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S.S.R.I 捜査に乗り出す

「安田首相がターゲットですか・・それで首相はコスモエナジー救世会にコンタクトを取ったのですか?」


 田村がそう言うと、山科は顔を前で大きく手を振った。


「無理に決まってるだろう?一国の首相が新興宗教団体に命乞いをして億単位のカネを使ったなんてことが知れたら、マスコミも国民も黙っちゃいないよ」


「なるほど、そうですね。それで事態は急を要するわけですな」


「きっかり1週間以内になんとかしなきゃならない。しかしこれは普通の捜査手法じゃどうにもならん。そこで超科学捜査研究所(S.S.R.I)にご出馬を願った次第さ」


 山科の言葉を聞いて、田村はしばらく沈黙して何か考えている様子だった。


 それからゆっくりと口を開いた。


「いいでしょう・・・私たちが独自に捜査してみます。しかしそれと同時に警察にもお願いしたいことがあります」


「なんだ、言ってみろ」


「先ほど言っておられた、他人の心臓の血管を捻じ曲げる・・それが出来る者にひとり心当たりがあるのです」


 山科は鋭い目で田村の顔を睨んだ。


「なに?それは誰だ?」


「御影純一という男です。彼の消息を警察の力で掴んでほしい。そしてできれば身柄を確保してください。ただし危険な男なので十分に注意して」


 **署を後にした田村の運転する乗用車の車内で、真奈美が田村に質問した。


「御影純一というのは何者なんですか?」


「君は1970年代に日本中を席捲した超能力ブームを知っているかね?」


「いえ、私は平成生まれですから」


 田村は少し眉をしかめた。


「君も超科学捜査研究所(S.S.R.I)の所員なら少しは勉強してほしいね」


「すみません。でも私は『科捜研の女』の沢口靖子さんに憧れて、科学捜査研究所に応募したんですよ。まさか超科学捜査研究所(S.S.R.I)なんてところに配属されるなんて、夢にも思ってませんでしたから」


 真奈美は地味な見た目に反して、遠慮なく物を言う性格のようだ。


「まあいい。70年代初頭に海外から来日したひとりの超能力者サイキックのテレビ出演をきっかけに、日本中に自称・超能力少年が溢れかえったんだ。ほとんどが単なる目立ちたかりの子供たちだったがね」


 田村は話を続ける。


「しかし中にはほんの数名だが、本当に不思議な力を発揮した子供たちが居たんだ。実はかく言う私もその少年のひとりだった」


「え?所長が?」


「ある日、私はテレビ局の人に当時T大学にあった超心理学研究室に連れていかれた。そこには他にも少年たちが居た。ひとりは気の弱そうなおとなしい少年だったな。それが御影純一君だ。私たちは脳波や心電図を取られながら実験されたんだ。私も当時の少年たちの中ではかなりの力を持っていたのだが、御影君の能力はレベルが違ったよ」


「そんなに?」


「私はスプーン1本曲げるのに小一時間かけていたがね、御影君はちょっと睨むだけで手も触れずに曲げちゃうんだ。金属のスプーンだけじゃなく割り箸を曲げたりもした。束ねた針金を空中に投げて鎖にすることもできた」


「信じられない能力ですね」


「この時の実験を見て、テレビ局が御影君をスターに祭り上げたんだ。ほんの一時のことだったけどね。すぐに週刊誌が御影君の超能力はトリックだと書きたて、超能力ブームは終焉した」


「なんだ・・結局トリックだったんですか」


 田村は語気を強くして言った。


「いいや、御影君の能力は断じてトリックなどではなかった。いいかね・・・」


 ここで田村は少し語気をひそめた。


「手を触れずにスプーンでも割り箸でも曲げることが出来るのなら、人間の心臓の血管を捻じ曲げることくらい容易いと思わないかね?」

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