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ゴーレム娘は今生を全うしたい  作者: 藤色蜻蛉
6章 回想!!ながら戦闘で怒ってくま
99/264

第92話 回想中⑨ (ゴーレム娘、よくある時間転移)

82 ~ 99話を連投中。


6/15(日) 13:10 ~ 20:00くらいまで。(前回実績:1話/21分で計算)


word → 貼り付け → プレビュー確認、微調整 → 投稿してますので、時間が掛かります。


申し訳ありません。



ブックマークから最新話へ飛んだ方はご注意ください。

…………………………………………


10分だけ仮眠しようと思って目を閉じたら、4時間経ってた。

私の午前様は、何処(いずこ)へ隠れ申されたか。


『午前様の意味が違うが……』


「いえ、これは単純に『午前 (名称)』+『様 (敬称)』なのでは?」


よく分からんので、オズに一票。


ベッドから身を起こすと部屋の中は薄暗く、窓から外を見ると音もなく雨が降っていた。


「……………………今更だけど、ベッドの素材だけでも買っておけば良かった……」


後悔するが、もう遅い。出掛けるなら、雨具が必要だろう。


『《クリア・プレイト》で覆えば、雨具など不要だぞ』


「目立つでしょうが」


ベッドから出て時間を確認すると、そろそろお昼だった。

と、ここでナツナツがいないのに気が付く。


「ナツナツは?」


『あ~……………………妖精の本能に従っている』


「何してるの!?」


妖精の本能 = 大騒ぎ。


今のところ、毎週 ギルド飯店で騒いで解消されているため問題は起きていないが、問題にならないレベルで後先考えずに悪ノリすることは多い。

誰も見ていないところで暴走されるのは危険だ。


「ナツナツどこ!?」


「あ~……大丈夫ですよ、お姉ちゃん」


「……そうなの?」


『窓の外を見れ』


「外?」


ナビに言われるまま窓を開けると、『サー……』という雨音が部屋の中に飛び込んできた。風は無いので小雨と思っていたが、雨量としては結構ありそうだ。

と、


「あはははははは♪あめあめ~♪」


「…………………………………………」


ベランダの手摺に乗って、濡れ鼠になりながら踊るナツナツがいた。


妖精の感性 = 子供。


つまりそういうこと。


『何が楽しいのか本人も不明らしいが、すでに一時間程こんな感じだ』


「私も良く分かりません。電気機器に水は大敵なので」


「……………………まぁ、いいか」


問題は起きそうもなかったので、そういうものだと思うことにする。


「ナツナツ」


「あ、ルーシアナおはよ~♪ルーシアナも踊る!?」


「遠慮しておく。そろそろお昼だけど、どうする?」


「後にする!!今はこの瞬間にしか存在しないんだよ!?」


「そうだね。風邪引かないでね」


「妖精は風邪とは無縁だも~ん♪」


ナツナツは楽しそうに一回転すると、手摺から落ちて庭に消えていった。


…………まぁ、羽もあるし大丈夫でしょう。


「ナビ。一応見ててやって」


『承知した』


「お義母さん探そか……」


「この時間なら厨房ですね。そろそろ呼びに行こうか考えてる頃かと」


伊達にここ最近一緒にいたわけではないね。

私は窓を閉めると、昼食を摂りに向かった。





戻ってきました。ナツナツも一緒です。

昼食の途中で、びしょ濡れ状態で戻ってきたので、お義母さんに怒られました。私が。

解せぬ。


「ふあぁぁぁぁ…………ちょっと遊び疲れちゃった。おやすみ~……」


自由か。


大口の欠伸をしながら、自分のドールハウスに戻っていったので、恐らくマジ寝するつもりだろう。


夜眠れなくても知らんよ……


ナツナツを見送り、私たちは机に座って午後の予定を考える。


「焦石と接続器を創る前に簡単な錬金術で慣れようかと思ったけど、《どこでも錬金》が思った以上に優秀だったから、先に作っちゃおうか?」


「…………いえ、新しい錬金術系のスキルを取得するかも知れませんし、ここは予定通りいきましょう」


そういうメリットもあったか。


『となると、まずは研磨剤か』


「焦石と接続器の作成は《どこでも錬金》をフル活用するからすぐ終わるとして、じゃあ練習含めて一時間くらいをメドに進めよう。終わったら、チコリちゃんとこに渡しに行って、帰りに錬金術師ギルドとベッドの素材を買いに行こうか」


「それなら、ベッドの素材は私が買ってきましょうか?焦石と接続器の錬金レシピを教えようかと思いましたが、マイアナの錬金レシピが残ってるでしょうから」


「え~と……」


念のため確認してみる。一番最初のメニュー内の『保存錬金レシピ呼出し』から検索出来るのだ。


…………………………………………あるね。


「コレ?」


「……………………そうですね。うわ、かなりレベル高い……」


だそうです。オズが軽くヒいた錬金結果予想はこんな感じ。



◇錬金結果予想

名称:幻惑鳥の焦点石

品質:良い (90)

効果:術式精度向上 (+210%)

付与効果:精神属性+10%、煌めき、透明

備考:なし

数量:3


成功率:100%



ちなみにこの術式精度向上率は、一般的にBランク上位クラスだ。

ただし事前に素材を別途 作成して、品質などを上げておく必要があるが、それの錬金レシピと素材もあるので問題ない。

それを確認したオズは立ち上がると、外出の準備を始めた。


「それじゃ、私 行ってきますね」


「分かった、お願いね。雨に濡れないように気を付けてね。それと知らない人に付いてっちゃダメだよ?裏道は使わないこと。あとは……」


「お姉ちゃん……さすがに大丈夫ですよ?何度か一人で買い物にも行ってますし」


「そうだけど、今日は雨で人目が少ないのよ?ナツナツも寝て」


「お出掛けのチャンスは逃さない!!そんな私は、妖精ナツナツ!!オズ~♪出掛けるなら私もついてく~♪」


「…………………………………………」


『…………………………………………』


「…………………………………………」


いつの間にか机の上にポーズを極めるナツナツがいた。

謎の決め台詞を吐くと、何事もなかったかのようにオズの胸元に飛び込んでいく。

いつにないテンションに不安が募る……何があった?


「ナツナツ、眠いんじゃなかったの?」


「ふふ~ん。妖精魔法で眠気をお取り置きしたの。全然ヨユー」


「そんな使い方出来たのか……」


「出来ると思ったら出来た~♪」


「あ、ほら、ナツナツも付いてきてくれるみたいですし、大丈夫ですよ」


「なお不安になったんだけど……」


これはアレだ。酔っ払いと同じ気配を感じる。ギルド飯店で良く見るわ。


『なんだろう……雨に妖精を酔わせる効果はないはずだが……』


当たり前です。


ナツナツはふにゃけた顔をこちらに向けると、


「なんかね~、この雨 魔力が濃いの~♪魔力酔い?みたいな~♪」


「そんな性質あんの!?」


『そういえば、妖精は魔力循環が滞ると太るが、魔力循環が良すぎると微酔、つまりほろ酔い状態になったような……』


「でも、雨中の魔力が濃くなることなんてあるの?」


「ありますね。自然魔力の流れである地脈は、地中だけでなく空中にも走ってますから、そういう地域に降る雨は魔力が濃くなります。

そして、そういうところで出来た雲や風が流れてくると、普段はそうでもない地域でも魔力の濃い雨が降ったりします」


「そ、そうなんだ……」


知らんかった……


だが、ナツナツの変なテンションが雨のせいってことは判明したけど、酔っ払いを護衛に付けて果たして効果があるのだろうか? (反語)


「やっぱりお義母さんに頼も」


「呼んだかしら!?」


突然扉が勢いよく開くと、そこには当然お義母さんがいた。ナツナツと同じように、謎のポーズを極めている。


お義母さん譲りだったか……


「……………………まぁ、全員気付いてましたけどね……子供のプライバシーを詮索する親は、嫌われますよ」


「嫌われる以上に好きになってもらうから大丈夫。それで、ベッドの素材だっけ?」


「そうですね。詳細はオズに聞いてください。それと、ナツナツも付いてくでしょうから、目を離さないようにお願いします。酔っ払いと同じ扱いで大丈夫ですので」


「あら。ナツナツちゃんも来るの?でも、それだとルーシアナちゃん一人ぼっちよ?大丈夫?」


「大丈夫です」


実は一人ではないので。


「……………………実はこの家にはこんな言い伝えが」


「それ怖い話でしょ!!聞かないからね!!!!」


耳を塞いで聞かないアピール。怪談、ダメ、絶対。


「そうね。知らなくても起こるときは起こるものね。じゃ、オズちゃん、ナツナツちゃん、行きましょ?」


「あ、はい。いってきますね、お姉ちゃん」


「いってきま~す♪」


「鏡の中の自分に気を付けてね♡」


「去り際にそういうこと言うなぁ!!」


この部屋の鏡台、扉ないんだから!!


からかうように、というか、からかうためにそう言い残したお義母さんは二人を連れて部屋を出ていった。

パタパタと足音はしないが、気配が遠ざかっていくのは分かる。


…………………………………………


完全に一人になったことが分かると、静かな雨の音が妙に大きく響いて聞こえる。


……………………『パキッ』という小さな家鳴りが、ナニかの気配となって鼓膜に届いた。


「ナビ、《ロング・サーチ》射程最大」


『分かった分かった。ところで鏡ということは、入れ替わり系だと思うか?』


「……………………泣くで」


『あっ…………今、ナツナツから警告届いた。泣かしたら毟るって言われた』


「ぅっ……ぅっ……ナビが苛めるよぅ……」


『やめて!!犬耳毟られちゃう!!』


「犬耳かい」


元々オプション装備だったろがい。


『犬耳チビッ子から犬耳取ったら、ただのチビッ子ではないか。私のアイデンティティ消滅だぞ』


「犬耳に頼り過ぎだよ……ナビにもちゃんといいとこあるから」


ほら、黙って鏡台に布を被せてくれたりとか。


…………………………………………ホントにナビがやってくれたんだよね?


『やったやった。やったからそんな怖がるな』


「うぅ……なんでこんなことに……」


『理由が多過ぎて特定は難しいが……………………ナツナツが雨の中に飛び込んだせいじゃないか?』


「そんな気もするけど、その理由は各所から怒られるから選択出来ないのよね……」


『簡易養子縁組とはいえ娘になったのに、立場が低いよな…………』


「可愛いは正義なのだよ、やっぱり」


現在のグランディア家のヒエラルキー。


ナツナツ≒オズ>タチアナ>私≒セレス>>>ジット。


でも、多分正確には、


タチアナ>(那由多)>ナツナツ≒オズ≒私≒セレス>>>ジット。


つまりお義母さんに気に入られると、表面上 上に行く。なお、お義父さんは自ら進んであの位置にいるので、結局のところ間の私たちは二人の匙加減次第なんだよね、コレ。


『それはともかく、そろそろ錬金術を始めよう』


「う~ぃ……」


[アイテムボックス]から研磨剤の素材『堅硬石』を取り出す。名前の通り、堅くて硬くて仕方が無い石だ。でも脆い。

怖いのを誤魔化すために独り言を呟きながら作業を進める。


「操作は単純に『撹拌』かな。『粉砕』とかあればそれだろうけど」


『……………………』


「強度が同じ素材同士なら、互いにぶつけ合うのがいいんだっけ?」


『……………………』


「それとも強度的に遥かに上のボールとかと一緒にぐるぐる回そうか」


『……………………』


「……………………」


『……………………』


作業を……………………


「ナビぃぃィィ!!イジメ!?」


『うえぇぇ!?なんで!?』


「返事くらいしてくれてもいいじゃん!!」


『さ、作業の邪魔だと思ったんだよ!!ポーションの時だって黙っていただろ!?』


「それはそれ!!これはこれ!!」


『理不尽だぁぁ!!』


「とにかく何か喋ってよぉ~!!!!」


八つ当たり気味にナビに話題振りを要求した。


『あ~…………………………………………それはある蒸し暑い夏の夜のことだった……』


「犬耳に指突っ込むぞ」


『すんませんっした!!』


分かってて怪談を始めたナビに、ドスの効いた声で威圧する。


ナビの犬耳の孔は、私たちの指がうっかり入るのに丁度いいサイズのため、以前『ズボォ!!』とミラクルを起こしたことがあるのだ。

ナビ曰く『脳ミソを直接かき回された気分……』と、犬耳を押さえて全泣きだったので、以降注意しています。

なお、ナビの犬耳は偽耳なので『鼓膜が……!!』みたいなことにはならない。まぁ、それに夢だし。


『え~と……それじゃ何の話をすればいい?』


「何でもいいよ。私が知らないことなら」


『常に一緒だから難しいのだが……』


そういえばそうだった。

ナビ用の体は、現在のところ目処は立っていない。

以前のオズみたいに、転移基点端末と五感を連動させればいいかと思ったのだが、そうすると私の補助が片手落ちになってしまう、とナビが嫌がったのだ。

『私を補助しつつ、五感を外に向ける』。そんな方法を探している。


『そうだなぁ……』


まぁ、私が知らないナビの記憶と言えば、おじいちゃんとの記憶だろう。なんか新情報無いかな?


『……………………オズはアレだよな。ルーシアナが大好きだよな。まぁ、当然私やナツナツも同様なのだが、私たちの場合はそうなるよう調整されてる面もあってだな』


「え……?……………………あ、ありがとう?」


予想外に今の話だった。なんだろ?オズには聞かせたくない話なのかな?


『まぁ、グランディア家の面々のように、何がなくとも好意を寄せてくれる者もいるわけだから、必ずしも特別というわけではないが、ちょっと好意が強すぎるんじゃないかなと思うわけだ』


「う、うん……」


なんだろう……依存気味になってるかもしれないから、私から距離を取れとかそういう話?それはなんか……やだなぁ…………


『特にあれだ。もうすっかりルーシアナの妹が板について、どこからどう見ても人間の女の子だ。神かもしれないオズの母親も、会える日を楽しみにしているだろう。いや、13歳のオズには今しか会えないわけだから、もしかしたらその内 顕現して現れるかもしれないな。夢茶会なんて都合のいい場所もあるわけだし』


「……………………ナビさん?」


『ん?どうした?』


「えっと……オズに聞かせたくない話とかじゃないの?」


『??なんだそれは。ルーシアナの知らない話を何でもいいから話せというから、私の最近の思考を垂れ流しているのだが……』


「…………………………………………そっか」


意味、無かった。


『????』


「いや、ごめん。そのままでお願い」


『そうか?え~と……何を話してたか忘れてしまったから、適当に。ルーシアナもだな、たまには髪型を変えたりだな…………』


『も』ってなんだ『も』って。事前に何か話してた(てい)になってるでしょ。

まぁ、正しく『雑』談であり、程よく気が紛れたので良しとする。



▽錬金マスタリーのレベルが上がりました!!

▽錬金術:素材節約 (小)を取得しました!!

▽錬金術:品質増減 (小)を取得しました!!

▽錬金術:効果増減 (小)を取得しました!!

▽錬金術:精神属性強化 (微)を取得しました!!

▽《素材節約 (微)》が《素材節約 (小)》に統合されます。

▽《品質増減 (微)》が《品質増減 (小)》に統合されます。

▽《効果増減 (微)》が《効果増減 (小)》に統合されます。

▽ステータスを確認してください。


特殊スキル

・錬金マスタリー Lv.6 → 10


取得スキル

・素材節約 (小):《素材節約 (微)》の上位互換。魔力効率と限界値が上がる。


・品質増減 (小):《品質増減 (微)》の上位互換。魔力効率と限界値が上がる。


・効果増減 (小):《効果増減 (微)》の上位互換。魔力効率と限界値が上がる。


・精神属性強化 (微):錬金術で作成されるアイテムが精神属性の場合、その品質・効果を上げる。増加量は込める魔力と錬金マスタリーのレベルに依存する。



……………………《精神属性強化 (微)》は焦石作成時に覚えたから、適用できなかった……無念。


朝起きる(10:00) → ごはん食べる → ちょっと仮眠 → 18:00(虚無)


「そもそも起床時間が……」とか言わないで。

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