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俺、吠える(前半)

いつもお読みくださり、誠にありがとうございます。




 前回の絵画対決から3日後の夜。


 今、ウィリアムが何をしているのかと言うと、ラックランド伯爵家主催の夜会が伯爵邸で開かれ、クロスター公爵家も招待を受けたので、その会場を訪れていた。


 今夜は、ジェームスより5歳年上であるが、医学を修めた才女であり素晴らしい令嬢、彼の婚約者に決まったフォールズ辺境伯爵家ニコル嬢を披露する為に夜会が開かれている。

 彼らは一年後には結婚するらしい…。


 まさか、まさかあいつが俺よりも先に婚約するなんて!?

 妹の恋路を邪魔しておきながら、自分は幸せにだとーーーなんて非道な奴だ!クソクソー。

 早く俺とメグの婚約を認めろよ!コノヤロー!


 と、少し悔しい気持ちを隠しながら、ラックランド伯爵家の来客への挨拶対応が終わるのを、俺は今か今かと大人しくいつでも駆け付けられるポーズで待っている。

 シャララーン。


 挨拶が終わったらすぐにマーガレットを掻っ攫い連れ出し、さらに他の男へ接触させない為に会場を抜け出して二人きりになり告ろうと考えているのだ。


ああ、そうだよ……今だに伝えられてませんよ。

忙しかったんだよ。


 だから、どんな男からも俺がマーガレットを守り抜くんだ!

鉄壁ガード発動!!

いくら招待側だろうが、他の男とは絶対に踊らせたくない。


  触らせてなるものかーーーーーー!!!!!

  目をギラギラさせて、マーガレットの周囲を威嚇する。


 それに宣言をした所為なのか、前のように多くの令嬢達に取り囲まれることもない。

 遠目から皆、伺っている感じだ。

 う~ん、ラクチン。最高。


 話し掛けてくる令嬢と言ったら、対決で健闘し合った者や対決を温かく見守り事情を把握しているウィリアムを困らせるようなことはしない者達ばかりで、ウィリアムにとって煩わしくない居心地の良い夜会となっている。


 そんな時である。

 ウィリアムのマーガレット監視行動を妨害する者が現れる。


「ウィル兄、責任取ってよ!」

 キャサリンだー。


 キャサリンがそう言いながら近づいてきて、腕を引っ張り、ダンススペースへ俺を連れていく。

「ちょっ、俺はメグが挨拶を終えるのを待っているから、あそこから離れられないんだ。あそこならば挨拶が終われば颯爽と駆け付けられる。手、手を離せ、ケイティ。」


「この前のダンス対決に付き合ったせいよ。男達に一緒に踊ってくれってせがまれて追い掛け回されるのよ。だから協力して。」


 ケイティには前回のダンスで協力をしてもらっているし、俺の味方に成りかけている。

 ここで恩を売るのも悪くない……。


 まだ挨拶は終わらないかなとチラ見をしたのち、仕方がないとダンスを選択する。


 よし、ケィティには完全に味方になって貰う。

 そう考えて、俺は妹と一曲踊ることにした。


 ~♪


 付き合わされて二曲踊り終えた後に、マーガレットの方に目を向けると、挨拶はすでに終えており、たった今、招いた中での高貴な招待客とのダンスが終わったようであった。


 し、しまったー!!出遅れてる…。


 そして、ジェームスとその婚約者、その隣に謎の初老の男性が、マーガレットに近寄り話し始めたのが見えた。


 早くマーガレットの許へ行かないと思い、焦った俺は妹を中年の貴族と話しているフレデリックの所へ無理矢理引っ張って連れて行き、俺の代わりに踊ってやってくれと強引に押し付けた。


 もう一度、マーガレットへ目をやると、初老の男性にダンスを申し込まれているところであった。

 俺は間髪入れずに駆け出していた。


 待て待て待て、メグ、早まるな!!

 俺と、俺とだ。

 その手を取るな―!!


 マーガレットが初老の男の手を取ろうとした時、俺がその手を握り死守した。


 ま、間に合ったー!!!!!

 シャキーン(歓喜バージョン)


 その瞬間、そこに居た者が、俺を認識し驚いた表情で見つめた。


 それに気が付き、俺は絞り出すように声を出した。

「メグ、はあ、はあ、はあ……俺と、はあ、はあ、踊ってください……はあ、はあ。」

 息を切れ切れしながらで少しカッコ悪いが、俺はメグをダンスに誘った。


 それを聞いた初老の男性が、可笑しそうに笑いだし、こう語った。

「クククククッ、すまんすまん。こんなに可愛らしいお嬢さんだ。恋人がいるのを察してあげずに申し訳なかったね。邪魔してしまっていたようだ。クククククッ。」


 その言葉を聞いたジェームスの婚約者が続く。

「まあ、メグ、いつの間にイイ人が出来ていたの?私、知らなかったから、エーベルトとのダンスを薦めてしまって、ごめんなさいね。」


 それを聞いたジェームスが強い口調で否定する。

「違うよ、違う。こいつは例のウィリアムだから。メグのいい人じゃないよ。」

 ジェームスの婚約者はそれを聞いて、これが例のウィリアムかと観察している様子だ。


 おい、ジェームス、例のウィリアムってなんだ?

 て言うか、メグのいい人は俺しかいないだろうが、何言っている!


「おい、ジェームス。メグのいい人は俺であっているぞ。俺以外、他にはいない。」

 シャララーン。


「出たー!はい、勘違い発言。ウィリアムはまだ、メグのいい人じゃないから、メグにだって選ぶ権利あるからねー。」

「に、兄さん、落ち着いて。」

 俺を煽るジェームスと今にも喧嘩になりそうな雰囲気に動揺しながら、マーガレットが止めに入る。


 その時、

「この、ウィル兄!?」

「おい、ウィリアム!!」


 背後から強い口調で名前を呼ばれる。

 振り返るとお怒りの妹とフレデリックが立っていた。


 あっ、ヤッベ~。


「ウィル兄、酷すぎるわ。いきなりケント様へ私を押し付けるんだもの。」

「そうだぞ、俺は大事な情報収集の途中だったんだ。どうしてくれるんだ、ウィリアム。」


「すまん、メグが俺以外の男とダンスをしようとしていたから、つい反射的に行動してしまった。2人共、すまん。許してくれ。」

 がバッとかなり深く頭を下げ謝るウィリアム。


 公の場で反省してすぐさま素直に謝るこんな姿、昔のウィリアムならば在り得ないと、彼の昔を知る者達は一瞬驚き、時が止まる。

 だが、直ぐに動き出す。


「あ、ああうん。それなら、仕方ないのかな?」

「あ、ええ、そ、そうね。」


 かなり動揺したのかギコチナイ動きで、許すと意見を述べてしまうフレデリック。

 その隣で同じように戸惑い、キャサリンも思わず同意してしまう。


 その時、初老の男性、エーベルトが口を開く。

 何故だか酷く顔色が悪かった。


「ハハッ、私はこの場に似つかない様だ。あとは若い子達でごゆっくりどうぞ。それではこれで失礼しますよ。ジェームス様、マーガレット嬢、本日はお招きいただきありがとうございました。ニコル様、私は先にお屋敷に帰らせていただきます。失礼いたします。」

 そう別れの言葉を述べて、初老に似合わない速さで、あっという間に去っていったのであった。


「顔色が悪かったように見えたけれど、彼は大丈夫?」

「大丈夫、彼は医者だから。」

 そう、俺の問いにマーガレットがすかさず答える。


 うわ~メグが喋ってくれてる!!

 これってもう脈ありだよね~。


 マーガレットと自然に会話が出来ていることを嬉しく思いながら、自身の失態をフォローしておこうと、フレデリックへキリっとした顔で声を掛けた。


「さっきは本当に悪かったが、お前の後処理なら優秀な従者が働いてくれているんだろう?まあ、それでも苦労するようならば、俺の落ち度だし、お詫びに困った時に手を貸すよ。」

 シャララーン。

 ウィリアムはさっきの話の続きだとフレデリックへ投げかけた。


「まあね、テオは俺よりも優秀だから。あれ?そういえばテオは?まだ何も指示を出してないんだけど、何処に行ったんだ?」

 フレデリックが辺りを見回したがいないようだ。


「どうせ、ご主人様の為の処理と情報収取だろ。言われる前に動いているなんて流石だよな。」

 そう、ウィリアムがテオの優秀さを褒める。


 その瞬間、ジェームスの婚約者が小声だが、爆弾発言した。

「フレデリックの従者……テオ……テオって、もしかしてメグの初恋の彼じゃない?どれ、どの人?見たい。」

 ジェームスに向かって小声で嬉しそうに腕をパシパシ叩き、訴えている。


 おい、今ここでそれを言うなよと言った表情で、ジェームスが婚約者に目線を送る。


 えっ、まずかった?と、ジェームスの顔を見て額に汗を滲ませながら、

「というのは……私の勘違いだったかなぁ~ああ、そうだ、勘違いだったあぁ。ハハッ。」

 と、小さく口にして婚約者が誤魔化した。


 だが、もう遅い。

 地獄耳は発動してしまっている。


「メグ、初恋の相手はテオなのか!?」

 マーガレットの腕を儂掴み、ウィリアムが詰め寄っていた。


「メグを放せ!バカ兄。」

 キャサリンがウィリアムの腕を引き離そうとウィリアムの腕を掴み引っぱる。


「イタッ。」

 摑まれた痛みにより、マーガレットから小さく声が発せられた。


「す、すまん、メグ。そんなつもりじゃ。ただ、真実か知りたくて、つい力が入ってしまって。」

 ウィリアムが慌てふためき、マーガレットに触れるか触らないか右往左往する。


 またやってしまった~ゴメンよ、メグ。

 ワザとじゃないんだ。

 メグの初恋が俺じゃないなんて嫌なんだよー。

 テオなのか?俺なのか?知りたい知りたい。

 でも痛くしちゃったし、でも……。


 その様子を見て呆れ顔のキャサリンがジェームスに近寄り口を開く。


「ジェームス、一つ確認したいのだけれど、最終の対決相手って、すでに決まっているの?」

「え、何?突然、対決の話?まだ決めていないよ……実は決めかねているんだよね。」

「それならば、その枠、私に任せてくれない?」

 キャサリンが不敵な笑みを浮かべて、ジェームスに許可を強請る。


「任せるというのは、君が対戦相手を決めるって事かい?誰か対戦させたい相手がいるのか?」

 面白そうだけれど、キャサリンの思考が読めず、不安は拭えないからハッキリした返事はしかねると言った様子で、ジェームスが問う。


 すると、キャサリンは鼻で笑い、こう告げた。


「ええ、いるわ。そこに……メグよ!!」


 キャサリンがマーガレットを指さし、言い放った。



後半へ続きます。


登場人物メモ

ジェームスの婚約者:フォールズ辺境伯爵家ニコル嬢

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