっている。
・あまりに残酷なため、国際的には1885年のベルリン魔法人権条約により使用が禁止されている』
民命書房刊『これを使ったら犯罪者 よくわかる呪い Q&A集』《恨みの主婦連合編》
《※作者注 以上、『お嬢様達のナイトメア その6』より一部引用しました。よかったら読んでね!》
「家畜化って……」
人間が人間を家畜として扱う。
そんなこと自体が信じられない美奈代は、紅葉と、目の前の印を何度も見比べても、納得が出来ない。
「あるんですか?」
「ある」紅葉は強く頷いた。
「一定のキーワードさえ唱えれば、絶対に逆らうことが出来なくなる。死ねと言われれば死ぬ。喜んでね。多分、この子はそうやって扱われてきた」
「それが人のやることですか?」
「私に怒るな。誰が、どういう目的で、この魔法を使ったのか、いろいろと知りたいのよね」
その紅葉の視線の先には、眠り続ける福沢中尉がいた。
「キーワードも、そして誰が仕掛けた魔法かも、いろいろと聞きたいことが増えたわね」
とりあえず、魔法を解除したい。
すぐに後藤さんを起こして事情を話して指示を仰げ。
美奈代はそう言われ、渋々ながら後藤の部屋を訪れた。
すっかり酒が入っていた後藤は、不機嫌そうに起きるなり、美奈代の説明半分で、わかったを連発し、詳しいのを手配するから。そう言うと乱暴にドアを閉めた。
大丈夫かな。
とにかく、報告に戻ったところで、紅葉はまだ起きていた。
美奈代が声をかけようとしても、機内のパソコン相手に作業中の手を止めることはない。
「後藤さんは?」
「詳しいのを手配すると」
「そう。なら、そっちは大丈夫ね」
「何してるんです?」
「“鈴谷”の情報。白石からやっと入って来た」
「“鈴谷”?」
「そう―――平野艦長が大変なことになってるわ」
時間は、美奈代達が“鈴谷”を発艦してから半日後のことだ。
まさか。
美夜は苦笑が出るだけでも、自分の神経が狂っていないと判断した。
階級章も徽章もない軍服。
そして、腕には手錠。
前後を武装した憲兵に立たれたまま、ここを歩くことになる日が来るとは……。
階級及び役務権限を一時的に剥奪の上、身柄を拘束する。
憲兵隊からそう告げられた時は、さすがに我が耳を疑った。
しかし、それが聞き違いでないことは、今の自分の姿が証明している。
廊下ですれ違う将官の中には何人も知った顔があった。
全員が、申し訳なさそうな、或いはあからさまに視線を外し、或いは針路を変えた。
自分に関わるのを拒んでいるのだ。
無理もない。
美夜はそれを非難するつもりはなかった。
自分だって、同じ立場に立てば、きっとそうしただろうから。
連行された場所は、憲兵隊詰め所の隣にある取調室。
無機質なスチール製のデスクと、パイプ椅子が二つあるだけの、殺風景を絵にしたような部屋。
普通の神経で入りたい場所ではない。
「ここに座って」
憲兵がパイプ椅子を一つ指さした。
「しばらくお待ち下さい」
元という言葉がつくとはいえ、美夜は中佐。千名に達する艦を指揮する艦長だ。
憲兵隊も無下には出来ない。
「……」
はぁっ。
美夜は、パイプ椅子の背もたれに体重を預け、そのまま天井を見上げた。
裸電球が一つだけぶら下がっている天井。
そこに何の感情を抱けというのか。
美夜は何も考えることさえ出来ず、目を閉じた。
ガチャッ。
ドアが開いた時も、美夜はそのままの姿勢でいた。
「―――席を外してくれないか」
男の声がした。
「しかし」
「……高円寺大尉の許可は取り付けてある」
「……わかりました」
ガチャッ。
憲兵の気配が消えた。
「……」
「……」
しばらくの沈黙。
ガタン。ガタン。という、電車の音が遠くから聞こえてくる。
ああ、内地に戻ったんだな。
美夜は、そんなことを思った。
「―――とんでもないことをしてくれたな。平野中佐」
渋い男の声が美夜の耳に届いた。
「……」
相手が誰かは分かる。
わかるだけに、その呼び方が、美夜には悲しかった。
美夜は、目をつむった。
「聞こえているのか?平野―――」
「聞こえています」
「なら、何故、返事をしない」
「……」
美夜はようやく姿勢を正した。
「……」
目の前に立つ男を決して見まいとしているかのように、その目は閉じられたままだ。
「ったく」
ガタッ。
美夜の耳に、椅子が動く音がした。
相手が椅子に座った。
「いいか?ここにいる限り、少将と中佐。その関係は維持してもらわねば困る」
「……」
「……何が起きた」
「報告書は提出済みです」
「……魔族軍に艦を乗っ取られた挙げ句、脱走を二人も出した。挙げ句が双方共に魔族に寝返っただと?」
「報告書に書かれていることが真実です」
「……」
「……」
相手が怒っているのはわかる。
今、どんな顔をしているのかもわかる。
目なんて必要ない。
必要ない位、相手を私は見続けてきたのだから。
「……平野中佐」
「……」
「貴様の口から、何があったかを聞きたい」
「報告書をお読み下さい」
「お前は、どうしてそう頑ななんだ!」
バンッ!
デスクが叩かれた。
「考えてみろっ!敵に対する許可なき降伏、その下での共同戦線の構築、脱走!お前、私でもここまで来れば庇いきれんぞ!」
「庇ってくれと、頼むつもりもありません」
「美夜っ!」
「いい加減にして下さいっ!」
初めて美夜は目を開くと、椅子を蹴った。
「艦を乗っ取られた時点で、抗戦する術なんてなかった!非武装の乗組員達に、素手で抗って死ねと命ずる権限は、私にはなかった!」
「抗戦の方法はあったはずだ!」
「艦内にメースまで侵入され、完全武装の魔族兵数百名に押し込まれて、何をどうしろと!」
「陸軍の特殊部隊の、あれは何だった!」
「事情が違う!抵抗しようものなら、メースによって艦を沈められていた!陸軍がメースを投入していたら、状況は―――」
「推測は聞きたくない!」
「事実は報告書にまとめているはずです!それ以外に何を言えと!?」
「―――っ!」
苦虫を噛み潰したように歯ぎしりするのは、40の坂を越えているだろう中年の男。
筋肉質のがっちりとした体つき。顔は渋く、年相応の貫禄がある。
その男が、美夜を睨み付けていた。
握られた拳が震えている。
「部下2名の脱走は、私も、部隊長である後藤中隊長も把握していませんでした!よもや内親王護衛隊総隊長が、あの場で寝返ることを予想すべきだったと、そう仰るのですか!?」
「ああ言えばこう言う!」
「聞かないくせに!」
「何だと!?」
振り上げた拳に気付き、ハッとなった男は気まずそうに拳を後ろ手に回し、咳払いを下。
「―――スマン。手を上げたら、離婚だったな」
「……その前に、ここでは夫婦ですらない」
「……美夜」
「半年ぶりに出会ったのに」
美夜の瞳から涙がこぼれ落ちた。
「それが、こんな場所で……こんな言葉で始まるなんて……」
「帰ってきたら、ポートハーバーのレストランで食事する約束だったな」
「……ここまで来て、やっと思い出したくせに」
「……覚えてはいた。違うか?」
「……あなたの言うことは、どうしても、その場しのぎに聞こえてくる」
「信じろ」
「どうやって」
美夜は、手錠をはめられた手をかざして見せた。
「あなたを抱きしめることも出来ない、この腕で、どうやって信じろというのですか?」
「……憲兵隊の取り調べは形だけだ」
男は、視線を外した。
「すぐに前線に復帰するだろう」
「……」
「武勲艦である“鈴谷”と、それを預かる君を軍法会議にかけていられる程、我々も暇ではない。艦もメサイアも、何もかも不足している中だ」
「私も消耗品ですか?」
「バカを言うな……秋山提督の権限で、艦乗組員には上陸許可を降ろした。休養は十分に取らせている。それに、“鈴谷”の修復、整備も進んでいる。それと、君の代理は高木副長の他にも応援を出しているんだ。心配はいらない」
「……飛べば鍋の蓋でもといいますが」
「何をスネている?メサイア部隊を北海道に逃がしてやるのが、私の出来る精一杯だった。私だって、精一杯、やれる限りはやっている。今までだってお前の暴走も大目に見てきたし、もみ消す所はもみ消してきた」
「その分、あなた方、司令部の失策のツケは前線の私達が負担してきた。違いますか」
「お前はどうしてそう手厳しい」
「そういう女ですから」
「……ったく。これでもお前が帰ってくるのを指折り待ち望んでいたんだぞ」
「信じられません」
「艦隊副司令の権限を乱用しろというのか?乗組員は家族と連絡だって満足にとれんというのに、上に立つ身が気楽に本土と通信していましたなぞ、まかり通って言い論理ではないぞ」
「士官教育をここでなさいますか?元教導隊教頭殿」
「ったく……口の悪さは相変わらずだな」
「どうも」
「もう少し待て。悪いようにはしない」
「……」
「そこに座り直して、報告書にもう一度、目を通せ。内容に間違いがないなら、最後のページにサインしろ。脱線したが、これ以上お前と世間話をしている余裕もないのだ。私は忙しい」
「なっ!」
「もう一度言う!」
男はきつい口調で言った。
「そこに座り直して、報告書にもう一度、目を通せ!」
「……」
気迫に負けた美夜は、無言で床に転がっていた椅子を戻すと、そこに座った。
乱暴にデスクに置かれたファイル。
美夜はその表紙を開き、中身に目を落とした。
「っ!?」
途端に、美夜目に驚愕が走る。
何度も書類と男を見比べるその表情には、困惑以外の何も読み取ることは出来ない。
「……そんな」
「何か、間違いがあったか?」
「……いえ」
美夜は無言でファイルに挟んであったボールペンを手に取った。
「派手に叩きのめしてやりたい。そう思っただけです」
「誰を」
「決まっているでしょう?」
「……お手柔らかに頼む」
男は、ファイルを脇に挟むと、立ち上がった。
踵を返し、美夜に向けられた背。
「……」
男は、しばらくそのまま、何かを躊躇したかのように立ち尽くし、そして意を決したように振り返るなり、美夜の階級章のない軍服の肩に手を置いた。
「……半年ぶりに再開して、抱きしめてやることも出来ん。許せ」
「……」
美夜は、無言で頷くと、目を閉じた。
肩から手が離れ、そして、男は部屋を出て行った。
平野源一郎
近衛飛行艦隊副司令、近衛軍少将。
そして、美夜の夫は、再び美夜の前から遠ざかっていった。
「今晩はぁ」
美奈代が、その声に起こされたのは、もう明け方近かった。
いつの間に眠っていたのだろう。
美奈代は、シートに座ったまま眠っていた自分に初めて気付いた。
既にパソコンの電源は切られていて、紅葉の姿はない。
毛布が自分に掛けられているから、紅葉より先に眠ったのは間違いない。
辺りを見回すと、仮眠ベッドの上で紅葉が毛布にくるまっているのが見えた。
「あのぉ」
「へっ?」
美奈代が困惑したのは、その声だ。
自分をのぞき込むようにしげしげと眺めているのは、小さな女の子。
多分、紅葉より年下だろう。
でも、この子はどこかで出会っている。
あれ?
「……」
「……どうしたの?」
「君……どこかで」
「“あの島”で会ったお姉さんでしょ?」
「……あの島?」
美奈代は寝ぼけ気味の脳みそを酷使してようやく情報に行き当たった。
「ああっ!」
驚いた美奈代が思わず指さした。
「君、あの島にいた療法魔導師!」
「あの島にいたは正しくないけど……」
女の子は、小首をかしげた。
「とりあえず、お久しぶり」
「そ、そうね」
「後藤さんに呼ばれたの。解呪して欲しいって」
「かいじゅ?」
「呪いを解いて欲しいって言われたんだけど?」
「……あっ。この子」
美奈代はシートに寝かされたままの千鶴を指さした。
「今、睡眠薬嗅がせて眠らせている」
「……そう」
「何か手伝う?」
「別に要らない」
女の子は、背負っていたリュックを床に降ろすと、千鶴に近づいた。
「印はどこ?」
「背中―――待って。今、津島中佐起こすから」
「うん」
女の子は、千鶴が眠っているのを確かめると、その体を仰向けにして、インナーを脱がせた。
「……ああ。これかぁ」
「何よ……うるさいわねぇ」
寝ぼけ眼をこすりながら、紅葉が起きてきた。
「……ああ。後藤さんの手配したのって、あんた?」
「うん」
「随分、ちみっちいのが来たわねぇ」
「お互い様」
「……とりあえず名前は?」
「名乗らなきゃだめ?」
「お墓に刻む名前だからね?本名をしっかり名乗りなさい」
「お墓?」
「中佐の冗談よ。本気にしちゃダメ。でも、嘘はだめよ?」
「うん」
女の子は首から提げていたパスケースを美奈代に手渡した。
「水瀬悠理―――軍属です」
----キャラクター紹介----------
平野源一郎
・近衛飛行艦隊副司令、近衛軍少将。
・美夜のダンナ。
・美夜を溺愛しており、美夜への対応は子供じみていることもある。
・自分が妻に対して不器用であることは自覚しているが、かといって、どうしていいかわからないタイプ。
・私情と仕事は完全に分離する主義というが、周りの配慮ぶりからしてタテマエだろう。
・美夜との年齢差はなんと15歳(!)。
・どうやってプロポーズしたかは謎。
・官僚肌と思われがちたが、実際には美夜も認める辣腕家。
・かつては南米とアフリカ双方で暴れ回った名提督の一人。
・今は現場を離れ、軍内部の政治的問題に専念する立場にいる。
・接待などに駆り出されることも多いので、ことあるごとに美夜との関係がぎくしゃくして、ついに離婚の危機を迎えることになる。
・ちなみに、美夜とは「手を上げたら離婚」する約束だとか。
・上司にすればかなり頼れる存在らしく、人望も厚い、美夜曰く「ナイスミドル」らしい。
【ネタバレ】
・イメージしたのは星里もちる先生の『りびんぐゲーム』に出てきた兼森万夫。
・美夜はその妻の時子のイメージですから、いつか美夜に「離婚してやる!」と叫ばせたいです。
・実際の俳優では長塚京三あたりの「頼れる中年男」のイメージ。




