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ゴーレム娘は今生を全うしたい  作者: 藤色蜻蛉
3章 探索!!天人の遺跡
51/264

第47話 ゴーレム娘、中枢システムへ

33 ~ 57話を連投中。


3/21(木) 9:00 ~ 19:00くらいまで。(前回実績:10話を4時間で投稿)


word → 貼り付け → プレビュー確認、微調整 → 投稿してますので、時間が掛かります。


申し訳ありません。



ブックマークから最新話へ飛んだ方はご注意ください。

私の歩みと共に照明が点灯する地下通路を、壁に手を付きながら中枢システム区画に向かってゆっくりと進む。


いや、さすがに疲れてね?約三時間ぶっ通しで戦いっぱなしでしたし。


「よく体力が保ちましたね」


「正直、この魔石が無ければヤバかったと思う」


と、ハーフコートを留めるベルトの、バックル型魔石スロットに手を当てて見る。

そこには、【重量軽減】の魔石、【衝撃緩和】の魔石、そして『ベーシック・ドラゴン』の魔石が並んでいる。


ここで魔石について説明を。

単純に魔石と呼ばれている物には、まず素材としての魔石と魔道具としての魔石がある。

前者は、まぁ想像通りでしょうから置いておくとして、後者の魔石には大きく分けて二種類ある。人工物か天然物か。どちらも魔道具のスロットにセットすると、そこに刻まれたスキルを使用できるようになるのだ。


人工物は錬金術で素材魔石を合成し、そこに術式を刻んで創る。私が持ってる【重量軽減】や【衝撃緩和】などがそれ。単一効果しか持たないものが多いが、目的の効果を狙って付けられる。


次に本命、天然物について。

全ての魔獣は体内に魔石を内包している。いや、正確には『全ての生物は』か。

つまり人間やドラゴンなどの通常生物、妖精や天使などの半魔法生物、ゴーレムや武神などの無機生物、夢魔やガストなどの精神生命体 などの生物=『種族名』を持つモノは皆、体内のどこかに魔石を持っている。

鈍人形がゴーレムに似ていてもアイテム扱いなのは、この辺が理由だ。

この天然物魔石にはその者が生前に持っていた特殊スキルと取得スキルが刻まれており、複数の効果を持つものが多いが、使えないスキルも多い。羽がないのに《飛行》は使えないでしょう?


ちなみにレベルアップのための経験値は、魔石を持った相手でないと得られないつまり今日の苦労はレベルアップに繋がらないわけだよくそー。

あ、あと人間や妖精、私なんかは、魔『石』ではなく体全体に薄く広がった魔『体』みたいな感じになっているので、人間同士で魔石を求めて殺し合うみたいなことにはなりません。そしたら、街になんか降りてこられなかったわ。怖くて。


それはさておき、『ベーシック・ドラゴン』の魔石の効果は以下の通り。



特殊スキル

×威圧 Lv.2:他者を圧倒する存在感。威圧系スキルを取得する。

・風魔法の才 Lv.1:風魔法の術式構成を補助し、スキルとして取得する。

×ドラゴンブレス Lv.3:ブレス系スキルを取得する。

×龍王の系譜:いずれ龍王へと至る運命。その生涯の分岐点において、試練が訪れる。

×ドラゴンの心得:ドラゴン種族の種族特性。闘いに生き 闘いに死ぬ戦闘種族。怯まず闘い続けることで、ステータスが上がっていく。スキル『強成長』を取得。


取得スキル

×咆哮:魂を震わせる大轟声。声を聴いた者の身を竦ませ、動きを止める。

×竜咆:物質化した咆哮を吐き出す。風属性。

×竜砲:魔力の塊を吐き出す。無属性。

×強成長:自身のレベルアップ時に強力な成長補正を受ける。

・疲労軽減:あらゆる動作に起因する疲労を軽減する。

・鈍感:一定以上の強度の感覚を阻害し、動作を妨害させない。



えー……名称の前に×が付いているスキルは使用不可となっております。つまり、私が使用可能なスキルは、《風魔法の才》《疲労軽減》《鈍感》の三つ。うち、《風魔法の才》は《風魔法マスタリー》の下位互換なので意味が無い。

よって、実質的に意味があるスキルは、《疲労軽減》《鈍感》のみ。


大分私が元々持っていたスキルと重なるところが多いが、《疲労軽減》は『単純作業』『反復作業』に限らず疲労を軽減してくれるし、《鈍感》は動作を妨害する程の激痛のみカットしてくれるので、小さな怪我を見落とさないメリットがある。《感覚調整》だと一律で軽減するので、激痛に合わせて軽減率を設定しておくと小さな怪我を見落とすのだ。

代わりに効果の絶対値的なものは、こちらのスキルの方が弱い。まぁ、バランスか。

今回の戦闘では、この《疲労軽減》が良い仕事をしてくれました。さすがに戦闘行為を『単純作業、反復作業』とは見做せなかったですからね。


…………………………………………まぁ、それで、えっとぉ~……

このベーシック・ドラゴン。将来トンでもない存在になっていたのでは?

《龍王の系譜》って……

名称と説明だけで具体的なことは分からないけど、『俺より強い奴、かかってこいや』的な?ドンドン強くなるためのスキルなのではないだろうか?

もちろん全てのドラゴンが持っているわけではない。ギルド長も初めて見たとのこと。


……………………私、あのドラゴンの試練だったのかしらね~……倒しちゃったけど。

なんだか、おじいちゃんが色々苦労して生き返らせてくれたのに、見たこともない神様(だれか)の駒みたいでなんとなく嫌だな……


「?どうしました?」


「え?あ、いや……」


ちょっと思考の沼に沈んでしまった。オズが不思議そうな声で呼び掛けてきた。


「ちょっとね~。思春期だから」


『不意に物思いに耽りたくなる年頃なんだ』


「なるほど」


「おいこら」


『なるほど』じゃないやい。


『この世界に神がいようとも、マイアナの想いは変わらん。むしろ神すらも利用して生き返らせていただろう』


「運命なんてあるなら、それも踏まえた上で越えていこ~」


「……………………ありがと」


心配させてしまったみたいだ。まぁ、そうだよね。自分の力でどうこう出来ないなら、自然災害みたいなものだし、それなら全力で越えていくしかないよね。


「この世界に神・運命と呼ぶに値する存在・現象は確認されていません。ゆえに『無い』とは言い切れませんが、『無い可能性が限りなく高い』とは言えます」


「あはははは。オズもありがとう。…………そだね。無いものを心配しても仕方ないし、あったらあったでどうしようもないし。頭の片隅に置いてたまに気にするくらいにしておくよ」


「宗教なぞ、その程度で十分です」


「ちょぉっとぉぉ?」


若干勘違いされていたようなので、修正しておいた。

私は前々世から無宗教です。





狭い通路を小刻みに閉鎖しながら抜けると、そこはただっ(ぴろ)い円形ホールだった。大体、真上の円形ホールと同じくらい。つまり床一枚隔てて、同様の部屋が上下に存在している。

だが、パッと見の印象からは広さを感じることはないだろう。至るところに天井まで伸びる太い柱が乱立しており、視界を著しく狭めている。

ただ、中央までは真っ直ぐに道が伸びており、そこには円形の台座に納められた蒼色に輝く正八面体が浮かんで、くるくるとゆっくり回転していた。

輝きは穏やかで優しく私たちを照らしている。


「きれい……」


思わず口から言葉が漏れた。

宝石なんてほとんど見たことはないが、あれ以上に綺麗な宝石なんて存在しないのではないかと思ってしまう。


「あの蒼結晶が中枢システムの心臓部。私の普段の活動域です」


「へぇ~……」


「なお、あれが一番重要な設備な訳ですが、その辺の柱や床下にもそれなりに重要な設備が隠されていますので壊さないようにご注意ください」


「あれ?私ってそういうキャラに思われてる?すぐ物を壊す的な」


「当施設が完成してからの設備破壊数は『ルーシアナ』様が断トツです」


「そうだけど!!不可抗力よ!?」


夢魔に施設を乗っ取られなければ、こんなことしてませんって!!


「夢魔の件が無くとも素質は十分だったかと……」


「え~……例えば?」


「操作端末が見付からず、店舗の破壊衝動に駆られていましたね」


「…………………………………………」


そうでした……


「そもそも異相空間術式に干渉して侵入してきましたし」


「…………………………………………」


いや、あれも不可抗力……あ、でも、最終手段は術式を書き換えて脱出ってつまりそういうこと?


「それと鈍人形や鈍円筒を破壊しているとき、楽しそうだったと認識しました」


「……………………そんなことは……ないよ……………………多分」


「「『あります』」」


「三人掛かりで否定しなくても!?」


さすがに自信無く否定したら、間髪入れずに否定された。


ナツナツ、ナビ。あんたら誰の味方だ。


仕方無いので、壊さないように注意して中央の蒼結晶の元へ向かった。具体的に言うと、アイアンソードを仕舞った。


近付くにつれ判明する蒼結晶の大きさにちょっと驚愕する。私の身長くらいあるやないけ。

それがどういう原理か分からないが、台座から1mくらいの高さに浮いていた。ふっしぎー。

蒼結晶に近付くと、オズが私に指示を出す。


「まず台座の周囲に四本の太いケーブルがありますね。これを外します」


「これ?」


「それです」


「…………どうやって?」


そこには私の腰くらいの高さがある、太い太いケーブルがニョロニョロと延びていた。

とてもではないが、人力で外せない……


「なんか外す装置というか、ギミックがあるの?」


「えぇ。……………………気合いで」


「ギミーーーーック!?」


よく分からんツッコミが出た。あまり連発してはいかんな。


「冗談です。ケーブルの台座付け根付近に、パスワードを入力する操作パネルがあります」


「えーと……」


「これじゃない?」


ナツナツがケーブルに乗ると、小さなツマミを掴んで持ち上げる。そこには、0~9の数字が描かれた十の丸ボタンと『Enter』と描かれた細長いボタンが並んでいた。


「オズさん。蓋がしてあるなら言ってください」


「失礼しました。わざとです」


「えい」


「甘い」


横目で見ながら適当に降り下ろしたチョップは容易く避けられた。むぅ。


「それで?どうすんの?」


「順番に番号を押してください。3、1、4、1、5、9、2、Enter」


「3、1、4、1、5、9、2、Enter」


言われるがままにボタンを押すと、カパッと音がして操作パネルがさらに開いた。

そこには良く分からない図形が描かれた たくさんのボタンが並んでいる…………文字?


「続いて、す、い、へ、い、り……」


「待とうかオズさん。この文字?読めませんよ」


「小学生 一年次からやり直してください」


「ふん!!」


「ほあ」


割と本気で降り下ろしたチョップは伸ばしたアームに挟まれた。ぐぐぐ……


「謝罪を申し入れ。力を抜いてください」


「まったく…………ところで『小学生』ってなに?」


「当時の初等教育を施す施設に在籍する児童の呼称。主に6~11歳の子供が該当」


「へぇ~……」


「『ルーシアナ』様なら高学年の五~六年次に相当すると予想」


「…………………………………………オズちゃん?」


「?なんでしょう?」


挟まれた腕を解き、オズの頭をポンポンと叩く。

アームを掲げたままの姿勢で疑問の声を上げるオズに言う。


「私、15歳よ?」


「…………………………………………しゃ、謝罪を申し入れ…………いえ、申し訳ありません」


「は・は・は・は・は~……」


ふふふ……全く予想してないタイミングで勘違いされてることが判明すると、効くなぁ……


「ルーシアナ、生きて」


『あ~……………………頑張れとしか』


「とりあえず貴方が押しなさい」


オズの頭を掴んでケーブルの上に乗せた。初めからこうすれば良かったよね。

ケーブルに乗ったオズは、アームの先端を棒状にしてピピピピピ……と、高速で押下した。

さらにもう一度開いて同じようにボタンを押した。


「多いな……」


「主製作者の趣味です」


「ちなみに最後は何て入力したの?」


「『もうおもいつかないから123』」


「…………………………………………」


「心中はお察しします」


「私とアンタは今、解り合えている」


オズと熱い握手を交わすと、ナツナツも『私も交ぜて~』と手を合わせてきた。


『いいから早くしろ。夢魔が待ち兼ねているぞ、きっと』


「うーい」


「大丈夫です。他のケーブルも入力済です」


見たら他のケーブルには各色のオズが群がり、すでにケーブルを台座から外していた……


「私、意味あった?」


「聴かぬが華です」


「意味無かったってことよね!?ね!?」


「エラー。聴覚素子に異常発生。音声を認識できません」


「コイツ……!!!!」


「…………………………………………」


「どうしたの?謝罪なら受け取ってあげるわよ」


「いえ、謝罪する理由がありませんので。…………何か既視感があっただけです」


このやろ。


最後に出てきたスイッチを押すと、ガコッと音がした後、ズズズズズ……と、ケーブルが自ら身を捻るように下がり台座から外れた。


どうなってんだ……


ケーブルが外れたことを確認すると、ふと思い付いたことを聞く。


「なんやかんやと時間を掛けちゃったけど、逃げられちゃったりしてない?」


「大丈夫です。入口でシステム的に通信を切っておきましたし、何より【スキャン】結果が、未だ夢魔が憑依中と示しています」


「あ、そうなの?」


言われて思わず《スキャン》を発動させる。



名前:ガア・ティークル中枢システム (憑依中)

性別:―

年齢:―

種族:―

レベル:―

HP:5,000

MP:220,000

力:0

体力:30,000

魔力:30,000

敏捷:0

運:Worst

スキル不明


※対象はアイテム扱いのため、ステータス値は参考値です。



「MPがバカ高い!?」


桁が違うよ!?


『一応伝えておくと、電気エネルギーもMPに換算して表示している』


「それにしても多くない?」


『この巨大な施設を動かしているのだ。何もせずともある程度のエネルギーは必要だろう』


「そうなの?」


「えぇ。施設全体だと、休止モードでも10桁近くのMPが保存されています。通常一日の消費MPは5桁程度でしょうか」


「一、十、百、千、万……」


「なお、通常モードに変更しますと、どちらも1桁上がります。10倍ですね」


「マジかぁ……」


「省エネモードだと変わりありません」


「元通りになったら省エネモードにしておきなさいね」


「了解しました」


「なんの心配をしてるの……?」


いや、だって、ねぇ?たまにしか使わないのに無駄に魔力消費するなんて、ねぇ?

これでもド庶民なんですよ。


「そういやどこから魔力を補充してるの?」


「通常モード、省エネモードでは、主に施設の地下1,000km程を流れる地脈から、自然魔力を抽出しています」


「地脈……」


「休止モードでは、太陽熱発電、地熱発電、温度差発電を組み合わせております。なお、これらのエネルギーを施設の起動用エネルギーに使えなかったのは、生成する電圧に起因します」


「ん?」


「つまり からかったわけではありません」


「……………………まぁ、いいけど」


先に言われると、逆に怪しいところ。

まぁ、雷魔法を覚えられたので損は無かった。


「さて、どうやってシステムに侵入するの?」


『どこでもいいが。台座の前に座るなり寝るなりしてくれ』


「雑」


ナビの指示に従って台座を背に座り、ケーブルの接続口に肩を寄せて姿勢を固めた。


「……………………本当に行くのですか」


「ん?そのために来たんだよ?」


「想像より夢魔の損耗が高いです。外に出てくることはないでしょう。つまり、ここから精神魔法を連打すれば倒せますよ。危険無く」


『だろうな』


「代わりに夢魔が滅びるまでシステム内で暴れまくるだろうけどね~。リカバリ機能くらいあるだろうけど、記憶は戻らないよ」


「だとさ。…………もっかい言うけど。貴方の記憶を護りたくてここに来たんだよ?」


「…………………………………………はぁ」


これ見よがしにタメ息をつきおった。往生際が悪い円筒だな。


「分かりましたよ。ですが、くれぐれも注意してください。…………友達が心配なのは、私も同様です」


「…………ふふ」


右手を軽く握ってオズに差し出すと、オズもアームの先端をグーにしてコツンと当ててくれた。


「健闘を祈ります」


「こっちは任せた」


『短距離通信システム正常稼働』


「『ガア・ティークル中枢システム』へアクセス中……………………成功」


『センシング・ダイブ……………………実行』


ナビとナツナツの声を聞きながら瞼を閉じると、目眩のような感覚と共に意識が沈んでいった。


この話を書いてて気がついた。

MPとしての『魔力』とステータスとしての『魔力』が区別できない。

……………………流れから察して頂きたく存じ上げます。


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