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第十二話 悪い友達

会議を終えてから俺は食事を取りながら北川と話をしていた。

今後の予定も決めないといけないから食事の時間を使ったのだ。

休憩時間だと言うのに仕事の話をすることに北川は断らなかった。

それは今度のプロジェクトは北川にとってもチャンスだったからだ。


「北川。振り分け方法は決まったが場所ごとに必要とされるスキルの調査はいつにする?」

「なるべく早いうちにまとめておきたいですね。募集をかけるにも早い方がいいですから」

「なら、来週の月曜日あたりがいいな。ちょうどスケジュールが空いている」

「月曜ですか。私は打ち合わせが入っているのでダメです」


俺と北川はそれぞれのスケジュール帳を確認しながら予定を決める。


俺と北川は仕事上ではチームを組んでいるけれど個々にも仕事をこなしている。

だからいつも一緒と言う訳ではないのだ。

北川はとりわけ2年目の新人だから様々な仕事に駆り立てられる。

幅広く経験を積むことで仕事上でのスキルを磨いて行くためだ。


「なら、水曜の午前はどうだ。午前であれば俺の方は問題ない」

「あ、水曜日の午前なら私も空いています。その日にしましょう」

「それじゃあ来週の水曜日の午前に聞き取り調査に向かおう」

「決まりですね。楽しみです」


俺と北川のスケジュールが合ったところで今後の予定が決まった。


まずはボランティアが行われる場所に向かって必要なスキルを調査する。

現場ごとに要求されることは違うからいろんなスキルが集まるだろう。

そしてスキルを集めたところで一覧にして視覚的にわかりやすくする。

その上で集まったボランティアのスキルと照合して配置を決めるのだ。

こうすることで必要な場所に必要なスキルを持った人材を派遣できる。

それによってボランティア活動の効率も高めることができるだろう。


「今度のプロジェクトは必ず成功させような」

「はい。お互いにいい経験になりますからね」


俺と北川はお互いの視線を合わせて確認し合った。


「それよりこのナポリタンうまいな。昔ながらの喫茶店の味だ」

「昔ながらの喫茶店なんて知っているんですか?」

「何となくだよ。ナポリタンって作る人によって味が変わるから」

「パスタなら私も作れますよ。今度、作ってあげましょうか」

「遠慮をしておくよ。俺は喫茶店で食べるパスタがいい」

「あー。それって私の料理の腕を疑っているのですか?」


俺の何気ない言葉に北川は頬を膨らませて抗議する。


北川も独り暮らしをしているから普段から自炊はしている。

それに早起きしてお弁当も作っているから料理の腕は確かなのだろう。

ただ、たまに寝坊してお弁当を作れない日もあると言う。

それは独り暮らしのあるあるの出来事だ。


俺は今、まといと暮らしているから寝坊はない。

俺が寝坊すればまといが起してくれるし、その逆もある。

だけど圧倒的に俺が早起きする方が多いのは否めない。


「今度、機会があったら北川の手料理を食べさせてくれ」

「それ、本気で言っているんですか。私ならいつでもいいですけれど」

「ああ、また今度な」


さすがに今日の今日で北川の手料理を御馳走になる訳にはいかない。

そんなことをすれば俺が北川のことを求めているかのように思われてしまう。

あくまで北川とは仕事上のパートナーでいたいから迂闊なことはしないのだ。


ピピッピピッピピッ。


俺達の楽しい時間を割くようにスマホの時計がなる。


「もう、時間だな」

「あーあ。もうちょっとこうしていたかったのに」

「楽しい時間ってのはすぐに終わるものだ。行くぞ」

「仕方ない。オフィスに戻りましょう」


北川は少し気怠そうにしながら席を立ちあがる。

俺は請求書を持って先にレジに向かった。


「お会計ですね。全部で2890円になります」

「安いな」

「お客様を大切にしておりますから」

「杉沢先輩。私も自分の分は払います」


俺がレジで精算をすませようとすると北川が慌ててやって来た。


「いいよ。ここは俺が払う」

「ダメですよ。こう言うことはちゃんとしておかないと」

「何を遠慮しているんだ。少しは先輩の顔を立てろよ」

「でも、杉沢先輩に悪いですし」

「なら、これは貸にしておくからな」

「それならいいです」


北川が煩いので貸と言うことで納得してもらった。


本来であれば食事代は先輩が持つのが常識だ。

それは後輩よりもお給料をもらっているし、先輩としての威厳を保つためにも必要だ。

昭和の時代ではあたり前の光景なのだが現代は割り勘が流行っている。

後輩でも対等な立場でいたいからと言うことと借りを作りたくないからだ。

お金のやりとりなどは先輩後輩間で揉めるのは一番避けたいことなのだ。


俺達は精算をすませると喫茶店を後にした。


会社までは歩いて10分の道のりなのでお喋りしていればすぐに着く。


「杉沢先輩。今日はごちそうさまでした」

「別に気にするな。あたり前のことだからな」

「杉沢先輩ってほんと太っ腹ですよね。いくらお給料をもらっているんですか?」

「まあ、北川の想像を超えるほどだ」

「えーっ。そんなに!もしかしてタワマン買えるほどですか」

「冗談だよ。北川とそう変わりない」


まあ、実際を言えば北川のお給料の3割ましぐらいだ。

役職は主任だからいろいろ手当てがついてそれぐらいになる。

もらったお給料の余裕資金を投資に回しているから資産は多い。

リフォームしているタワマンも仕事をはじめてから買ったものだ。


「うちの会社って結構お給料が低いですよね。同業他社の方が多いって聞いたことがありますし」

「創立10年目の若い会社だからな。これからだよ」

「ベンチャー企業だから仕方ないのかもしれませんけれど仕事に対するモチベーションが」

「ベンチャー企業だから可能性があるんじゃないか。その内、驚くほど給料が上がるぞ」


俺がこの会社を選んだのもそこに賭けたからだ。

お給料面で言えば大企業の方が遥かにいい。

ただ、縛りもきついから思うようなことができない。

それに比べてベンチャー企業は風通しがいい。

社員のチャレンジを推奨しているからいろんなことができる。

だから、自分達の働き次第で会社を大きくできるのだ。


「私は将来のことよりも今のことの方が大切なんです」

「それは若いから言えることだ」

「若いって杉沢先輩と3歳しか違わないじゃないですか」

「3年も差があれば大きな違いだ」


俺ぐらいの年齢になると将来が薄っすらと見えて来る。

27歳なんてそろそろ結婚を意識する年齢だから。

相手はまだいないがそれはこれから頑張ればいい。

それに30代前半までにはさらなる昇進をしていたいところだ。


「杉沢先輩って意外と将来のことを考えているんですね」

「意外だけ余計だ」

「私、杉沢先輩のお嫁さんになろうかな」

「何を馬鹿なことを言っているんだ。もう会社だぞ」


お喋りに夢中になっている間に会社の前まで来ていた。


「あっ。私、必要な資料をまとめたいから資料室に行きますね」

「それじゃあ先にオフィスに戻っているからな」


俺は北川と玄関で分かれて一足先にオフィスに戻った。


「全く北川のやつは何を考えているんだ。俺のお嫁さんになりたいなど」


冗談で言ったのであろうが少し嬉しい気持ちが胸の中にある。

北川は人柄もいいし、美人だし、仕事もできるし、文句がない。

ただ、たまに不抜けたところをみせることがあるのが玉に傷だ。

完璧な女性は求めていないけれど北川の魅力が半減している。

まあ、けどそう言うところを好きになる男子も多いから需要はありそうだ。


俺はオフィスの扉を開けて中に入った。


「ただいま戻りました」


俺がそう戻りの報告をするとみんなの視線が集まる。

そしてすぐに視線を逸らして隣の人と話しはじめた。


「何だよ。もう、会議でのことが広まっているのか」


俺は頭を書きながらまんざらでもない態度で自分のデスクに着く。


会議は大成功だったからみんなの間に広まっているのだろう。

それほど大きなオフィスじゃないから噂が広まるのはすぐだ。

恐らく会議に参加していた社員が話をしたと思われる。


「まあ、あれだけ上村課長のお褒めの言葉をもらえたのだから当然だな」


俺はデスクの上でファイルを広げながら何気に向かいの席の社員を見る。

すると、社員は視線を合わせてからすぐに逸らして気まずそうな顔をした。


「何だ?」


不意に感じた違和感に気づいて俺はあたりを見回した。


オフィスの周りでは社員達が集まってチラチラ俺の方を見ている。

そして俺に聞こえないぐらいの小声で何やら話をしていた。

声が小さいのではっきりとはわからないが単語だけ拾えた。


社員達は”援助交際”だの”売春”だのと呟いている。

その言葉に俺は心あたりがないので何の話をしているのかわからなかった。


「ねぇ、みんな何の話をしているんだい?」

「ゴホン……別に何でもありません」


向かいの社員に尋ねてみたがあからさまに嫌な顔をされる。


「何だよ。俺を褒めているんじゃないのか」


俺の解釈と社員達の認識は大きく違っていたようだ。


そこへ資料をまとめ終わった北川がオフィスに戻って来た。

北川は自分のデスクに向かう前に真っすぐに俺のデスクにやって来る。

そして俺の耳元で囁くように尋ねて来た。


「杉沢先輩、知ってますか?」

「何のことだ?」

「牧原先輩のことですよ」

「祐介がどうかしたのか?」


訳もわからずに俺がきょとんとした顔を浮かべると北川は呆れる。

そしてオフィスの雰囲気がこうなっている理由を教えてくれた。


「牧原先輩が杉沢先輩が女子高生と付き合っているって話を言い振らしたんです」

「俺がまといとか!」

「声が大きいですよ」

「悪い悪い」


北川の口から予想もしなかった言葉が飛び出したので俺は驚いてしまう。


「で、その話を詳しく聞かせてくれ」

「牧原先輩が杉沢先輩の家に女子高生が入り浸っていて、夜な夜な怪しいことをしていると言っていたんです」

「だからまといはおキヨさんの娘さんだと言っただろう」

「私もそう思っていますが傍から見たら怪しい関係なのですよ」


確かに北川が指摘するように俺とまといは微妙な関係だ。

実際はまといと同棲していて危ないシーンになったこともある。

ただ、まだまといには手を出していないから俺の中ではギリセーフだ。


「まあ、俺の方も迂闊だったかな。まといを家に上げていたのだから」

「今さら後悔しても遅いですよ。牧原先輩はもっと言い振らしますよ」

「それより祐介の意図は何なんだ。俺の噂を広げて何がしたいんだ」

「恐らくですけれど杉沢先輩の足を引っ張りたいのではないでしょうか。牧原先輩、今度のプロジェクトから外されていますし」


今度のプロジェクトは本来、俺と祐介のダブルリーダーで進む予定だった。

ただ、祐介は会議にも出ないし、自分勝手なことばかりしていたから外された。

それは上村課長にとっても悩みどころだったがプロジェクトを優先させてそうしたのだ。

だから、祐介が俺のことを逆恨みするのは間違っているのだ。


「それは北川の憶測だろう。まだ、祐介本人から聞いたことでもないはずだ」

「確かにそうですけれど、それ以外の理由は思い浮かびませんよ」

「曲がりなりにも祐介は俺のことを親友と言っているんだ。だから、俺のことを貶めようだなんて」

「杉沢先輩は人のことを疑わないんですね。でも、それって損をすることにもなりますよ」


これまで祐介といっしょに仕事をして来たが、こんなことは今までなかった。

俺がミスをすればフォローしてくれるし、力が足りなければ助言もくれた。

心からの親友と言う訳ではないが、俺達の間には信頼関係があったのだ。

だから、俺は北川の言うことをにわかには受け入れられない。


「人を疑うぐらいなら信じていた方がいいからな」

「なら、直接、牧原先輩に聞いてみたらどうです。その方が早いですよ」

「わかったよ。祐介に聞いて来る」


俺は北川の提案を受け入れて祐介に直接確かめることにした。

本人のいないところでいろいろ考えても憶測が飛ぶばかりだ。

それならば直接確かめてスッキリした方がいい。


仕事の時間だと言うのに祐介は休憩室で一息ついていた。


「おい、祐介。そんなところで何をしているんだ?」

「見ればわかるだろう。休憩だよ」

「休憩って、もう仕事がはじまっているんだぞ」

「何だよ。説教をしに来たのか?」


祐介はスマホをいじりながら俺とは視線を合わせない。


「祐介に聞きたいことがあって来たんだ」

「何だよ、改まって。聞きたいことって何だ?」

「社員達に俺とまといが付き合っているって話しただろう?」

「そんな話をしたかな。覚えてないな」

「とぼけるな。オフィスの社員達は噂話をしているぞ」

「和斗の聞き間違えじゃないのか。噂話なんてどこにでもあるだろう」


俺が問い詰めても祐介は視線も合わせずに白を切る。

まるで俺とは対等に話したくないような素振りだ。


「北川から聞いたから間違いない。祐介が俺とまといの関係のことを言い振らしていたってな」

「北川も適当なことを言うんだな。それじゃあ俺が言った証拠にならないだろう」

「北川は信じられる後輩だ。けっして嘘を言うような奴じゃない」

「何だよ。ここへ来て熱々ぶりを自慢しているのか」

「そんなんじゃない。答えろ」

「やっぱり一度、北川を抱いた方がいいな」


祐介はあくまで自分は何もしていないと主張する。

話を別の方向に逸らして問い詰めから逃げようとしていた。


「真面目な話をしているんだ。こっちを見ろ」

「今度は暴力かよ。お前はいつから乱暴者になったんだ」


俺は感情が抑えられずに祐介の胸ぐらをつかむ。

それでも祐介はスマホをいじりながらまともに相手をしない。


「答えろ、祐介。お前は俺を貶めるために噂を流したのだろう」

「何を言っているんだ。俺達は親友だろう。そんな訳ないじゃないか」

「嘘をついていないと言うなら俺の目を見て話せよ」

「全く、ひとりで熱くなりやがって」


俺が感情を見せたことでようやく祐介も応じて視線を合わせる。

そして俺の腕を振りほどくとスマホをポケットにしまった。


「答えろ」

「そんな大声を出さなくても答えてやるさ。俺はお前が間違った判断をしなようにセーフティーネットを張ったんだ」

「セーフティーネットだと」

「お前は女の経験が浅いから簡単な誘惑に負けてしまう。だから、会社のみんなが知っていれば歯止めになってくれるだろう」

「何だよ、その理屈は。ことを大きくしたいだけだろう」

「俺はお前のことを思ってやったんだ。悪くはないだろう」


祐介は少しも悪びれた様子も見せずにシャアシャアと言ってのける。


だが、祐介が言った理屈は俺には全く理解できなかった。

歯止めをかけるならば祐介自身がすればいいことだ。

わざわざほかの社員に言いふらさなくてもすむ。

俺は祐介が面白がっているとしか思えなかった。


「なら、なんで自分で歯止めになろうとはしないんだよ。俺達は親友なのだろう」

「親友って関係が返って邪魔になることもあるんだよ」

「そんなの屁理屈だ」

「そう思っているのはお前だけだ」


俺と祐介の主張は平行線をたどって一致することはない。


「やっぱり祐介は北川が言うように俺を陥れたかったんだろう。大事なプロジェクトから外されたのだものな」

「あれは俺からおさらばしてやったんだ。だいたいあのプロジェクトなんて俺に合わないからな」

「嘘をつけ。最初の方でお前は喜んでやっていたじゃないか」

「ただのお遊びごとだよ」


祐介は嘘を言っているばかりで全く真実を明かそうとしない。

俺がどんなに強い言葉で攻め立てても白を切るばかりだ。

祐介にとって今度のプロジェクトはお遊びごとだなんて信じられない。

それはプロジェクトが持ち上がった時に祐介が積極的だったからだ。

どちらかと言えば俺の方が遅れを取っていて祐介に引っ張ってもらっていた。

それなのに祐介は途中でプロジェクトから外されてしまった。

原因は祐介の普段からの素行の悪さが反感を買ったのだ。


「祐介、いつからそんな風になったんだよ。前はそうじゃなかったろう」

「ふん。俺ははじめから変わっていない。変わったのはお前の方だ」


祐介は言葉を吐き捨てると顔を背けて視線を逸らした。


これだけの短い間に祐介に何があったのかわからない。

ただ、祐介は以前の祐介とは全く違った人柄になってしまった。

その一番の原因はプロジェクトから外されたことが大きい。

躓くきっかけは些細なことでも人は砂のように崩れ落ちるのだ。


「お前は本当はどうしたいのかわかっているんだろう。なら、素直になれ」

「何で俺がお前に説教をされなければならないんだ。俺はそんなに落ちぶれていない」

「俺にはわかっているんだ。祐介はそんな奴じゃないって」

「全くご機嫌な思考回路をしているな。そんなのだから足を掬われるんだ」


俺がいくら言葉をかけても祐介は自分を改めようとしない。

頑なになっていると言うか断固として認めたくはないようだ。

それは俺と祐介の立場が近いからだろう。

同僚で同じ年齢で親友でもあるのだから。


素直に認めてしまうと自分を否定することにもなる。

俺を貶めるためにとった行動が間違いだったなんて認めたくなはいはずだ。


「あくまで白を切るつもりか」

「白を切るまでもない。本当のことだからな」

「わかったよ。祐介はそう言う奴だったんだな」

「ご理解いただきありがとうございます。顔を洗って出直して来い」


俺と祐介はまるで子供の喧嘩のように収集がつかなくなってしまう。

すると、見かねた北川が間に割って入って来た。


「二人とも止めてください。本当にこのままでいいんですか?」

「祐介がそうしたいって言っているんだからいいのだろう」

「俺に言うことはない」


北川もどうしたらいいのか迷っている。

後輩の立場からしたら俺達を仲直りさせたいのだ。


「二人ともいい大人なのに子供ですね。こんなことで関係を壊すなんて馬鹿げています」

「俺が壊したんじゃない。祐介がそうしたんだ」

「もともと俺達の間に友情なんてなかったんだよ」

「ああいえばこう言う。まるで聞き分けのない駄々っ子ですね」


一番冷静でいるのは間に割って入った北川だろう。

俺と祐介はすっかり興奮してしまって理性を失っている。

本来であれば先輩である俺達が見本を示さなければならない。

だけど、今の俺達にはそんな余裕などどこにもなかった。


「北川、行くぞ。もう、祐介とは話したくない」

「俺もだ。せっかくの休憩が台無しだ」

「いいんですか、杉沢先輩。このままだと本当に終わりますよ」


俺は回れ右をして祐介のところから離れて行く。

その背中を祐介は見送りながら言葉を吐き捨てる。

間に挟まれている北川は必死に俺を呼び止めていた。


「これからは俺と祐介は親友じゃない。敵同士だからな」

「今頃、気づいたのか。はじめからそうだったのさ」


これで祐介と縁を切れるのならばせいせいする。

いつ、自分の足元を掬う奴が傍にいるなんて落ち着かないから。


「もう!これだから男子って嫌い!」


北川は呆れながら率直な感想を吐き捨てた。


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