悪魔と契約してみよう!
「あなたが、悪魔?」
春香が尋ねた。
全身黒い毛で覆われ、2本の立派な角、顔立ちは美しい人間の女性。
「そうですよ、私は悪魔。」
脳に直接語りかけてくるような声で悪魔は答えた。
「羊なの?人間なの?あ!悪魔だって言ったもんね!ごめんなさい!」
「うふふ、面白い人間ですね。」
「え!面白いの?」
春香はいつものペースだった。
「私は、シニカ エロファル。あなたの望みを言って下さい。」
シニカは、春香を見つめた。
「シニカさんね!私は春香!桐生 春香!えーっとね、ドル…トン?ドルドル?あれ、魔法の名前忘れちゃった…。」
「ドルテインですか?」
「そう!それ!ドルテインを使いたいの!」
「それでは、私と契約したいということでいいのですね?」
「はい!」
春香の前に小さな石版がゆっくりと浮き出てくる。
「何か出た!」
「契約の石版です。これからドルテイン使用者になるための説明をします。一度しか言いませんので、聞き逃さないようにお気をつけて。」
「は、はい!」
春香は、ちょこんと正座した。
「これからあなたは、「はい」か「いいえ」しか言えなくなります。」
(えっ!!)
春香は喉を触った、確かに声が出ない。
「私からの質問以外では、返事も出来ません。」
春香は、コクコクと首を縦に降った。
「ドルテインは、一度きりの契約になります。契約破棄した場合二度と契約は出来ません。よろしいですか?」
「はい!」
(あ!返事出来た!)
「それでは、ドルテイン使用者の契約を行います。その石版にあなたの血をつけて下さい。」
(え!?血!?)
春香は、シニカの顔を見る。
優しい顔でこっちを見るシニカの目を見て春香はゾッとした。
(血、血、どうしよう!血なんか出せないよー!)
春香は軍服の内ポケットに手を入れてみると、何かを見つけた。
(お裁縫セット!空さん!ありがとう!)
春香は、針を取り出して親指にツンツンした。
(怖くて刺せないよー!)
春香は泣きそうになっていた。
「契約を破棄しますか?」
シニカの声に、春香はぐっと力を入れた。
「いいえ!」
(痛ーい!)
春香は、針で刺した親指をギュッと押して、血を石版に付けた。
「桐生 春香、契約を認めます。それではドルテインの試練を行います。」
(試練!?何それ?)
春香は、訳が分からなかった。
「ドルテインには、レベルがあります。あなたの好きなレベルで試練を受けて下さい。」
「は、はい!」
春香は、正座しながら背筋をぐっと伸ばした。
「ここにコインが2枚あります。1枚が当たりです。あなたにはどちらかを選んでもらいます。外れた場合、あなたの命を頂きます。」
(!?)
春香の前に大きな鎌が浮かび上がる。
「そして、コイン2枚の試練を受けない場合、コイン3枚の試験に進みます。当たりのコインは常に1枚です。コインの枚数が増えるとドルテインのレベルも上がっていきます。」
(………)
春香は、シニカの言葉を静かに聞いていた。
「そして、各コインの枚数試練の前に毎回一度、契約を破棄するかお聞きします。」
「では、コイン2枚(レベル2)の試練を行う前にお聞きします。契約を破棄しますか?」
春香は、大きく深呼吸をして答えた。
「いいえ!!」
◇◇◇◇
ジェイスは、3メートルはある大きな門を叩いた。
ドンドン!
「…どちらさんで?」
門の横の扉から、ごつい男が出てくる。
「俺は、ジェイス フックスター、三代目に会いたい。」
「ジェイス フックスターだと!?てめぇ、適当なこと言ってんじゃねえぞ!!」
ジェイスを睨みつける男。
「すまんが、お前と遊んでる暇はないんだ。早く三代目に俺が来たと伝えてくれ。」
ジェイスは男を睨み返した。
(何だ、コイツいきなり雰囲気が変わった。)
男は、ジェイスの睨みに冷たい汗をかいた。
「ちょ、ちょっと待ってろ。」
男は、扉に入って行く。
ジェイスは、煙草に火をつけた。
暫くすると門がゆっくりと開いた。
中にはとんでもなく大きな屋敷がある。
ジェイスが訪れたのは、フォーリス国、神崎組本部だった。
「三代目の所に案内致します。」
さっきのごつい男が、頭を下げた。
「すまんな。」
ジェイスは男の肩をポンと叩いた。
◇◇◇◇
立派な扉を開けるごつい男。
ジェイスは中に入る。
「懐かしい顔じゃねーか。」
凄みのある声が響く。
テーブルに座っている痩せ型の目つきの鋭い男。彼が、神崎組 三代目組長 神崎 猛だった。
「よう、たけさん!久しぶりだな!ふはは!」
「まぁ、座れ。」
ジェイスにニコッと優しい顔をした。




