第24話 ゴーレム娘、ナビと一緒
えーと……申し訳ありません。前回投稿時に1話飛ばしてました。
17話と旧18話の間に1話追加しました。
主な内容は『Fランクに上がった』『防具お披露目(読者に)』『ルーカス達に遭遇』です。
もしよければ御一読ください。
今後は気を付けます……
24 ~ 33話を連投中。
2/24(日) 14:50 ~ 19:00くらいまで。(前回実績:9話を4時間で投稿)
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申し訳ありません。
ブックマークから最新話へ飛んだ方はご注意ください。
さて、明日はいよいよ『狩りまくりイベント』の当日である。
ダーチョの卵の納品により、まさかの『Eランクスキップ』を果たし、Dランクになってしまった私ではあるけれど、とりあえずイベント終了まではEランク冒険者としてクエストをこなす予定である。
いや、当然だよね? だって、普通の人がランクアップするまでの時間を使って、徐々に経験を積むところを、たまたま運よくランクアップしてしまっただけなのだから。
肩書きばかり立派な素人のようなものだ。
Dランククエストからは、ついにその活動範囲が解放され、この前ルーカスたちと行った『ガアンの森奥地』だけでなく、その先の『ベイル山』や私が住んでいた『カフォニア山脈』、その他周辺の村落など、クエスト先が一気に広がる。
ぶっちゃけ、多くの人がイメージする『冒険者』というのは、ここから始まるのだと言っていい。
Eランクまでのクエストは、そのための下積み期間だと言える。
…………どんな立派な建物も、土台がしっかりしていないと、簡単に崩れ去ると言う。
人も然り。下積みを安易に省略するのは、将来のためにならない。
というわけで、今日も今日とてEランククエストである。
まぁ、長々話しておいてアレですが、Eランクで学ぶべき経験というのは、ざっくり言えば『森の中の動き方』なので、私にはほとんど不要なんですが。
なので、少しでも経験が積めるように、あまり行ったことの無い水辺のクエストを主に受注しているところです。
そんな感じで、私がのんびり依頼を探していると、
「見つけたぞ、ルーシア・ケイブ!! いつまで、Eランクのクエストなんぞしている!! こっちは貴様を待っているんだぞ!!」
「…………………………………………」
「おい!! 聞いているのか!?」
聞いてませ~ん。
「まったく。運だけでDランクに上がった小娘のために、わざわざ私たちが声を掛けてあげていると言うのに、何をチンタラチンタラ遊んでいるのですか。私たちは、貴女のように暇ではないのですよ?」
んー……
「フッ。収納魔法しか取り柄の無いキミらを、わざわざ使ってやっているのだ。感謝し給えよ」
あ、ガアン池に生息する水山椒魚の納品だ。
あの辺は、ブルーバスとかヤマメーとか食用魚も釣れるらしいんだよね。うん、これにしよう。
「その通りだよ。こちとら、荷物持ちがいなくなって困っていると言うのに。荷物持ちは荷物持ちらしく黙ってついてくればいいんだよ」
『水山椒魚の納品』の依頼書を剥がして、受付に持って行く。
セレスはいないので、ときたまにお世話になる受付嬢さんに処理をお願いした。
「これ お願いしま~す」
「はい、承りました。…………はい。OKです。……………………あの…………アレ、どうやってるんですか?」
「秘密です♡」
「……………………まぁ、いいですけど。面倒なのに目を付けられてしまいましたね。受注したクエスト内容は漏らしませんが、出先で偶然 出会わないように気を付けてくださいね? 『Eランククエスト』というだけで、クエスト先がガアンの森だということは、ほぼ確定するんですから」
「そうですね、気を付けます。お礼じゃないですけど、これあげます」
受注の手続きを終わらせた後、小声で忠告をしてくれた受付嬢さんに、最近 定番のバームクーヘンを差し出した。
よくお裾分けしてるから、幾つかは紙に包んで すぐ渡せるようにしてあるのです。
「ふふふ……ありがとうございます。いってらっしゃいませ」
「いってきま~す」
ギルドから出ていく前に『チラリ』とEランク掲示板を見ると、先程絡んできた連中が誰もいない空間に向かって、ギャーギャーと騒いでいた。
周りにいる人たちは、気味が悪そうに一瞥すると、関わりにならないようにすぐに視線を逸らしたり、ひそひそと小声で話したり…………あ、そのジェスチャー知ってる。『脳みそ くるくるぱー』ってヤツですね。もっと広めてやってください。
あいつらは、セレスが席を外しているときを狙って近付いてくる。
私にとっては甚だ迷惑で腹立たしいことだが、冒険者ギルドが口を挟むレベルの違反ではないので、何ともし難い。
ギルド長やセレスなら、身内ということで強硬手段を取ることも出来るらしいのだけど、現場に居合わせることが最低条件。
でも、その手段を使うと、多分 二人の立場が悪くなる。から、やりたくない。
交渉は無理。交渉というものは、会話ができる者同士でないと成立しないからね。
同じ言語を使っているからといって、会話ができるかどうかは別ということだ。
ついでに、自分にそんな対人折衝力があるとも思っていないしね。
まぁ、どんな状況だろうと、どんな脅し文句だろうと、あんな連中と組むことだけは絶対に無いと言い切れる。
これといった感想も思い浮かばず、すぐに視線を戻して、ガアンの森に向かった。
森の気配濃厚なガアンの森を、今日も一人軽快なペースで身を飛ばす。
ルーカスたちと移動したときよりも、大分 速い…………というか、疾走している。
前も言った通り、ガアンの森は歩きやすい森だ。だがそれでも、走り回れるほど容易い森というわけでもない。
では、どうしてこんなことができているかと言うと……
「よっ…………と」
『右足場、崩壊予兆確認。足場固定』
「疾走姿勢、最適値差違 16%~。適正姿勢へ修正。差違 3%~」
「ぬあぁぁ……うまくいかない……」
『65点。赤点だ』
「まぁまぁ。まだ、練習を始めてから一週間も経ってないんだからさ~。慌てない 慌てない♡」
「いや、それより65点で赤点て、基準高くない!?」
二人の仲間に、私の身体動作を補助してもらっているのだ。
具体的には、『足場の固定化』に『姿勢の矯正』。気分はマリオネット。
それをしてくれているのは、もちろんナツナツに……
『まだ《姿勢制御》を覚えないか? あれがあればナツナツの補助は不要になると思うのだが』
…………ナビです。
皆さん忘れているかもしれませんが、私の最初のナビゲーターさんです。
なぜ彼が復活しているのか。
まぁその内こうしようとは思っていたけれど、一番大きな理由はこの前のダーチョ戦だ。
あの戦闘中、私は完全に周囲に対する警戒を忘れていたし、《サーチ》が切れていることにも気付かなかった。
その時は、ナツナツやルーカス達が代わりに警戒をしてくれたが、私の意識からそれらが完全に消えていたのは、揺るぎ無い事実である。
本来 戦闘時におけるナビゲーターの役割は、私自身の手落ち部分の補佐だ。
それは、ナツナツのように肉体を得て、物理的な死角をカバーするといった『パートナー』としての補佐と、ナビのように肉体を得ず、精神的な死角をカバーするといった『サポーター』としての補佐、両方を含む。
元々、おじいちゃんの考えていたナビゲーターとしては『サポーター』、つまり、ナビを主とするものだったらしいが、そんなことは考えもしなかった私のわがままで『パートナー』であるナツナツのみとしてしまった結果が、ダーチョ戦における警戒忘れである。
幸いにも、あの時はナツナツやルーカス達のお陰で大事には至らなかったが、露呈した危険は速やかに取り除かなければならない。
そのため、『サポーター』の役割をこなしてもらうため、急遽 復活してもらったのだ。
この一週間、Eランククエストをこなす中で積んだ経験で最も重要なのは、ナビとの連携かもしれない。
…………知らなかったとはいえ、うっかり殺しかけていた点について、自分としてはまだなんと謝れば良いか整理が出来ていなかったから、実を言えば復活は もうちょっと待って欲しかったのだけど……
ナツナツが『そんなの気にしてないよ~』と言って、とっとと復活させてしまったのだ。
ナツナツとナビは、性格などの個体属性は異なるが本質は同じ存在のため、ナツナツが気にしていないのなら、ナビもまた気にしていないという関係も成り立つというのは、頭では分かっているのだが…………
一応、言葉は拙かったがしっかりと謝ったし、ナビも『ナツナツの言った通り気にしてませんよ』と言ってはくれたが、やはりこれからの付き合いの中で償っていくべきだろう。うんうん。
『いや、本当の本当に気にしていないのだから、あまり引き摺られても逆に迷惑になるぞ?』
「うぐっ……」
『まぁ私はそうは思わないので、気が済むまで償ってくれて構わないが』
「うぅ……ごめん……」
『ふふん♪気分がいいものだな♪』
からかい口調のナビのセリフに、割と本気で凹む。
「…………ねぇ。あんまり調子に乗ると消すからね……?」
『…………や、やだなぁ……ルーシアナが気に病まなくて済むようにと考えたジョークですよジョーク。ナツナツ先輩』
「……………………へぇ」
驚くほど平坦な声で、普段使わないようなセリフを吐くナツナツに危険を感じたのか、急に下手に出て取り繕うナビ。
ナツナツとナビの間には、よく分からないが序列的な優劣があるらしく、ナビは一度消えかけたせいか、ナツナツの方が立場というか権限が上になっている、とのこと。
そして、生まれてからある意味ずっと私を独り占めしてきたのに、同列の存在が出来てちょっとヤキモチを妬いているらしい。
可愛い奴め。今日も一緒にお風呂に入ってあげよう。でも仲良くね。
二人の補助を受けながら、ガアン池に到着する。
結局、ここに来るまでに《姿勢制御》を覚えることは出来なかった。
《姿勢制御》は、おじいちゃんの戦闘技術の基礎となる『体捌き』に関する技術であり、私の体型に合わせて最適化して動作を補整してくれるスキル、とのこと。
さらに、スキルに頼らず体を動かせるようになってくると、『私にとっての最適動作』を学習し、例えば疲労などで本来の動作が出来ないような状況の際に、スキルが矯正してくれるようにもなるらしい。
『戦闘するなら覚えて損はない』と復活したナビに勧められたため、森の中を疾走などという危険なことをしているのだ。なかなか覚えないけど。
「まだダメか~……」
「こういう汎用的なスキルは、術式としては高度だからね~」
『魔法をスキル化したものに比べて覚えにくいかもしれんな』
「地道に頑張るしかないか……」
一先ず《姿勢制御》の件は一旦 置いておいて、ガアン池を見渡した。
ガアン池は、かなりの広さを持つ透明度の高い池である。所々に大小様々な岩が小島のように点在していて、場所によっては飛び石を渡ってそこまで行くこともできる。
注ぎ込む川などは見当たらないが、これは至るところでベイル山からの地下水が湧き出しているためらしい。
だから、ベイル山に大雨が降ると、時期をズラして池の面積が広がることもあるとのこと。
「目標は生きた水山椒魚だから、[アイテムボックス]には入らないんだよね。アイテム袋の方に入れないと」
「不便だよね~、この仕様。何とかならなかったのかな~?」
『それは仕方ないと思うぞ。《異空間干渉》は、この世界に近接する『異世界』へと干渉し、この世界とは全く異なる法則が支配する空間そのものを利用する魔法。そして、数多存在する世界の多くは、生命体……というより、意思ある存在を許容できない。そんな存在の満ちるこの世界こそが、特殊な世界なのだよ』
「それは分かってるけどね……」
まぁ、その代わり…………と言っていいのか分からないけど、時間経過が無いのは十分すごいと思ってはいる。
いや、正確には『時間経過の無い異世界』を発見し、利用できるようにしてくれたおじいちゃんが、か。
私が会話から外れても続く二人の声を背景に、捕獲の準備を進めた。
水山椒魚は、浅い水中や水面に近い石の上などにいる。ノルマは10匹。
[アイテムボックス]から、一部がガラスになっている金属箱を取り出し、中に石や水を入れて即席の水槽にした。
「さーて、どこにいるかな」
『《サーチ》は使用するか?』
「一時間探してノルマ達成出来なかったら使おう。水対策だけお願い」
『承知した。《クリア・プレイト》』
ナビの言葉と共に、透明な力場が体と服の表面を覆うように展開していく。
金属鎧以上の強度を持ちつつも重さの無い魔法障壁だ。
正確には、『一定以上の力が加わると、それに比例した反発力を一度だけ発生させる』魔法で、イメージとしては『一度だけなら絶対に壊れないガラス板』。
力場の展開時と反発力の発生時にMPが消費され、その間の力場維持中はほとんど消費されないので、戦闘時には予防的に使用しておくと安心。
ちなみに、反発力が発生する切っ掛けとなる『一定以上の力』は、静荷重であれば意外に大きいので、コップやテーブルの代わりに使用するくらいなら可能。
欠点は、『一定以上の力』なら、力の大小・広狭関係なく『一度』にカウントされて消滅してしまうことと、面状に分散はするが衝撃は通ること。
前者はすぐ作り直せばいいが、後者は今のところどうしようもない。
一応、『ドラゴンに体当たりを喰らったりしなければ大丈夫』らしいけど、そんなのと生身で戦いたくないのですが……
《クリア・プレイト》の展開が完了したことを確認して、池の中に入る。
肌に水が触れている訳でもないのに、ひんやりとした冷たさを感じる…………気がする。
『錯覚だと思うが……内部への水の漏洩:なし、発汗による熱交換:正常』
「単純に、体と魔法障壁の間の空気が冷えたんじゃない~? 《クリア・プレイト》って、断熱性能は無かったよね~」
「正論が聞きたかったわけではないのだけど」
『ふむ…………まぁいい。暖かくしたいとか冷たくしたいとか希望があれば聞くぞ。可能かどうかは分らんが』
「間の空気でも暖める~?」
「いや、大丈夫…………あ、でも、ちょっと聞きたいことがあるかも」
『…………? なんだ?』
意外に泥の層は浅かった池底の状態に、それでも足を取られないように慎重に歩を進めつつ、ふと思いついた疑問を口にする。
「うん……最初と口調が違うのなんでなん?」
「『今更!?』」
……………………私を怖がらせないように気を使ってたらしい。そういえば、『ゴーレム娘』と言われたときは今と同じ雰囲気だった気がする。スッキリ。
一時間後。
水山椒魚、ぜんっぜん見つからなかった。
諦めて、《サーチ》を使ったら即行でノルマ達成できた。
アホなこだわりは捨てようと思いました。
「まぁ……けふっ。スキルも合わせてルーシアナの実力だからぁ~」
『通常のスキル取得と違って、マイアナから一方的に与えられているようなものだからな。『頼り過ぎないようにしよう』という気持ちも分からなくも無いが、そういうのはスキルを十全以上に使いこなしてから考えても遅くはあるまい。それでも大変だぞ? マイアナが残した魔法は膨大なのだから』
「うん……そうする」
今は池の中に点在している大きな岩というか小島の上にいる。
そこを簡単な地魔法で平らに整地し、テーブルをセット。その上には、場違いなティーセットとナツナツが並んでおり、後者はお腹を抱えて伸びていた。
「食べ過ぎた~……」
「太らないでよ? 普段から飛んでばかりいるんだから、中々痩せないと思うよ?」
『ルーシアナ。妖精などの半魔法生物は食事では太らん。太るとしたら魔力循環が停滞する場合で、それは状態異常だ』
「そのとーり」
「それは羨ましいね……」
世の女性にケンカを売ってるね。セレスが荒れるね。バームクーヘン食いまくって増えたらしいからね。何がとは言わないけど。
『太ると分かってて、何故食べるのか……』
「ナビ。そのセリフは、ナツナツの体質よりケンカを売ってるから気を付けよう」
『ルーシアナとしか喋ることもないのだが……』
「それはそれ。これはこれ。ところで、もう一杯ちょうだい」
『分かった。……やはりなかなか難しいな』
ティーポットの蓋はそのままに、内部に[アイテムボックス]から直接、茶葉とお湯が投下される。
外からは見えないが、お湯の中で茶葉が開き薫りが満ちるのを待って、ティーポットが宙に浮いた。
ぷるぷると不安なくらい震えながら移動し、私の手元のカップに中身が注がれた。
『どうぞ』
「ありがとう」
ひとくち口に含むと、舌の上で転がすように薫りを楽しみ、コクリと飲み込む。
「うん。65点」
『先程の仕返しか? そんなに高くないだろう』
「評価は正しく行うのね」
『当然だ。評価は正しく行わなければ、自己を省みて成長させることは出来ないからな』
「思ったより真面目な回答!!」
私、そんなに舌が良いわけでもないのですけど!?
『舌の上で転がすように薫りを楽しみ』とか何の意味があるかも分かってません。適当ですよ?
「今日は、まだ帰らないの~?」
お腹がこなれたナツナツが、テーブル上をコロコロと転がりながら そう問い掛けてきた。
その問いに、私はティーカップを置く。
「まだ陽が高いからね。釣りでもしていくよ」
『釣りか。《サーチ》は使うだろ?』
「よろしく」
同じ愚は犯さない。今度は、最初からスキルに頼ることにする。
ナビに《サーチ》の管理を投げ、釣り竿と箱を用意。箱には[アイテムボックス]から清水を入れておく。
ちなみに、釣り竿はおじいちゃん謹製。糸を巻き上げるリールが付いてて使いやすい。手動だけどね。
準備は出来た。
目視でも魚影は確認できるが、《サーチ》と併用して魚の位置を確定。それより、少し奥の方へと静かに釣り針を落とした。
『…………? エサを忘れているぞ?』
「うちの近くの魚には大丈夫だった」
『は?』
あの頃 利用していた池の魚は、ここにいる魚より警戒心が高かった上、障害物が多くて難しかったけど、ここはその逆。
さらに、今回は《サーチ》ではっきりと魚の位置が分かる。
あの頃の池だったとしても、釣れない自信はない。イケる。
「……………………」
「……………………」
『……………………』
私が集中のため押し黙ると、それに釣られたようにナツナツとナビも口を閉ざす。
ガアン池の水は透明度が高い。
あの魚からも私の姿は見えているだろうし、何かを……いや、釣りをしているのはバレているだろう。
それでもあの魚が逃げないのは、私の釣り針が遥か後方に落下したからだ。
自分には関係が無いと思っている……のかもしれない。
……………………
魚に気付かれないように、ゆっくりと釣り針を手繰り寄せる。
エサも装飾も無い、本当にただの釣り針だが、その分 無駄な抵抗もなく真っ直ぐにこちらへ戻ってくる。
そして、釣り竿の先端と釣り針を結ぶ直線状に魚が収まった瞬間、素早く釣り竿を引いた。
ヒュッ!!
「『……………………』」
釣り針がうまいこと獲物の口の端に引っ掛かり、抵抗する暇も与えずに魚を空中へと引き上げる。
そして、それが水中に戻る前に高速でリールを巻いて手元へと。
空中を泳ぐような速度で飛んできた魚を適当にいなし箱の中へ落下させる。
突然のことに、魚の思考が停止している内に釣り針を外した。
「ゲット」
「え、えぇぇぇぇ…………」
『んなバカな……』
なんだか困惑してような声のナビゲーター2名は放置してリピート。
…………
……………………
………………………………
…………………………………………
おんなじ方法で20匹くらい釣り上げた。成功率は大体70%だ。昔は80 ~ 90%くらいだった気がする。
難易度的には易しいはずなのに、ちょっと成功率が悪い。腕が落ちたということか……
「…………非常識過ぎない?」
『確かにこの方法なら、エサもいらないし、食いつくまで待つ必要もない。メリットは多いが、よく出来るな……』
「虫が触りたくなくてね~」
「そんな理由!?」
『…………よく出来るな』
いや、触りたくないのもあるけど、エサにした虫が釣った魚の腹の中にいると思うと…………ねぇ?
釣り上げた魚は、手早く捌いて[アイテムボックス]へ。
天を見上げる。が、木々に遮られて空が見えないので意味がなかった。
…………まぁ、昼をちょっと過ぎたくらいでしょう。
「いや、私たちに聞いてよ~」
『時計を内蔵しているわけではないが、時刻は分かるぞ』
「正確な時刻が知りたい訳じゃなかったから。まだまだ明るいだろうけど、そろそろ帰りますかね」
目標の水山椒魚は元より、今 釣った食用魚の他、錬金術に使える植物なども採集してあるので、戦果は十分以上だろう。
『では、補助しようか』
「結構疲れるんだよね~……」
『スキルを覚えるまでの辛抱だ』
…………『早く覚えろ』という圧力だろうか?
「…………お願いね」
再び、森の中を疾走して街に戻りました。
《姿勢制御》は覚えられませんでした。
こういうキャラも必要かな~と思ったので登場させた連中ですが、やっぱり書いてて面白くなかった……
こいつらで最後かも。




