第七十二話 気まずい空気
裸の北川をお風呂の椅子に座らせて壁にもたれさせる。
北川は相変わらず眠っていて人形のようになっていた。
「シャワーを浴びれば起きるかもしれないな」
俺はシャワーのノズルをひねって音頭を調節する。
湯加減は体温よりと同じぐらいの熱めに設定した。
「すっかり俺の熱いものまみれになっているな」
北川の顔に俺の熱いものを届けたので顔が汚れている。
顔に熱いものを届けるなんてAVの観過ぎかもしれない。
俺は北川の頭にシャワーを浴びせて髪を濡らした。
北川がお湯を飲み込まないように顔を下に向けておくことは忘れない。
頭から流れたお湯が北川の顔の熱いものを洗い流して行った。
「これでキレイになったぞ」
北川は頭からつま先までお湯で濡れている。
その姿を見ていたらずぶ濡れになるAV作品を想い出してしまった。
「濡れた北川の裸もエロいな」
滴が体についているから輝いてよりエロスを醸し出している。
おまけにずぶ濡れになるAV作品のセクシー女優の姿と重なってエッチな気分になった。
「おいおいおい。俺のマツタケが天を向いているぞ」
2回もエッチしたのにまだ俺のマツタケは底を知らない。
第3ラウンドもできそうなぐらいギンギンになっている。
俺はシャワーのお湯をマツタケにあてて落ち着かせる。
しかし、気持ちよくなるだけでマツタケは元に戻らなかった。
「ダメだ。もう一発抜かないと落ち着かない」
俺は北川の濡れた体を眺めながらどう言う体勢でするのか考える。
1回目はおまたでやったし、2回目はお尻でやった。
ならば、3回目はお口でするのが常套かもしれない。
AV作品でもお口でするシーンは必ず描かれている。
だから、きっと気持ちいいのだろう。
俺は北川の口を開いてマツタケを咥えさせる。
そして北川の頭を持って前後に動かした。
「北川の舌が俺のマツタケに絡みついて何とも言えない気持ち良さだ」
この刺激はおまたでするものと、お尻でするものとまるで違う感覚だ。
おまけに北川の口から唾液が出て来るからローションを塗らなくてもすむ。
「たまんねーな」
あまりの気持ち良さに北川の頭を動かす手も早くなる。
その度にマツタケが北川の喉の奥まで届いて気持ちよくなる。
ただ、北川は異物を吐き出すように嗚咽していた。
「これならすぐにイキそうだ」
俺は北川の頭を早く動かしてマツタケを刺激する。
すると、マツタケの興奮が最頂点まで上昇した。
「イクっ」
次の瞬間、俺の熱いものは北川の口の中を汚した。
「はあはあはあ。気持ちよかった」
お口でするのがこんなにも気持ちいいとは知らなかった。
毎回、AV作品で観ていつかはしたいと思っていた。
それが叶うなんてなんて俺は幸せ者なのか。
「俺のマツタケをキレイにするんだぞ」
俺は北川の頭を動かして熱いものをこそぎとった。
「さすがに眠っているから熱いものをゴックンしないか」
北川の口から俺の熱いものが垂れて来て床に落ちた。
「さすがに3回もエッチするとマツタケが萎えるな」
俺のマツタケはすっかり精気を失いぶらりと垂れ下がっていた。
けど、これでAV作品で描かれているエッチはすべてこなした。
普通におまたでして、お尻でして、お口で締めた。
もう、これ以上することはない。
「さてと、いつまでも裸のままじゃいられないな」
俺は再びシャワーを出して北川の体を洗ってあげた。
とくにエッチをしたおまたとお尻とお口は念入りに洗ってあげる。
キレイにしておかないと病気になってしまうから事後の処理は大切だ。
そして一通り北川の体をシャワーで洗い流してから北川を抱っこして脱衣所に運ぶ。
「ちゃんとタオルで拭いておかないと風邪を引いちゃうからな」
俺はバスタオルで北川の体を優しく拭いて水気をとる。
それからドライヤーで北川の髪を乾かせた。
「我ながらうまく行ったな。あとはベッドに運んで寝かせるだけだ」
再び北川をお姫さま抱っこをして回転ベッドに運ぶ。
そして布団をかけて風邪を引かないように整えた。
「ふーぅ、これでひと仕事は終わったな」
その間も北川は目を覚ますことはなく小さな寝息を立てていた。
「さてと、もうひとっ風呂浴びるか」
俺はシャワー室に戻って自分の体をキレイにした。
とくに大活躍したマツタケは念入りに洗った。
そして浴槽にお湯をはって体を温めた。
「まさか北川と肉体関係を持つなんてな。明日からどんな顔をして北川を見たらいいんだ」
きっと今日のエッチのことを思い出していやらしい気持ちになるだろう。
服の上からも北川の裸が想像できてマツタケが反応してしまうかもしれない。
ただ、北川とは裸の付き合いをしたのだから以前より距離が近くなるだろう。
「俺、このまま北川を好きになっちゃうのかな」
あり得ない話でない。
エッチからはじまる恋もあるぐらいなのだから。
最初から肉体関係を持てばぐっと距離が近くなる。
おまけに変な気を使わなくてすむようになるからうまく行くかもしれない。
ふいにまといの顔が頭に浮かんでやるせない気持ちになった。
「なんでまといが出て来るんだよ。まといには関係ないことだ」
だけど、まといのことを裏切ったような気がして来る。
「やめやめやめ。余計なことは考えない方がいい。どうせまといにバレることはないのだから」
俺は頭の中に浮かんだまといの幻影をかき消してお風呂から上がった。
「さて、俺も寝るか」
裸のまま眠っている北川の横に並んで布団に入る。
そして静かに目を閉じて深い眠りに落ちて行った。
翌朝は北川より早く起きた。
ちょうどいいところで夢が終わったからだ。
「うぅ……なんて夢を見たんだ」
夢の中でまといがこの部屋に駆け込んで来て俺と言い争いをする内容だった。
しかも、何故だかがまといも裸のままで3人でもみ合ってケンカをする。
これが正夢になることはないだろうがあまり気分のいい目覚めではなかった。
「熱いシャワーでも浴びてさっぱりしよう」
俺は北川を起さないように静かにベッドから抜け出してシャワー室に向かった。
「うぅ……気持ちいいぜ。やっぱ朝の熱いシャワーは目が覚めるな」
夏場だったら冷たいシャワーでもいいが今は12月だ。
冷たいシャワーを浴びていたら風邪を引いてしまう。
「一晩眠ったから俺のマツタケも元に戻ったな」
さすがに天を仰いではいないがぐったりもしていない。
眠っている間に精気が戻ったからいつも通りになっていた。
すると、天を裂くような悲鳴交じりの叫び声が耳に届く。
俺は慌ててシャワー室から飛び出すとベッドルームに駆け込んだ。
「どうした、北川」
「えっ。何で先輩が裸なんですか!」
北川はシーツで体を隠しながら俺の裸を見て悲鳴を上げる。
「落ち着け、北川」
「変態!あっちへ行ってください!」
「わ、悪い」
慌ててシャワー室から飛び出して来たのでタオルを巻いていない。
だから、北川が素っ裸の俺を見て悲鳴をあげたのだろう。
俺は慌てて脱衣所に戻りバスタオルで下半身を隠した。
「北川、これで大丈夫だ」
「何が大丈夫なんですか。私は裸なんですよ」
「覚えていないのか?」
「何も覚えていません!」
北川は声を荒げながら昨日のことを覚えてないと言う。
だから、何で自分が裸になっているのか理解していないようだ。
「どこまで覚えているんだ?」
「居酒屋へ入ったところまでです」
ならば北川が酔っ払って俺に迫って来たこともエッチのことも覚えていないと言うことだ。
それはそれでよかったのかもしれないが、この状況の説明が難しくなる。
酔っ払った北川を介抱しただけなら裸である必要がないからだ。
「北川が居酒屋で酔い潰れたからここに運んだんだ」
「何でラブホなんですか」
「北川の家も知らないし、ましてや俺の家に運ぶわけにもいかないだろう」
はじめから北川の家を知っていたら北川の家に運んでいた。
その方があとあと都合がいいからそうしていたはずだ。
北川をここに連れて来たのは成り行きなのだ。
「したんですか?」
「何を?」
「エッチです」
「あ、いや、それは……」
「したんですね」
「まあ、その成り行きってやつだ」
わざわざラブホに来たのにエッチをしないで休む男女はいない。
お互いに裸の付き合いをして隅々までチェックし合うのだ。
そうすることで心の距離がぐっと近くなるから仲良くなれる。
ただ、今の北川にはその意味が理解できないでいた。
「私はエッチしたいなんて言っていません。これはレイプですよ」
「おい、人聞きの悪いことを言うな。北川から誘って来たんだぞ」
「私はいつ先輩にエッチして欲しいって言ったんですか」
「だから酔い潰れた時に俺に迫って来たんだ」
「嘘です。私はそんなふしだらな女じゃありません」
「嘘も何も本当のことなんだ」
北川は鬼のような形相をしながらゴミ虫を見るような目で俺を睨みつける。
その瞳には沸々と怒りがにじみ出ていて俺の心を委縮させた。
「訴えますから」
「おい、そんなこと言うなよ」
「絶対に許しません。先輩を社会から抹消します」
「ふーぅ、こんなことになるなら北川をラブホになんて連れ込むんじゃなかったな」
あの時は俺のスケベ心がエッチを求めていたから北川をラブホに連れ込んだ。
酔い潰れた北川を介抱してあげると言う名目だったけれど3回もエッチしてしまった。
それが間違いだなんてあの時は気づけなかった。
今になって後悔が押し寄せて来る。
「出て行ってください」
「わかったよ。だけど、訴えるのはやめてくれよな」
「嫌です。この後、弁護士に頼んで裁判にしてもらいます」
「おいおい、冗談は顔だけにしてくれよ。たかがエッチしただけだろう」
「不同意性交ですよ。立派な犯罪です」
「だから、何度も言っているだろう。北川から誘って来たんだぞ」
そもそも悪酔いして迫って来た北川の方が悪い。
俺はそんな気はなかったのに北川に刺激されたのだ。
それを不同意性交だなんてあんまりだ。
「それを誰が信じてくれるんですか。証拠があるなら見せてください」
「そんなものあるかよ」
「なら、私の勝ちですね。私は被害者なんです」
「俺だって被害者だ」
俺と北川の言い合いは着地点を見出せない。
北川が感情的になるのもわかるが俺の言い分だって正当だ。
証拠は見せられないが北川の方から誘って来たのは事実なのだ。
だから、俺が一方的に悪いと言うことはない。
「絶対に訴えますからね」
「どうしたら許してくれるんだ」
「絶対に許しません」
「なら、いくらだ?」
「バカにしないでください。私はお金なんて欲しくありません」
「だったらどうしたらいいんだ」
北川は訴えることを譲ろうとはしないので何を言っても無駄だ。
慰謝料ですむことならいくらでも払う覚悟がある。
その方が俺にとっても都合がいいから内々にしてもらいたいところだ。
「死んでください」
「バカ言え。そんなことできるか」
「なら、二度と私の前に現れないでください」
「おいおい。俺達はビジネスパートナーだろう。そんなことできるかよ」
「この期に及んで、まだ私といっしょに仕事がしたいって言うんですか。非常識です」
「仕方ないだろう。社運をかけたプロジェクトに携わっているんだから」
北川とトラブったからと言ってプロジェクトを頓挫させるわけにはいかない。
社運をかけた大事なプロジェクトに携わっているのだから最後までやり遂げるべきだ。
北川には悪いと思うが最後まで付き合ってもらうつもりでいる。
「プロジェクトを理由に自分がした行為を正当化しないでください」
「そんなつもりはない。ただ、プロジェクトを放棄することができなだろう」
「関係ありません。自分の体の方が大切ですから」
「俺は北川とは違って仕事人間なんだ。だから、プロジェクトから降りることはできない」
今は何よりもプロジェクトが大事なのだ。
北川とは男女の問題だからそれほど重要じゃない。
たとえ訴えられたとしてもプロジェクトから降りることはできない。
「私、帰ります」
「なら、俺も」
「ついて来ないでください」
「わかったよ。別々の方がいいよな」
「着替えられないのであっちを向いていてください」
「おお、悪い」
北川が着替えようとしてきたので俺は背中を向ける。
すると、背後から布が擦れる音が聴こえて来た。
恐らく北川がベッドから抜け出て下着をつけているのだろう。
「私、必ず訴えますから」
「また、その話か。訴えたかったら訴えればいいじゃないか」
「逆切れですか。だから、男って達が悪いですよね」
「達が悪いのはそっちだろう。いっしょにエッチを楽しんだのに手のひらを反すのだから」
「私は力任せにレイプされただけです」
「だからな」
そう言って後ろを振り返ると下着姿の北川が立っていた。
「こっちを見ないでください」
「もう、いいだろう。裸じゃないんだから」
「セクハラはやめてください」
「ああ言えばこう言う。いったいどうしたらいいって言うんだよ」
北川があまりに一点張りなので俺の方もムカついて来る。
そもそも北川が悪酔いして俺を誘って来たのがはじまりだ。
だから、俺の方にも情状酌量の余地は残されているのだ。
「先輩が許される道はないんです」
「なっ」
「地獄に落ちてください」
「いい加減にしろ!」
あまりにイラッと来たので俺は北川をベッドに押し倒した。
「そうやってするんですね」
「バカ言え」
「したら許しませんから」
「する訳ないだろう」
北川は俺の睨みつけていたが瞳は涙で潤んでいる。
力任せに押し倒されて俺を押し返すことができないからだ。
自分の無力さを実感しているのだろう。
その後、俺は北川にエッチすることはなかった。
そう言う気分でもないし、そう言う状況でもないからだ。
お互いに身なりを整えて時間差でラブホから出て行った。
休み明けの会社は最悪だった。
北川は話してくれないばかりか、目も合わせてくれない。
俺が下手に挨拶をしてもガン無視している。
さすがに昨日の今日だから許せないのだろう。
「おい、北川。いい加減に話してくれよ」
「……」
「あのことは謝るから、なっ」
「……」
まるでお地蔵さんに話しかけているかのようだ。
北川は無表情のままパソコンで文章作成をしている。
俺が隣に座っても視線を合わせることなくキーボードを叩いていた。
すると、俺達の様子を不審に思った上村課長が声をかけてきた。
「おい、杉沢どうした。北川とケンカでもしたのか」
「おはようごさいまず、上村課長。北川とはちょっと行き違いがあっただけです」
「プロジェクトはお前達の手にかかっているんだからな。北川と早く仲直りをしてくれよ」
「大丈夫です。すぐに元に戻りますから」
上村課長に心配されないように俺は強がりを言う。
北川の許しを得る方法なんてないし、元に戻ることもない。
だけど、ここで正直に話してしまうとトラブルの原因になるから伏せておいた。
「夫婦喧嘩は犬も食わないって言うぐらいだからな。ケンカもほどほどにしておけよ」
「はい」
そうお灸をすえると上村課長は自分のデスクに戻って行った。
「はぁー、どうしたものかな。北川は許してくれないし、プロジェクトは進めないといけないし」
「……」
「なあ、北川。俺達、付き合わないか」
「……」
「そうすればあのエッチは普通のことになるし、その方がいいだろう」
「……」
「俺達、ビジネスパートナーなんだし、本当のパートナーになるってのも悪くはないぞ」
「……」
すると、北川はキーボードを叩くのをやめて勢いよく立ち上がる。
そして俺をひと睨みするとパソコンを持って他のデスクに移った。
「やっぱダメか」
結局、俺は正解を導き出せることはできなくて一日中悩んでいた。
おかげで今日の交渉は決裂してしまいプロジェクトの推進力が落ちてしまった。




