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俺の家族とアイツ

お読みくださりましてありがとうございます。



「終わったようだな。」

シャララーン♪


 若かりし頃はさぞやモテたであろう容姿の口髭を生やした中年の男が、ウィリアム達に近づき、声を掛けてきた。


「父上、どうかされましたか?」

 どうやら声を掛けてきたのは、ウィリアムの父親のようだ。


「どうされましたじゃないでしょう!!公の場でお前は何をしているのよ!」

 その男の後ろからキリっとした顔立ちで、いつもよりワントーン低い音声で怒りを露わにする女性が、鬼のような怖い顔して近づいてきた。


「は、母上、何をそんなにお怒りですか?」

 よく見ると、彼らの後方にジェームスの両親も居て、悲し気にこちらを見つめている。


 ん?なんで皆、その表情?

 なんで母上は怒っているの?


 俺が考えている間もなく。


「あなた、いったい何を考えているの?見合いが嫌で対決ですって。本当にバカだわ、馬鹿すぎるのよ。我が息子なのにバカバカバカ大馬鹿息子だわ~!!」


 母がそう言い放ち、自身の頭に着けていた花を1つもぎ取ると握りつぶした。


  オイオイオイ、その姿、宮廷舞踏会(ここ)にいる貴族の皆様に見られてもいいのか?

  母親の心配をするウィリアム。


「ウィル、なぜそのような事をしたのだ。」

 母さんの背中をさすり宥めながら、父さんは俺に冷静に話し掛けてきた。


 え、ああ、こうなった事をちゃんと話さないとな。


「あの、父上。私はもう、偶然を装った令嬢の紹介や押し売り強引な見合いには、これ以上付き合いたくないのです。そのために、解決策を思いつき、決行することにいたしました。それは60日の間に私が負ければ、負けた相手の令嬢と速やかに婚約を致します。しかし、60日間、全16回の対決に全て負けず勝てたならば…………父上!!どうか、私の願いを聞き入れてもらいたいのです。この案を、どうか受け入れてください。お願いします!!」


  俺は深く父に頭を下げる。


 頼む~マジでお願い!!!

 もう宣言しちゃっているし、殿下にも見つかっているから、後戻りできないのよ~。

 この願いが受け入れられないと、成立しなくなっしゃう。


  困り顔のクロスター公爵は、溜息を一つ付き答えた。


「わかった、願いを聞き入れよう……お前の好きにするといいさ、私はもう何も口出ししないから。」


 呆れ顔で了承する父親に反して、

「ありがとうございます!」

 と、ウィリアムは嬉しそうに目を輝かせ両手を挙げて喜んだ。


 そんな息子を見て父親が気落ちして話す。

「はぁ、ウィリアム。ここでは深く話せないから、あとは家に帰ってから話そうか。ヘンリー殿下、我々はこれにてお暇いたします。本日はお招きいただきまして、ありがとうございました…………はぁぁぁ。」


 もの凄い深いため息がこの場に響いた。



 ウィリアムは、王家への挨拶を手早くすませ、両親と共に会場を後にする。

 ラックランド伯爵は王族に挨拶を済ませない、ここにまだ残るみたいだ。

 というか、ジェームスに対決の申し込みが群がり、大変な混雑状況へとなっていたので、息子を残して帰るに帰れないのだろう。


 ご、ごめんなー。


 ジェームスにその令嬢達が群がる情景を背後に、俺と俺の両親は会場の外へと移動する。



 ***



 馬車の停留所まで来た時に、馬車を待っているジェームスの妹のマーガレット、俺の妹キャサリンと弟ダニエルを見つけた。


 ハッ、あれは!?!?!?


 俺はすかさず彼らに駆け寄った。


 すると、俺の妹がマーガレットの前にさっと移動し陣取り、話をさせないようにガードする。

 クソッ、実の妹の癖に凄く邪魔だ、そこをどけ!!


 そう苦々しく思いながら、俺は三人に声を掛けた。

「お前たち、こんな所で何をしているんだ?」

 ウィリアムが問うと、弟が答えた。


「何をしているかだって?ウィル兄さんが変な宣言をしでかしたから、恥ずかしくて会場に居られなくて逃げてきたんだよ。帰りが早すぎるから迎えの馬車もまだ来ていないんだ。今呼びにいって貰って待っているところさ。外はまだ寒いのに体が縮んでしまうよ。」

 わざとらしく肩を摩る。


 え?そうなの?

 見ていてくれなかったの?

 俺、結構直ぐかったんでぜ。


「なんだ。それならばさっきの対決は見ていてくれなかったのか…俺が一勝したんだぞ。」

 

 残念そうに俺が言うと、

「見るわけないでしょ!!馬鹿々々しい。本当にろくでもない兄だわ。この顔だけ男!」


 妹が俺に子犬の威嚇のようにキャンキャンと言った具合に喚き、罵った。


 何を言うか!その顔だけ男と顔がそっくりの癖に~。

 似ていないのは父親似の姉だけで、俺とお前はそっくりで美人だろう??

 とは、また怒鳴られそうなので言わないけどね。


 そんなことより、話がしたいんだ。

 話がしたいんだ。

 だから、そこをどけ!


「お、おい――」

 声を掛けようとして遮られる。


「あっ!!うちの馬車が来たみたい。凍える前に帰れてよかったわ。」

 俺をを全く見る事なく、ジェームスの妹のマーガレットが馬車が来たことを告げる。


 おいなんだよ、メグ!こっちを見ろよ!!

 俺が来たぞ、こんなに近くにいるのだぞ。

 俺を見ろ、少しは見てくれ…振り向いてくれよ、頼むよ。


 俺は心の中で強く思った。

 しかし、彼女の視線はこちらへ向くことはない。

 仕方なく、もう一度、俺から声を掛ける。


「おい、メグ。今度の対決、絶対に見に来い。お前の兄は立会人だからな、お前も俺の勝利するところを見ろよ。そして少しは俺を応援しろ。」


 そう強い口調で話し掛けると、マーガレットはやっとこちらを見た。


「私には全く関係ないことだわ。でも、貴方は親友の兄だし、応援してほしいのならば全力で応援するわ。ウィリアム様ガンバッテー。これでいいかしら?」


 クソッ、応援が棒読み過ぎじゃないか!?

 俺はかなりイラっとした。

 俺からかなり歩みやっているのに……何でだよ。


 ラックランド伯爵家の馬車が着いたので、彼女と先に帰ろうとしていた俺の妹と弟もこの馬車に乗ると言う。

 俺もこの馬車に乗ると言ったのだ、ラックランド家の侍従を乗せているので定員オーバーだから、自分達が先に呼んでいた公爵家の馬車がもうすぐ来るから、そっちへ大人しく乗れと強く断られる。

 詰めれば乗れるとか、色々言ってみたのだが、しつこいと兄妹に怒られた。

 しぶしぶ諦める。


 ジェームスの妹が馬車に乗りこむ際に、俺は彼女の腕を掴みもう一度頼んだ。


「メグ、俺の対決を見に来てくれよ、頼む。」

シャララーン。


 どうか、届いてくれー!!


 マーガレットは息を小さく吐くと、

「分かったから手を離して。応援には行くわ。約束するから。」

 そう返答がきた。


 そして俺が手を離すと、間髪入れず馬車へ乗り込み去っていった。


 去っていく馬車を見えなくなるまで俺は見つめた。



 俺は、ジェームスの妹マーガレットが、好きだ。




 段々、ウィリアムのヤバさが露呈していきます。

男前音、父親も使えます♪さすが親子。


 ジェームスの妹:マーガレットの愛称はメグです。


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