1日目 前編
今回も5.6話目安で書いていきたいと思います。
「だから、婚約者のいる男性の方達とばかりいるのは、淑女として良くないと何回も言っているではありませんか!」
とても天気の良いお昼の時間に、その大陸の中でも魔法に特化して有名である、ロゼッタ魔法学園の中庭で一際大きな声があがった。
「分かっているのですか?あと半年もしたら卒業するのです。3年通ったのに、平民だからマナーが分かりませんとは許されないのですよ?下手したら就職先も見つかりませんわよ?!」
淑女の見本としてもあげられるルクシア公爵令嬢は、普段なら決して見られない怒りをあらわにしていた。
白くふわふわとした髪を逆立て、普段より赤い目をさらに滾らし怒る姿はまるで鬼のようだと、相対している男性陣から囁きが聞こえた。
「イチカにそんなに強く言わなくても良いだろう。可哀想に震えているじゃないか。イチカ気にしなくて良い。君は君のペースで学んでいけば良いんだよ?」
「アル。ごめんなさい。私がもっとしっかりしていればルクシア様だってこんなに…」
「イチカ様!なぜあなたがアルフレッド様を愛称で呼んでいらっしゃるの?信じられませんわ!…どういうことですか?アルフレッド様。婚約者の私ですら呼んでいない愛称をなぜイチカ様が?」
「止めてください!これも全て私が悪いんです!アルに呼びたいってお願いしたからっ…」
あぁ苛つく。ムカつく。なんなんだこの女は!
震えてうるうると上目遣いして!
涙なんて一向に出てこないじゃない!
何でアルフレッド様の腕を掴んでいる?隣にいる?
相応しくあるためにずっと頑張ってきたのは私なのに!
こんな何もできない女にうつつを抜かして!
この女が来る前はこんなことなかった!
アルフレッド様はまだ恋をしてくれてはなかったけど、気にはしてくれていた!信頼関係だってあった!
昔は愛称でだって呼ばせてくれたのに。
あぁ。もう無理だ。イライラする、苛つく。
あぁーもうだめだ!我慢できない!!!!!!!!
…………あたり一面が真っ白く光で覆われ、一瞬だけ鈴の音が聞こえた。
みんなが目を擦りながら何ともないか見渡すと。
「ルクシア?」
そこにいたルクシアは4歳くらいの可愛い幼女になっていた。
読んでいただきありがとうございます。
なるべく1日1話ぐらいのペースで書いていきます。