いちかとやよい
【網走 瞬】
19歳。
フォーリス国で生まれる。
瞬が4歳の時に、両親共餓者軍に殺される。
その後、孤児として施設で育てられるが、素行が悪く10歳で施設を自ら出る。
不良仲間達とチームを作ってそこのリーダーとなり、喧嘩に明け暮れる毎日を過ごす。
瞬は、風のように速く動き、スナイパー並の腕前で魔銃を撃つ。そんな瞬に勝てる者など誰もいなかった。
14歳の時に、ジェイスと出会い、完膚なきまでにうちのめされる。その後ムーンブルク軍に入隊。
現在に至る。
◇◇◇◇
瞬は、地面を蹴りつけ一瞬で火の鳥の真後ろに移動した。
そして火の鳥に手を伸ばす。
(はい、終わり!)
しかし、瞬の手は空を切る。
(!?)
火の鳥は、瞬の後ろで悠々と空中を羽ばたいている。
「嘘だろー!」
瞬は足場を蹴り、火の鳥の真後ろに一瞬で移動し手を伸ばす。
が、空を切る。
「俺より速いって!マジか!(笑)」
足場が無く落下する瞬。
ゆきは瞬を目で追えておらず、やっと空中の瞬を見つけた。
「瞬さん!!」
「ゆき!ちょっと離れてて!」
瞬は、落下しながら銃を取り出す。
ゆきは、走って一本道の穴に逃げ込んだ。
瞬は自分の真下の地面に銃を向けて撃った。
ドン!!
地面は衝撃でえぐれて、細かい石の破片が噴煙と共に飛び散る。
「網走り!」
瞬は、飛んできた細かい石の破片に次々と飛び移り、凄まじい速さで火の鳥の目の前に現れる。
火の鳥は、炎の渦のようになり瞬から離れる。
「やっと見えた!炎になってるんだね。」
瞬は炎の渦を、石の破片に飛び移り追いかける。
瞬と火の鳥の追いかけっこが、激しく繰り広げられた。
ゆきは、その様子を見ていたが、あまりの速さで目がおかしくなりそうだった。
たまに停止する火の鳥を、ゆきはじっと見つめた。
「あの鳥、楽しそう…」
◇◇◇◇
瞬は仰向けに倒れていた。
「ハァハァ…」
火の鳥は、最初に居た足場に止まり、瞬を見ていた。
「瞬さん!」
ゆきは瞬の元に駆け寄った。
「ゆきごめん、超本気だったんだけど無理(笑)ハァハァ…」
瞬は、仰向けのまま苦笑いした。
「ううん!瞬さん凄かった!」
ゆきは、ハンカチで瞬の汗を拭いた。
「…サあ、約束だ…コこから立ち去れ、二んげん。」
火の鳥の声が響いた。
「瞬さん、もう帰ろう。」
「…うん、でも悔しいな。」
「私、もう1回ここに来る。」
「えっ!?」
「次は私が挑戦するの。」
「はは、リベンジだね。」
瞬は、ヨロヨロしながら立ち上がった。
「ねえ!あなたの名前、教えてくれない?」
ゆきが火の鳥に叫んだ。
火の鳥は少し考えたあと、答えた。
「…ララァ。」
「ララァ、素敵な名前…私達は帰るね。」
ゆきは、瞬を支えるように手を添えた。
火の鳥ララァは、2人が帰って行くのを無言で見ていた。
◇◇◇◇
ツーベリア国。
人口、国土面積共に、ゆき達の母国ノワン国と似ている。
軍数は5軍、魔道教育学校【ホワイト チェリー】教員数60人、生徒数約7500人。
学校と隣接して、国王が住むツーベリア城がある。
「今日はいい天気ですね。」
トンボを指に止まらせて、微笑む女性。
桃色の鎧を着こなす彼女は、ツーベリア国スノー軍大将 沢渡 いちか 19歳。
いちかは20人程の兵を連れ、ツーベリア国北部の見回りに来ていた。
「いちかさん!ピクニックじゃないんですよ!」
かん高い声で、いちかを叱る女性
(スノー軍中将 蛍目 やよい 18歳)
「ピクニック!いいなぁ、ねえ!やよい、このままピクニックに切り替えるってどお?」
「却下です!」
「やよいのケチ!」
2人のやり取りを、ぼーっと見守る、ごつい兵達。
(いいなぁ…いちかさん、嫁さんにしたい…)
(やよいさんに叱られたい…)
(あぁ…可愛いすぎる…この軍に入隊して幸せだ…)
いちか、やよい共に美しく、兵達のアイドル的存在だった。
「ん?誰だ?」
1人の兵が声を上げた。
ボロボロの服を着た若い男がフラフラと現れた。
「民間人かしら?ねえ!あなた、こんな所で何をしてるの?」
やよいが男に声を掛けた。
「あ…あの、道に迷ってしまって…」
男はオドオドしながら答えた。
「いちかさん、どうします?」
やよいがいちかの方を見ると、いちかは男を鋭い目付きで見ていた。
「やよい、私達囲まれてます。」
いちかの言葉にやよいは、素早く背中の大ハンマーを構える。
「こ、これで俺は生かしてくれるんだよな!?ちゃんと案内したんだから!」
男は必死に誰かに話しかけていた。
すると男の首だけがゆっくりと回りだし、真後ろまで回ると、男は断末魔の叫び上げて倒れた。
「うっ…」
やよいは、見ていられなくなり目を逸らした。
「皆さん、戦闘準備お願いします。」
いちかは、冷静に声をかけた。
兵達の足元から次々と骸骨兵がボコボコと現れる。
スノー軍兵と骸骨兵の戦いが始まった。




