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6:アディ視点

 オルアリース侯爵家の婚外子の暗殺。


 俺が暗殺ギルドから受けた殺しの依頼だ。

 まさかあいつが……セシリアが侯爵の婚外子だったなんて。

 くっ。

 なんでこんなことに……。


 六年前、あいつを連れ去られたあと、ぼろぼろだった俺を拾ったのは暗殺者アサシンだった。

 あいつを救い出して、攫った奴らをぶっ倒すためには力が必要。

 だから俺は、暗殺者ギルドに入った。そこで力を得るために。


「なのに俺は」


 力を求めるあまり、本来の目的を忘れてしまった。

 気づけば俺は、ただの殺人鬼に……。


「そんな俺が、今更あいつを救い出すなんて出来るはずないだろう」


 婚外子とはいえあいつは、侯爵の娘であることに違いない。

 侯爵には跡取りが二人いたが、六年前に事故で――そうか、だからあいつを連れ去ったのか。

 なら少なくとも悪いようにはされないだろう。


 裕福な暮らしが約束されているんだ。

 あそこにいる方がいい。そうに決まっている。


 問題は。


「この殺意の契約……だな」


 左手の甲に浮かぶ、赤黒い紋章。

 殺しの依頼を受ける際に、ギルドと契約を結ばされる。

 契約時に設定した期日までに依頼を完遂しなければ……苦痛の呪いが俺を蝕むことになる。

 それに。


「代わりに別のアサシンがあいつを殺しに来るだろう」


 前金を貰っている限り、最初のアサシンが失敗しても次がくる。

 俺の期日は半月。それまでに依頼を完遂させていなければ呪いを発動させ、代わりのアサシンを送り込むはず。

 何人だろうと、ギルドが依頼を棄権するまで殺しまくるしかねぇ。


 あの時の約束を、今度こそ守ってみせる。

 どんな奴が来ようと、たとえ邪神が来ようと俺があいつを――必ず守る。


「それにしても……なんであの時、急に力が抜けたんだ? 魔法的な何かも感じたみたいだが」


 ベッドの上で暴れるあいつの腕が当たった時、急に全身の力が抜けた。

 戦意を喪失させられたような、そんな感じだ。


「侯爵家で魔法を習ったのか?」


 あり得ない話じゃない。

 魔法が使える貴族は、それだけで優遇されやすいからな。

 だが、詠唱をしていた様子はまったくない。

 無詠唱か?


 無詠唱魔法なんて、賢者クラスでもないと無理だって話だが。

 あいつが……賢者?


 まさか、な。



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