第3回剣術対決
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「そこまで!勝負あり。2勝したので、この対決はウィリアムの勝ちとする。」
今は乗馬対決から、さらに3日後、王城の騎士団の闘技場を借りて行われた剣術対決である。
そして、たった今、勝負がついた。
もちろん俺の勝ちだ。
「やはり、王妃様直属の白百合部隊である私でも、全国剣術大会上位者常連であるクロスター様には勝つことが出来ませんでした。流石でございます。」
「いえ、私も本気を出さなければと焦った場面も幾度もありました。流石は王妃直属部隊所属の腕前です。ミラ嬢。」
シャララーン。
「ミラ子爵家のように序列の低い私にも参加を許可していただき、感無量でした。感謝いたします。」
「いえいえ、ミラ子爵家はご家族一人一人が特化した能力を持ち、優れた手腕で家を盛り立て素晴らしいのだと、殿下より伝え聞いております。御父上によろしくお伝えください。」
「殿下から!?父にも伝えます。きっと喜びます。ありがとうございました!」
そういって、握手を交わし、令嬢は嬉しそうに去っていった。
「こんなに君が寛容になるなんて、驚いたよー。」
ウィリアムと令嬢との会話を聞いていたジェームスが話し掛けてくる。
「何がだ?」
俺はいつでも女性には寛容であったのに、何のことだろうと思わず聞き返した。
「爵位だよ。子爵位なんて貴族じゃないとまでは言わないが、昔の君は付き合う令嬢選びにも高位貴族とは扱いが全く違っていたからね……この対決は受けないのではないかと思っていたんだ。剣だってそうだ。剣術は男の学ぶものだから女が扱うなんて野蛮だって、昔、君の家で開かれたお茶会でうちの妹が剣を習いたいって話した時に、そう言って否定し喚き散らしていたじゃないか。」
少しばかり不機嫌にジェームスが答えた。
「そうだな……昔の俺は女性の扱いに無頓着だった。それと、メグが剣を習いたいって言った時のアレは、俺が何のために剣の腕を磨いたか分からなくなるからだ。だからそう言ってしまったのだと今は思う。俺よりもメグの剣の腕が上になったりしたら嫌だったから、つい力が入って怒ってしまった……ほら、女は男に守られるはずだろう?なぜ自ら危険な思いをするような技術を得ようとするんだ。ケガをしたらどうする。危ないだろう。俺が守ればよいことなのに習いたいだなんて意味が分からない。」
シャララーン。
思わぬウィリアムの言葉に、ジェームスがやれやれといった呆れ顔をする。
「ふぅ……お前って、本当に不器用だよな。それはきちんと言葉にしないと分からないことなんだぞ。今からでも遅くはないから、うちの妹に伝えてやってくれよ。」
ジェームスはそう言い残し、肩をポンと叩くと去っていった。
なんだ?何のことだ?言葉にしないと分からない?どれだ?
ウィリアムがジェームスの言葉に戸惑っていると、背後から、俺の妹キャサリンとマーガレット、その中央にフレデリックが、近い距離間で親しそうに話しながらやってきた。
少し俺はムッとする。
距離近いし、なんで笑ってるんだよ。
やきもちである。
「ウィル、おめでとう!これで3勝だね。」
フレデリックが2人の美女に囲まれている所為か、嬉しそうに弾んだ声でお祝いを述べてくる。
それとは対照的な美女2人…。
「オメデトウゴザイマス。」
「ウィル兄サン、オメデトウ。」
何故、この女達はいつも棒読みのお祝い言葉なのだろうか……。
「あ、ありがとう。」
俺は軽くお礼を返した。
「そういえば、次の対決内容は聞いたかい?」
フレデリックが唐突に質問する。
「いや、まだ聞いてないけど?何になったんだ?」
「犬だってさ。犬を柵内へ誘導して入れる対決らしいよ。場所は学院内でするって。変な対決だ。」
「犬?」
俺はフレデリックの言葉に疑問を持った。
「犬って……ウィリアムは苦手なんじゃないの?この前、野原でそう言っていたわよね。大丈夫なの?」
と、意外にもマーガレットが心配してくれた。
メグが心配してくれた!!
聞いたー??メグが、大丈夫って、俺に声かけてくれたんだよ。
心配してくれるなんて、天使じゃーん!!!!
俺は舞い上がった。
フレデリックに脇腹をつかれる。
クッソ、痛い。でも……変な目で見られないで済んだ。
サンキュー!フレデリック。
マーガレットは、俺が昔、大型犬に襲われて犬を苦手としていると思っているのだろう。
だがしかし、今はマーガレットが掛けてくれた優しい言葉から、犬は敵意を持って襲ってきているわけではないと判り、徐々に慣らして克服済みなのだ。
スッゲーだろう!!
それよりも、マーガレットが俺の心配をしてくれた。
嬉しい!ヒャッハー。
俺は、小規模に舞い上がり、思わず質問する。
「メグ、心配してくれるのか!?」
「えっ、ええ、そりゃあ、幼馴染が情けない姿で負けてしまうのは見たくないし、応援している者としては、ぜひ勝ってほしいから。」
勝ってほしいだと!?それって、誰のものにもなってほしくないって事か?
俺の事、少しは考えてくれてる?好きか?好きなのか?
なあ、期待していいのか?
もっともっとアプローチしてもいいのか!?
「勝ってほしいのか!?勝ってほしいのか!!ん?その割には、祝福の言葉が棒読み過ぎないか?」
「あら、そうだった?じゃあ、今度は花束でも持ってにこやかに祝いましょうか?」
「いや、ご褒美にぽっぺにチューをしてくれればいい。ほらここにだ。」
自分の頬を指さしアピールする。
「断る!」
間髪入れず拒否された。
俺はこのふざけ合いの会話にさえもニヤニヤする。
だって、マーガレッドが俺の事を心配してくれたり、気にかけてくれるようになるなんて、さらにふざけ合う会話が出来て笑っているなんて、夢にも思わなかったことなのだから。
ああ、凄く愛おしい。
ずっと一緒に居たい。
この気持ちこそが本当の恋なのであろう。
次回、犬対決……ではなく、マーガレットに嫌われていたのは何でか?って話を少々。




