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第16回対決~最大の危機~

終わりが近付いてきました。

ここまでお読みくださり本当にありがとうございます。




  あれから2日後の今日は、対決最終日である。


 60日間より若干の延長もあったが、今日の戦いで最後となるのだ。

  そして、その対戦相手は、マーガレットである!!


「遂に来たわね。マーガレット、けちょんけちょんにのしてやりなさい!」

  キャサリンが鼻息を荒くし目をギラギラさせて発言する。


「ケイティ、私、対決内容を聞いていないのだけれど、結局何に決まったの?」

「あ、そうだったわね。言い忘れていたわ。あれよ、コイントス。それだけだと直ぐに決着が付いて面白くないだろうから、おまけも付けといたわ。」


「コイントス!?」

  マーガレットが驚いたところで、ジェームスからそろそろ始めると呼ばれた。


  心をソワソワさせたまま、マーガレットは本日の対決を行う会場内へと足を運ぶ。


 本日の会場は、対決最終日という事でギャラリーも多いと予想し、剣の対決の際にも使った騎士団の闘技場を借りて行う事となっている。


 その対決の内容が、コイントス……ちょっと地味ではないのか?

  大丈夫なのかと、マーガレットに不安が募る。


「それでは本日の挑戦者を紹介します。ラックランド伯爵家子女、マーガレット嬢です。対決内容は、コイントス。ええっと、それだけでは直ぐに終わってしまうという事なので……コイントスを外した方が、相手の嫌いなところを1つ言うというオマケも付けました。言う事が先に出なくなった時点で負けが決まるという対決だそうです…………。」


 フレデリックが言い終えると、最終対決が凄く地味であったので、会場には何とも言えない雰囲気が漂った。


 え?コイントス?

 それって、運だよね?

 ケィティは、メグが俺に実力では勝てないって考えのか??

 運でもいいいから勝たせたいって事か?

親友想いで大変いいのが、大会場での対決向きとはちょっと言えないなぁ~。


 ウィリアムも、会場の雰囲気と同じように感じていた。


「オホン、それでは、両者、心の準備はよろしいでしょうか?こちらにあるコイン、国王が描かれている方が表、跳ね上げ馬が描かれている方が裏である。これを私が指で上に向かい弾き、こちらの手の甲へ落とし、もう片方の手で覆い隠す。その時のコインの状態をまずは当ててもらう。さあ、どちらが先に答える?」


 ヘンリー殿下が丁寧に説明し、どちらが先に決めるかを2人の顔を交互に見ながら発言する。


 するとウィリアムが直ぐに、

「メグでいいよ。先に決めて。」

 シャララーン。


 優しくマーガレットへ言った。


 フフッ、ここはレディファーストだぜ~。

 な~んて言っちゃってるけど、勝敗はどちらに転んでもマーガレットは俺の嫁だから、どっちでもいいのさ。

 怖い者なんて俺には何もない!!


 さあ、どんどん進んでいこうかー。

さあ、さあ、フレデリックやっちゃってー。


 今日で、俺の嫁が決まるんだぞ!マジで嬉しすぎるだろう。

 フッ、極上のワインの準備はもう出来ている。

今宵の俺に、乾杯だぜぃ。

 シャララーン♪


「ウィリアム、何だか余裕だね~策でもあるのかい?」

 そうヘンリー殿下がニヤニヤしながら話す。


「いいや、全くないよ。だってコイントスって、運だろう?」


 少し離れた所に居るジェームスがその発言を鼻で笑ったのだが、誰にも気づかれていない。


今日の対決は、妹のマーガレットが挑戦者なので、ジェームスは対決に携わるのを禁じられている。

その代わり、ウィリアムの妹キャサリンが立会人となっていた。


 殿下の近くにいたキャサリンも、内心、兄の発言がおかしくてその場で声を出して大笑いしたかった。

 しかし、悟られないように下を向いて歯を食いしばり耐えていた。

 そんな様子に、ウィリアムは気づいていない。


「まあ、そうだな。運だよね。ああ、コイントスを外した方が相手の嫌いな所を必ず1つ発言するのを忘れないように、いいね。きちんと嫌いな所を相手に言うように。」

 ヘンリー殿下がそう2人に向かって言うと、対決する2人は大きく頷いた。


「それでは始めます。」


 始まってから会場にいる誰もが驚いた。


 コイントスを、マーガレットは1度も外さないのだ……。


「はい、今回もマーガレット様が当たり。ではウィリアム、ラックランド嬢の嫌いな所を1つ。」

 フレデリックが飄々と司会進行をする。


 えっ、ちょっと待って、また!?

また正解したの?

 何で?何で、こんなことになっているの??

 って言うか、嫌いな所なんてないよ……どうしよう。

 本当にどうしよう……えっと、えっと、えっと……。


「あ~~私より水泳が上手なところが嫌い。」


 今のでウィリアムがマーガレットの嫌いな所を答えるのは5回目である。


  ウィリアムはマーガレットに嫌われたくはないので、不快に思われないような事を言っているのだが、ウィリアムにとってこれでもかなりの苦痛であった。


  マーガレットの嫌いな所が見つからないので苦しいと言うのもあるが、好きな相手を目の前にして嫌いとう言葉を言いたくない。


 でも、さっきからずっとマーガレットがコイントスを当て続けているので、ウィリアムが答えなければならないのである。


  もう泣きそうだ。


 ぐぬぬ、もうネタ切れだよ。

もう嫌だよ~グスッグスッ。

 何でだ~??

何故、メグはコイントスが外れないんだ?


 ああ、もう、降参しちゃおうかな~。

 これ以上メグの嫌な所とか無いのに、言いたくないよ。


 でも、何だかなぁ、これまでの習慣なのかな?

負けたくないんだよ~!!

負けたらいけないみたいな、使命感がさぁ、染み付いちゃってるんだよね。

 ああああああああああああああ、どうしたら~?


 かなり弱気になっている。


「では次、はい!どっち?」


「裏。」

 マーガレットが先にと最初に言ってしまっているので、ウィリアムは、

「表。」

  と答えるしかない。


  ヘンリー殿下が手をどかすと、コインは裏だった。


 ヒエッ!?!?!?


 この事実に、ヘンリー殿下も驚きを隠せない。

「なんで当たるんだ?」

  思わず殿下も聞いてしまう。


  マジで、何で当たるの!?

  もうやめてよ……。


  ウィリアムが半泣きになっている。


  その問いにお答えしよう(ジェームス心の声)

何故か当たるのかと言うと、ラックランド家は、両親が喧嘩をすると、薄い木のコースターに言いたいことを記入し、投げ合いをして会話すると言う習慣があるからだ。


 コースターを投げ合いだけでなるはずないって?

まあまあ、もうちょっと静かにして聞いてくれ。


ラックランド家は、夫婦で営む事業が多く、仕事の業務でぶつかることが頻繁な両親であり、二人の帰宅後の食事の場などでは、よくこの風景を私達兄妹は目にしていた。


 幼い頃から小さな文字がびっしり書かれたコースターが食卓で目の前を飛び交い、それを目で追っていた。

そのうちに、投げられたコースターの文字が読めるまでなった。

もはや特技というより、特殊能力に近い。


 と言うことで、ラックランド兄妹はとても目がいい。

 コイントスの落ちてきたコインの向きを当てる事なんて、お手のものである。


 もう一度言う、コイントスを見破るなんて、マーガレットは朝飯前なのである。


  誤解がないようにひとつ付け足しておくと、ラックランド夫妻は普段は仲が良い。

 

説明はこれで終わり (語りはジェームスがお送りしました)


 わけ知り顔のキャサリンとジェームスが、してやったりとウィリアムを見ている。


「殿下、さあ早く続きを!」

  追い打ちを掛ける様にジェームスが急がせる。


「ええっと、ではウィリアム、答えよ。」


「…………笑顔が可愛すぎるところが嫌いぃぃぃぃ!!!」


  もうヤケクソになってきていた。


 その答えでいいのか?と、周囲が少しざわつく。


「おい、それだと嫌いの理由にはならない―――」

  フレデリックが観客の意見を代弁している途中で。


「いいんだよ。普段はクールなのに、時折見せるふんわり笑顔が可愛すぎて、あれでは他の男に目を付けられてしまうだろう。だから俺の前だけ、あの可愛い笑顔を見せていればいいのに。そう言うところが嫌ないなの!!」

  と、ウィリアムがかなり強引な持論を述べた。


 だって嫌いな所ないし、嫌われるようなこと言いたくないし。

 どうすればいいのさ~。

 もう、負けるしかないじゃん。

 いいの?俺、終わらしちゃうよ??


 これには観客が大きくざわついた。

  マーガレットも何を言い出しているのかと目を丸くして驚いている。


「えっと、えっと、では続けるよ??」


 え?続けるの?といった雰囲気が会場を一瞬巡ったが、とりあえず皆、黙って見守るようだ。


 そして次も、当たり前のようにマーガレットは当てた。


「全ての者に、分け隔てなく優しすぎる所が嫌い。」

  ウィリアムが答える。


「だからそれだとさ~。」

  フレデリックが言いだそうとすると、

「皆に優しいから、勘違いしてしまう奴が居るかもしれないから、俺は困るんだよ!!撃退しなきゃいけないだろう。だから、そう言うところが嫌いなの!!」


 同じパターンで、ウィリアムがやけくそになって言い切った。


 ギャラリーが何となく察し始める。


  その後も、

 カッコよくて正義感がある。

  賢くて頼りになる。

  聞き上手だし、話が面白いところが嫌いなどと、マーガレットを褒め称えるが、そこが嫌いだと言う。


今まで作り上げてきた世の女性の憧れ、ウィリアム完璧紳士像にヒビが入っていく。


 文句が出ようものなら、その都度、マーガレットを好きになってしまう者が出てきてしまうから、ウィリアムがそこが嫌いな所なのだと強気で主張するので、まあ嫌いには間違いないので、殿下はそのまま続けるしかなかった。


  だが、この状況に耐えられなくなった者が居た。

  言われている本人、マーガレットだ。

  自分を褒める言葉の嵐に羞恥心が耐えられなくなったのだ。


「では次。」

  と言って、殿下がコインを上へ向かい投げたのだが、そのコインを殿下が取る前に、マーガレットが横から掻っ攫ったのである。


  そして、こう言い放った。


「この対決はいったい何ですか!! はっ、恥ずかしすぎるので、私はもうやりたくありません。降参です。降参します!降参でいいです。」

  とうとうマーガレットが音を上げたのだ。


 この時、ウィリアムは歓喜した。


 ヤッター!!!!

  これで、自分が父に全勝を報告し頼めば、マーガレットと結婚させてもらえる!!!


  と、彼は思ったのである。


 するとその時、


「はぁ、これでマーガレットの留学が完璧に決まったな~。」

「よいではないですか、傷心の令嬢、隣国に留学するの筋書、完璧ですよ。それなりの理由も出来て行きやすくなりましたわ。」


そう話し声が聞こえてきた。


 話しているのは、ウィリアムの居る方へと寄ってきたジェームスとその婚約者フォールズ嬢である。


 えっ?今なんて言った?傷心令嬢、留学!?

 何でそうなるんだ!?

 ウィリアムは混乱している。


「あ~、やっちゃったわね。私はただ、ウィル兄の負ける所を見たかっただけなんだけど。やっぱりバカ兄だったか。」

と、キャサリンが嘆いた。


 え?はぁ?何言ってるの?ケィティ??


キャサリン達の言葉を聞いてウィリアムはよく考える。


 何か、まずいのか?

 マーガレットが負けて、婚約できずに傷心して留学の筋書…と、何か関係……んん!?


そうか、俺はこれから父にマーガレットと婚約するように話を進めてもらうつもりでいるのに、今、この対決に敗れた令嬢に婚約を申し込むのは……果たしていいのか?


 答えは、“否”ではないのか!?


  だって、それをやったら本末転倒、この対決をやった意味がなくなってしまう、悪評が立つ。

  そう、悪評は俺だけでなく、マーガレットにも立つだろう。


  ダメだ、この結果は最悪だったんだ!!

 ギャーギャーー!ど、どうしよう……。


 後ろで聞いていたフレデリックも気が付いたのだろう。

 顔色を悪くしている。


 だよね~マズイよね~。

  ……どうにかしなければぁぁぁ。


 とりあえず、

「ちょっと待ったーーー!!!」

 大声を上げるウィリアム。


 マーガレットが負けるのはいけない事だ。

  では、どうすれば……どうする?どうする!?


 皆が注目する中、俺はこう言い放った。


「私の負けだ!!」

 ウィリアムは、強く言い切った。


  えええぇぇぇ~!?今更?と驚く会場内。

 どうなるんだ?この対決の決着は!?

 皆がザワザワと騒ぎだす。


  その最中、ウィリアムは考えに思考を凝らいし絞り出していた。

  そして、俺はその言葉を言い切ったのである。


  最高難度のこのミッション。

 俺は突破して見せる!!


 そして、見つけ出したんだ。


 回避できる突破口を!?

 シャララーン。







もうだいぶ化けの皮が剥がれ、皆に本省を見破られているウィリアム。

次回、こうなったら突き進めウィリアムをお送りします。


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