第四話 おすそ分け
翌日、久しぶりに静かな朝を迎えた。
騒がしいまといもおらず妙に気持ちが落ち着いている。
数日前はあたり前だったから少し懐かしさを感じた。
「やっぱり朝は静かな時間を過ごすべきだ」
いつものようにスクランブルエッグとソーセージ、サラダのワンプレートを作る。
そしていつもとは違って今朝はチーズトーストを用意した。
チーズトーストにははちみつをかけるか塩をかけるかに別れるが俺は俄然、塩派だ。
はちみつ派を否定する訳ではないが、やっぱりチーズには多少塩味があった方が美味しいのだ。
「染みるぜ」
今日のブラックコーヒーはいつもより体に染みる。
久しぶりにひとりの朝を迎えたからなのかまといと喧嘩をしたからなのかはわからない。
ただ、いつも飲んでいるブラックコーヒーとは違う味がしたような気がした。
俺は静かに朝食をすませた後で新聞の記事を読む。
この光景だけを切り取るとすっかりとオヤジ化している。
どこの家庭でもおじさんはコーヒーを飲みながら新聞を読んでいるものだ。
新聞の一面には政治関係の告発の記事が載っている。
週刊誌に内部告発をした職員が出て問題になっているとのこと。
まあ、政治が静かに進むことはないから驚きもしない。
新聞の記事を読み進めて行くと下の方にエンタメ記事が載っていた。
”ちぃかまとコンビニとコラボ、期間限定商品発売”とあった。
「また、ちぃかまかよ。そんなに流行っているのか」
ひとたび当たればボロ儲けできるのがキャラクタービジネスだ。
アニメになったり、企業とコラボしたり、コンテンツの裾のは広い。
それにネットでバズれば世界進出も狙えるのだ。
「俺もオリジナルキャラクターでも描いてみようかな」
はっきり言って俺に絵心は全くない。
ペンを走らせても棒キャラのような絵しか描けない。
まあでも、何がバズるかはわからないからやってみるのもアリだ。
今度、時間を見て本気で取り組んでみるのも悪くはない。
そんな夢みたいなことを考えながらコーヒーを飲み干す。
そして食器を片づけてからトイレで一発かました。
「ふぅー。すっきりしたぜ」
朝から快便なんで今日の調子はいいようだ。
まといにも文句を言われないからスッキリしている。
やっぱりトイレは好きな時にするのがいいのだ。
すると、玄関の呼び鈴が鳴った。
「はーい」
インターホンで確認するとおキヨさんの顔がアップで映った。
「げぇっ、近い」
おばさんってのはカメラの距離感がつかめない人が多い。
自撮りの経験が少ないから、どうすればいいのかわからないのだろう。
だから、とりあえずカメラに近づくいておけばいいと考えているのだ。
「和斗君、いるんでしょう。話があるから開けてちょうだい」
「今、開けます」
そう言って玄関の扉を開くとおキヨさんが立っていた。
「朝からごめんなさいね。せっかく二人きりの兄妹が喧嘩をしているなんて耐えられないから」
「あれは俺が悪かったんです。大人気もなく怒ってしまったから。もっとまといのことを考えるべきでした」
「やっぱり和斗君はお兄ちゃんだね。素直に自分の非を認められるなんてさすがだよ」
「本当のことですから」
急におキヨさんが褒めて来るので俺は照れ笑いをしてしまう。
本当の兄妹であっても兄から謝るのが仲直りをする一番の方法だ。
妹よりも先に生まれているのだし、人としても兄としても上だからだ。
だからなのか、おキヨさんの背後からまといが顔を覗かせて様子を見ていた。
「まとい」
「お兄ちゃん、ワガママばかり言ってごめんなさい」
「いいんだ。俺も悪かったし」
本当の兄妹ではないが俺とまといはようやく心を通わせた。
すると、おキヨさんが間に割って入って来て言った。
「仲直りの印に握手をしなさい。それでもうこの話は終わり」
俺とまといはお互いに手を出して仲直りの握手をした。
「じゃあ、これで私は行くから。もう、喧嘩をするんじゃないよ」
「おキヨさん、いろいろありがとうございました。まといからもお礼を言え」
「おキヨさんありがとうございます」
俺達にお礼を言われて機嫌がよくなったのかおキヨさんは軽い足取りで自分の家に戻って行った。
「よーし、カレーを作るぞ」
「カレーって何よ」
「仲直りの印だよ」
「カレーなんてコンビニで買えるじゃない」
「俺の作るカレーはスパイスから作る本格的なカレーなんだ。そこいらのカレーとは違う」
「めんどくさー」
「つべこべ言わずに俺について来い。買い出しに行くぞ」
と言う訳で俺とまといはアパートから20分ほど歩いたところにあるスーパーへやって来た。
通い慣れたお馴染みのスーパーだから店員も俺のことは知っている。
ただ、俺がまといを連れて来たことで少しだけ驚いていた。
「何だか周りの人達の視線が私達に集まっているんだけど」
「気にするな。俺達は兄妹なんだ。堂々としていればいい」
とりあえず顔馴染の店員にはまといのことを妹だと紹介しておいた。
そうしておかないと援助交際をしていると誤解されてしまうからだ。
まといが制服を着ていることも一因なのだが、それは後で解決しよう。
「まずはジャガイモだ」
俺は並べてあるジャガイモを見つめながら品定めをする。
「ジャガイモを買うんじゃないの」
「どのジャガイモがいいか見定めているんだ」
「ジャガイモなんてどれも同じじゃない」
「馬鹿言え。ジャガイモだって個性があるんだ」
「個性って何よ。ただのジャガイモじゃない」
俺のこだわりを馬鹿にしてまといは適当に取ったジャガイモを買い物カゴに入れた。
「おい。俺が買おうと思ったジャガイモはそれじゃない」
「別にいいじゃない。次はニンジンと玉ねぎでしょう。私が取って来るからそこにいて」
しょうもないこだわりを見せる俺にシビレを切らしてまといは適当に人参と玉ねぎも持って来た。
「お肉は何にするの?」
「俺の作るカレーはチキンしか使わない」
「なら、鶏モモね」
「お前、わかってるじゃないか」
「お前じゃない。まといよ。私だって自炊をするからね」
「意外だな。いつもコンビニ弁当だけだと思っていた」
女子高生で自炊をしているなんてかなりレベルが高い。
大抵、親と暮らしているから母親に任せているものだ。
もしかしたらまといの両親は共働きで家にいないのかもしれない。
(できる子なんだね。いい子じゃない)
(料理をするついでにあいつも料理してやれ)
(昼間っからそんなことを考えていてはダメだよ)
(エロいことに朝も昼もないんだ。本能に従え)
また性懲りもなく俺の頭の中に天使と悪魔が出て来る。
まといをどうするかなんて今は考えていいる場合じゃない。
それよりも自慢のカレーを作ることの方が大切なのだ。
「鶏モモを持って来たわよ」
「おっ、そうだったな。サンキュー」
俺がしょうもないことを考えている間にまといは適当な鶏モモを持って来てくれた。
「後はスパイスだ」
「普通のカレールーでいいんじゃない?」
「ダメだ。カレーはスパイスから作るのが本当なんだ」
俺達はスーパーにあるスパイスコーナーへ足を向けた。
スーパーと言っても豊富にスパイスが揃えてある。
最近はスパイスからカレーを作ることが巷で流行っているからだ。
「まずは基本中の基本であるターメリックとコリアンダーとクミンだ。これがないとカレーは作れない」
「へぇ~」
俺は棚に並んでいるスパイスを取りながら説明するがまといは気のない返事をする。
「後は香りづけのシナモンと臭み消しのベイリーブス、それに辛みを加える山椒だ。辛みを加えるのはレッドペッパーとコショウもあるが俺は山椒派なのだ」
「すごいわねぇ~」
俺がマニアックなことを言うのでまといはすっかり興味をなくしている。
コンビニでもそれなりに美味しいカレーが食べられるのだからなのだろう。
だが、スパイスからカレーを作るとオリジナルのカレーができるのだ。
「こんなもんかな」
「あーっ、”ちぃかま”の花火がある。買っていい?」
「また、”ちぃかま”か。花火なんてまだ早いだろう。今は6月だぞ」
「いいじゃない。季節外れの花火も乙なものよ」
そんな粋なことを言うまといだが子供のようにおねだりをする。
確かにまといの言うように季節外れの花火もいいかもしれない。
ただ、やっぱり花火は梅雨が明けてからの方が楽しめそうな気がする。
幼い頃の記憶を辿っても花火は田舎のおばあちゃん家に行った夏休みにやった思い出がある。
街の花火大会も早くても7月からだから時期的にまだ早い。
「やっぱ止めておこう。湿度が高いから火もつかないだろうし」
「えーっ。そんなのチャッカマンを使えば一発で点くわよ。だから買おうよ」
「花火は梅雨が明けてからだ。それまで楽しみにしておけ」
「お兄ちゃんの意地悪。なら、自分で買うからいいわ」
そう言ってまといはプリプリしながら”ちぃかま”の花火セットを持ってひとりでレジへ向かった。
「全く子供だな」
俺はまといの背中を見送りながら呆れたように呟く。
でも、こんな風な気持になるのも悪くはない。
俺は兄妹がいないから兄妹の良さと言うものを知らない。
だから、まといがいることで疑似的に兄妹を味わえているのだ。
俺はまといの後を追い駆けてレジで精算をすませると自前の買い物カゴを持ってスーパーを後にした。
「自前のカゴを持っているなんて用意がいいじゃない」
「いつも通っているからな。それに俺だって資源の節約には感心があるんだ」
「ポイントカードも持っていたし、結構そう言うところはちゃんとしているのね」
今では自前のカゴやポイントカードはあたり前だ。
おばさん達のように少しでも得をしようと思ってと言うわけではない。
社会人のマナーとしてそうしているだけだ。
まあ、自前の買い物かごを忘れた時は買い物袋にしてもらうがごくまれだ。
俺とまといは20分をかけてのんびりと歩きながら家路についた。
「よーし、カレーを作るぞ。まといは野菜を切ってくれ」
「えー。私もするの。面倒くさい」
「居候なんだからそれぐらいしろ」
「ブー」
まといは頬を膨らませて唇を尖らせる。
「そんな顔をしてもダメだ。任せたからな」
「わかったわよ。やればいいんでしょう」
ブツクサ文句を言いながらもまといは野菜を洗いはじめる。
そして引き出しからピーラーを見つけると野菜の皮を剥きはじめた。
「よくわかったな、ピーラーのあることろ」
「ピーラーなんて大抵、引き出しに入っているからね」
まあ、言われてみればその通りだ。
他にピーラーがある場所と言えばフックに引っかかっているぐらいだ。
ピーラーは便利な調理器具だが存在感は薄い。
包丁やおたま達にポジションを奪われているからだ。
学校のクラスに例えたら目立たない優等生って立ち位置だ。
「野菜の皮を剥き終わったわよ」
「なら、野菜を乱切りにしてくれ」
「乱切りね」
「なるべく大きく切ってくれよ。野菜がゴロゴロ入っているカレーを作りたいから」
「注文が多いわね」
そう言いながらもまといは慣れた手つきで野菜を乱切りにして行く。
自炊をしていると言っていたからこのぐらいのことはお手のものなのだろう。
そんなまといの姿を横目に見ながら俺は鍋を取り出して火にかける。
そしてサラダ油を鍋肌に回し込んでから鶏ももを鍋に放り込んだ。
ジャー。
「おっ、いい音してるぜ」
「野菜を切り終わったわよ」
「おしっ。満遍なく肉に火が入ったら野菜を投入するぞ」
俺は鶏肉をひっくり返しながら満遍なく火を入れる。
この工程を適当にすませるとカレーも適当なものになってしまう。
地味な作業ではあるが大切な作業なのだ。
「よしっ、まとい。野菜を入れてくれ」
「入れるわよ」
ジャー。
野菜の水気が油に反応して土砂降りのような音を立てる。
それから野菜を軽く炒めてから並々と水を注いで火にかけた。
「次はスパイスを作るぞ」
「それはお兄ちゃんに任せたから」
そう言ってまといはキッチンから離れてダイニングテーブルに着く。
つまらなそうな顔をしながら料理をしている俺の背中を見守っていた。
「まずはフライパンを温めないとな」
俺はフライパンを火にかけて温めてからバターを入れる。
その後はお待ちかねのスパイスの調合だ。
この工程は加減が大事なのでそれぞれの感覚でしてもらいたい。
ポイントはスパイスを炒めながら調合することだ。
「いい香りがして来たじゃない」
「だろう。なんて言ったって俺のオリジナルだからな」
カレーのスパイスができたところで鍋にスパイスを入れる。
それからスパイスを溶かすようにかき回したら煮込むだけだ。
時々、鍋を掻きまわしながらスパイスが偏らないようにすることも忘れない。
「あと、どれくらいで出来そう?」
「そうだな。20分ぐらい煮込めば大丈夫だろう」
「なら、私。スマホしているから出来たら呼んで」
「おう」
まといはベッドにダイブするとスマホに夢中になりはじめる。
すっかり俺の妹と言う設定が浸透しているようで自分の家のように寛いでいる。
まといがこの家に来てから数日しか経っていないのに驚くべきことだ。
まあ、いずれはおばさんになるのだからもともと神経が図太いのだろう。
「ふー。まあ、こんなのも悪くはないな」
まといが来てから家に帰って来ることが楽しみになった。
以前は誰もいない真っ暗な部屋に帰るだけだったから張り合いもなかった。
たまにおキヨさんと出会えば、今日はツイていないなと思うくらいで。
待っている人がいるだけでこんなにも明るくなれなんて自分自身驚いている。
このまままといが本当の俺の妹になってくれたら――。
(いい傾向だね。彼女といっしょに暮して女の子の気持ちを学習するにはちょうどいい機会だよ)
(何をあまいことを言っているんだ。こいつの頭の中はやることでいっぱいなんだよ。今もあいつにカレーをたらふく食べさせて眠気を誘って襲うつもりでいるんだ)
(キミはそんな卑怯ものじゃないよ。彼女はキミのことを信頼しているのだから裏切ってはダメだよ)
(お前の持っているAVにもあったよな。お兄ちゃんが妹を犯すやつ。ここで実現できるんだ。躊躇わずに飛び込め)
天使の俺も悪魔の俺もまるで俺のことがわかっていない。
まといは俺の妹であって兄妹愛を感じていたいのだ。
たとえ偽りの兄妹だとしても、そこに愛はあると信じたい。
(そう思いたいのなら本当のお兄ちゃんになるべきだよ。たとえ血が繋がっていなくても兄妹になれるんだ)
(愛を感じたいのならまずはあいつを抱いてみろ。愛するってのは体の関係からはじまるものなんだ)
(悪魔の言うことに惑わされてはダメだよ。キミは聖人になるべきなんだ)
(体を重ね合って愛を確かめ合って、そして離れられない関係になるんだ。そしたら毎日やりたい放題だぞ)
考える度に天使の俺と悪魔の俺が出て来るから台無しだ。
俺はまといと兄妹でいられる、この時間を楽しんでいたいだけだ。
ピピッ、ピピッ、ピピッ。
頭の中で妄想を膨らませている間にタイマーが時間を知らせてくれる。
その音を聞いてまといもキッチンへやって来た。
「できた?」
「おう。いい感じに仕上がっているぞ」
鍋の中のカレーはちょうどよく温まっていて美味しい湯気を上げている。
俺は炊飯器の蓋を開けてカレー皿にご飯をよそうと鍋のカレーをかけた。
「美味しそう」
「だろう」
「食べてもいい?」
「いただきますをしてからだ」
俺は自分の分のカレーをよそうとまといの向かいに座る。
そして両手を合わせて、まといといっしょにいただきますをした。
「「いただきます」」
まといはスプーンでジャガイモを救うと口をハフハフさせながら食べはじめる。
まだできたてなのでカレーは熱を持っていて熱い。
「ハフハフ……」
「まだ熱いから冷ましてから食べろ」
「熱い方が美味しいでしょう。ハフハフ」
「舌をやけどするぞ」
それでも器用に熱を避けながらまといはジャガイモを咀嚼した。
「これ本当に美味しい」
「だろう。俺のオリジナルだからな」
「野菜がゴロゴロしているからボリュームがあるし、少し刺激的なスパイスがいい味を出してる」
「そのスパイスの配合には3年の時間を有したからな。汗と涙の結晶だ」
まといが言うように俺のオリジナルカレーは野菜がゴロゴロしている。
野菜が大きいとボリュームが出るし、刺激的なスパイスとの相性がいい。
コンビニで食べられるカレーも美味しいがスパイシーさには欠けている。
やっぱりカレーは本場のインドのカレーに近い仕上がりにした方がうまいのだ。
「ねぇ、このカレー。おキヨさんにおすそ分けしたら?」
「それもそうだな。おキヨさんには世話になったし、俺の自慢のカレーを食べてもらいたい」
「タッパに移すのも面倒だし、鍋ごと持って行こうよ」
「そうするか」
俺とまといは作ったカレーの鍋を持って隣に住んでいるおキヨさんの家の呼び鈴を鳴らす。
すると、すぐに家の中から声がしてエプロン姿のおキヨさんが出て来た。
「あら、どうしたの。お揃いで」
「いや、おキヨさんにお世話になったからカレーをおすそ分けしようかと思って」
「助かった。今、ちょうど夕飯の用意をしようと思っていたところなのよ」
「お兄ちゃんの自慢のカレーだから美味しいですよ」
おキヨさんは鍋の蓋を開けて鍋の中のカレーを確める。
そしてニンマリと笑みを浮かべて家の中にいる子供達に声をかけた。
「今夜はカレーだよ!」
「「よっしゃー!」」
家の中から子供の喜ぶ声が聞えて来る。
「あっ、そうだ。私達、これから花火をするんですけどいっしょにしませんか?」
「おじゃまでないかい」
「そんなことないですよ。花火は大勢の方が楽しいですし」
「和斗君達がそう言うならお言葉に甘えようかしら」
「やりーぃ。花火、花火」
「花火、花火」
「ちょっと、タク、ツヨシ。お行儀が悪いよ」
俺達の話声を聞いて家の中からおキヨさんの子供達が顔を覗かせる。
お兄ちゃんがタクと言う名で8歳の小学3年生で弟がツヨシと言う名で6歳の小学1年生だ。
あまり面識はないが仲良く小学校に通う姿は何度か見かけたことがある。
「タクちゃん、ツーちゃん。お姉ちゃんといっしょに花火をしましょう」
「やるやる。まとい姉ちゃんと花火する」
「花火する」
「じゃあ、行こうか」
手慣れたようにまといはタクとツヨシを連れて外に出て行った。
「随分とまといに懐いていますね」
「昨日、まといちゃんが泊まりに来てくれたからね。その時に仲良くなったんだよ」
「お恥ずかしい話です」
「家は男兄弟だからまといちゃんのようなお姉ちゃんがいると安心するんだよ」
まといも兄妹がいないって言っていたから弟ができたようなものなのだろう。
俺と言う兄がいてタクとツヨシと言う弟がいたらまといも満足だ。
「かあちゃーん。早く、早く」
「はいよー」
と言うことで俺とまといはおキヨさん達一家と花火を楽しむことにした。