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ゴーレム娘は今生を全うしたい  作者: 藤色蜻蛉
5章 爆誕!!私の○○○○
81/264

第75話 ゴーレム娘、久しぶりクエスト

70 ~ 81話を連投中。


4/30(火) 14:50 ~ 19:10くらいまで。(前回実績:1話/21分で計算)


word → 貼り付け → プレビュー確認、微調整 → 投稿してますので、時間が掛かります。


申し訳ありません。



ブックマークから最新話へ飛んだ方はご注意ください。

冒険者ギルドにやって来ました。


お昼時のこの時間帯は、午前中に簡単なクエストを終わらせた冒険者たちの二回目の受注タイミングなので、結構混んでいる。

受付を見てみると、セレスも対応に追われているようなので声を掛けずに、Dランクの掲示板の前に行く。

…………人多い。



・上薬草の納品 (常設)

・食用肉の納品 (常設、ベイル山他)

・ダーチョの卵の納品 (常設、ガアンの森奥地)

…………………………………………

・マラスカ鉱石の納品 (細工工房 ハンペン)

・緑寿草の納品 (薬師 コカミ)

・ピンククローバー・ラビットの捕獲 (冒険者ギルド)

…………………………………………



ぺーーーー…………と、流し見るように見ていく。

今日はナツナツがいないため、討伐系や初めての場所は避けているので、受けられる依頼自体が限られるのだ。


「これがいいかな」


と、言って選んだクエストは、以下の通り。



・ハチミツの採取 及び 貯蔵量の確認 (商業ギルド)



選択した理由は、場所がカフォニア山脈の外縁部であることだ。つまり地元。よく知っている。

そして討伐系ではないので、魔獣と闘う危険が少ない。


フェルー草原は一年を通じて、種々様々な花が咲いているので、養蜂に向いているらしいのだ。

ただフェルー草原に直接巣箱を設置すると、それを狙った魔獣がカフォニア山脈などから降りてくる危険があるため、巣箱自体はカフォニア山脈に設置されている。

そのためこの依頼は、Dランククエストに該当するが、魔獣対策で巣箱が木の上にあったり、ハチから攻撃されたりするので、不人気の依頼だ。

ちなみに受注が少なくてどうしようもなくなると、『ハチミツの採取作業の護衛』という依頼に代わり、こちらはとても人気の依頼となっている。


……………………そんなに嫌か。ハチ。まぁ嫌か。


死にはしないが痛いからなぁ…………特に女性は顔を刺されると腫れてしまうので、嫌がるだろう。


依頼書を外して受付に持っていく。セレスの前には未だ冒険者が列を()しているが、チラリと送られた視線に『こっち来なさい』という意思を感じたので、諦めてセレスの列に並んだ。

まぁ受注の受付は割とすぐ進むので、どこでもいいのだが。


順番が来たので、依頼書を渡す。


「はいはい。え~と…………え、なに。これすんの?他にいいのがあったでしょう。ちゃんと起きてる?節穴?」


「ひどい言い草だ!!…………ちなみにオススメは何だったんです?」


「『ベイル・リキッドの討伐』。倒せば倒した分だけボーナス付くよ」


ベイル・リキッドは、倒すと魔石の原料を採取出来る無機生物だ。毎日のように大量発生し、大量に交配して、大量に死んでいく、とてもライフサイクルの短い生物。

時々長寿命の個体が生まれるらしい。


「久しぶりのクエストだから、初めての場所は除いたんですよ。こっちだって、採取した分だけボーナス出るんだからいいと思うんですけど」


「でも、ハチが面倒でしょう?殺しちゃダメだからね?」


「分かってますよ。まぁ、なんとかする当てはあるので」


「ホントに?……まぁ、いいか。じゃあ、はいこれ。巣箱の位置図。赤いところが採取可能と思われる巣箱で、黄色はハチミツの貯蔵量を確認する巣箱、青は手を出しちゃダメ。道具は裏にあるから。で、これが手引書。一度目を通しておいてね。それと最後にこれ。『ハチミツ採取許可証』。警備の冒険者もいるから、見つかったらそれを見せてね」


「分かりました」


「それじゃまぁ、刺されるだろうけど気を付けていってらっしゃい」


「そこは『刺されないように気を付けてね』では!?」


「そんな無謀なことは言えないわ」


というわけで、今日の午後はハチミツ採取となりました。





さて、やって参りました。ひとつめの巣箱です。


やっぱりというかなんというか、みんな近いところから採取してしまうらしく、遠いところに赤い巣箱が集中していた。

なので私は一番遠いところから始めることにする。ハチミツが溢れてるんじゃないかと思って。


カフォニア山脈外縁部は、草原と林の中間、といった雰囲気の場所だ。

フェルー草原に比べて生い茂る草は背が低く、代わりに木は背の高いものが多い。日当たりはフェルー草原と同様に良好なのだが、草食魔獣が多く生息しているため、背の高い草は生えにくいのだ。

そのため見通しも良好で、ガアンの森に比べると狩りをするのが難しい。

まぁ、それでも肉狙いの冒険者や肉食魔獣はいるけど。


ひとつめの巣箱は赤色、つまり採取可能と思われる巣箱だ。念のため魔道具を使ってハチミツの貯蔵量の確認後、採取する。

先程も言ったが、魔獣対策のため木の上に設置されているため、採取するときは登らないといけない。


『ナビ?』


『周辺に人や魔獣はいない。巣箱の中には、まぁ標準的な数のハチがいるようだな。元気だぞ』


「いや、そうではなく。ハチミツの貯蔵量は分かる?」


『ルーシアナの《スキャン》ではそこまで詳細には分からないな。見るか?』


「いや、まだいい」


そう言って『巣箱用分析魔道具』を取り出す。

杖の先端に透明なプレートが取り付けられており、そこに巣箱を納めるように覗きながら魔力を流すと、巣箱の情報が表示・記録されるのだ。

ふらふらと先端が揺れるのを苦労して抑えて魔力を流した。



巣箱No.0864

巣箱交換の有無:一段目 無し、二段目 無し、三段目 無し、四段目 無し、五段目 無し、その他 無し

ハチ群の状態:良好

害虫の有無:無し

ハチミツ貯蔵量:132%


採取判定:OK



魔力を流すと、プレートに簡素な文章がさっと現れた。


「おぉ」


『シンプルだな。記録は勝手にしてくれるんだよな?』


「らしいね」


警備の冒険者にも同様の魔道具は渡されており、これでどの巣箱が採取時期か管理しているのだ。ついでにドロボウ対策にもなっているらしい。

次はハチミツの採取といきたいところだが、その前にちょっと試したいことがあります。


「ナビ。もっかい《スキャン》して。今度は私にも分かるように結果を投影してちょうだい」


『《スキャン》発動』


ナビが指示に従って、《スキャン》を発動させる。



名前:カフォニア・ハニービーの巣箱

性別:―

年齢:―

種族:カフォニア・ハニービー

レベル:―

HP:3,290,760

MP:160,260

力:301,280

体力:629,854

魔力:61,466

敏捷:1,258,800

運:Nomal

スキル不明


※対象は群のため、ステータス値は合計値です。



うん。いつもの《スキャン》結果だ。あと、ハチ強い。


『群の合計値だからな。実際戦闘するとなると、強くはない。というか、弱いぞ』


「まぁ、そりゃそうですよね。このステータスで襲われちゃ怖くて採取出来ないよ。じゃ、次。もっかいお願い」


『《スキャン》発動』


ナビの《スキャン》発動と同時に、『巣箱No.』『ハチ群の状態』『ハチミツ貯蔵量』を知りたいと強く意識する。



▽光魔法マスタリーのレベルが上がりました!!

▽光魔法:インター・スキャンを取得しました!!

▽光魔法:エクスター・スキャンを取得しました!!

▽《スキャン》《インター・スキャン》《エクスター・スキャン》が統合され、《フル・スキャン》に変化しました。

▽ステータスを確認してください。


特殊スキル

・光魔法マスタリーLv.2 → 4


取得スキル

・インター・スキャン:対象の内部情報を収集する。

・エクスター・スキャン:対象の外部情報を収集する。

・フル・スキャン:対象の全側面の情報を収集する。情報精度は込める魔力に依る。



「覚えたね」


『やはり上位互換魔法があったな』


うん。まぁ、何を試したかったかは、分かってもらえたかと思いますが、《スキャン》の上位互換魔法を取得できないか試したかったのだ。


次男が使った分析魔道具や今使った巣箱用分析魔道具は、ステータスだけでなく外観情報 (私のスリーサイズやハチミツの量など) も収集しているっぽいのに、おじいちゃんの遺してくれた《スキャン》が、それを収集出来ないのはおかしいなぁ、と思ったのだ。


『《スキャン》は、ステータス等の基礎情報を収集。

《インター・スキャン》は、体調や病気等の内部情報を収集。

《エクスター・スキャン》は、体格や外傷等の外部情報を収集、だな』


「…………もっと分かりやすく」


『《インター・スキャン》は、見た目に現れない情報。

《エクスター・スキャン》は、見た目に現れる情報だ。

《スキャン》は、どちらかというと《インター・スキャン》に含まれるが、ステータス以外分からない』


「ありがとうございます!!」


いや、ホント。普通はどうか分からないけど、取得スキルって説明だけじゃよく分からないものあるから、意訳してくれるのは助かる。


『ふ…………まぁ、これが私の役目だ。…………感謝するなら、ナツナツに怒られたときにフォローしてくれると助かる』


「いや、してるつもりなんだけど…………貴方、フォローした分以上に機嫌を損ねるんだもの」


『じゃあ、終わった後に優しくしてくれ』


「いつもの延長で良ければ」


『それでいい』


……………………どちらかというと罰に近いかと思ってたんだけど、そうでもないのかな……?


まぁ、本人が良いと言うならば深くは聞くまい。


「さて、ではさっそく」


『《フル・スキャン》発動』


「私がやりたかったのに!?」


《フル・スキャン》の効果を確認しようとしたら、ナビに先を越されたよ!!


…………やっぱり嫌だったのかな?男の子は難しいです……


《フル・スキャン》の結果が目の前に投影される。



名前:カフォニア・ハニービーの巣箱

性別:― (女)

年齢:― (0歳)

種族:カフォニア・ハニービー

レベル:― (5)

HP:3,290,760 (100)

MP:160,260 (5)

力:301,280 (10)

体力:629,854 (20)

魔力:61,466 (2)

敏捷:1,258,800 (40)

運:Nomal

スキル不明


※対象は群のため、ステータス値は合計値、()内は中央値です。



巣箱No.0864

巣箱交換務有無:一段目 無し、二段目 無し、三段目 無し、四段目 無し、五段目 無し、その他 無し

ハチ群の状態:良好

害虫の有無:無し

ハチミツ貯蔵量:132%


採取判定:OK



おぉ……ちゃんと欲しい情報が分かった。ついでにハチのステータスも合計値だけでなく中央値も表示されたので、一匹辺りの実際の強さに近い値も分かる。


「さすがおじいちゃ」


外寸……


「ん?」



外寸:300mm×300mm×936mm

重量:34.3kg

ハチ個体数:29874体

ハチ個体数内訳:女王蜂1体、雄蜂691体、働蜂29,182体

ハチミツ栄養価(100g):エネルギー 304kcal、糖類 82g、水分 17g、たんぱく質……………………



「うっっっっわ!?」


『さすがおじいちゃんの魔法!!』と思ったら、ズラズラズラズラ~~~~っと追加情報に押し流されて、最初の方の情報が見えなくなった。


正直、途中からなんの情報なのか分からないんですが!?


「ナ、ナビ!?なにこれ!?」


『ふむ……『精度は込める魔力に依る』とあったから、かなり多目に魔力を込めたのだが……』


「精度が良すぎて意味分かんないヤツだよコレ!!」


結局 一分程、ガ~~~~~~~~…………っと情報が流れ続けて、ようやく止まった。


最後の方とかゲノムってなんぞや?


『術式のレベルが上がって、魔力効率も向上したから、過剰に魔力を込めてしまったらしいな。何度か使用して適量を探ろう』


「よろしくね……」


情報ってのは多ければ良いという訳ではないのだ。道順を聞いてるのに、道中のオススメカフェ情報はいらんのと同じで。


「蛇足が長くなったけど、そろそろ採取しよう」


『そうだな。ノルマ以上に採取しないと、ボーナスは付かんぞ』


ちなみにノルマは、赤巣箱10ヶ所、黄巣箱30ヶ所、ハチミツ50kg以上である。


さて、ハチミツの採取方法を確認しよう。

まずハチの巣箱は実家でも使っていた、五つの箱が重なった重箱式巣箱だ。

これは『屋根を取り外した後、一番上の箱を切り離し、巣ごとハチミツを採取。空箱を一番下に戻す』という方法でハチミツを繰り返し採取出来るものである。

カフォニア・ハニービーは、巣を上から下へ造っていく習性があり、ハチミツを上方の巣に溜め、幼虫は下方の巣に産み落とすので、この方法が適しているのだ。


ただ当然ハチミツを採取する際には、ハチたちの猛攻に晒される…………彼らにしてみれば、せっかく蓄えたハチミツを奪う略奪者ですからね。

とはいえ、薬や煙などで動きを鈍らせたりすると、最悪群ごと逃げ出してしまうことがあるらしいので、厚手のつなぎ服に手袋、網目状に編んだ覆面布で防御して耐えるしかない。


ただコレ動きにくい上に、たまに隙間から入ってくるんだよね。

侵入率が0.1%だとしても、30,000匹くらいいるから30匹は入ってくる計算になる。

死ぬ訳じゃないから、こう……『やってられるか!!』って怒る程じゃないけど、痛くて萎える絶妙な数なんですよね……採取は10ヶ所でするから、その10倍刺される訳ですし。


ただまぁ、うちのおじいちゃんが黙って刺されるがままにする訳もない。

大賢者の知恵と工夫で、見事ハチに刺されずにハチミツを採取する方法を確立したのである……!!


……………………前も言ったかもしれないけど、他にやることはなかったのかな、大賢者。


支給された梯子で巣箱の隣へ登る。この段階では襲われることはない。若干警戒されているが。

そして、おじいちゃんの確立した方法というのが、


「【スリープ】」


コレ。超単純。眠らせればいいのだ。


一応、大賢者でなければ創れない程 高度な術式であると言っておく。

生理現象としての『眠気』を増幅する魔法であるので、ハチたちも『外敵に襲われた』と思わないため、逃げ出すこともないのだ。



▽精神魔法マスタリーのレベルが上がりました!!

▽精神魔法:スリープ・スウォームを取得しました!!

▽ステータスを確認してください。


特殊スキル

・精神魔法マスタリーLv.5 → 6


取得スキル

・スリープ・スウォーム:対象の眠気を増幅し、昏睡させる。



…………覚えた!!


『一応説明しておくと、起きている人間を強制的に眠らせる程の効果はないからな。アクビが出る程度に眠気を感じている人間を眠らせる、くらいの効果ならあるが』


「十分すごいよね?」


例えば、夜勤の見張りとか眠らせて、領主の屋敷に侵入したりとか出来るんじゃ?

転移基点端末と合わせて、侵入も脱出も容易に出来そうだな…………


まぁ、いいや。そんなことが必要な時が来ないことを祈りつつ、ハチミツを採取しましょう。


巣箱から屋根と格子状の内天井を取り外し、軽く叩いてハチを巣の中に落とす。

次に取り出すのは、ケーキナイフのように刀身が薄く長いナイフである。丁度巣箱よりちょっと長いくらいで、両端に取手がついている。

ハチの巣は巣箱の中で縦に成長しているだけなので、これで箱の高さに輪切りにするのだ。


巣箱を抱えるように腕を回し、箱と箱の繋ぎ目にナイフを当てて引く。

『スー……ッ』と粘土を切るような手応えと共に、滑らかに切り離された。

中にはギッチリとハチの巣が詰まり、ほのかなハチミツの良い薫りも漂ってくる。

箱の中には落下防止用の金属棒が、十字に設置されているので、壊さないように注意してハチの巣を取り出し、回収用の壺に入れる。

ハチの巣とハチミツを分ける作業は、商業ギルドの方でやるらしい。

箱の方は軽く綺麗にして、一番下に入れ固定しておく。


念のためハチミツ貯蔵量を確認すると、82%に減っていた。一箱に付き50%らしい。

100%を超えていたら採取可能なので、ここはこれで終わりだ。


屋根などを元通りにした後、木から降りて離れたところから【スリープ】を解除する。

一分も経たない内に元気に活動を再開していた。


「あと9ヶ所か」


『正確に言えば、赤巣箱9ヶ所、黄巣箱30ヶ所、ハチミツ45kgだ』


「ルート案内よろしく」


『任せろ。赤巣箱の最短距離を元に、近くの黄巣箱に寄る感じで行く。先程の回収時間ならノルマ達成は余裕だろう。まずは向こうだ』


「了解」


ナビの案内に従って、次の巣箱を目指した。


養蜂の方法は、ニホンミツバチのモノを参考にしました。

ニホンミツバチはそうそう刺さないらしいですが、こっちのハチはガツガツ刺します。


あと、こういうの調べると養蜂をやりたくなりますな。

虫嫌いだし、住宅街のド真ん中ですが。

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