第41話 ゴーレム娘、隠しコマンド入力
33 ~ 57話を連投中。
3/21(木) 9:00 ~ 19:00くらいまで。(前回実績:10話を4時間で投稿)
word → 貼り付け → プレビュー確認、微調整 → 投稿してますので、時間が掛かります。
申し訳ありません。
ブックマークから最新話へ飛んだ方はご注意ください。
とりあえず、《異空間干渉》の戦闘利用は禁止することにした。
具体的に言うと、この前のダーチョ戦で卵攻撃を[アイテムボックス]に収納して回避としたが、ああいうことだ。
一応、アレくらいなら大丈夫、とのこと。
『[アイテムボックス]に竜砲仕舞えば良かったね~』と、呑気に話していたが、思い付かなくて良かった……
私は現在、二階フロアの一角に設けられた、『インフォメーションカウンター』とやらに来ていた。
ここに操作端末があるらしいのだけど、机と椅子があるだけで、それっぽいのは見当たらない。
「ここにあるの?」
「はい」
「……………………どこに?」
「机の中央付近を押してください」
銀円筒に言われるまま机を押すと、軽い抵抗と共に『スッ』と1cm程沈みこんだ。
手を離すと、『すーー…………』と、机と同色の直方体が迫り上がってきた。
「…………………………………………」
「…………………………………………」
『…………………………………………』
「それが操作端末です」
隠すとかやめてよ……
「使用後に片付けるのは当然です」
「心を読むな……」
「なお、一階の四方入口から進んだ先、先程『ルーシアナ』様が横になっていた長椅子の正面にも同様のものがあります」
「追い打ちをかけるな……」
灯台もと暗し……
「それで?どうすればいいの?」
「まず魔力を流してください」
言われた通りに魔力を流すと、『ブォン……』という音と共に直方体の正面が斜めに傾いで、そこに色々な図形が表示された。
「流したよ」
「九つのアイコンがありますね」
「アイコン?この図形のことならあるね」
「それです。列を左から1,2,3、行を上からA,B,C、と呼称することとします」
「うん」
「順番に押してください。2-A、2-A、2-C、2-C、1-B、3-B、1-B、3-B」
「えーと……2-A、2-A、2-C、2-C、1-B、3-B、1-B、3-B」
「すると選択肢が二つ出ます」
「なんか出たね」
「右がA、左がBです。B → Aの順番で押してください」
「左 → 右、じゃダメだったの?」
「ダメです」
なぜじゃ……
疑問に思いつつ押すと、ピロリン♪と軽快な音が鳴った。
「次に起動用エネルギーを充填します。こちらへどうぞ」
「はいはい……」
「返事は一度で結構です。操作端末は仕舞ってください」
「…………オカンか」
操作端末の頭を押して机に沈めた。
銀円筒について、第二部屋列の中程、位置的には北東の一室の前に行く。
銀円筒が壁の前でしばらく停止すると、人が一人通れる程度の空間が開いた。
中に進むと、そこは一抱えもある大きな魔石が鎮座した狭いスペースだった。
「ここは?」
「当施設のマキュームレイタ。魔力、または電力を保存することが出来ます」
「へぇ~……」
「よく分からないならば、返答は不要です」
「なんかアンタ遠慮が無くなってきたな……」
「当機の学習機能は『高』で稼働中。対応が変わってきたと感じたなら、『ルーシアナ』様の影響です」
「むぅ……」
「こちらです」
押し黙る私を無視して、『シャー……』と音を立ててマキュームレイタの前に移動する。ちなみに他の九柱は、掃除を始めている。
別に今しなくても……
横目で見つつ、マキュームレイタの前に移動した。
「どうやって、えーと……魔力を溜めるの?」
「魔力、または電力です」
「……………………いいじゃん。分からないんだから、そっちは溜めようがないでしょ……」
「そうですね」
『ふぅ……やれやれ……』みたいな以下略。
「それで?どうやって魔力を溜めるの?」
イラッとしたけど、話が進まないのでスルーした。
後で覚えてろ。
「横の小さい魔石がサプライポートになります。操作端末と同様に魔力を流してください」
「了解」
小さい魔石に両手を当てて、いつも要領で魔力を流す。
違いと言えば、一切の抵抗なく魔力が吸い取られていく感覚があることだ。
…………
……………………
………………………………
…………………………………………
まだ?
「銀円筒」
「何でしょう?」
「どのくらい流せばいいの?」
「MP基準で100,000です」
「出来るかーーーー!!!!」
私のMP6,000位やぞ!?
「マナポーションをどうぞ」
月白円筒が、瓶に入った魔法薬を持ってくる。
飲むとほのかにマスカットの薫りと味がした。おいしい。
「…………ありがと。でもこれ、魔力回復量が上がるだけよね?さすがに一時間で100,000は無理よ?」
「電力、つまり雷魔法ならMP基準で2,000程で必要量が溜められると予想」
「……………………なんで、そんなに少ないの?」
「起動用エネルギーは、電力の方が高効率のため」
「先に言いなさい……」
とりあえず、魔力を流すのは停止する。ほとんどムダだから。
「雷魔法は使用出来ますでしょうか?」
「実は苦手で……超初級って言われた【エリック】って魔法しか使えなかった……」
なんかこう、指先からパチパチって出る。
「多分だけど、雷というか電気のイメージが上手く出来て無いんじゃない?」
『現在、雷魔法というものは存在していないはずだ。他の魔道士に聞いても、何の属性かすらも分からないと思うぞ』
そうだったのか……
『なら私も使えなくて仕方ないかなぁ~』なんて思ってた時期が私にもありました。
「……………………基礎物理学の学習データを読み込み中……」
「アレ?お勉強の時間ですか……?」
「魔法の効果は、術式だけでなく使用者のイメージに多分に影響されます。イメージ強化に基礎物理学は有効。スキルの効果、取得に関しても向上が見込めます」
「…………勉強嫌い」
『銀円筒。良ければ使えそうなデータを送ってくれ。暇なときに勉強させる』
「えーーーー!!!?」
「がんばれ~」
「パイセ~~~~ン!!!?」
「初等教育~高等教育までの全科目データ送信中…………高等教育に該当する内容は、理解度に応じて開示してください」
『承知した』
「……………………みんながいじめる……」
「基本的な知識です。四則演算位は出来るようになってください」
「そのくらいは出来るわ!!!!」
バカにす
「『にかけるよんわるはちかけるぜろひくはちかけるぜろかけるななわるきゅう』は?」
「…………………………………………」
「時間切れです」
「泣いていい?」
「ダメです。ちなみに、答は0です」
「…………もう帰る」
「帰ったら勉強してください」
「オカンか」
四則演算だって暗算は難しいよ……暗算は……
「いや、これ途中で0掛けてるから0になるって言う、子供の引っ掛け問題だよね?」
「その通りです」
「誰か優しくしてください」
三角座りして顔を埋めていると、紫円筒が肩を叩いていった。…………仕方無い。頑張るか。
「しゃがんだのであれば、丁度良いのでそのままでお聞きください」
「はいよ……」
「まずこの世の物質は、原子と呼ばれるとても小さな粒で出来ています」
「待って?電力の話だよね?」
「ちゃんと関係あります。黙って聞きなさい」
「遠慮は無くなってもいいけど優しくして!?」
「考慮します」
「考慮はするけど、実践はしない流れだよね~」
赤円筒に乗ったナツナツが通り過ぎ様にこぼしていった。
「…………………………………………」
「…………………………………………」
「…………………………………………」
「…………………………………………この原子というのは」
「しくしくしくしく…………」
…………
……………………
………………………………
…………………………………………
▽ルーシアナは『基礎物理学』を学習した。(2%)
……………………2%……
どうでもいいですが、高等教育って大学の教育内容なんですね。




