表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/30

1:攫われまして。

「やっ。離してやだっ。アディ。アディーッ」


 突然男たちが現れて、私を連れて行こうと腕を掴んだ。

 それをアディがやめさせようとしたけど、そのアディをあいつらは……。

 何度も何度も殴られ蹴られアディは倒れてから動かない。

 起きてアディ。死んじゃヤダ。


「さっさと眠らせろ!」

「やっている! だがことごとく抵抗されるのだっ」


 眠らせる?

 もしかして魔法でも使ってるとか?

 でも眠くない。抵抗ってなんのこと?


「離して――離せっていってんだろクソ野郎!」

「クソ!? おいおい、かわいい顔に似合わないぜそりゃあ」

「うっさい! 今すぐ離せクソじじぃっ」

「じ!? おい、俺はまだ二八だ――いってぇ!!」


 捕まった時には、隙があれば噛みつけ。

 アディからはそう教わった。

 私の腕を掴んでいる男が無防備だったから、その腕に思いっきり噛んでやった。

 そしたら案の定、男がパっと腕を離す。


 アディ!

 駆けだした私の前に、別の男が両手を広げて立ちはだかる。


「どいてっ」

「大人しくするんだ。悪いようにはしない。それでも暴れるってんなら、あの小僧にはもう少し痛い目を見て貰わなきゃいけなくなる。いいのか、それで?」


 分かってるもん。こいつらの狙いが私だって。

 しかも乱暴には扱わないし、怪我をさせる気もないらしい。

 無傷で連れ去るのが目的なら――


「アディに……アディにこれ以上酷いことしたら、舌を噛み切ってやるっ」


 それは困るでしょ?

 ほら、早くそこをどい――ぁ。


 首の後ろに傷みが走って、目の前が一瞬真っ白になる。

 視界が霞むとき、倒れていたアディが動くのが見えた。


「助け、る……絶対助けて、守るから、な、セシリア……ずっと、ずっ……」


 よかった……生きて、る……。

 待ってるよ。私、待ってるか、ら。






 目を覚ましたのはベッドの中。

 なにこのベッド。めちゃくちゃシーツが気持ちいいし、いい香りがする。

 そ、それにこのベッド、カーテン付いてるよ!?


「ここ、どこ……アディ……アディ!?」


 最後に見たのは、ボロボロになったアディルの姿。

 だ、大丈夫。アディは強いもん。だから……大丈夫、きっと生きてるもん。

 早くここから出ていって、アディの所に戻らないと。


 それにしても、なんで私を攫ったんだろう。

 奴隷狩りなら、こんな立派な部屋に連れてこられる訳ないし。普通は檻に入れられるよね。


 窓から出られないかな……ぐっ、鍵の位置が高くて届かない。


「ふっ、甘い。椅子に乗れば届くもんね」


 椅子、あった。これもなんか高級そう。

 椅子を引きずって窓の傍へ。その上に立って鍵に手を伸ばした時――ガチャリと音がして、扉が開いた。


「うげっ」

「な、何をしておるっ。危ないではないか!」


 スラリとした中年のおじさんが入って来て、慌てて駆けてくる。

 も、もしかしてこのおじさんに売られたの、私!?

 鍵っ、鍵ぃっ!


 あと少しという所で、体がふわりと浮かんだ。


「あっ。クソ、離せじじぃ!」

「ク、クソ!? なんて口の利き方――いや、貧民街で育ったのだから、致し方ないか」

「うっさい! いいから今すぐ離してよっ」

「お、お前たち、娘を抑えていろ」

「はっ」


 あ、こいつら私を攫った奴らだ!

 でもあの時と服装が違う。二人揃って同じ服なんかきて、それにマントまで。

 町の大通りで見たことがある騎士に、ちょっと印象が似てる。

 でもこいつらは――


「人攫い! 悪党! 禿!」

「禿げてないっ! まだふさふさだからっ」

「私も禿げてはいない」


 禿げてないの分かってるもん。

 でもこういう時は自然と出てくるもんでしょ、禿って。 


「攫ったのではない。セシリア、よく聞きなさい」

「な、なんで私の名前知ってんのっ」


 おじさん、私の名前知ってる!?

 なんで、気持ち悪い。


「知っているとも。わたしはお前の父親なのだからね」

「……え?」


 なに、言ってんの……こいつ。

 

久々の女主人公です。

一応ジャンルはファンタジーにしましたが、先の展開的に異世界恋愛にするか

ちょっと悩みどころです。


とりあえず一部完まで書き上げております(30話)。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ