第43話 ゴーレム娘、銀円筒と作戦会議
33 ~ 57話を連投中。
3/21(木) 9:00 ~ 19:00くらいまで。(前回実績:10話を4時間で投稿)
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「夢魔にハッキングされたとは言え、敵対行動を取ってしまうとは、私の不徳の致すところであり、重ねて謝罪申し上げます」
「う、うん」
ガン!!ガン!!ガン!!ガン!!
「さらには現在進行形で、システムを掌握され、ご不便を掛け、身体を危険に晒していること、誠に心苦しく思っております」
「あ、そうね。どうにかしないとね」
ガン!!ガン!!ガン!!ガン!!
「つきましては、事態の早期解決を図り、また二度とこのようなことの無いようシステムの改善に努めますので、何卒ご容赦ください」
「わ、分かったらとりあえずその鉄球止めよう?」
ガン!!ガン!!ガ!!…………
「…………………………………………」
「…………………………………………」
再起動してから狂ったように鉄球で鈍円筒の残骸を砕いていたアームを止め、沈黙する銀円筒。
ちなみに他の円筒たちは出入口や整備口 (鈍円筒が出てきた小さい穴) の前で、侵入されないように警戒している。
「…………………………………………」
「…………………………………………えーと」
「……………………本当に、情けないです」
なんか一気に人間っぽくなったなぁ……
なんだか肩を落としているように感じる銀円筒に近付くと、座って頭を撫でてやった。見た目通りに冷たく、固い感触が手に返る。
「まぁ、ほら。たまにはこんなこともあるって。私たちも手伝うから、ちゃっちゃと終わらせよう?」
「いいえ…………本来ならこんなことは起こらない筈でした…………」
「ん?」
「例え夢魔が中枢システムにハッキングを仕掛けたとしても、私のAI主稼働域を本来の中枢システム域に設定していれば、即時対応・駆逐が可能と判断……」
「えーと?」
待て待て。私はまだその辺の単語に理解が追い付いてないのよ?ざっくりとしか頭に入ってこないのよ?
『あ~……つまりオズの意識みたいなのは、本来中枢システムに駐在しているのが普通の状態で、その状態なら夢魔の攻撃に素早く反応出来た筈だから、こんなことにはならなかった、と』
「でも、今日はたまたまその円筒の中に意識を移してたから、夢魔の攻撃に対して後手に回っちゃって、今の状況を引き起こしてしまったって凹んでいるの」
なるほど。
「平易な説明に感謝いたします。たかだか5,000年、攻撃が無かったからと言って、危険性を過小評価する、怠慢。誠に情けなく思います」
「5,000年てアンタ、そんなさらりと…………いや、それは置いといて。まぁ、そんだけ長い間平和だったなら、油断だってするって。ね?だから、そんな凹まないの」
撫でる動きでちょっと強引にして揺すってやる。『気にすんな、こっち見ろ~』的な。
しかし、銀円筒はこちらを見ない。
「いいえ。まさしく怠慢なのです。なぜなら、この可能性は考慮されていました。にも拘らず、私は貴女と早く接触することを優先して、対抗プログラムの作成を待たず主稼働域を変更してしまったのです」
「そうなの?なんでまた」
『ルーシアナ。どうやって侵入してきたのか忘れたか?』
「ちょー不法侵入だった」
「そういう理由!?実は最初から警戒された!?」
「違います」
ナツナツとナビのセリフに驚くと、銀円筒がすかさず否定の言葉を発する。
「そ、そうだよね……途中で違反だって言われて、円筒たちが増えたんだし」
「いえ、不正な方法で侵入したことは初めから感知しておりました。わざわざ目の前で増員したのは、からかっただけです」
「……………………おい」
「私が『違います』と言ったのは、その理由が早期接触を望んだ理由ではないからです」
「…………………………………………」
このやろ……さらりと流しよった……
「私が早期接触を望んだ理由……それは、『マイアナ』様から『孫娘を頼む』と要望されていたからです」
「え…………?」
おじいちゃんが?…………また?
一体何人に私のことを頼んでいったのよ…………それとそういうことはちゃんと私に残していって。
「おこがましい認識ですが、私にとって『マイアナ』様は『友人』でした。私は彼が大切にした、貴女に、一刻も早く会いたいという思いを抑えきれず、危険を軽視したのです…………」
「あ、あぁ……そうなんだ…………ありがと。もしかしたら訪れなかった可能性もあったのに、待っててくれて」
「いいえ。貴女が『訪れるかもしれない』という希望は、私に長い孤独を乗り越える力を与えてくれました。『マイアナ』様は、それを考慮してくれたのだと思います」
「……………………そうかな?」
「思い出を美化してな~い?」
『15年だしな』
「…………アンタら空気読め」
「「『ご、ごめんなさい……』」」
余計なことを言った私たち、というか私は、鉄球となったアームを振り上げる銀円筒に平謝りした。
『ふぅ……』とこれ見よがしにタメ息をついて見せる銀円筒。さっきまでの硬い雰囲気はなんだったんだか……
「そのような理由で、私は貴女を危険に晒しているのです。何度謝罪しても済むことではありません」
「あ~……そうね。分かった。謝罪は受け取るから、まず事態を終息させましょう。そしたら許したげる」
「はい…………寛大なご配慮、感謝いたします…………」
どうせ謝らなくてもいいと言ったところで、聞き入れないだろうから、これからすることを条件に許すことにする。
誰が悪かろうと夢魔をどうにかしないといけないことに代わりはないからね。
「それじゃ、勝利条件と敵の編制・装備類を教えてくれない?」
「分かりました。恐らくですが夢魔の第一目的は『ルーシアナ』様の肉体を奪うこと、第二目的は中枢システムを乗っ取り当施設の移動デバイスを奪うこと。ご存知とは思いますが、精神生命体の多くは実体、特に生体を求めて行動します」
「この施設にいる生体は私だけだから私が第一目的。ダメなら他の生体を捕獲するための手足として、鈍円筒みたいなのを手に入れようとしているってことね」
「…………理解が早いですね。面倒がなくていいですが」
「そーねー。だからアンタが『『ルーシアナ』様は囮として敵を引き付け、出来ればそのまま異相空間術式を書き換え脱出してください』とか言うんじゃないかと思ってるんだけど、大丈夫でしょうね?問答無用で却下ですよ?」
「ぎく」
やっぱりか。
「時間がないんだから、そういう問答はするつもりないよ?アンタがそういうこと言うなら、私たちだけで中枢システムのところ行くからね?場所分からないけど」
「危険ですのでお止めください」
「それは私たちだけで行くこと?それともアンタと行くこと?」
「逃げる選択肢は無いんですか…………」
「無いよ。友達置いてくわけないじゃん。どうせ最終手段とか言って、異相空間を崩壊させて夢魔を倒すとか考えてるんでしょう?」
「…………………………………………それは最後の最後の最後の手段です」
「最終手段いくつあんのよ……」
「秘密です」
「まぁいいけど」
「うんうん。いいから早くして。さっきからドンドンうるさいんだから」
『まぁ、予想では後二~三時間は大丈夫だろうが……』
ドガン!!!!…………ドガン!!!!…………ドガン!!!!
そう、実は先程 鈍円筒の背後に見えていたアイアンゴーレム (実際は鈍円筒のデカイ版らしいので、アイテムらしいのだが) が、出入口を破壊するために攻撃しまくっているのだ。
省略してましたが、銀円筒が鈍円筒の残骸を砕いてた時からずっとね…………
「ホントに大丈夫なの~?」
『敵は侵入して来ないだろうが、中枢システムの方は大丈夫なのか?』
「大丈夫です。というかすでに陥落してるので、まったく関係ありません」
「ちょーーーーい!?」
さっきなんか色々成功してたじゃーーーーん!?
「まさかの真実……」
『『緊急閉鎖モード』とか『物理切断』とか何だったんだ……』
「いえ、その後 夢魔にハッキングされている間に通信ラインは接続され、閉鎖モードも解除されました」
「早すぎでない?」
「まぁ、そんなわけでそこの出入口が破壊されるまではのんびりしても問題ありません」
「もうこれ以上ひどくなりようが無いからね~……」
「ひどい展開だ……」
物語だったらもうバッドエンドでしょう、これ……
「そんな状況ですが、本当に逃げないのですか?」
「逃げないのです」
「強情ですね。さすが孫娘」
「それ関係ある?」
まぁ、ならのんびり作戦会議してから行きましょうか……
「それで?勝利条件は?」
「夢魔は恐らく中枢システムに居座っていると思われます。通信ラインを再び切断して夢魔を閉じ込め、中枢システムを破壊しましょう。すると外に夢魔が出てくるので、それを倒します」
「大丈夫なの!?それ!?」
「大丈夫です。中枢システムは施設内の各設備を統括管理するための設備ですので、無くなってもしばらくは問題ありません」
『じゃあ、なんでわざわざ閉鎖したんだ……』
「あそこを掌握すると各設備を連動して操作出来るのと……いえ、操作出来るのです」
「待て。何を言うの止めた」
「…………ノーコメント」
明らかに何かを言いかけて止めたので、ナツナツとナビに話を振る。
「よし、二人とも。中枢システムを壊さないように夢魔を倒すにはどうすればいい?」
「短距離通信システムを利用して、ルーシアナの意識をシステム内に侵入させよう」
『相手のフィールドに飛び込むのは危険だが、私とナツナツもついているし、まぁ外で戦うのと同じだろう』
「くっ…………!!なんて奴等ですか…………大きなお世話だと言われると思わないのですか?」
「言われたら勝手にやるだけだと思う」
『まぁルーシアナがここまで勝手に余計な世話を焼くのは初めてだがな』
「え゛……?機会が無かっただけで、ナツナツとかナビとかが似たようなことしたら、多分同じことするよ?多分チコリちゃんくらいまでならやる」
「……………………やりそう。言われてみれば、ベーシック・ドラゴンと戦ったのも、そんな感じだったし」
『なあ?』
「な、なななななんの話かな!?」
やっべ、バレてた……まぁ、気付かれてるとは思ってたけど。
「はぁ…………そういうことは、ちゃんと相手を見極めてからやってくださいね」
「了解~」
『気を付けよう』
「あれ?私への注意では?」
「貴女が世話を焼くと決めたならその二人がどう言おうと曲げないでしょうから、貴女がそう認識する前に見極めるようお願いしました」
「ふ、二人だって似たようなものなのに!!」
「この二人とは情報共有で通じあったので、貴女よりは近しく感じてもらえる理由が明確ですので」
『そもそも何キッカケで友達認定した?規則違反で増援を呼ばれたときは、まだ警戒していたよな?』
「昼食の辺りだよね、多分」
「となると…………」
そこで三人は言葉を区切ると、
「「『餌付け?』」」
…………そんなことを合わせなくていいです。




