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俺、衝撃を受ける

お読みくださりましてありがとうございます。

今話は、最初の宣言時よりも、3年ほど遡った過去の話となってます。


 自分の気持ちを自覚したのは、あの対決宣言よりほんの数年前のことである。


 俺はそれまでこの世界で生きていくことは、楽勝!!と脳内カーニバルの男であった。


 なにせ、俺の生まれは最強の勝ち組、地位、財、権力を大いに持つ四大公爵家で、俺自身、何をやらせても優秀のうえ、容姿端麗である。

 俺を目にすれば恋に落ちない女はどこにもいないとさえ噂される程であったのだ。


 よって俺は、若干高慢ちきな脳で、鼻っ柱が強い態度の暮らしを送っていた。


 まあ、かなりモテていたから、女性に対しては噂は勘違いでもない状況ではあったのだが……。


 俺が何もしなくても、大波の如く、女達から擦り寄ってくる…生け簀の鯉の餌やり状態。

 世の中の女なんて声を掛ければまたを開く、チョロー!

 なんて馬鹿な考えで毎日過ごしていたこともあった。


 だが、ある日それは俺の傲慢な考えであったと思い知らされる話を聞かされる。


 あの日から俺の考えは一変した。



 あれは対決宣言から遡ること3年前……。


俺の17歳の誕生日を数日前に終え、来年は18歳で学院を卒業する年だな等と、家族で食事を取りながら楽しく会話をしていた時であった。


 父が、こう切り出したのだ。

「ウィル、お前も来年には18になり学園も卒業となる。そろそろ婚約者を決めたいと思うのだが、どうだろうか?」


「はい、かまいません。公爵家に相応しい女性を父上が選ばれるのであるならば、私は反対いたしません。どなたでもお受けいたします。既に決めておられる令嬢は居られるのでしょうか?」


 そうウィリアムが淡々と答えると、父は言った。


「ああ、ラックランド伯爵家のマーガレット嬢だ。」


 そう、いつもの穏やかな声で父が言ったとたんに、ガシャンという大きな音が鳴り響き、テーブルが大きく揺らいだ。


「あり得ないわ!!お父様、何を考えてそんなバカげた戯言をおっしゃっているのですか?まだ寝ぼけていらっしゃいますの?もう一度、顔を洗いますか?」


 そう机に両手を勢いよく衝き、立ち上がり怒りを表したのは、我が妹キャサリンだ。

 彼女は、俺の婚約者にと話に出たマーガレット嬢の親友でもある。


 おいおいおい、ちょっと興奮しすすぎじゃない?

 まあまあケイティ、落ち着こうよ~。

 この時の俺はまだ余裕だった。


「おい、ケイティ、落ち着け。婚約者がお前の親友だからって、そこまで怒ることは無いだろう?それに婚約相手は俺なんだぞ、何も問題ないじゃないか。それに、メグが俺の事を好きなのは昔からの付き合いでよく知っているし、あいつとしては願ってもない話なのではないのか?」

シャララーン。


 そう俺が言った後、カシャンとナイフ皿の上に落とす音と共に食卓が静まり返った。


 いち早く口を開いたのはナイフを落としてしまった弟のダニエルだった。


「ウィル兄さん、それ本気で言っているの!?」

「へ?そうだけど、何かおかしいか?」

 弟の問いに思わず疑問で返してしまう。


 へ?何?俺そんなに変なこと言った?

 え、どれだろう??ん?無くない?

 混乱するウィリアム。


 会話を聞いた姉のバーバラが顎に手を当て、

「こいつ……頭湧いてるわ。」

 と、辛辣に言い放った。

 

 え、何?その言葉、ちょっと厳しくないですか?って言うか、何なの?

 何?この雰囲気!?

 さらにウィリアムは混乱する。


 父が悲しそうな顔で俺を見て話す。

「実は私は、ずっと彼女の家と縁を持ちたくて彼女を跡取りの嫁にする為に、幼い頃からお前たちと交流を持たせてきたのだ…だが、だがな、何度も婚約を申し込んでも、あちらから良い返事が貰えないのだ。」


「な、なんですかそれ?そんな話は聞いたことがないんですけど。」

 父の思いがけない言葉にウィリアムは動揺する。


 だって、おかしいだろう?

 俺だよ、この俺様と結婚だなんて、女はしたいにきまっているじゃん!!

 え?何嫌がってんの??断る?え?それ何語?

 アリエナイヨ!!


「ウィルには言っていないよ、何度も婚約を断られているなんて……そんな事を言ったら、プライドの高いお前が傷つくではないかと。」

 そう父が言い返したのだ。


 俺は言葉が出なかった。

 その通りであったからだ。


 父が言うには、5年前に申し込んだ時は、まだ婚約には早いと言われて、そろそろかと1年くらい前に申し込んだ時にはもう少し考えさせてくれと、雲行きが怪しくなり始めていた。

 三度目は断られ、それ以降は、もう……会うたびに軽く言葉にして申し込んでいるのだが、全て有耶無耶に流されているのだと言う。


 父の婚約申し込みから、お断りいたしますというラックランド伯爵のフレーズまでの一連の掛け合いが、毎回会う度あり、挨拶のようなやり取りとなっているらしい。


 へ〜そんな感じなんだぁ〜楽しそうだな~ってそうじゃないでしょ!


 この俺がこの完璧な俺が、何度も婚約を断られ続けているだと!?

 いや、何かの間違えじゃ?

 なぁ、誰かそうだと言ってくれよー。

 だってあいつはさぁ……俺のことを好きなはずなんだよ……。


「マーガレットはケイティと仲が良いし、家にもよく遊びに来てくれて、とても良く出来た素晴らしいお嬢さんだ。だから、私も母様も心から嫁に来て欲しいと思うくらい、とても気に入っている、彼女も我が家族を好んでくれていると思うのだが……なぜだかウィルとの婚約話を承諾してくれないのだ。なぜなんだ?」

 父が腕を組み悩んでいる。


「え?へ?あいつ、この家によく来るのか!?」

 俺は驚いて聞いた。


 だって俺の知る限りでは、ここ数年、この家に来ているのを見たことがない。

 そういえば、キャサリンはマーガレットの親友であるのに、この家でバッタリ会うという事もない。

 ここ数年、俺はあいつと、夜会くらいでしか顔を会わせていないのだ。


「ああ、よく来るよ。多い時は二日と開けないで来る。僕もケイティ姉さん達に混ぜて貰って、本の感想を言いあったりしているし、バーバラ姉さんもメグと刺繍の図案を一緒に語らったりしている。ウィル兄さんは、女性達とのデートで毎日忙しいから、知らないだろうけどね!」


 弟が節々に小さく刺さるような言い方で話す。


「お父様、今さら何が原因かなんて、明らかな事を言わないでくださる?私がメグの父親であったならば、女をとっかえひっかえしているようなこんなクズ男の許へ娘を嫁にやりたくないですわ。思いっきり、ウィル自身が原因ですよ。」


 姉が俺に大鎌を振り下ろしてくる。


「それだけではないわ。メグはもうずっと前からコイツの事を避けているのよ。それなのに、コイツは自分のやらかしたことを何も覚えていないし、避けられていることも気が付いていない…最悪過ぎる。そんな奴の嫁に私の大切な親友を差し出せだなんて、なんて惨い仕打ち……牛の世話をしている方がましだわ。メグを悲しませることは、私が絶対に許さないわ!!!」


 妹が俺をコイツ呼ばわりして大噴火だ。


 家族から非難の集中業火を浴びた。


 うう、何だよ。俺がなにしたってんだよ。

 なんでこれほど酷く言われなければいけないんだよー。

 泣いちゃうぞ~。

 誰か味方を……あ、母さん……。


 何も言葉にしていない母をウィリアムがチラ見すると。

 視線に気が付いたようで、母はこちらへ顔を向けて、片眉を上げてこう言った。


「ウィル、自分の行いを悔い改めなさい。」


 脳天にタライが落ちたくらいショックだった……。


 その後、俺は母の言葉に従い、自分の行いについて少し考える事にした。


 家族に此処まで言われると、凹むよ。


  ***


 だがしかし、考えても、考えても、俺には改める様な行いが一切ないと言う結論に達する。

 俺には全く思いつかないのだ。


 来るっと回ってみるから見てみてほしい、ほら、芸術性の高い彫像そのものだろう?

 う・つ・く・しい~。


 中身も紳士で、文武でも優秀な男だ。

 どうだ、完璧なのだ!!


 何を悔いるべきなのか?

 サッパリ分からない。思いつかん。


 そこで、学院でよく話をする者達に相談してみることにした。


「なあ、お前らに聞きたいのだが、俺の行いで悔い改めなければならない所とは何処だ?」


 院の広場で、暇つぶしに※ポームの相手をしろと付き合わされ、ラリーをしている相手のヘンリー殿下と、ポームを行っている広場の横の草むらに腰かけ、本を読んでいるフレデリックに、疑問を投げかけてみた。


「え、何?面白いこと?」

 俺の撃ち返したボールを咄嗟に手で掴むと、面白そうだと殿下は急いで此方へ駆け寄ってくる。


 フレデリックは顔を少し上げこちらをチラッと見た後、視線を本へと戻す。


「何か、あったのか?」

 手元にある本に目を向けたまま、フレデリックがそう返した。


「母上に、自分の行動を悔い改める様に言われたんだ。それに、ある令嬢に好かれていないことも教えられてね。その令嬢に、俺はどうしても好かれなければならないんだ。」


「は?お前の事を嫌い?いったいどこの令嬢だ?そいつ、見る目があるぞ。人事の官職に付けよう。紹介しろ!」

  そう言ったヘンリー殿下の言葉に、いつの間にか俺の隣に来ていたフレデリックが深く頷いている。


 クッソ、こいつらマジで腹立つなー。

 まあいい、今は聞かねばならぬのだ、我慢、我慢だ。


「オホン、それでだな、俺は何処を改めればいいんだ?」

 俺はイラつきを抑えながら質問を繰り返した。


「令嬢に好かれなければいけないのならば、君の女性関係、あれはよくない。絶対にダメ。」

 ヘンリー殿下が珍しく、茶化さずに返答する。


 あれ?いつもと雰囲気が違い過ぎないか?と、殿下へ小声で尋ねると、真面目な相談には真剣に答えるんだと、キリっとした顔で返された。


「そうはいっても、俺は告白してきた女と付き合ってきただけだぞ。きちんと餞別もしていたし、引き際も心得ていたから、揉めることは全くなかった。面倒を起こしそうな女は(あらかじ)め踏み込ませないように心がけていたし。そう言う奴は告白すらさせていなかった。だから、どの別れた女とも後腐れはないし、問題も一切ないと俺は把握している。それの何がいけないのか?」


 殿下の言葉に納得できない俺はそう答えた。


 そんな俺の言葉にフレデリックが険しい顔つきで話す。

「お前、この3年間でどれほどの女と遊んできたか覚えているよな?いくら揉めた事がなかろうと、どこで勘違いが起こって、事件が起きてもおかしくない状況だったぞ。いつかお前が刺されるのではと、私達はヒヤヒヤしていた。別れて直ぐに別の女と付き合い出すし、次々に女を変えているのを良しと思わない者も、中にはいるはずだ。正直、お前はいい奴だが、お前の女性の扱いだけは、俺には理解できないよ。ウィリアムは、彼女達と、どんな気持ちで付き合っていたんだ?」

 

 その質問を受けて、俺はかなり悩む。

 悩む。

 悩む……。


「気持ち?どんな気持ち……楽しいか、楽しくないか?うーん、気持ちいいかとかかな?そう、性欲を満たすためとか?えーと、快楽かな?他に何か……」


 それ以上の言葉の出てこない俺に対して、

「うわぁーーー、最低だぁ。」

 と、俺の答えに殿下が思わずドン引いた。

 フレデリックも呆れて溜息をつく。


 なんで?男としては仕方がない事じゃないか。

 だって、素敵な女の子がいいよって言うんだし 性欲には贖えないだろう。

 え?男なら分かるだろう?何が最低なんだ!?


 ウィリアムはイライラする。


「ウィリアムって本当の恋をしたことが無いのか?だから本気で一人の女性と向き合えないのかも。君、おこちゃまじゃないか。ハハハッ。」


 そうヘンリー殿下が揶揄い口調でそう言った。


「なっ何だと、恋なんてどの女ともしているさ。恋愛は駆け引き、彼女たちの嬉しい気持ちを満たしてやればいいんだ。」

シャララーン。


 そんなこと、俺だって知っている。

 いったい何なんだよ。ムカつくなー。


「違うよ、ウィリアム。恋愛は一人の女性を大事にしたい。ずっと一緒に居たいって想うことだよ。」

 ヘンリー殿下が優しい声で言い聞かせる。


う?は?え?


「そうですね。その通りです。殿下はよく分かっておられる。ああ、殿下にはすでにお相手がいらっしゃいますからね。」

 フレデリックがにこやかに同意する。


あいつか……って、だから何だよ。


「ああ。隣国だけどな!そう言う君も実はいるのでは?」

 殿下が嬉しそうにフレデリックに返す。


なっ、楽しそうだな!?


「ええそりゃあ、もう17歳ですからね。ずっと共にいたいと願った者の一人くらい、私にも居ますよ。」


お前もかよー!!!!


 その時の2人の色恋での楽しそうな会話に、俺は衝撃を受けていた。

 

 ずっと一緒に居たいだとーーー!?


そんな、気持ち…………!?

 



※(ジュ・ド・)ポーム:テニスの先駆けになったスポーツ 昔は素手で打ち合っていたがこの物語では短いラケットを用いてボールを打ち合っている


登場人物間違えないようにメモ

主人公ウィリアム・クロスターの姉弟↓

   姉:バーバラ

   妹:キャサリン(愛称ケイティ)

   弟:ダニエル(愛称ダニー)


おさらい、マーガレットの愛称はメグ

愛称って可愛いですよね。

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