1日目 後編
「ルクシア?」
眩しい光が収まると、目の前の怒っていた婚約者が
昔の子供の時の姿に戻っていた。
「アル?あれ?なんかアルおっきくなってる?」
不思議そうにこちらを見上げる大きな丸い瞳と一緒に頭もユラユラとゆれ、ふわふわの白い髪もユラユラと揺れている。
「アルだけじゃなくて、レオンもなんか騎士様みたいだし、ノルンも魔法使いさんみたい!これは夢?夢だとしたら素敵だね!みんな夢を叶えた姿みたい!」
ニコニコとこちらまで幸せになるような笑顔を振り撒き、キャッキャと飛び跳ねている幼女は、紛れもなく昔のルクシアの姿だった。
「ルクシア?どうなっている?記憶はないのか?」
「アル?怒ってる?…ぐすっ」
さっきまで朗らかに笑っていたのに次は急に、鼻先を赤くさせ、瞳をうるうるとしてきた!
「なっ何故泣く!ルクシア、其方はそのようなことで泣くような人ではないだろう!」
「だってアル怒ってるもん!ルーって呼んでくれないのやだぁ。ルーはアルのお嫁さんになるからそう呼ぼうねってお約束したのにっ!」
「わかった!怒ってない!怒ってないから。ルー…えっととりあえず泣き止んでくれ。
その。体に異常はないのか?記憶は?ルー…は何歳だ?」
「うん。ルー淑女になるから泣かない…。えっとルーは4歳だよ?弟がいるから立派なお姉ちゃんなの!」
「そ…うか。ノルンこれは一体どういうことだ?ルクシアに何が起きた?」
「アルフレッド様、これは多分魔力暴走ではないかと。ルクシア様はこの国でも随一の魔力量を誇るお方です。あまり魔法を使うのは得意ではなかったので、感情の高まりによって破裂したのではないかと…。早めに城に戻り、魔法師団と医療班に見てもらったほうが良いかと」
「そうだな。…そうするしかなさそ「ねぇ?アル?その女の人は誰なのですか?」…え?」
「アルの腕にくっついている女の人は誰ですか?妹ですか?未来ではアルもお兄様になるんですか?」
「いや彼女は違う、イチカと「何で名前で呼んでるのですか?家族でもないのに?私マナーの先生に教わりました!仲が良くても礼儀はしっかりですよ!」…えっと…そうだな、彼女は平民のイチカ嬢だ。平民ゆえ家名はない」
「はじめましてイチカ様。私リリー公爵家のルクシアと申します。…あのもしかして足を怪我されてるんですの?誰か魔法で治せる方はいないのかしら?大丈夫ですか?1人で立っていられないほど痛いのになかなか気づかなくてごめんなさい」
イチカと呼ばれた女性は、少し居心地悪そうに小声で大丈夫ですと言いながら、王子から離れた。
「大丈夫ですの?本当に?痛いのを無理するのは良くないですわ?」
痛いのを想像したのか、先程のようにくりくりの目をうるうるとさせ、初めて会った女性を心配する姿はとても健気だった。
「…えーっとそうだな。…ルー?あの、一緒に城に行かないかい?お茶を飲もう。ね?」
「大人アルとお茶ですか?とっても素敵!ぇえ!ぜひ行きたいわ!私の好きなお茶菓子覚えてますか?」
うるうるした目をキラキラと輝かせ、子供だからなのだろうけど、ルクシアもこんなに素直だったかと、少し落ち着かない気持ちになる。
「あぁもちろん…マカロンだったよね?」
「…違います。…私が好きなのはフィナンシェです」
「ごめん!嘘だよ!マカロンは…ほらっカラフルで可愛いから似合うと思ってね!ね!そうだよな?レオン!ノルン!」
「あぁ!」「はいっ!」
「マカロンは確かに可愛いですけど…まぁ…」
「アルフレッド様!申し訳ありません!姉がまたイチカに当たっているようで!何て傲慢な女なんだ!優しいイチカを虐め「ユーリ?!ユーリでしょ!わぁー凄いわ!ユーリまで大人になってるなんて!!」…姉上?……え?えぇ??」
「すまないユーリ、詳しくは説明できない、この状況の為城に行こうと思ってる」
「えっと。…分かりました。とりあえず姉上は僕と馬車で一緒に向かいます」
「姉上、僕と一緒にお城に行きましょう?」
「いいわよ!しょうがないわね!大人になってもユーリは緊張しいなのね!お姉ちゃんが一緒についていってあげる!!」
そしてやっと、中庭の事件は思わぬ方向に進み、野次馬していた生徒達も解散することになった。
この作品も思わぬ方向に進みはじめました。
ちょっとこんな予定じゃ…笑
主人公がいつも空気読めない感じに…。
しっかり完結はさせます。
明日は更新休みます。
今日もここまで読んでいただきありがとうございます。